事業承継への自治体の取り組みは?支援を活用するメリットや探す方法も紹介!

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西田 幸広 弁護士

監修者:弁護士 西田幸広

法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援

事業承継を考えはじめたとき、「自治体はどのような取り組みをしているのだろう」と気になっている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

後継者のことが頭にある一方で、いきなり専門家へ相談するのはまだ早い気がして、まずは公的な窓口や制度を調べてみよう、と思われる方も少なくないかもしれません。

そこで本記事では、事業承継への自治体の取り組みを整理したうえで、支援を活用するメリット・注意点・地域ごとの違いと、自分の地域で探す方法までをご紹介します。

後継者の有無に関わらず、承継の方向性がまだ固まっていない段階でも、読み進めていただくことで次の一手が見えてくるはずです。

\事業承継、何から始めるか迷ったら/

事業承継に対する自治体の取り組みとは

事業承継に対する自治体の取り組みは、大きく次の8つに整理できます。

事業承継に対する自治体の取り組みのイメージ画像
  • 相談窓口の設置
  • セミナー・相談会の開催
  • アンケート調査の実施
  • 支援機関との連携
  • 補助制度の整備
  • 後継者探しの支援
  • 事例の発信
  • 庁内連携の強化

それぞれどのような内容なのかを、詳しく見ていきましょう。

相談窓口の設置

まず自治体のなかには、事業承継に特化した相談窓口を庁内に設置しているところがあります。

「承継について誰かに話を聞いてほしいが、どこへ行けばよいかわからない」という段階でも、気軽に足を運べる場所として機能しているのです。

窓口によっては、専門家を招いた個別相談会を定期的に実施しているところもあるでしょう。

セミナー・相談会の開催

事業承継セミナーや相談会を開催する自治体も増えています。

先輩経営者による経験談や、税理士・中小企業診断士などの専門家が講師を務める勉強会など、内容はさまざまです。

いきなり個別相談へ踏み出すのが不安でも、セミナーであれば気持ちのうえで参加しやすいという声もよく聞かれます。

アンケート調査の実施

地域内の事業者の状況を把握するために、自治体が事業承継に関するアンケート調査を実施するケースも見られます。

中小企業基盤整備機構九州本部が運営するサイト「継ぐモノ―九州における事業承継」には、熊本県菊池市の事例が紹介されています。

同市では市内事業所へのアンケート調査を実施したところ、約3分の1の事業者において経営者が65歳以上であることが判明し、その結果を踏まえて市・商工会・金融機関7者による連携協定の締結へとつながりました。

こうした調査が支援体制づくりの出発点になっています。

支援機関との連携

自治体単独ではなく、商工会・商工会議所や金融機関、事業承継・引継ぎ支援センターなどと連携して支援体制を構築する自治体も多くあります。

連携することによって、相談内容に合わせた専門機関へのスムーズな橋渡しが期待できると言えるでしょう。

補助制度の整備

事業承継に関連した費用の一部を補助する制度を独自に設けている自治体もあります。

例えば、熊本県玉名市では「玉名市事業承継推進事業補助金」を設けており、承継後3年以内の事業者を対象に、引き継いだ経営資源を活用した新事業活動への取り組みを支援する内容です。

対象者は、法人だけでなく個人事業主も含まれています。

このように自治体が独自の補助制度を整備することで、国の補助金と組み合わせて活用でき、経済的な負担を軽減しやすくなるでしょう。

別記事では、「事業承継に使える補助金」を2026年の最新版としてまとめていますので、こちらも参考にしてください。

後継者探しの支援

後継者が身近にいない場合に向けた支援として、自治体が後継者募集サイトの運営に関わったり、地域内外の引き継ぎ希望者とのマッチングを支援したりする取り組みも広がっています。

例えば、地域おこし協力隊や商工会、事業承継・引継ぎ支援センターと連携しながら後継者探しを進めているのが、宮崎県美郷町の公式サイト内にページを設けている「みさとバトン」です。

アンケート調査の結果をふまえた支援により2件の承継が実現し、後継者人材バンクの登録者とのマッチングにもつながったと、中小企業庁の「基礎自治体における事業承継支援取組事例集」に示されています。

「地域の事業を地域でつなぐ」という観点から、こうした地元の特性を活かした事業継承マッチングへの取り組みは、各地に広がりつつあります。

事業承継を考えるなかで、後継者不在に悩む経営者は少なくありません。

事業承継の後継者不在の現状」については、別記事にまとめていますので、こちらもご覧ください。

事例の発信

承継を実現した事業者の事例を、冊子やWebサイトで発信している自治体・支援機関もあります。

例えば先ほどもご紹介した、中小企業基盤整備機構九州本部の「継ぐモノ―九州における事業承継」では、事業を引き渡した経営者・後継者・支援機関それぞれの声や承継の経緯を九州各県の実例として発信しています。

