事業承継とM&Aの違いとは?選び方やメリット・デメリットをわかりやすく解説!
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法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援
事業承継を考えるなかで、「M&A」という言葉が出てきて、「事業承継といったい何が違うんだろう?」と疑問に感じたことはありませんか。
ニュースではよく耳にするけれど、いざ自分のこととして考えると、どこか別世界の話のように感じてしまう方も多いのではないかと思います。
ですが実際、M&Aは中小企業の事業承継において、とても現実的な選択肢のひとつです。
そこでこの記事では、事業承継とM&Aの違いは何なのか、選び方やメリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。
これまで大切に育ててこられた会社を未来へつないでいくための、参考にしていただけますと幸いです。
\事業承継の進め方がわかるマニュアル/
目次
- 1 M&Aの意味や読み方とは
- 2 M&Aの目的は?
- 3 事業承継とM&Aの違いとは
- 4 事業承継型M&Aとは?
- 5 売り手側が知っておくべきM&Aの種類
- 6 M&Aを選ぶべき会社の特徴は?
- 7 M&Aによる事業承継のメリット
- 8 M&Aによる事業承継のデメリット
- 9 M&Aにかかる費用は?
- 10 売り手側におけるM&Aの手順と流れ
- 11 M&Aによる事業承継をおこなう場合の課題は?
- 12 M&Aによる事業承継で起こりうるトラブルは?
- 13 中小企業におけるM&Aの成功事例は?
- 14 M&Aによる事業承継を成功させるポイント
- 15 事業承継やM&Aで活用できる補助金とは
- 16 親族内承継かM&Aか迷う場合は「TORUTE株式会社」へ
- 17 まとめ
M&Aの意味や読み方とは
まず、M&Aの読み方は「エムアンドエー」です。
これは、英語の「Mergers and Acquisitions(マージャーアンドアクイジション)」の頭文字を取った言葉で、直訳すると「合併・買収」になります。
ただし、英語の意味そのものより、「何をする仕組みか」を理解するほうが大切です。
M&Aとは、会社や事業を別の人・別の会社に引き継ぐための方法のひとつになります。
ニュースでは大企業の話として取り上げられることも多いですが、中小企業の事業承継でも、話し合いを重ねながら進める引き継ぎの形として広く使われています。
例えば後継者がいない会社が、信頼できる第三者に経営を任せて、従業員や取引先との関係をできるだけそのまま続けながら会社を残していく、というような場面で活用される仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。
M&Aの目的は?
M&Aを考える一番の目的は、会社を次の世代へつなぎ、できるだけ長く続けていくことにある、と考えます。
どれだけ事業承継を前向きに考えていても、後継者が決まらないまま時間が過ぎてしまうと、たとえ経営が黒字でも、やむを得ず廃業を選ばなければならないケースがあります。
経営者としては、長年ともに働いてきた従業員や、信頼関係を築いてきた取引先のことを思うと、その決断は簡単ではないでしょう。
こうした状況に対して、国も支援体制を整えています。
例えば「事業承継・引継ぎ支援センター」では、後継者がいない中小企業が第三者へ引き継ぐための仕組みを提供しています。
つまりM&Aは、会社を閉じるための手段ではなく、「信頼できる誰かに経営を託す」ための現実的な選択肢のひとつだと言えるでしょう。
将来の安心につながる道として、まずは知っておくことが大切な一歩になります。
事業承継とM&Aの違いとは
事業承継とは、会社の経営を次の世代に引き継ぐことの総称で、親族への承継・従業員への承継・第三者へのM&Aによる承継、すべてが「事業承継」に含まれます。
一方M&Aは、株式や事業の売買・統合を通じて経営権を外部へ移す取引の方法です。

