介護事業の事業承継で指定は引き継げる?株式譲渡と事業譲渡の違い・人員基準と手続きの流れを熊本の弁護士が解説!

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西田 幸広 弁護士

監修者:弁護士 西田幸広

法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援

訪問介護やデイサービスを長く続けてきたものの、「自分が引退したあと、この事業所をどうすればいいのか」と迷っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

介護事業は、ほかの業種の事業承継とは少し事情が違います。会社そのものを引き継ぐだけでは足りず、都道府県や市町村から受けている「指定」を切らさずにつなぐという、介護保険法特有の問題があるためです。

ここを見落としたまま話を進めてしまうと、承継した翌月から介護報酬を請求できない、という事態も起こり得ます。

そこで本記事では、介護事業の事業承継で指定を引き継げるのか、株式譲渡と事業譲渡で手続きがどう変わるのか、人員基準や従業員・利用者との関係で何を点検すべきかを、熊本市・八代市の中小企業からご相談をお受けしている弁護士の視点で解説していきます。

\事業承継、何から始めるか迷ったら/

介護事業の事業承継で最初に確認したいのは「指定」の扱い

介護事業の承継で株式譲渡と事業譲渡によって指定の扱いがどう変わるかを比較した図解

介護事業の承継を考えるとき、多くの社長がまず気にされるのは株価や税金です。

ただ、実務で最初につまずくのは、たいていそこではありません。介護保険サービスを提供して報酬を受け取る前提になっている「指定」を、承継後も維持できるかどうかです。

指定が途切れれば、どれだけ利用者がいても介護報酬の請求ができなくなります。事業価値そのものが消えてしまうため、ここから逆算して承継の方法を決めるのが順序として正しい進め方になります。

介護事業は都道府県・市町村の「指定」で成り立っている

訪問介護や通所介護といった居宅サービスの事業者は、原則として都道府県知事の指定を受けて事業を行います。

一方、地域密着型通所介護や小規模多機能型居宅介護など、地域密着型サービスと呼ばれるものは市町村長の指定です。熊本市内の事業所であれば熊本市、八代市内であれば八代市が窓口になる、という整理になります。

指定には有効期間が定められており、6年ごとの更新が必要とされているのが一般的です。承継の時期が更新時期と重なっていないかは、早い段階で確認しておきたいところです。

指定は会社に付いており、社長個人に付いているのではない

ここは誤解されやすい点です。指定は「指定を受けた事業者(法人または個人)」に対して、事業所ごとに与えられています。

つまり、社長が交代しても会社が同じであれば、指定そのものは続くのが原則です。逆に、会社が変われば、たとえ同じ場所で同じ職員が同じ利用者にサービスを提供していても、別の事業者による事業として扱われることになります。

「代表者が変わるだけだから手続きは要らないだろう」という思い込みと、「事業所をそのまま渡すのだから指定も付いてくるだろう」という思い込みは、どちらも危険です。

承継の方法によって、指定を引き継げるかどうかが変わる

介護事業の承継方法は、大きく分けて株式譲渡(法人そのものを引き継ぐ形)と事業譲渡(事業所の設備や契約を個別に引き継ぐ形)があります。

この選び方が、そのまま指定の扱いを決めます。おおまかな違いは次のとおりです。

承継の方法指定の扱い(原則)想定される主な手続き
株式譲渡法人格が変わらないため指定は継続役員・管理者などの変更届
事業譲渡指定は引き継がれず、譲受側で新規指定が必要新規指定申請+譲渡側の廃止届
合併・分割届出で対応できる取扱いが定められていることがある指定権者への事前相談と届出
個人事業から法人への切替別事業者となるため新規指定が必要となるのが原則新規指定申請+廃止届

どの方法を選ぶかは、税金だけで決めない

株式譲渡と事業譲渡の選択は、税負担や簿外債務のリスクで比較されることが多いです。

しかし介護事業の場合は、「指定を切らさずに済むか」「加算を落とさずに済むか」という運営面の影響が、税負担の差を上回ることも珍しくありません。

最終的な判断は会社の状況によって変わりますので、承継の形を決める前に、指定権者の運用も含めて確認しておくことをおすすめします。

別記事では「建設業での事業承継の注意点は?許可の引き継ぎと認可手続き」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

