運送業の事業承継は認可が必要?熊本の運送会社が許可を引き継ぐ手順と運行管理者・相続の届出を熊本の弁護士が解説!

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西田 幸広 弁護士

監修者:弁護士 西田幸広

法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援

「息子に会社を任せたいが、運送の許可はそのまま引き継げるのだろうか」「社長が急に亡くなったが、明日からトラックを動かして大丈夫なのか」——運送会社の事業承継では、こうした許認可の不安が最初に出てくるのではないでしょうか。

一般貨物自動車運送事業の許可は、取得するまでに半年から1年かかることも珍しくありません。だからこそ、承継のしかたを一つ間違えると、せっかくの許可が引き継げず、事業そのものが止まってしまうおそれがあります。

しかも運送業は、許可だけでなく運行管理者・整備管理者の選任、車庫や営業所の認可、ドライバーの労働時間管理といった固有の論点が重なります。一般的な事業承継の手引きだけでは足りないのが実情です。

そこで本記事では、運送業の事業承継で許可がどう扱われるのか、譲渡譲受の認可と相続の認可の進め方、株式譲渡を選んだ場合に残る手続き、承継前に点検したい法務リスクまでを、熊本市・八代市の運送会社からのご相談も踏まえて解説していきます。

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運送業の事業承継は「許可をどう引き継ぐか」で道が分かれる

運送業の事業承継で許可がどう引き継がれるかを株式譲渡・事業譲渡・相続の3つに分けて示した図解

運送業の事業承継を考えるとき、最初に決めなければならないのは「会社そのものを渡すのか、事業だけを渡すのか」です。

この選び方によって、一般貨物自動車運送事業の許可を引き継ぐための手続きが、まったく違うものになります。先に全体像をつかんでおくと、その後の段取りが立てやすくなります。

承継のしかた許可の扱い必要になる主な手続き
株式(持分)の譲渡・相続会社に残るのが原則役員変更の届出、運行管理者等の選任届
事業譲渡(営業所・車庫・車両を一体で移す)譲受人へ移す譲渡譲受の認可(事前)
合併・会社分割承継法人へ移す合併・分割の認可(事前)
個人事業主の死亡(相続)相続人が引き継ぐ相続の認可(死亡後60日以内)
新たに許可を取り直す新規取得新規許可申請(期間・資金の負担が大きい)

一般貨物自動車運送事業の許可は「その会社」に付いている

一般貨物自動車運送事業の許可は、国土交通大臣から受けるもので、許可を受けた事業者(法人または個人)に対して与えられています。社長個人の資格ではなく、会社に付いていると考えるのが基本です。

そのため、株式を譲っても法人格は変わらず、許可はその会社に残るのが原則です。逆に、事業だけを別の法人や個人に移す場合は、許可そのものを移す手続きが必要になります。

この構造は、建設業許可や介護事業の指定と似ています。ただし運送業は、許可の取得要件が重く、取り直しの負担が大きいという点で、承継の設計がより重要になります。

株式譲渡なら許可は残るのが原則

親族内承継でも第三者へのM&Aでも、株式(または持分)を譲る形をとれば、事業主体は同じ会社のままです。許可を取り直したり、譲渡譲受の認可を受けたりする必要は、原則としてありません。

トラックの名義も、荷主との運送契約も、ドライバーの雇用契約も、会社名義のまま続きます。事業を止めずに代替わりしたい運送会社にとって、実務上もっとも使われている形です。

ただし「何もしなくてよい」わけではありません。役員が変われば変更の届出が必要になり、運行管理者が退任すれば選任の届出が必要になります。詳しくは後の章で整理します。

事業譲渡・個人からの承継は認可が必要になる

一方、営業所と車庫と車両をまとめて別の法人へ移す「事業譲渡」の形をとる場合は、貨物自動車運送事業法に基づく譲渡譲受の認可が必要となるのが原則です。

法人の合併や会社分割で事業を動かす場合も、同様に認可の対象とされています。認可を受けないまま事業を移してしまうと、無許可営業を問われるおそれがあります。

お父様が個人で営んでいた運送業を、息子さんが設立した法人に移す場合も、個人から法人への譲渡として認可の手続きが必要になるのが原則です。「身内だから届出だけで済む」とはなりません。