つまり、事業承継は「誰に・どう引き継ぐか」という目的の話であり、M&Aはそのための方法のひとつという関係になります。
まずは事業承継とM&Aの違いを比較表にまとめましたので、整理してみましょう。
| 事業承継 | M&A | |
|---|---|---|
| 位置付け | 目的・概念の総称 | 引き継ぎ手段のひとつ |
| 対象者 | 親族・従業員・第三者(M&A含む) | 外部の企業・投資家など第三者 |
| 主な引き継ぎ対象 | 株式・経営権・無形資産(技術・ブランドなど) | 株式譲渡または事業譲渡が中心 |
| 主な目的 | 事業の存続・企業価値の維持・発展 | 承継課題の解決+成長加速 |
| 特徴 | 理念・社風・技能の連続性を重視 | 外部の資金・人材・販路の取り込みが可能 |
ここではさらに、それぞれの目的・引き継ぎ相手・引き継ぎ対象の違いについて、詳しく解説していきます。
目的の違い
事業承継の目的は、事業の存続と企業価値の維持・発展です。
理念・技術・取引関係・雇用など「目に見えない資産」を守り、地域や顧客への提供価値を途切れさせないことが中心にあります。
一方でM&Aの目的は、承継課題の解決に加え、買い手の経営資源を取り込みながら成長を加速することです。
例えば販路・人材・資本・ITなどを一気に獲得し、単独では届かない成長につなげることができます。
引き継ぎ相手の違い
事業承継の相手は、大きく次の3つに分かれます。
- 親族(子・配偶者など)
- 社内(役員・従業員)
- 外部(M&A)
ここでいう「外部への承継の主要手段」がM&Aであり、株式や事業を同業・周辺業種・投資家といった第三者へ譲る方法を指します。
つまり、事業承継は「相手の選択肢の総称」であり、M&Aは「外部に引き継ぐ具体策」という関係です。
親族・社内での承継は理念や社風・技能の連続性に強みがあり、M&Aは外部の資金・販路・人材を取り込める点が強みになります。
後継者不在の企業は、3つの選択肢を並行して検討しながら、早めに公的窓口や専門家に相談してみるのがおすすめです。
引き継ぎ対象の違い
事業承継で引き継ぐ対象は、次のように多岐にわたります。
- 株式(経営権)
- 事業
- 無形資産(ブランド・ノウハウ・取引関係・人材)
親族内承継や従業員承継では、株式の承継設計(評価・納税資金・議決権配分)が中心になりやすいでしょう。
対してM&Aでは、株式譲渡(会社ごと引き継ぐ)か事業譲渡(特定の事業だけ引き継ぐ)かの設計が焦点になります。
事業承継型M&Aとは?
「事業承継型M&A」とは、事業承継を目的としておこなうM&Aのことです。
ここまでで解説した手段としての「M&A」と同じ意味合いを持つため、別物ではありません。
後継者不在の企業が、第三者に株式譲渡や事業譲渡の形で経営権を引き継いでもらいます。
最大の特徴は「会社の存続を前提にした取引」であることで、雇用・取引・ブランドの継続を条件に設計されます。
進め方は、中小企業庁が定める「事業承継ガイドライン」と「M&A支援機関登録制度」に基づくものです。
これらには、仲介手数料の考え方や重要事項の書面説明など、透明性を保つためのルールが整えられています。
さらに、補助金や金融支援を組み合わせることで、準備から契約・統合(PMI)までの費用の一部をまかなうことも可能です。
ビジネスのM&Aと事業承継のM&Aの違いは?
M&Aには大きく、「ビジネス(成長戦略)としてのM&A」と「事業承継としてのM&A」の2つに分けられます。
まず、ビジネスとしてのM&Aは、会社をさらに大きくするためにおこなわれることが多く、技術・人材・販路の獲得など、成長や利益が主な判断基準になります。
一方で、事業承継としてのM&Aは、「会社を次へつなぐ」ことが目的の中心です。

金額だけでなく、「従業員を守れるか」「安心して任せられるか」という点も大切な判断材料になり、目的が違えば考え方の軸も変わります。
「ビジネスにおけるM&A」については、別記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
M&Aと事業提携の違いは?
