農業の事業承継で手続きの流れは?必要書類やかかる費用と税金・成功のポイントも解説!

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農業の事業承継について、「何から手をつければよいのだろうか」「農地の名義変更や必要な手続きは、どの順番で進めればよいのか」と迷われる方は少なくありません。

実際に後継者を決めるだけで話が終わるわけではなく、農地や設備の整理・税金への備え・必要書類の確認など、ひとつずつ整えていくことが大切になります。

そこで本記事では、農業の事業承継を進める手続きの流れや必要書類、かかる費用と税金、そして押さえておきたい成功のポイントをわかりやすく解説します。

全体の流れを早めに理解しておくことで、ご家族や地域との関係を大切にしながら、次の世代へ無理なく引き継ぎやすくなるはずですので、参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士

西田 幸広 弁護士

西田 幸広 法律事務所Si-Law代表

弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。

目次

農業の事業承継でよくある課題とは

農業の事業承継では、単に「誰が継ぐか」を決めるだけでは十分とは言えません。

農地や設備のことに加え、ご家族の考えや今後の経営の進め方まで、確認すべきことがいくつも重なります。

そのため、多くの経営者が何かしらの問題でつまずき、頭を抱えやすいと言えるでしょう。

農業の事業承継でよくある課題には、次のようなものが挙げられます。

  • 後継者が見つからない
  • 事業承継の準備が遅れてしまう
  • 農地や設備など資産の整理が難しい
  • 税務や法律の手続きが複雑
  • 家族や関係者との意見調整が難しい

ひとつずつ見ると小さなことでも、いくつか重なると負担に感じることがあります。

まずは、どの課題がご自身の状況に近いかを確認しながら、読み進めてみてください。

後継者が見つからない

農業の事業承継で、まず大きな悩みになりやすいのが後継者が見つからないことです。

ご家族のなかに引き継ぐ意思のある方がいれば話を進めやすいですが、別の仕事に就いていたり、農業を続けることに不安を感じていたりすると、なかなか具体的な話にならないこともあります。

そして後継者がはっきりしないままだと、その先の準備にも手を付けにくくなりやすいでしょう。

多くの場合、後継者を決めるまでにも時間がかかることがあるため、早い段階から少しずつ話し合いを始めておくことが大切です。

親族のなかだけで難しい場合は、第三者への承継も含めて考えてみると、選択肢が広がることもあります。

以下の記事では、後継者不足の農業家ができる対策について解説していますので、こちらも参考にしてください。

関連記事:後継者不足の農業家ができる対策は?担い手減少の現状や原因・解決の手順を徹底解説!