別記事では「建設業での事業承継の注意点は?許可の引き継ぎと認可手続き」、「介護事業の事業承継で指定は引き継げる?株式譲渡と事業譲渡の違い」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

譲渡譲受の認可はどう進む?手続きの流れと期間の目安

事業譲渡の形で運送業を引き継ぐときに避けて通れないのが、譲渡譲受の認可です。ここを軽く見ていると、譲渡の予定日が何か月も後ろにずれてしまいます。

認可の中身は「新しい許可を出してよいかどうか」の審査に近いものです。譲り受ける側の体制が問われる、という感覚を持っておくとよいでしょう。

認可は事業を移す「前」に受ける

譲渡譲受の認可は、事業を移す前に受けておくものです。先に営業を始めてから後で認可を求める、という順番は認められないのが原則です。

契約書で「○月○日に事業を移す」と決めてしまってから認可申請に動くと、ほぼ間に合いません。契約書には認可を受けることを条件とする旨を入れ、効力発生日を認可後に設定しておくのが安全です。

実際のご相談でも、売買代金や従業員の引き継ぎは決まっているのに、認可の段取りだけが抜けていたという例が少なくありません。

譲り受ける側は新規許可と同じ水準で審査される

譲受人は、新規に許可を取る場合と同様に、人の体制・設備・資金の各面から審査されるのが原則です。営業所と車庫が基準を満たしているか、車両の数が足りているか、運行管理者と整備管理者を置けるかが見られます。

また、営業権だけを切り出して譲り渡すことはできず、営業所・車庫・車両を一体として移す必要があるとされています。「許可だけを買う」という発想は通りません。

資金についても、人件費・燃料費・車両費などを含む所要資金を確保していることを示す必要があります。具体的な算定方法や要件は運用で変わり得ますので、最新の公示と管轄運輸支局の案内をご確認ください。

代表役員の法令試験と標準処理期間

譲渡譲受の認可では、譲受人(法人の場合はその代表役員など)が法令試験に合格することが求められるのが一般的な運用です。試験は毎月行われるわけではなく、実施の時期が限られます。

標準処理期間は、公示上おおむね1〜3か月とされています。ただし申請が混み合う時期には、これより長くかかることもあります。

後継者の予定者が試験に通らなければ、そこから数か月遅れます。承継のスケジュールは、法令試験の日程から逆算して組むのが現実的です。

時期の目安やっておくこと
6〜8か月前承継の形(株式譲渡か事業譲渡か)を決める/許可・車庫・営業所の現況を点検する
4〜6か月前譲渡契約の条件を詰める(認可を条件とする条項を入れる)/後継者が法令試験の準備に入る
3〜4か月前譲渡譲受の認可申請・法令試験
1〜3か月前審査対応/従業員・荷主への説明の準備
認可後事業の移転、車両の移転登録、運行管理者・整備管理者の選任届、運賃料金の届出

別記事では「事業承継の手続きと流れは?法人の必要書類・期限・費用を熊本の弁護士が解説」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

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社長が亡くなったとき——相続の認可は「60日」が勝負

社長が亡くなったときの相続の認可は60日が勝負であることを示すイメージ画像

個人で運送業を営んでいた方が亡くなった場合、相続人がその事業を続けるには、相続の認可を受ける必要があるとされています。

ここで決定的なのが期限です。貨物自動車運送事業法では、被相続人の死亡後60日以内に認可を申請することとされており、この期間を過ぎると相続の認可を求めることができないと案内されています。

死亡後60日以内に申請する

葬儀と法要が続き、相続人の間で話がまとまらないうちに日が過ぎてしまう——これが実際にもっとも多い落とし穴です。60日は、相続の話し合いをする期間としては決して長くありません。

期限内に申請しておけば、申請から認可(または却下)の通知があるまでの間は、被相続人に対する許可が相続人に対してされたものとみなされる扱いとされています。つまり、まず申請を入れることが事業を止めないための分かれ目になります。

ご家族が亡くなられた直後に運輸支局へ足を運ぶのは負担が大きいですが、トラックを止めないためには、できるだけ早い段階で手続きの担当を決めておくことをおすすめします。