資本提携や業務提携などの「事業提携」は、独立性を保ちながら協力関係を結ぶ枠組みです。
販路の共有や共同開発など、部分的な連携と考えるとわかりやすいでしょう。
一方でM&Aは、経営権の移転をともない、人事・会計を含む全社的な統合が前提になります。
提携は、まず小さく試しながら少しずつ関係を深めていける柔軟さが魅力であり、M&Aは、経営権ごと引き継ぐことで会社の仕組みを一気に変えられる、スピード感が強みだと言えます。
売り手側が知っておくべきM&Aの種類
M&Aとひと口に言っても、引き継ぎの方法はひとつではありません。
売り手側が知っておくべきM&Aの種類として、中小企業でよく使われるのは主に次の2つです。

どちらも会社や事業を次の担い手に引き継ぐ方法ですが、引き継ぐ範囲や手続きの内容が異なり、その違いによって税金の扱いや契約の進め方も変わってきます。
まずは2つの特徴をおおまかに理解し、自社の場合はどちらが近いのかを考えてみることが大切ですので、それぞれ解説していきます。
株式譲渡
株式譲渡とは、会社の株式を買い手に渡すことで、会社そのものを引き継いでもらう方法です。
「会社を丸ごと引き継ぐ形」だと考えるとわかりやすいでしょう。
株式を譲った場合、会社という「器」はそのまま残ります。
例えば、会社名・営業に必要な許可・取引契約などは基本的に会社に属したままなので、スムーズに引き継ぎが進みやすいという特徴があります。
また、従業員も同じ会社に勤め続ける形になるため、環境の変化が小さい点もメリットだと言えるでしょう。
ただし会社に残っている借入金や保証の扱いは、引き継いだあとに問題が残らないよう、事前にきちんと確認しておく必要があります。
別記事では、「事業承継の株式譲渡の方法」について解説しているので、こちらも参考にしてください。
事業譲渡
事業譲渡とは、会社そのものではなく、特定の事業だけを引き継いでもらう方法です。
「必要な部分を選んで渡す形」だと理解するとわかりやすいでしょう。
例えば、会社のなかにいくつかの事業があり、そのうちの一部だけを譲りたい場合や、不採算部門を整理したいときに検討される方法です。
株式譲渡とは違い、契約や名義をひとつずつ変更する必要が出てくることがあるため、手続きに時間がかかる場合もあります。
売り手としては、「何を引き継ぎ・何を残すのか」をしっかりと整理しておくのがおすすめです。
「事業譲渡の場合に従業員はどうなるのか」については、別記事でまとめています。
M&Aを選ぶべき会社の特徴は?
次のような特徴がある会社は、M&Aが特に有力な選択肢になります。
- 後継者が見つからない
- 事業をさらに成長させたい
- 廃業よりも会社を残す道を探したい
一方で、理念や社風の継続を最優先にしたい場合や、有力な後継者候補がすでにいる場合は、親族内承継や従業員承継のほうが向いているケースもあるでしょう。
大切なのは「M&Aありき」で考えるのではなく、自社の状況に合った方法を選ぶことだと言えます。
親族内承継と第三者承継の判断軸とは
親族内承継と第三者承継(M&A)のどちらが自社に合っているかを判断するポイントは、主に次の3つです。
①後継者候補の有無と意向
最優先で確認すべきは「誰が本当に継ぐ意思を持つか」です。
候補者がいても、資金・権限移譲・家族間の調整でつまずくケースは多いため、候補者の意思が曖昧なら、時間を味方につけてM&Aも並行検討するのがよいでしょう。
候補者の育成計画と、候補者不在時の代替シナリオを同時に用意しておくと、リスクを大きく減らせます。
②経営者の目的と価値観
「何を守り・何を変えたいか」を明確にすることも重要です。
屋号・職人技・顧客との約束は守りたい一方で、IT化や新規開拓で攻めたいなど、価値観を整理することが今後の選択を決めます。
退任後も相談役として関わりたいのか、完全リタイアしたいのかも合わせて整理しておいてください。
③会社の特性と市場環境
ニッチで高収益、かつ買い手が多い業種であれば、第三者承継(M&A)のほうが有利だと言えるでしょう。
一方で、地域密着で技能伝承が肝になる業種は、従業員承継が進めやすい傾向があります。
自社の「選ばれる理由や強み」を磨いておくことが、承継の選択肢を広げることにもつながります。
M&Aの種類を選ぶ方法は?