株式譲渡で介護事業を承継する場合の手続きと注意点

後継者が親族や社内にいる場合も、第三者に引き継いでもらう場合も、介護事業では株式譲渡が選ばれることが比較的多くなります。

指定を維持したまま引き継げるという、わかりやすい利点があるためです。ただし「何もしなくてよい」わけではありません。

法人格が変わらないので、指定はそのまま続くのが原則

株式を譲渡しても、会社という法人格は同じまま存続します。したがって、指定を受けている主体も変わらず、指定は継続するのが原則です。

利用者との契約も会社の名前で結ばれているため、契約を結び直す必要は基本的に生じません。従業員の雇用契約も、会社との契約として続きます。

承継の前後で現場の運営が途切れにくいという点では、介護事業にとって相性のよい方法といえます。

それでも役員や管理者の変更届は必要になる

株式譲渡では、代表者や役員が入れ替わるのが通常です。

介護保険法上、事業者の名称や所在地、代表者、管理者などに変更があったときは、指定権者への変更の届出が求められるのが原則です。届出期限は変更から10日以内とされていることが多く、思っているより短いです。

株式の譲渡契約が終わって一息ついたところで期限を過ぎてしまう、という取りこぼしが起こりやすい部分ですので、クロージングの段取りに届出までを入れておくと安全です。

加算の算定要件を引き継げるか確認する

介護事業の収益は、基本報酬だけでなく各種加算で大きく変わります。処遇改善に関する加算のように、計画書の提出や実績報告を前提とするものもあります。

株式譲渡であれば事業者は変わりませんが、職員体制や賃金規程を承継後に見直す場合には、算定要件を満たし続けられるかを事前に確かめておく必要があります。

承継を機に給与制度を整えたことで、結果として加算の要件から外れてしまうことは避けたいところです。要件や様式は改定されますので、最新の通知や自治体の案内をご確認ください。

過去の運営指導・返還リスクも一緒に引き継ぐ

株式譲渡は、会社の権利義務をまとめて引き継ぐ方法です。そのため、過去の請求に誤りがあった場合の返還義務も、会社に残ったまま新しい経営者に移ります。

介護報酬の不正請求については、返還に加えて加算金が課されることがあるとされています。金額が大きくなりやすい論点です。

直近の運営指導(実地指導)でどのような指摘を受けたか、是正が完了しているかは、承継の前に書面で確認しておきたい事項です。買い手側から見れば、価格交渉の材料にもなります。

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事業譲渡で介護事業を承継する場合は、新規の指定申請が原則

複数の事業を営んでいる会社が介護部門だけを切り出す場合や、買い手が簿外債務を引き継ぎたくない場合には、事業譲渡が選ばれることがあります。

この場合、指定の扱いが株式譲渡とはまったく変わります。

指定は譲渡人から譲受人へ自動的に移らない

事業譲渡では、建物の賃借権や設備、利用者との契約などを個別に移していきます。

ところが指定は、契約で移せる財産とは性質が違います。行政から特定の事業者に与えられたものですので、譲受側が自分の名前で新しく指定を受けるのが原則になります。

「事業所をまるごと買ったのだから指定も付いてくる」という理解のまま進めてしまうと、譲渡の翌日から無指定の状態で営業することになりかねません。

指定の切れ目をつくらないためのスケジュール

新規の指定申請は、申請してすぐ効力が生じるものではありません。自治体ごとに、前月の15日まで、前々月末までといった締切が設けられているのが通例です。

そのため事業譲渡では、譲受側の指定が効力を持つ日と、譲渡側が廃止届を出す日を、1日もずらさずにそろえる必要があります。

逆算すると、譲渡の実行日の2〜3か月前には指定権者への相談を始めておきたい、という段取りになります。契約書の実行日を先に決めてしまうと、後から動かせず苦しくなります。