事業承継の準備が遅れてしまう

どれだけ早めの準備が必要だとわかっていても、日々の仕事に追われていると、事業承継の準備は遅れてしまいやすいものです。

農作業や出荷の予定が優先になり、「落ち着いたら考えよう」と思っているうちに時間が過ぎてしまうことも少なくありません。

しかし実際には、後継者との話し合い・農地や設備の確認・必要書類の準備など、承継に向けて進めていかなければならないことがいくつもあります。

年齢や体力の変化を感じてから一度に進めようとすると、ご家族との相談も重なり、負担が大きくなりやすいでしょう。

万が一のことを考えた場合にも、不安なことが出てくるかもしれません。

少し余裕のあるうちから、できるところだけでも整理しておくと、いざ承継に向けて動き出したときにも進めやすくなるはずです。

農地や設備など資産の整理が難しい

農業では、農地や設備など資産の整理が思った以上に難しいと感じられることがあります。

引き継ぐ対象が幅広く、農地・農業用機械・ハウス・倉庫・車両のほか、借入の状況や取引先との契約まで確認する必要があるためです。

普段の仕事のなかでは把握しているつもりでも、いざ引き継ぎを考えると、「どの名義になっているか」「何をどこまで渡すか」がすぐに整理できないことも少なくありません。

さらに、設備だけでなく、作業の進め方や取引先との関係など、目に見えにくい部分も次の世代へ伝えていく必要があります。

まずは、現在の状況を書き出しながら、ひとつずつ整理していくことが大切だと言えるでしょう。

税務や法律の手続きが複雑

農業の事業承継では、農地の名義変更・貸借の手続き・相続や贈与に関する税金・税務署への届出など、確認する内容が幅広くなっています。

そのため、税務や法律の手続きが複雑で、途中で戸惑うことも少なくありません。

例えば、農地を売ったり貸したりする場合には、農業委員会での手続きが必要になることがあります。

また、農地を贈与したり相続したりするときには、条件を満たせば税負担を抑えられる制度が使える場合もあるでしょう。

内容を十分に知らないまま進めると、あとで手続きが増えたり想定していなかった負担が出たりすることも考えられますので、早めに整理しながら進めることが必要です。

家族や関係者との意見調整が難しい

家族や関係者との意見調整が難しいと、事業承継そのものが進みにくくなることがあります。

後継者が決まっていても、農地の扱いや今後の経営について、ご家族の考えがすぐに一致するとは限らないためです。

また、従業員や取引先にとっても、代が替わるとこれまでの関係も変わる大きなタイミングになります。

そのため、話し合いが十分でないまま進むと、小さな認識の違いがあとになって大きな行き違いにつながることも考えられるでしょう。

家族や関係者と早めに考えを共有しながら、少しずつ方向性を揃えていくのがおすすめです。

事業承継の中小企業の課題については、以下の記事にもまとめていますので、こちらもご覧ください。

関連記事:事業承継の中小企業の課題は?進まない理由や具体例・経営者が取るべき解決策も紹介!

農業の承継方法は3つ

農業の承継方法は、主に次の3つが挙げられます。

  1. 1.親族内承継
  2. 2.第三者承継(M&A)
  3. 3.相続による承継

実際には、これらを組み合わせながら進めることもありますが、基本的には承継方法によって準備する内容や必要な手続きも変わります。

まずはそれぞれの特徴を知っておくと、状況に合った進め方を考えやすくなるので、詳しく見ていきましょう。

1.親族内承継

親族内承継は、子どもや親族が後継者となって農業を引き継ぐ方法です。

すでに一緒に作業をしている場合はもちろん、これから少しずつ関わってもらいながら引き継いでいくケースもあります。

農業では、作業の進め方だけでなく、地域との付き合いや取引先との関係も日々のなかで受け継いでいくことが多いため、後継者が身近な人だと安心感があるのではないでしょうか。

一方で、家族のなかで進めるからこそ、「いつから任せるか」「どこまで引き継ぐか」が曖昧なままにならないよう、段階を決めながら進めることが大切です。

親族内承継のメリットとデメリット

親族内承継のメリットは、幼い頃から農業が身近にあり、日々の仕事ぶりや考え方を自然に伝えやすいことが大きいです。

例えば、一緒に畑に出るなかで作業の流れを覚えたり、どの時期に何を判断しているかをそばで見たりすることで、少しずつ感覚を引き継いでいけます。

地域や取引先にとっても顔なじみである場合が多く、代替わりのあとも関係が続きやすいでしょう。

その一方で、ご家族の間では遠慮が生まれやすく、承継の時期や農地・設備の名義整理など、決めるべき内容が後回しになりやすいことがデメリットと言えます。

また、ほかにも相続人がいる場合には、財産の分け方について早めに考えておかないと、あとで調整が必要になることもあります。

2.第三者承継(M&A)