M&Aの種類のなかで、株式譲渡と事業譲渡のどちらを選ぶかは、「自分が何を一番守りたいか」を基準に考えることが大切です。
従業員の雇用や取引先との関係をできるだけそのまま続けたい場合は、会社全体を引き継ぐ株式譲渡が向いていることが多いでしょう。
ですが、特定の事業だけを譲りたい、会社の中身を整理してから引き継ぎたいという場合は、事業譲渡が検討対象になります。
さらに、営業許可の扱い・借入金・経営者保証の状況によっても選び方は変わります。
まずは現状を整理し、専門家と相談しながら進めるのがおすすめです。
TORUTE株式会社では、経営者さまの想いに寄り添い、現実的な承継の進め方をご提案させていただいています。
初回は無料でのご相談が可能ですので、まずは一度、お気軽にお問い合わせください。
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M&Aによる事業承継のメリット
ここまででも解説したとおり、M&Aは後継者問題を解決するだけでなく、買い手の持つ資金・販路・人材を取り込みながら、会社をさらに前へ進める可能性を持った手段です。
実際にM&Aによる事業承継を進める場合のメリットとして、次の5つが挙げられます。
- 事業継承先の幅を拡大し後継者問題を解決できる
- 従業員の雇用を守ることができる
- 事業を存続しさらなる発展が期待できる
- 創業者利益を確保できる
- 廃業コストを回避できる
それぞれについて、具体的に解説していきます。
事業継承先の幅を拡大し後継者問題を解決できる
M&Aを活用することで、まず事業承継先の幅を大きく広げ、後継者問題を解決できる可能性があります。
これまで、もし「子どもが継がないなら廃業しかない」と考えていた場合でも、M&Aであれば、自社の技術や地域ブランドを評価してくれる買い手と出会える可能性があるのです。
さらに、買い手が持つ全国的な販売網や採用力・資金力が加わることで、これまでひとりでは届かなかった顧客へのアプローチも期待できます。
「後継者がいない=終わり」ではなく、M&Aという選択肢があることをまずは知っておくだけでも、可能性は拡大します。
従業員の雇用を守ることができる
M&Aでは、「従業員の雇用を守ること」を契約の条件として盛り込むことができます。
長年一緒に働いてきた従業員のことを考えると、廃業という決断にはなかなか踏み切れないものです。
ですがM&Aであれば、従業員がそのまま働き続けられる形で引き継ぐことを、交渉の段階で相手に求めることができます。
買い手にとっても、経験を積んだスタッフは大切な財産ですし、むしろ処遇の改善が進むケースも少なくありません。
契約書に雇用に関する条件を明記しておくと、従業員への説明もしやすくなるでしょう。
事業を存続しさらなる発展が期待できる
M&Aは、事業を存続させるだけでなく、さらなる発展を後押しする可能性も持っています。
買い手が持つ設備投資の余力・ITの仕組み・採用力などを取り込むことで、自社だけでは難しかった新規開拓や品質向上を、短い時間で実現できる可能性があるのです。
また、引き継ぎ後の経営統合(PMI)をうまく進めることで、コストを抑えながら売上を伸ばすことも期待できます。
自社の技術・ブランド・顧客といった目に見えない資産を、次のステージで活かすための統合計画が重要なカギになるでしょう。
創業者利益を確保できる
株式や事業を譲渡する対価として、創業者利益を確保できる点も、大きなメリットのひとつです。
長年会社を守り続けてきた経営者にとって、引退後の生活設計は大きな不安のひとつではないでしょうか。
そんな場合でも、M&Aによって対価を受け取ることで、その不安を和らげる助けになります。
また、個人で会社の借入れを保証していた「個人保証」をはずす交渉も、M&Aの場面ではおこなわれることがあります。
対価の受け取り方も、一括ではなく段階的な報酬として設計できる場合も考えられるため、税金面も含めて専門家と一緒に検討するのがおすすめです。
廃業コストを回避できる
実は、会社を閉じるのにもお金がかかります。
在庫の処分・取引先との契約解除・事務所の原状回復・従業員の退職対応など、廃業にかかるコストは想像以上に大きくなることが考えられるのです。
ですがM&Aで事業を引き継いでもらうことで、廃業コストを回避できるだけでなく、地域の雇用や取引先への影響も最小限に抑えられるのも、大きなメリットだと言えるでしょう。