  • 実行日の3か月前: 指定権者へ承継方法を相談し、締切と必要書類を確認する
  • 実行日の2か月前: 譲受側の人員・設備が基準を満たすか点検し、不足を補う
  • 実行日の1〜2か月前: 新規指定申請を提出し、従業員・利用者への説明を始める
  • 実行日: 指定の効力発生日と廃止届の日付をそろえる
  • 実行後10日以内: 変更届など残りの届出を済ませる

合併・分割の場合は届出で対応できることがある

法人の合併や分割によって事業を移す場合には、指定の承継について届出で対応できる取扱いが定められていることがあります。

もっとも、対象となる手続きの範囲や必要書類は自治体によって運用が分かれます。合併・分割を前提に設計するのであれば、やはり事前相談が出発点になります。

株式譲渡と事業譲渡を比べると

介護事業に限って整理すると、両者の違いは次のようになります。実際の判断は会社の状況によって変わりますので、目安としてご覧ください。

比較する点株式譲渡事業譲渡
指定継続するのが原則譲受側で新規指定が必要
利用者との契約結び直しは基本的に不要個別に引き継ぎ・再契約が必要
従業員の雇用会社との契約がそのまま続く一人ごとの同意が必要
簿外債務・返還リスク引き継ぐ引き継がない範囲を契約で定められる
許認可以外の契約原則そのまま取引先ごとに承諾が必要なことがある
準備にかかる期間比較的短い指定申請の分だけ長くなりやすい

別記事では「事業承継は他人にもできる?株式の引き継ぎ手続きと注意点」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

人員基準・設備基準を承継後も満たせるかを先に点検する

人員基準・設備基準を承継後も満たせるかを点検することを示すイメージ画像

介護事業の指定は、人員と設備の基準を満たしていることが前提です。

承継の前後で人が動くと、この基準が崩れることがあります。実務上、ここが最も見落とされやすい論点です。

管理者・サービス提供責任者などの配置

事業所には管理者を置くことが求められ、サービスの種類に応じて配置すべき職種も決まっています。

訪問介護であればサービス提供責任者、通所介護であれば生活相談員や看護職員、機能訓練指導員といった職種が問題になります。

承継を機に前の社長が管理者を外れる場合、誰がその役割を担うのかを決めておかなければなりません。資格要件を満たす人が社内にいないことに後から気づくケースが、少なくありません。

常勤換算の計算が崩れないか

介護事業の人員基準は、常勤換算という考え方で判定されるのが一般的です。パートの勤務時間を合算して、常勤職員が何人分いるかを計算します。

承継のタイミングで数名が退職すると、この数字が基準を下回ることがあります。シフトを組めている実感があっても、計算上は足りていないという状態が起こり得ます。

承継の話が社内に伝わる前の段階で、現状の常勤換算を一度計算し直しておくと、必要な採用の規模が見えてきます。

施設・設備と賃貸借契約の確認

事業所の面積や区画、設備についても基準があります。建物を借りている場合は、賃貸借契約の内容が承継のハードルになることがあります。

賃貸借契約に無断譲渡や無断転貸を禁じる条項があれば、事業譲渡の際に貸主の承諾が必要です。社長個人や親族が所有する建物を会社に貸している、という形もよく見られます。

この場合、建物を譲渡の対象に含めるのか、承継後も賃貸で続けるのかを決め、賃料の水準が適正かどうかもあわせて整理しておく必要があります。

兼務の整理

小規模な事業所では、管理者が現場に入ったり、複数の役割を兼ねたりしていることがあります。

兼務が認められる範囲はサービスの種類ごとに定められていますので、承継後の体制でその範囲を超えていないかを確認してください。

前の社長が「名前だけ残して手伝う」という形にすると、かえって基準の判断が難しくなることもあります。関わり方は書面で明確にしておくのが安全です。

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利用者・家族との関係で忘れやすい手続き

介護事業の承継は、利用者とそのご家族の生活に直接関わります。

手続きとしての正しさだけでなく、伝え方の順序も大切になる場面です。

重要事項説明書と契約書の作り直し

利用者との契約にあたっては、重要事項説明書を交付して説明することが求められています。

事業譲渡で事業者が変わる場合は、新しい事業者の名前で契約を結び直し、重要事項説明書も作り直すのが原則です。利用者が数十名いれば、その分の説明と署名が必要になります。