第三者承継(M&A)は、ご家族以外の人に農業を引き継ぐ方法です。

例えば、地域で新たに農業を始めたいと考えている方や、すでに農業に関わっている別の経営者へ引き継ぐケースがあります。

家族のなかで後継者が決まらない場合でも、これまで続けてきた農地や設備を次につなげられる方法として、近年はより身近に考えられています。

ただし、引き継ぐ相手を探すだけでなく、農地の扱い・設備の引き渡し・仕事の進め方なども少しずつ承継していく必要があります。

第三者承継(M&A)のメリットとデメリット

第三者承継(M&A)のメリットは、親族に後継者がいなくても、農業そのものを存続させやすいということです。

例えば、使ってきた農地や農業機械、取引先とのつながりをそのまま活かせる場合があり、地域の農業を途切れさせずに将来へとつなぐことができます。

一方でデメリットとして、承継相手を見つけるまでに時間がかかったり、どこまで引き継ぐかを細かに話し合ったりする必要があります。

また、農地は一般の財産のように自由に譲れるわけではないため、法律に沿った手続きも欠かせません。

安心して任せられる相手かどうかを見ながら、少しずつ準備を進めていくことが大切になるでしょう。

3.相続による承継

相続による承継とは、経営者が亡くなったあとに、ご家族が農地や事業に関わる財産を引き継ぐ方法です。

あらかじめ話し合いができていれば進めやすいですが、実際には十分に整理できないまま相続が始まることもあります。

その場合、後継者だけでなく、ほかのご家族の権利も関わるため、農地や設備をどのように引き継ぐかを改めて考える必要が出てくるでしょう。

また、農地を相続した場合は、農業委員会への届出が必要になることがあります。

あわせて、相続税がかかるか、使える制度があるかの確認が必要です。

万が一のことがあったときに急いで判断しなければならない、ということは避けられるよう、早めに考えておくことが大切です。

相続による承継のメリットとデメリット

相続による承継のメリットは、法律に沿って進める形になるため、誰がどの財産を引き継ぐかを整理しやすいことです。

例えば、農地や設備の名義を順番に整理しながら、必要な手続きを進めていくことができるでしょう。

一方で、準備がないままの相続になると、農地の分け方や設備の扱いについて話し合いが必要になり、負担が重なることがデメリットだと言えます。

さらに、相続税や名義変更の手続きが同時に進むため、思ったより時間がかかることもあるかもしれません。

万が一の際に慌てないためにも、経営者が元気なうちから、家族で方向性を決めておくと安心です。

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農業における事業承継の手続きの流れは?

農業における事業承継の手続きの流れのイメージ画像

農業の事業承継はひとつの手続きだけで完了するものではありませんので、全体の流れを知っておくと、今どこまで進んでいて、次に何を確認すればよいかが見えやすくなります。

農業における事業承継の手続きは、主に次のような流れで進めることになるでしょう。

  1. 1.後継者を決める
  2. 2.承継する資産や負債を整理する
  3. 3.承継方法を決定する
  4. 4.必要な契約や届出をおこなう
  5. 5.事業や技術を引き継ぐ