「きれいな終わり方」よりも「続けられる形」を選ぶことが、関わるすべての人にとってプラスになる場合があります。
M&Aによる事業承継のデメリット

M&Aによる事業承継では、多くのメリットがある一方で、知っておくべきデメリットも存在します。
主なデメリットは、次の6つです。
- 長い時間がかかる場合がある
- 期待どおりに売却ができない可能性がある
- 取引先や従業員の理解が必要になる
- 交渉過程で情報漏洩する場合がある
- 経営統合(PMI)失敗のリスクがある
- 自力で適切な相手を探すのは難しい
あらかじめリスクを理解しておくことで、準備の段階で防げる問題も少なくありませんので、それぞれ解説していきます。
長い時間がかかる場合がある
まず、M&Aには、長い時間がかかる場合があるという点を覚えておいてください。
相手探しから始まり、秘密保持の契約・基本合意・詳細な調査・最終契約・引き継ぎ後の統合まで、多くの工程を順番に進めていく必要があります。
もし準備が不十分だったり、途中で意思決定が止まったりすると、想定以上に時間がかかることも考えられます。
そのため、「そろそろ引退を考えたい」と思い始めたときには、すでに動き出していることが理想です。
早めに財務・人事・法務まわりの整理を進めておくことで、スムーズな進行につながるはずです。
期待どおりに売却ができない可能性がある
M&Aでの売却価格は、会社が将来生み出す利益・事業の成長性・買い手との相乗効果によって決まります。
例えば、特定の顧客や経営者個人への依存が高いと、「この会社は社長がいなくなったら大丈夫だろうか」と評価が下がる原因になることがあり、期待どおりに売却ができない可能性もあります。
そのため、複数の候補先に同時に打診して競争性を高めること、そして収益の安定性や再現性を高める「磨き上げ」を事前に進めておくことが、希望に近い条件で進めるための対策として大切です。
取引先や従業員の理解が必要になる
M&Aをうまく進めるには、取引先や従業員の理解が必要になります。
どれだけ良い条件で合意できても、社内や取引先に不安が広がってしまうと、大切な従業員が離れてしまったり、取引が途切れたりするリスクがあります。
それを防ぐためにも、「誰に・いつ・何を・どの順番で伝えるか」を事前にしっかり設計しておくことが重要です。
社内にはまず雇用・役割・処遇がどう変わるかを、社外には品質・納期・取引の継続について、それぞれ丁寧に伝えるのがよいでしょう。
交渉過程で情報漏洩する場合がある
相手探しから詳細調査の段階では、顧客名・価格条件・製法といった会社の重要な情報が動きます。
そのため、交渉を進めるなかで、情報漏洩が起きてしまう場合があるという点にも注意が必要です。
まず秘密保持契約(NDA)を結んだうえで、情報は段階的に開示すること・閲覧できる人と範囲を絞ること・データの持ち出しを管理することを徹底することで、漏洩のリスクを大きく下げることができます。
経営統合(PMI)失敗のリスクがある
M&Aが成立したあとも、経営統合(PMI)がうまくいかずに、失敗してしまうというリスクがある点も忘れてはなりません。
たとえ引き継ぎが完了しても、会社の文化ややり方の違い・目標のズレ・中心的なスタッフの離職などが原因で、現場が混乱してしまうケースがあります。
引き継ぎ後100日間を目安に、意思決定のルール・人事・ITの仕組み・業務の流れを早めに整えることが大切です。
定期的なミーティングで現場の不安をひとつずつ解消していく姿勢が、統合を成功に導くカギになるでしょう。
自力で適切な相手を探すのは難しい
自力で適切な相手を探すのは難しいという点も、M&Aのデメリットのひとつです。
自分の人脈だけで候補を探すと、選択肢が偏ってしまったり、情報の管理が難しくなったりすることがあります。
まずは、公的窓口や信頼できる専門家に相談し、方向性を確認しながら一緒に進めるのがおすすめです。
適切なサポートを受けることで、良い相手と出会える可能性が大きく広がります。
TORUTE株式会社でも、多くのM&Aの実績がありますので、「まだ方向性が決まっていない」という段階でも、まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
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M&Aにかかる費用は?