期限を過ぎてしまったらどうなるか

60日の期限を過ぎてしまった場合、相続による承継としては認められず、相続人が新たに許可を取り直すことを検討せざるを得なくなるのが原則です。

新規許可には、営業所・車庫・車両・資金・人の要件をあらためて満たす必要があり、取得までに相当の期間がかかります。その間、緑ナンバーでの営業はできません。

荷主との契約が切れ、ドライバーが離れ、結局は廃業に至るという流れも現実にあります。期限の重さは、ここにあります。

相続人が複数いるときの整理

相続人が複数いる場合、誰が事業を引き継ぐのかを早い段階で決める必要があります。事業用の車両・車庫の土地・銀行借入が遺産に含まれていると、話し合いは複雑になりがちです。

事業を続ける相続人に事業用資産を集め、他の相続人には別の資産や代償金で調整する——という設計が現実的な場面が多いですが、遺留分にも配慮が必要です。

亡くなる前に遺言書を用意しておけば、この60日の争いをかなり減らせます。運送業のように期限のある許可を持つ事業では、遺言の効果は特に大きいといえます。

別記事では「事業承継に遺言書は必要?自社株・遺留分の注意点や作成ステップ」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

株式譲渡で引き継ぐときに残る届出と認可

株式譲渡であれば許可は残りますが、運送業には「変わったら届け出る」という決まりが多く、承継のタイミングで漏れが出やすいところです。

ここを放置すると、後の巡回指導や監査で指摘を受けることになります。代替わりの直後こそ、点検の好機です。

役員変更と事業計画の変更

代表者や役員が変わったときは、変更の届出が必要となるのが原則です。登記の変更と合わせて、運輸支局への届出も忘れないようにします。

また、営業所や車庫の位置、配置する車両の数といった事業計画に関わる事項を変えるときは、変更の認可または届出が必要になります。どちらが必要かは内容によって異なります。

承継を機に車庫を移したい、営業所を統合したいという相談は多いのですが、これは許可の内容そのものを動かす話です。先に手続きの要否を確認してから動くのが安全です。

運行管理者・整備管理者の選任届

運行管理者は、営業所ごとに、事業用自動車の数に応じた人数を選任する必要があります。一般には車両数を30で割った数に1を加えた人数以上とされ、選任・解任をしたときは届出が必要です。

整備管理者についても、選任や変更をしたときは地方運輸局長への届出が必要とされています。

先代の社長が運行管理者を兼ねていた会社では、代替わりと同時に有資格者がいなくなるという事態が起こります。後継者または従業員に資格を取らせる準備を、承継の1年前から始めておきたいところです。

運送約款・運賃料金と車両の名義

運賃や料金を変更するときは届出が、標準運送約款と異なる約款を使うときは認可が必要となるのが原則です。承継のあとに料金表を作り直す場合は、この点も確認しておきます。

車両については、株式譲渡なら名義は会社のままですが、事業譲渡の場合は移転登録が必要になります。リース車両やローンの残っている車両は、リース会社や金融機関の承諾が必要になることもあります。

名義や契約の整理は地味ですが、ここが抜けると認可後に車両を動かせないという事態になり得ます。

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承継前に点検したい運送業特有の法務リスク

運送業の事業承継では、許可の引き継ぎだけでなく、会社に積み上がっているリスクを引き受けることになります。弁護士としてご相談を受けるとき、特に時間をかけて確認するのが次の点です。

親族内承継であっても、ここを見ないまま引き継ぐと、後継者が数年後に重い負担を抱えることになります。

ドライバーの労働時間と未払残業代

自動車運転者には、拘束時間・休息期間などを定めた改善基準告示が適用され、時間外労働の上限規制も段階的に適用されています。長時間の運行が前提になっている会社では、未払残業代が積み上がっていることがあります。

未払残業代は、株式譲渡であれば会社に残り、そのまま後継者が引き継ぐことになります。退職したドライバーからの請求は、承継後に出てくることも珍しくありません。

歩合給や各種手当の組み方によって、割増賃金の計算基礎が変わります。賃金規程と実際の運用がずれていないか、承継前に点検しておくことをおすすめします。

事故・行政処分の履歴

過去の事故や点呼の不備で違反点数が積み上がっていると、承継後に車両の使用停止などの処分を受けるおそれがあります。処分は会社に付いていくため、株式譲渡では後継者がそのリスクを引き受けます。