それぞれについて、具体的に解説していきます。

1.後継者を決める

農業の事業承継では、まず後継者を決めることで、そのあとに考えるべきことが少しずつ見えてきます。

ご家族のなかで継ぐ方がいるのか、それとも親族以外も視野に入れるのかによって、進め方が変わってくるからです。

例えば、後継者がまだはっきりしないままだと、「農地をどうするか」「新しい設備を入れるべきか」といった判断も先に進みにくくなるでしょう。

すぐに結論を出す必要はありませんが、誰にどのような形で託せそうかを少しずつ整理しておくと、そのあとの準備にもつながりやすくなります。

2.承継する資産や負債を整理する

後継者の方向性が見えてきたら、承継する資産や負債を整理していきます。

農地・農業機械・ハウス・倉庫・車両のほか、借入金や補助金の利用状況や取引先との契約なども確認しておきたいところです。

あわせて、それぞれが誰の名義になっているか、今どのように使われているかを見直しておくのがよいでしょう。

さらに、長く続けるなかで自然と身についた作業のコツや地域とのつながりも、引き継いでいきたい大切な資産になります。

目に見えるものだけでなく、普段あまり言葉にしてこなかったことも整理し、できることから資料などにまとめてておくのがおすすめです。

3.承継方法を決定する

引き継ぐ相手や内容がある程度見えてきたら、承継方法を決定する段階に入ります。

ご家族へ引き継ぐのか、第三者へ託すのか、将来の相続も見据えて準備するのかによって、必要な手続きは変わってきます。

例えば、農地を先に移すのか、一定期間は貸す形にするのかでも進め方に違いが出てくるでしょう。

方法によって税金や必要書類も変わるため、この段階で一度専門家に相談しておくと安心です。

農業の状況や、引き継ぐ相手の事情に合った形を選んでいくことが大切になります。

4.必要な契約や届出をおこなう

そして、必要な契約や届出をおこなう準備を進めていきます。

農地を譲る場合や貸す場合には、農業委員会への手続きが必要になることがあります。

あわせて、贈与や相続に関わる書類・金融機関への変更手続きなども確認しておきたいところです。

内容によって提出先や必要書類が異なるため、早めに確認して準備しておくと大きな負担になりにくく、手続きが進めやすくなります。

5.事業や技術を引き継ぐ

書類や名義の整理が進んでも、それだけで承継が完了するわけではありません。

農業では、作業の順番・判断のタイミング・取引先とのやり取りなど、日々の積み重ねのなかで、事業や技術をしっかりと引き継ぐことが必要です。

例えば、「どの時期に何を優先するか」「地域でどのように動いているか」といったことは、実際に一緒に動いていくことで身に付けやすいものです。

そのため、少しずつ任せる場面を増やしながら、困ったときに相談できる状態をつくっておくと、後継者も安心できるでしょう。

こうした積み重ねが、承継後の安定にもつながっていきます。

ここまでで、農業における事業承継の手続きの流れについて解説しました。

以下の記事では、事業承継の手続きで法人の場合の流れについてもまとめていますので、こちらも参考にしてください。

関連記事:事業承継の手続きで法人の場合の流れは?必要書類や税金などの費用・補助金もまとめて解説!

農業の事業承継にかかる費用や税金は? 

承継を考え始めると、「どのくらい費用がかかるのか」「税金はどこで発生するのか」も気になることだと考えます。

農業の事業承継で実際にかかる費用は、承継の方法によっても差が出ますが、主に次のようなものが発生します。

  • 専門家への相談費用
  • 契約書の作成や登記にかかる費用
  • 農地の名義変更や届出の費用
  • 必要に応じた不動産評価や資産評価の費用
  • マッチングや仲介にかかる費用(第三者承継の場合)

例えば、登記を依頼する場合は3万円〜10万円程度、相続申告を依頼する場合は20万円〜50万円程度が目安となることがありますが、規模や複雑さによって大きく異なります。

また、第三者承継では仲介手数料が発生することもあるでしょう。

そして税金についても、どの方法で引き継ぐかによって関わる内容が変わります。

例えば、相続で引き継ぐ場合は相続税、ご家族へ無償で譲る場合は贈与税、売買によって譲る場合は譲渡に関わる所得税が関わってきます。

また、農地を後継者が引き継いで農業を続ける場合には、一定の要件を満たすことで相続税や贈与税の納税が猶予される制度の活用も検討が必要です。

以下の記事では、事業承継の費用相場について深掘りしていますので、こちらもご覧ください。

関連記事:事業承継の費用の相場はどれくらい?税金対策や補助金・誰が負担するのかも解説!

農業の事業承継で使える補助金や助成金は?