株式譲渡の場合は契約の相手方が変わりませんが、代表者や管理者が変われば重要事項説明書の記載を改め、変更点を知らせておくのが望ましい対応です。

個人情報とケア記録の引き継ぎ

介護記録やアセスメントの情報は、要配慮個人情報にあたるものを含みます。

事業譲渡で別の法人へ記録を渡す場合は、第三者提供に該当しないかという整理が必要です。同意の取り方を含め、進め方を決めてから動くべき部分です。

「現場の引き継ぎだから」と記録をそのまま持ち出す運用は、避けておきたいところです。

説明のタイミングを間違えない

交渉がまとまる前に承継の話が利用者に伝わると、不安から別の事業所へ移られてしまうことがあります。介護は生活に密着したサービスですので、この動きは早いです。

一方で、事業譲渡のように再契約が必要な場合は、早めに説明しなければ手続きが間に合いません。

どの段階で、誰から、どの範囲まで伝えるかを決めておくことが、結果として利用者の安心にもつながります。ケアマネジャーや居宅介護支援事業所への説明の順番も、あわせて整理しておきたい点です。

従業員の雇用と処遇をどう引き継ぐか

介護事業の価値は、ほとんどが人にあります。設備が残っても、職員が残らなければサービスを提供できません。

承継の設計では、雇用の引き継ぎを最優先の論点として扱う必要があります。

事業譲渡では一人ひとりの同意が必要になる

事業譲渡の場合、雇用契約を譲受側へ移すには、従業員それぞれの同意が必要とされるのが原則です。会社の都合で一括して移すことはできません。

同意が得られなければ、その従業員は譲渡側に残ります。資格を持った中心メンバーが残ってしまえば、譲受側は人員基準を満たせません。

株式譲渡であれば会社との雇用契約が続くため、この問題は生じにくくなります。これも、介護事業で株式譲渡が選ばれやすい理由のひとつです。

有給休暇・勤続年数・退職金の扱い

事業譲渡で雇用契約を引き継ぐ場合、有給休暇の残日数や勤続年数をどう扱うかを契約で定めておく必要があります。

勤続年数を通算するのかしないのかは、退職金の計算に直結します。長く働いてきた職員にとっては、生活に関わる重い問題です。

ここを曖昧にしたまま承継すると、後から未払い退職金の問題として表に出てきます。譲渡契約の条項と、職員への説明の内容をそろえておくことが欠かせません。

資格保有者が辞めると基準を割ることがある

介護福祉士や看護職員、ケアマネジャーなど、資格を前提に配置されている職員が辞めると、人員基準に直接影響します。

承継の話を聞いて不安になった職員が同じ時期に動く、ということも起こります。説明の仕方ひとつで結果が変わる場面です。

承継後の処遇をどうするのか、勤務地や担当は変わるのかといった、職員が本当に気にしていることに早めに答えられる準備をしておくとよいでしょう。

別記事では「事業譲渡で従業員はどうなる?同意書・有給休暇・勤続年数のルール」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