こうした事例の発信は、「自分と似た状況の会社がどう乗り越えたのか」を知ることができ、まだ動き出せていない経営者の背中を押す機会にもなっています。

TORUTE株式会社でも、これまでの成功事例を別ページにまとめさせていただいています。

これから事業承継を考えていく際の参考にもなると思いますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。

庁内連携の強化

事業承継は、産業振興だけでなく、地域の雇用・まちづくり・移住定住とも深く関わっています。

そのため、庁内の複数の担当部署が情報を共有しながら連携して取り組む体制づくり、いわゆる庁内連携の強化を進める自治体も増えているのです。

中小企業庁でも2025年3月に「地域特性をふまえた事業承継支援体制の構築に向けた手引き」を作成し、自治体の担当者が参照できる形で公開しています。

事業承継で自治体の支援を活用するメリット

事業承継で自治体の支援を活用するメリットのイメージ画像

自治体の支援には、民間の専門家へ相談する前の「入り口」として活用できるという大きな強みがあります。

費用面での敷居が低く、地域の実情に即した対応が期待できる点も、地方の中小企業経営者にとって心強いポイントです。

そして、事業承継で自治体の支援を活用する主なメリットとしては、次の3つが挙げられます。

  • 早い段階からでも相談しやすい
  • 地域事情を踏まえた支援を受けられる
  • 後継者不在でも選択肢を拡げやすい

それぞれについて、解説していきます。

早い段階からでも相談しやすい

事業承継についていろいろと考えていきたいとは思いつつも、「まだ方向性も決まっていないのに、相談してもよいのか」と感じる方は多いものです。

しかし自治体の窓口は、こうした早い段階からでも相談しやすい環境だと言えます。

準備が整っていなくても気軽に足を運べる点は、地方の事業承継支援として大きな役割を果たしてくれているのではないでしょうか。

地域事情を踏まえた支援を受けられる

自治体は、その地域の産業構造・取引の慣習・地元の支援機関との関係など、いわば「その土地のこと」を熟知しています。

例えば地場産業が盛んな地域では、業種特有の課題を理解したうえで話を聞いてもらえますし、地元の商工会や金融機関との顔つなぎをしてもらえることもあります。

地域事情を踏まえた支援を受けられる点は、大都市の民間専門家とは異なる、自治体ならではの強みだと言えるでしょう。

後継者不在でも選択肢を拡げやすい

もし、「子どもが継ぐ気がない」「身内には頼れない」という状況でも、諦める必要はありません。

自治体の支援では、後継者不在の状況でも、外部から募る仕組みや事業ごと第三者へ引き継ぐ第三者承継のマッチング支援など、親族以外への承継も含めて選択肢を拡げ、一緒に整理してもらえます。

「後継者がいないから、もう閉めるしかない」と思い込んでいた経営者が、支援を通じて道が開けたケースも少なくないと言えるでしょう。

自治体の支援を受けるときの注意点

自治体の支援は、公的機関ならではの安心感と敷居の低さが魅力ですが、万能ではない部分もあります。

うまく活用するためにも、自治体の支援を受けるときの注意点として、次の3点を念頭に置いておくのがおすすめです。

  • 自治体ごとに支援内容に差がある
  • 支援内容は見直されることがある
  • 別の専門家も必要になりやすい

それぞれ確認していきましょう。

自治体ごとに支援内容に差がある

中小企業庁が2024年11月に実施した自治体向けアンケート調査によれば、何らかの事業承継支援策を実施している基礎自治体は約3割にとどまっています。

つまり、7割近くの自治体では、課題を認識していても具体的な支援制度がまだ整っておらず、自治体ごとに支援内容に差があるのが現状です。

そのため、「うちの市にも窓口があるはず」と思い込まず、まず自分の地域にどのような支援があるかをホームページや電話で確認することから始めてみてください。

支援内容は見直されることがある

補助金の金額・対象要件・相談窓口の体制といった支援内容は、年度ごとに見直されることがあります。

「去年調べたときはあった制度が、今年はなくなっていた」というケースも実際に起こりうるのです。

特に補助金は、予算の関係で突然終了することもあるため、「以前調べた情報」をそのまま信頼せず、動き出す前に最新の情報を確認するのがよいでしょう。

別の専門家も必要になりやすい

自治体の窓口は、「まず誰かに話を聞いてほしい」「何から始めればよいか整理したい」という段階で頼りになる存在です。

ただし、株式の評価・税務申告・契約書の作成といった専門的な手続きは、自治体の担当者だけでは対応できないケースがほとんどだと言えるでしょう。

そのため、別の専門家も必要になりやすいことは、念頭に置いておくのがおすすめです。

自治体はあくまで「入り口」ととらえ、承継が具体的に進み始めたら、税理士・弁護士・中小企業診断士といった専門家のサポートも並行して検討していくと、全体がスムーズに動き出しやすくなります。