農業の事業承継では、条件に合えば補助金や助成金を使えることがあります。

後継者が経営を引き継いだあとには、設備の更新や新しい取り組みに費用がかかることも多く、その負担を軽くするための公的な支援制度です。

例えば、農林水産省の「経営継承・発展等支援事業」では、一定の条件を満たした後継者に対して、経営発展に必要な費用の一部が支援されています。

参考:農林水産省|経営継承・発展等支援事業(経営継承関係)

また先にも少し触れましたが、農地を後継者が引き継いで農業を続ける場合には、国税庁の「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例」や「農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例」により、相続税や贈与税の納付を猶予できる場合があります。

参考:国税庁|農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例
参考:国税庁|農業後継者が農地等の贈与を受けた場合の納税猶予の特例

ただし、こういった制度は募集時期や対象となる内容が毎年変わることがあるため、市町村・農業委員会・専門家などへ早めに確認しておくのがおすすめです。

農業に限らず、事業承継で使える補助金については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:事業承継に使える補助金は?2025年度のスケジュールや申請方法・対象経費なども解説!

農地を無償で譲渡すると贈与税は発生する?

農地を無償で譲渡すると、原則として贈与税が発生します。

ご家族への引き継ぎであっても、農地は財産として評価されるため、「代金を受け取っていないから税金もかからない」とはならない点に注意が必要です。

特に農地は、面積や場所によって評価額が変わるため、思っていたより負担が大きくなることも考えられます。

なお、農業を続ける後継者への承継では、先ほどご紹介した税負担を抑えられる制度が使える場合もあります。

実際にどのくらいの負担になるかは状況によって異なるため、譲渡を決める前に、専門家に確認しておくと安心です。

TORUTE株式会社では、弁護士が中心となってさまざまな専門家と連携しながら、経営者さまの想いに寄り添った形での承継を実現してまいりますので、ぜひ一度ご相談ください。