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介護事業ならではの財務・契約リスク

介護事業は、収入の仕組みにも特徴があります。資金の流れを理解していないと、承継後に運転資金で苦しむことがあります。

介護報酬の入金サイクルと運転資金

介護報酬は、サービスを提供した月の分を翌月に請求し、入金はさらにその翌月になるのが通常です。

つまり、サービスの提供から入金まで2か月近くの間があります。その間も給与と家賃は出ていきますので、承継の直後は手元資金が薄くなりやすいのです。

事業譲渡で事業者が変わる場合は、請求の主体が切り替わるタイミングの整理も必要です。どの月の分をどちらが請求するのかを、契約で決めておいてください。

社長個人の連帯保証と不動産

送迎車や設備の購入、建物の改修などで借入れがある場合、社長個人が連帯保証人になっていることがほとんどです。

株式を譲渡しても、個人保証は自動的には外れません。金融機関との交渉が別に必要になります。

承継の条件として保証の解除を織り込んでおかないと、会社を手放したのに保証だけが残る、という状態になりかねません。

医療法人・社会福祉法人は手続きが別になる

介護事業を営む主体が株式会社や合同会社ではなく、医療法人や社会福祉法人である場合は、話が変わります。

これらの法人には持分や株式という考え方がない、あるいは制限されているため、株式譲渡という方法がそもそも取れないことがあります。理事の交代や法人の合併といった、別の枠組みで設計する必要があります。

所轄庁の認可が必要な手続きも含まれますので、法人の種類を確認したうえで、早めに専門家に相談されることをおすすめします。

別記事では「事業承継で連帯保証人はどうなる?経営者保証の解除要件と手続き」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

熊本・八代・県南の介護事業者が早めに動いておきたいこと

熊本県は高齢化が進んでおり、八代市や県南の市町では、地域の介護を小さな事業所が支えている姿がよく見られます。

職員が10名前後、利用者はほとんどが近隣の方、という規模の事業所です。こうした事業所が閉じてしまうと、代わりの受け入れ先がすぐには見つかりません。

だからこそ、早めに動く価値があります。

指定権者に承継の方法を先に相談する

居宅サービスであれば熊本県、地域密着型であれば熊本市や八代市など、事業所の所在地に応じた指定権者が窓口です。

どの方法で承継するつもりかを伝えれば、必要な届出と締切を教えてもらえます。契約の実行日を決める前にここを押さえておくと、後の段取りが大きく楽になります。

自治体ごとに様式や締切の運用が異なりますので、最新の案内をご確認ください。

後継者が社内にいない場合の第三者承継

ご家族や職員の中に継ぐ人がいない場合でも、同じ地域で介護事業を営む法人や、県外から熊本での展開を考えている法人が引き受け手になることがあります。

介護事業は指定と人員がそろっていることに価値があるため、買い手から見れば「ゼロから立ち上げるより早い」という評価になりやすいのです。

赤字が続いていても、利用者と職員が残っていれば引き受け手が見つかることはあります。廃業を決める前に、第三者への承継という選択肢も検討してみてください。

相談する順番を整理する

介護事業の承継では、税理士・行政書士・弁護士がそれぞれの場面で関わります。

株価の算定や税負担の見通しは税理士、指定の申請書類の作成は行政書士、承継の方法の決定と契約書・人事労務の整理は弁護士、という役割分担が一般的です。

順番としては、まず承継の方法と大枠のスケジュールを決め、そのうえで必要な専門家に分担してもらうとぶれにくくなります。方法が決まらないまま書類の準備を始めると、やり直しが生じやすいためです。

別記事では「熊本県の事業承継はどこに相談?補助金・支援制度と後継者探し」、「零細企業の事業承継はできる?従業員への承継という選択肢」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

介護事業の事業承継は、株価や税金よりも先に「指定を切らさずにつなげるか」から考えるのが実務の順序です。

株式譲渡であれば指定は継続するのが原則で、必要になるのは役員や管理者の変更届です。事業譲渡であれば譲受側で新規の指定申請が必要になり、効力発生日と廃止届の日付をそろえる段取りが欠かせません。

そのうえで、人員基準を承継後も満たせるか、利用者との契約と記録をどう引き継ぐか、職員の雇用と退職金をどう扱うかを、ひとつずつ確認していくことになります。いずれも、方法を決めた後では修正しにくい部分です。

制度の要件や様式は改定されますので、具体的な手続きは最新の公募要領や自治体の案内をご確認いただき、個別の事情については専門家にご相談ください。

当事務所では、熊本市・八代市を中心に事業承継のご相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。

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