M&Aにかかる費用は、会社の規模や専門家への依頼範囲によって大きく変わります。
主な費用の目安は、次のとおりです。
| 仲介会社やアドバイザーへの報酬 |
相手探しや交渉を支援してもらう費用がかかります。
着手金が数十万円程度になる場合もあり、成立時の成功報酬は「レーマン方式」と呼ばれる段階的な計算方法で算出されるのが一般的です。
| 弁護士費用(契約書の確認・作成) |
契約内容を確認し、あとのトラブルを防ぐために必要です。
案件の規模や複雑さにより、数十万円〜数百万円程度かかることがあります。
| 税理士費用(税金の整理) |
譲渡にともなう税金の計算や申告支援を受けるための費用で、10万〜30万円程度が目安ですが、内容によって変動します。
| デューデリジェンス費用(会社の調査費) |
買い手側がおこなう会社の確認作業です。
小規模であれば数十万円〜数百万円程度に収まることがありますが、規模が大きい場合はそれ以上になることもあります。
国は「M&A支援機関登録制度」を設け、一定の基準を満たす支援機関の活用を促しています。
また、「事業承継・M&A補助金」の対象として、仲介手数料や専門家費用が補助される場合もあるでしょう。
売り手側におけるM&Aの手順と流れ
M&Aは、思いつきで動くとあとから負担が大きくなりやすいため、事前に手順や流れを把握しておくことが大切です。
売り手側におけるM&Aの手順と流れは、次の3つの段階に整理できます。

最初は「何から手をつければよいのか」と不安になるかもしれませんが、やることをひとつずつ分けて考えれば、決して難しい作業ではありません。
それぞれの段階について、具体的に見ていきましょう。
現状整理をして準備する
まず取り組むべきことは、会社の現状を整理して準備を整えることで、ここがすべての土台になります。
決算書の内容・借入金の状況・主な取引先・従業員の役割分担などを整理するところから始めてみてください。
数字だけでなく、「なぜ選ばれているのか」という自社の強みや、長く続いている取引関係なども書き出しておくことが大切です。
また、課題にも目を向けておくと、事前に改善したり条件に反映させたりすることができます。
さらに、「何を守りたいのか」を言葉にしておくと、判断の軸がぶれにくくなるでしょう。
準備の段階でしっかり考えを整理しておくことで、そのあとの話し合いがぐっと進めやすくなります。
引き継ぎ先を探して条件を交渉・調整する
次の段階は、引き継ぎ先を探して条件を交渉・調整することで、ここでは「お互いに納得できるかどうか」が重要になります。
価格はもちろん大切ですが、それだけで決めるのは早計でしょう。
従業員の雇用をどうするのか・経営者がどのくらい関わり続けるのか・取引先との関係をどう引き継ぐのかなど、話し合うべき点はたくさんあります。
また、情報をどの段階で誰に伝えるかも、慎重に考える必要が出てきます。
判断に迷う場面ほど、第三者の意見を取り入れながらひとつずつ確認していくのがおすすめです。
合意・契約・引き継ぎを進める
条件がまとまったら、合意・契約・引き継ぎへと進みます。
気持ちが緩みやすい場面でもありますが、丁寧さが求められる段階です。
契約書には、引き継ぐ範囲・支払い条件・責任の分け方などが明記されます。
もし内容を十分に理解しないまま進めると、あとから誤解が生じる可能性があるため、専門家に確認してもらいながら、ひとつずつ目を通すようにしてください。
そして、契約が終われば、実際の引き継ぎが始まります。
多くの場合、一定期間は売り手側が引き継ぎをサポートすることになりますので、無理のないスケジュールを組み、従業員や取引先が安心できる形で進めていくことが大切です。
実際にM&Aは「難しいのではないか」と感じられる方も少なくありません。
別記事では、「M&Aが難しいと言われる理由」についてまとめていますので、こちらもぜひご覧ください。
M&Aによる事業承継をおこなう場合の課題は?
M&Aによる事業承継をおこなう場合、つまずきやすい課題は主に4つあります。
- 適切なアドバイザーの選定
- 自社価値の客観的な評価と適正価格の設定
- 従業員への説明と円滑な引き継ぎ
- 経営者自身の精神的な負担
まず、信頼できるアドバイザーを選ぶことが出発点です。
報酬の仕組みやサポート範囲を書面で確認できる先を選ぶようにしてください。
また、自社の価値を客観的に把握して適正価格を設定することも重要で、特定の顧客や経営者個人への依存は事前に改善しておくと安心です。
さらに、従業員への説明は「誰に・いつ・何を伝えるか」を設計しておくだけで、現場の不安が大きく変わります。
そして「会社を手放す」という決断は、数字以上に心に重くのしかかるものです。
退任後の関わり方や生活設計を早めに整理しておくことで、移行がずっとスムーズになります。
これらの内容をあらかじめ理解しておくことで、リスクの多くは減らしていくことができますので、どのような部分でつまずきそうかをイメージしながら、取り組んでいくのがよいでしょう。
「M&Aの価格の決め方」については、別記事で掘り下げていますので、こちらも参考にしてください。
M&Aによる事業承継で起こりうるトラブルは?