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農地の事業承継で必要になる手続き

農地の事業承継で必要になる手続きをイメージした画像

農業の事業承継を進めるときは、農地のことも早めに確認しておくと安心です。

農地は一般の土地とは違い、ご家族に引き継ぐ場合でも、売る・貸す・名義を変えるといった場面で決められた手続きが必要になることがあります。

そのため、あとからまとめて対応しようとすると、思ったより時間がかかることも考えられるでしょう。

農地の事業承継で必要になる手続きとして、特に確認しておきたいのは次のような内容です。

  • 農地の売買や貸借
  • 農地の名義変更
  • 農地の相続や贈与

それぞれについて具体的に解説していきます。

農地の売買や貸借

農地の売買や貸借をするときは、当事者同士で話がまとまっただけでは進められず、内容に応じて農業委員会で手続きをおこなう必要があります。

農地は一般の土地とは扱いが異なるため、ご家族の間で引き継ぐ場合でも、そのまま自由に売買や貸し借りができるわけではありません。

例えば、農地法に基づく許可が必要になる場合もあれば、利用権の設定など別の方法で進める場合もあり、農地の場所・面積・相手方によって手続きが変わります。

そのため、譲る前や貸す前の段階で農業委員会へ相談しておくと、自分のケースに合った進め方を確認しやすくなるでしょう。

農地の名義変更

農地の名義変更は、引き継ぐ理由によって進め方が変わります。

相続・売買・贈与では必要な書類が異なるため、現在の名義を確認したうえで準備を進めることが大切です。

例えば、相続の場合は法務局で登記をおこない、そのあとに必要な届出を進める流れになります。

名義が以前のままになっていると、あとで売買や貸借の場面で手続きが進みにくくなることがあるため、承継のタイミングで確認しておくのがよいでしょう。

農地の相続や贈与

農地の相続や贈与では、引き継いだあとにも確認すべき手続きがあります。

ご家族のなかで農地を相続した場合でも、農地法第3条の3に基づき、農地を取得したことを知った日から10ヵ月以内に農業委員会へ届け出が必要です。

また、贈与では農地の評価額に応じて贈与税がかかるため、思っていたより負担が大きくなることもあります。

どちらも家族のなかだけで話がまとまれば終わるものではありませんので、早めに必要な流れを確認しておくと落ち着いて進めやすくなるでしょう。

参考:農地法|農地又は採草放牧地についての権利取得の届出

農業の事業承継で必要な届出書類

農業の事業承継では、農地の手続きが終われば完了というわけではありません。

実際には、事業を引き継いだあとに必要になる届出書類もあり、ここを後回しにすると、税務・口座・契約関係などが以前のまま残ってしまうことがあります。

確認しておきたい必要な届出書類は、次のようなものです。

  • 税務署へ提出する書類
  • 農業委員会へ提出する書類
  • 金融機関や取引先への変更書類

どこへ何を出すかが見えてくると、そのあとの手続きも進めやすくなるはずですので、詳しく見ていきましょう。

税務署へ提出する書類

税務署へ提出する書類は、後継者が新しく事業を始めるときに確認しておきたいものです。

例えば、個人で農業を引き継ぐ場合には、事業を始めた日から1ヵ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署へ提出する必要があります。

参考:国税庁|個人事業の開業届出・廃業届出等手続

さらに青色申告を希望する場合は、原則として事業開始日から2ヵ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」も提出が必要です。