別記事で、「事業承継で専門家が必要な理由」を詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

TORUTE株式会社では、さまざまな専門家と連携しながら、経営者さまの想いに寄り添った形での承継をご提案させていただいています。

ワンストップで承継を進めていくことができますので、ぜひ一度、無料相談からお問い合わせください。

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自治体の取り組みは地域ごとで違う?

先にも少し触れましたが、ひと口に「自治体の取り組み」と言っても、都市部と地方など、自治体の取り組みは地域ごとで状況が大きく違ってきます。

例えば、人口規模の大きな市では予算や人員を確保しやすい反面、中山間地域や小規模な町では支援体制の整備が追いついていないケースも少なくありません。

一方で、地方の小さな自治体でも、商工会や引き継ぎ支援センターと連携することで独自の取り組みを展開しているところもあります。

中小企業庁は、宮崎県美郷町や熊本県菊池市、高知県などの担当者を招いた事業承継シンポジウムを開催し、地方自治体の先進事例の共有にも力を入れています。 

地域によって取り組みの厚みは違いますが、まずは自分の地域ではどのような支援があるのかを確認することが出発点だと言えるでしょう。

自分の地域で事業承継支援を探す方法は?

自分の地域で事業承継支援を探す方法のイメージ画像

「自分の地域にどんな支援があるかわからない」という場合も、探し方さえ知っていれば、意外とスムーズに情報へたどり着けます。

ここでは、自分の地域で事業承継支援を探す方法として次の3つをご紹介します。

  • 自治体のホームページで確認する
  • 商工会・商工会議所へ相談する
  • 事業承継・引継ぎ支援センターに確認する

それぞれの特徴を解説しますので、難しく考えず、まずは試してみてください。

自治体のホームページで確認する

まず手軽なのが、お住まいの市区町村や都道府県のホームページを確認することです。

「事業承継」「中小企業支援」といったキーワードで検索すると、補助金制度や相談窓口の情報が見つかることがあります。

更新頻度は自治体によって異なるため、気になる点は直接問い合わせてみるのが確実でしょう。

商工会・商工会議所へ相談する

地域の商工会や商工会議所は、事業承継の相談に対応している重要な支援機関です。

自治体と連携していることも多いため、地元の実情に詳しい担当者が話を聞いてくれます。

「まず誰かに話を聞いてもらいたい」という段階でも、気軽に相談できる窓口として活用しやすいでしょう。

事業承継・引継ぎ支援センターに確認する

事業承継・引継ぎ支援センター」とは、全国47都道府県に設置されている、事業承継全般の相談窓口です。

事業承継計画の策定やM&Aのマッチング支援などの、初回相談は原則無料で対応してくれます。

ただし、手続きが具体的に進む段階では、専門家費用が別途発生することもあります。

自治体の支援と並行して活用できるため、「自分の地域の自治体はどんな制度があるのか」「他にどんな選択肢があるか」といった疑問も含めて、まとめて相談してみるとよいでしょう。

センターの連絡先は、中小企業基盤整備機構が運営する事業承継・引継ぎポータルで確認できます。 

もちろん、自治体や商工会への相談と並行して、民間の専門家へ話を聞いてみることも、承継の選択肢を広げるうえで有効な方法のひとつです。

TORUTE株式会社では、事業承継に関する相談を、初回無料で受け付けています。

「まだ方向性が決まっていない」という段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ

自治体の事業承継への取り組みは、相談窓口の設置・セミナーの開催・補助制度の整備・後継者探しの支援など、多岐にわたっています。

ただし、支援の内容や充実度は自治体ごとに異なるため、まず自分の地域で利用できる制度を調べることが第一歩だと言えるでしょう。

自治体の支援は、「まだ準備が整っていない」という段階から活用できる点が大きな強みです。

商工会・商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センター、ときには専門家への相談も組み合わせながら、自分のペースで情報を集めていきましょう。

そうすることで少しずつ方向性が見え、承継の道筋を整理しやすくなるはずです。

まずはお気軽にご連絡ください

0120-055-737

受付時間/AM8:30~PM5:30(土日・祝休)

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