M&Aによる事業承継では、進める段階によって異なるトラブルが起こりやすくなります。
「こんなはずじゃなかった」とならないよう、典型的なトラブルと対策をあらかじめ知っておくことが大切です。
ここでは、次の段階で起こりうるトラブルについてご紹介します。
- 交渉段階で起こりうるトラブル
- 契約後に起こりうるトラブル
それぞれどのような問題が起きやすく、どう備えればよいのかを具体的に見ていきましょう。
交渉段階で起こりうるトラブル
交渉の段階では、情報漏洩・期待値のズレ・交渉の長期化などが起こりやすいと言えます。
例えば次のような内容は、典型的なトラブルです。
- 相手への最初の打診内容が不十分だった
- 秘密保持の契約が甘く情報が広がってしまった
- 基本合意の条件が曖昧であとから解釈が分かれた
情報は段階的に開示すること・独占交渉の期間を適切に設定すること・条件は文書化すること・買い手の資金計画を事前に確認することを徹底するだけで、多くのトラブルは防ぐことができるでしょう。
契約後に起こりうるトラブル
契約が終わったあとでも、トラブルが起こる可能性はあります。
例えば次のような内容です。
- 契約書に載っていなかった借金や債務があとから見つかった
- 在庫や取引条件の認識にズレがあった
- 引き継ぎ後のIT統合が遅れて現場が混乱した
トラブルを防ぐためにも、引き継ぎ後の目標・担当者・期限を明確にしておき、月ごとに進捗を確認しながらズレを早めに修正していく体制を整えておきましょう。
中心的な従業員が離れないよう残留を促す工夫や、顧客との関係を守るための対応も気を抜かず、先手を打って考えておくことが重要です。
別記事では「事業承継のよくある失敗事例」をより具体的にまとめていますので、対策のために、こちらも活用してください。
中小企業におけるM&Aの成功事例は?
ここまでM&Aメリットやデメリット、手順などを解説してきましたが、「実際にうまくいくのだろうか」と感じている方もいるかもしれません。
ここでは、TORUTE株式会社が関わったM&Aの成功事例をご紹介します。
植木石油株式会社様は、1977年創業で、46年間地域を支え続けてきたガソリンスタンドです。
長年ともに働いてきたスタッフがいる家族のような職場でしたが、後継者が見つからないという悩みを抱えていました。
ご相談を受けたTORUTE株式会社は、安定した固定客や手入れの行き届いた設備など、地域に根ざしたインフラとしての価値を丁寧に整理・可視化しました。
そして、同じ石油業を営む会社がその価値に共感し、2023年夏に株式譲渡が成立したのです。
TORUTE株式会社では、経営者さまの想いを大切にした事業承継の形を実現するサポートをさせていただいています。
「事業承継やM&Aは難しい」と感じてしまうのも当然のことだと考えますので、まずはお気軽にご相談ください。
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M&Aによる事業承継を成功させるポイント
M&Aによる事業承継を成功させるために、ぜひ意識してほしいポイントが4つあります。
- 早めに検討し対策を開始する
- 企業価値を向上させる
- 株主の理解を得る
- 公的支援を活用する
これらは、準備が早いほど選択肢が広がり、納得のいく形で進めやすくなるでしょう。
それぞれについて、具体的に解説します。
早めに検討し対策を開始する
M&Aを成功させるうえで、早めに検討し対策を開始することは何より大切です。
基本的には、引退を考え始める3年ほど前から動き出すのがよいでしょう。
まず自社の現状を診断して課題を洗い出し、契約・人事・会計まわりの整理を進めます。
売上や利益の推移を月ごとに把握できる状態にしておくと、交渉の場で説得力が増すはずです。
準備が整っているほど、良い条件で話を進められる可能性が高まります。
企業価値を向上させる
M&Aを有利に進めるためには、企業価値を向上させておくことも欠かせません。
買い手が会社を評価する際に見るのは、「儲かっているか・これから伸びるか・安定しているか」の3点だと言えるでしょう。
利益率の改善や在庫の適正化など、できることから手をつけておくのがおすすめです。
また、特定の顧客や経営者だけに依存している状態は、評価を下げる原因になります。
自社の強みをわかりやすく資料にまとめておくと、買い手が将来のイメージを描きやすくなり、より高い評価につながるはずです。
株主の理解を得る
株主の理解を得ることで、M&Aはスムーズに進めやすくなります。
家族や少数株主に対して、なぜM&Aを選ぶのか・どのような相手を探しているのか・価格やスケジュールの見通しはどうかを、早めに丁寧に説明しておくのがおすすめです。