点呼記録・運転日報・健康診断の記録・整備記録が実際に残っているかは、必ず現物で確認したいところです。帳簿が整っていない会社ほど、指摘を受ける確率が上がります。

巡回指導の評価や、過去の監査でどのような指摘を受けたかも、譲り受ける側としては確認しておきたい情報です。

荷主・下請との契約と経営者保証

売上の大半が1社の荷主に依存している場合、代替わりを機に取引が見直されるリスクがあります。契約書に支配株主の変更を理由とする解除条項が入っていないかも確認が必要です。

また、運送会社は車両購入のための借入が多く、先代社長が連帯保証人になっているのが通例です。承継にあたっては、経営者保証をどう外すか、あるいは誰が引き受けるかを金融機関と詰めておく必要があります。

熊本県内では、地元金融機関が経営者保証に関するガイドラインを踏まえた対応をとることもありますので、早めの相談が有効です。

  • 主要荷主との契約書に、株主や代表者の変更を理由とする解除条項がないか
  • 運賃の改定交渉が止まっていないか(標準的な運賃の届出状況)
  • 下請の運送事業者への委託が、書面と実態で合っているか
  • 車両のリース・割賦の残高と、名義・所有権留保の状況
  • 先代社長の連帯保証と、担保に入っている車庫・自宅の扱い

別記事では「事業承継で連帯保証人はどうなる?経営者保証の解除要件と相続時の扱い」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

熊本で運送業を引き継ぐときの窓口と地域の事情

熊本で運送業を引き継ぐときの窓口と地域の事情を示すイメージ画像

運送業の許認可は全国共通のルールですが、実際に書類を出す窓口と、相談できる相手は地域ごとに決まっています。熊本で承継を進めるなら、次の窓口を押さえておくと動きが速くなります。

熊本運輸支局と九州運輸局

熊本県内の運送事業者の手続きは、九州運輸局熊本運輸支局が窓口になります。本庁舎は熊本市東区東町4丁目14番35号にあり、譲渡譲受の認可申請や各種の届出はここを経由して進むのが通例です。

八代市・人吉市・天草市などの事業者も、貨物の許認可については熊本運輸支局が窓口となります。県南から出向く場合は、往復の時間も段取りに入れておきたいところです。

申請の様式や添付書類は見直されることがありますので、着手前に最新の様式と手引きをご確認ください。

熊本県トラック協会の巡回指導

貨物自動車運送適正化事業実施機関として、熊本県トラック協会が県内の事業者に巡回指導を行っています。点呼・運行記録・整備・労務の記録が整っているかを見られる機会です。

承継の前にこの巡回指導の評価と指摘事項を確認しておくと、引き継ぐ側は会社の実力を正確につかめます。親族内承継でも、後継者に一度は目を通させたい資料です。

指摘が残っているなら、承継前に直しておくほうが、後継者の負担はずっと軽くなります。

熊本の荷動きと承継のタイミング

熊本県内では、菊陽町・大津町周辺の半導体関連の集積、八代港・熊本港を使った物流、トマトやい草などの農産物輸送、阿蘇・天草への観光関連輸送といった特色があります。地域によって、引き継ぐ事業の強みが異なります。

ドライバーの確保が難しくなる一方で、既に許可と車庫と人を抱えている会社の価値は相対的に上がっています。「うちは小さいから買い手はいない」と決めつける必要はありません。

熊本市・八代市の運送会社からのご相談でも、許可と営業所の立地が評価されて第三者承継につながった例があります。まずは自社の持ち物を棚卸しするところから始めるとよいでしょう。

別記事では「菊池市の事業承継はどう進める?畜産・農業・運送業の引き継ぎ」、「熊本県事業承継・引継ぎ支援センターの無料相談はどこまで?」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

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後継者がいない運送会社に残された選択肢

親族に後継者がいない運送会社でも、選べる道はいくつかあります。大事なのは、許可と車両と人が揃っているうちに動くことです。

事業を止めてから買い手を探しても、許可の価値はほとんど残りません。

第三者への譲渡——許可そのものが価値になる

一般貨物自動車運送事業の許可は、新規に取るには時間も資金もかかります。そのため、既に許可を持ち、車庫と営業所と人員が揃っている会社は、同業者や物流への参入を考える企業から見れば魅力的です。

株式譲渡の形であれば許可はそのまま残りますので、買い手にとっても手続きの負担が小さくなります。価格の話をする前に、どの形で譲るかを整理しておくと交渉が進みやすくなります。