参考:国税庁|青色申告制度

提出の時期や期限が決まっている書類もあるため、引き継ぐ時期が見えてきた段階で税務署や税理士へ確認しておくと、スムーズに進めやすくなるでしょう。

農業委員会へ提出する書類

農業委員会へ提出する書類は、農地の名義や利用方法が変わるときに必要です。

例えば、相続で農地を受け継いだ場合は、農地を取得したことを届け出る書類を提出します。

売買や貸借では、農地法に基づく許可申請が必要になることがあり、面積・相手方・利用目的などを確認しながら進めていきます。

地域によって必要書類が異なることもあるので、「決まってから行く」のではなく、早めに農業委員会へ相談しておくのがよいでしょう。

金融機関や取引先への変更書類

金融機関や取引先への変更書類も、農業の事業承継では忘れずに整理しておきたい部分です。

例えば、農業用口座の名義・借入契約の名義・出荷先との契約者名・肥料や資材を仕入れる取引先の登録情報などは、後継者へと変更する必要が出てきます。

もし名義が以前のままだと、代金の受け取りや契約更新でトラブルにつながることも考えられます。

書類を整えていく際には、あわせて後継者を紹介しておくと、やり取りもスムーズになりやすいでしょう。

手続き方法や書類関係では、迷うことも少なくありませんので、ご不安がある場合はぜひTORUTE株式会社にご相談ください。

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農業の事業承継を成功させる4つのポイント

農業の事業承継で必要な手続きや書類について解説してきましたが、それだけで形になるものではありません。

実際には、承継後も無理なく農業を続けていけるように、準備の進め方や周囲との関わり方まで考えておくことが大切です。

ここでは、農業の事業承継を成功させるポイントとして、次の4つをご紹介します。

  • 早めに事業承継の準備を始める
  • 後継者の経営力を育てる
  • 法人化や第三者承継も検討する
  • 専門家や支援機関を活用する

少し早めに動いておくだけでも、後継者の負担やご家族の不安が軽くなるはずですので、読み進めながらできそうなことをイメージしてみてください。

早めに事業承継の準備を始める

まず大切なのは、できるだけ早めに事業承継の準備を始めることです。

もし、体調の変化や急な相続をきっかけに動き出すことになった場合、「何から決めればいいのか」と焦ったり慌ただしくなったりしやすいものです。

ですが、早めに少しずつでも将来を考えていくことで、後継者の考えを確認したり農地や機械の整理を進めたり、ご家族と話す時間にも余裕が持てるようになります。

まだ先のことに感じるかもしれませんが、現状を書き出してみるだけでも承継の道筋が見え、次に必要な準備を把握しやすくなります。

後継者の経営力を育てる

後継者の経営力を育てるには、作業を覚えてもらうだけでなく、経営の流れにも少しずつ触れてもらうことが大切です。

例えば、出荷先とのやり取りに同席してもらったり、資材の仕入れ価格を一緒に確認したりすることで、「こういうときはどう考え、判断するのか」が伝わりやすくなります。

農業は、作物を育てる技術だけでなく、売上や経費を見ながら次の手段を考える場面も多いのではないでしょうか。

そういった小さな判断を一緒に経験する時間を重ねておくと、後継者も引き継いだあとに迷いにくくなるはずです。

法人化や第三者承継も検討する

長く続けてきた農業だからこそ、「できれば家族に引き継ぎたい」と考えるのは自然なことではないかと考えます。

実際に、これまで積み重ねてきた仕事のやり方や土地への想いを、身近な人へつないでいきたいと感じる経営者は少なくありません。

一方で、ご家族の事情や将来の働き方によっては、親族内だけで形を決めることが難しい場合もあるでしょう。

そのようなときは、地域の担い手や新しく就農したい人へ引き継ぐ第三者承継(M&A)も、農業を残すひとつの方法になります。

また、法人化によって農地・設備・経営のお金の流れを整理しやすくなることもあります。

すぐに決める必要はありませんが、「こうでなければならない」と絞りすぎず、ご自身が大切にしてきた農業を任せた人が続けやすい形を検討してみると、気持ちにも余裕が生まれやすいのではないでしょうか。

専門家や支援機関を活用する

農業の事業承継を進めるなかでは、早い段階から専門家や支援機関を活用することで、結果として全体をスムーズに進めやすくなります。

例えば、農地のことは整理できたと思っていても、そのあとで税金や名義変更の確認が必要になり、「まだあったのか」と負担に感じることもあるでしょう。

そのような、おひとりでは気付きにくい点まで専門家が確認することで、手続きのやり直しや思わぬ負担を避けやすくなります。

専門家や支援機関は、内容に応じて次のような相談先があります。

税金の確認税理士
名義変更や登記司法書士
契約や相続に関する整理弁護士
書類の確認や届出行政書士
資金面の相談JA・日本政策金融公庫

また、各都道府県の農業経営・就農支援センターや事業承継・引継ぎ支援センターでは、承継全体の進め方について相談できることもあります。

必要な場面ごとに力を借りながら進めることが、農業を無理なく次へつないでいくうえで大切です。

農業の事業承継は「TORUTE株式会社」へご相談を

TORUTE株式会社への相談をイメージした画像

農業の事業承継では、後継者のことだけでなく、農地の手続き・必要書類・税金・ご家族との話し合いまで、考えなければいけないことが重なります。

そのため、「何から整理すればよいのかわからない」「自分の場合はどこに注意が必要なのか不安だ」と感じることもあるでしょう。

TORUTE株式会社では、弁護士が中心となり、必要に応じて他の専門家とも連携しながら、それぞれの状況に合わせて承継の進め方を整えます。

親族内で引き継ぐ場合も、第三者への承継を考える場合も、まずは経営者さまの想いやご家族の状況を丁寧に伺いながら、現実的な方法を考えていくことが可能です。

初回相談は無料となっておりますので、「まだ具体的には決まっていない」という段階でも構いません。

おひとりで抱え込まず、今の状況を整理するところから始めてみることが、これまで築いてこられた農業を未来へつなげる第一歩となりますので、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

農業の事業承継は、ひとつの手続きを終えれば完了するものではなく、これまで続けてきた経営をどう次へつないでいくかを考えていく時間でもあります。

考え、確認していくべきことは少なくありませんが、最初からすべてを整えようとしなくても大丈夫です。

大切なのは、「まだ早い」と感じる段階から少しずつ現状を書き出し、ご家族や関係者と話せるところから進めていくことだと考えます。

そうして準備を重ねることで、引き継ぐ側も受け取る側も、気持ちに余裕を持ちやすくなるはずです。

長く守ってきた農業がこれから先も続いていくために、まずはできるところから一歩ずつ始めてみてはいかがでしょうか。

まずはお気軽にご連絡ください

0120-055-737

受付時間/AM8:30~PM5:30(土日・祝休)

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