話し合いの内容を記録に残しておくと、あとから「聞いていない」というトラブルを防げるでしょう。
必要に応じて専門家の意見を取り入れることで、感情的な対立を避けながら合意を得やすくなります。
公的支援を活用する
M&Aによる事業承継では、公的支援を積極的に活用することをおすすめします。
まず事業承継・引継ぎ支援センターでは、費用がかからず、進め方の整理や信頼できる専門家の紹介を受けることができます。
国に登録された支援機関を通じて進めると、費用の透明性が高まり、補助金の対象になりやすいというメリットもあります。
また、補助金についてもこのあと解説しますが、活用を考えている場合は内容が年度ごとに変わるため、最新情報をこまめに確認しておくことが大切です。
さらに、M&Aは専門的な知識が必要な場面も多いため、おひとりで抱え込まず、弁護士や税理士などの専門家に相談しながら進めるのもよいでしょう。
「何から始めればよいかわからない」という段階でも、まずは相談してみることで、自社に合った進め方が見えてくるはずです。
事業承継やM&Aで活用できる補助金とは
事業承継やM&Aを進めるうえで、準備にかかる費用・専門家への報酬・統合にともなうコストの一部を補助してもらえる制度があります。
ここでは、活用できる主な補助金を、次の2つに分けてご紹介します。
- 事業承継で使える補助金
- M&Aによる事業承継で使える補助金
対象・上限・補助率・公募時期は年度によって変わるため、最新情報の確認が必要です。
事業承継で使える補助金
親族や従業員へ承継する場合、「省力化・省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」や「IT導入補助金」を活用するのがおすすめです。
これらを使うことで、受発注や在庫管理のデジタル化・業務マニュアルの整備といった、会社をより良い状態で引き継ぐための投資に充てることができます。
こうした準備は、承継後の安定した運営にも直結するため、補助金を使いながら会社の基盤を整えられる良い機会と言えるでしょう。
申請の際は、「なぜこの投資が事業承継に必要か」を明確に説明できるよう準備しておくことがポイントです。
なお、活用できる補助金は状況によって異なるため、専門家への相談もあわせておすすめします。
M&Aによる事業承継で使える補助金
M&Aによる事業承継を進める際には、「事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)」という補助金を活用できます。
この補助金では、相手を探す仲介会社への手数料や、会社の状態を詳しく調べるための調査費用(デューデリジェンス)など、M&Aを進めるうえでかかるさまざまな費用の一部を国に負担してもらえる可能性があります。
買い手と売り手で補助率や上限額が異なる場合もあるため、早めに制度の内容を確認し、資金計画に組み込んでおくと安心です。
別記事に、「事業承継に使える補助金とその活用方法」についてより詳しくまとめていますので、こちらもご覧ください。
親族内承継かM&Aか迷う場合は「TORUTE株式会社」へ

事業承継の方向性に迷ったとき、経営者さまおひとりで答えを出そうとする必要はありません。
TORUTE株式会社では、弁護士を中心として他の専門家とも連携しながら、親族内承継かM&Aかの判断から、相手探し・契約・引き継ぎまでを一貫してサポートさせていただいています。
「まず現状を整理したい」「自社にどんな選択肢があるか知りたい」という段階からでも、ぜひご相談ください。
大切にしているのは、経営者おひとりおひとりの想いに寄り添いながら、現実的な承継の形を一緒に考えていくことです。
初回のご相談は無料ですので、「会社を守りたい」「従業員に迷惑をかけたくない」といったそんな想いを抱えている場合、お気軽にお問い合わせください。
\事業承継の進め方がわかるマニュアル/
まとめ
事業承継は、「会社を未来へつなぐ」ための大切な決断です。
親族内承継かM&Aかに関わらず、早めに動き出すことで選択肢は大きく広がります。
「まだ先の話」と思っているうちに、気付けば選べる手段が限られてしまっていた、というケースも少なくありません。
完璧な準備が整ってから動く必要はありませんので、「何を守りたいのか」をぼんやりとでも言葉にできたなら、それが出発点になります。
おひとりで抱え込まず、専門家の力も借りながら、従業員・取引先・家族、そしてご自身が納得できる形で、会社を次の世代へとつないでいきましょう。
まずはお気軽にご連絡ください
受付時間/AM8:30~PM5:30(土日・祝休)
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