ドライバーの平均年齢、荷主の構成、車両の年式といった情報を整えておくと、相手に伝わる材料が増えます。

従業員への承継

長く勤めている運行管理者や配車担当者に会社を引き継いでもらう形も、運送業ではよく検討されます。現場を分かっている人が継ぐため、荷主との関係も切れにくいという利点があります。

課題は資金です。株式の買取資金をどう用立てるかが問題になりますので、金融機関の融資や、段階的に株式を移す設計を検討することになります。

併せて、先代社長の連帯保証をどう整理するかも避けて通れません。

休止・廃止を選ぶときの手続き

どうしても引き継ぎ手が見つからない場合、事業の休止や廃止を選ぶことになります。この場合も、運輸支局への届出が必要となるのが原則で、事前に届け出ることとされています。

廃業にあたっては、ドライバーの解雇予告、車両の処分、車庫の賃貸借契約の解約、荷主への引き継ぎなど、やるべきことが同時に発生します。

廃業は最後の選択ですが、「もう限界だ」と決めてから動くと、従業員への説明も荷主への引き継ぎも間に合いません。1年前から相談されることをおすすめします。

別記事では「事業承継と廃業はどちらを選ぶべき?それぞれのメリット・デメリット」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

運送業の事業承継でよくあるご質問

熊本市・八代市の運送会社から実際にいただくご質問のうち、特に多いものをまとめました。

許可だけを譲り渡すことはできますか

できないと考えるのが原則です。譲渡譲受の認可では、営業所・車庫・車両を一体として移すことが求められており、営業権だけを切り出す形は認められないとされています。

「許可を売ってほしい」という話を持ち込まれた場合は、どのような形で事業を移すのかを具体的に確認する必要があります。実体のない譲渡は、後で許可の取消しにつながるおそれがあります。

営業所のうち1か所だけを譲ることはできますか

一部の営業所だけを切り出す譲渡は、原則として認められないとされています。どうしても一部だけを動かしたい場合は、会社分割などの別の手法を組み合わせることになり、設計が複雑になります。

複数の営業所を持つ運送会社では、早い段階で専門家を入れて手法を検討されることをおすすめします。

認可を待っている間、営業は止まりますか

譲渡譲受の場合、認可が下りるまでは譲渡人(元の事業者)が事業を続けます。会社として営業が止まるわけではありませんが、譲受人が事業を始められるのは認可の後です。

相続の場合は、60日以内に申請していれば、認可または却下の通知があるまでは許可が相続人にされたものとみなされる扱いとされています。申請を入れるかどうかで、扱いが大きく変わります。

個人で営んできた運送業を法人にする場合はどうなりますか

個人事業主から、ご自身が設立した法人へ事業を移す場合も、譲渡譲受の認可が必要となるのが原則です。同じ人が経営していても、事業主体が別になるためです。

法人化と事業承継を同時に進めると手続きが重なりますので、どちらを先にするかを含めて段取りを組むとよいでしょう。

なお、税務の扱いは別途検討が必要です。税理士と連携して進めることをおすすめします。

別記事では「事業承継で個人から法人にすべき?違いと判断基準・代替わりの手続きと期限」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

運送業の事業承継は、「許可をどう引き継ぐか」で進め方がまったく変わります。株式譲渡なら許可は会社に残るのが原則ですが、事業譲渡・合併・分割では事前の認可が必要となり、標準処理期間だけでも1〜3か月を見ておく必要があります。

そして個人事業主が亡くなった場合の相続の認可は、死亡後60日以内という厳しい期限があります。ここを過ぎると、許可を取り直すほかに道がなくなるのが原則です。

併せて、運行管理者・整備管理者の選任、車庫や営業所の変更手続き、ドライバーの労働時間と未払残業代、事故や行政処分の履歴、経営者保証の整理といった点検も欠かせません。いずれも、代替わりの直前に慌てて片付けられるものではありません。

熊本県内では熊本運輸支局が窓口となり、熊本県トラック協会の巡回指導や熊本県事業承継・引継ぎ支援センターといった相談先もあります。制度や金額、手続きの運用は変わることがありますので、最新の様式と公示をご確認ください。

弁護士法人Si-Lawでは、熊本市・八代市を中心に事業承継のご相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。

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