事業承継で親子が対立する理由は?起こりやすいトラブル・失敗例と、株式や役職をめぐる法律上の注意点も弁護士が解説!
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法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援
事業承継について具体的に考え始めると、親子であっても思うように話が進まず、戸惑うこともあるのではないでしょうか。
長年会社を守ってきた先代の立場からすると、「まだ任せるには早い」「慎重に進めたい」という想いがあるのではないかと考えます。
一方で、後継者は「今のうちに変えていかなければ先が厳しい」と感じていることも少なくありません。
どちらも会社の将来を真剣に考えているからこそ、考え方の違いが表に出やすくなりますが、
「このまま話がかみ合わなくて大丈夫だろうか」
「親子の対立が続くと、会社に影響が出るのではないか」
と不安が大きくなることもあるでしょう。
そこで本記事では、事業承継で親子が対立する理由や起こりやすいトラブル、実際の失敗例とその解決策をご紹介します。
関係をこじらせずに進めるための考え方や相談先についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

事業承継で親子が対立する理由とは
事業承継では、親子だから話しやすい面がある一方で、近い関係だからこそ気持ちがぶつかりやすくなることがあります。
仕事の話をしているつもりでも、これまでの親子関係や立場の違いが重なり、思った以上に話がこじれてしまうことも少なくありません。
例えば、事業承継で親子が対立する理由には、次のようなものがあります。
- 先代と後継者の考え方の違い
- 承継を進めたい時期のずれ
- 任せる範囲がはっきりしない
- 親子だからこその感情のぶつかり合い
承継は一度の話し合いでまとまるものではないため、まずはどこで食い違いが起きやすいのかを整理しておくことが大切です。
それぞれについて、具体的に解説していきます。
先代と後継者の考え方の違い
これまで長く会社を守ってきた先代は、経営するなかで景気の変動や取引先との関係を何度も乗り越えてきた経験があることから、慎重さを大切にしたい方も多いのではないかと考えます。
一方で後継者は、今の市場環境や人手不足を見ながら、新しい設備や採用方法を取り入れたほうがよいなど、挑戦していく意欲がある方も多いでしょう。
また、先代が「昔からの取引先との関係を大切にしたい」と考えていても、後継者は「利益の出にくい仕事は見直したい」と考えるケースなどもあります。
これらは、あくまでもひとつの例ではありますが、どちらも「会社を継続させていきたい」という気持ちから出ている考えではないかと思います。
こういった先代と後継者の考え方の違いがある場合、まずは正しいかどうかではなく、立場によって見えている景色が違うと受け止めることが大切ではないでしょうか。
承継を進めたい時期のずれ
事業承継では、承継を進めたい時期のずれがそのまま話し合いの停滞につながることがあります。
親子のどちらも承継の必要性は感じていても、「そろそろ進めたい」と考える時期が一致しないことは少なくありません。
例えば、日々の仕事は後継者が担っていても、大きな契約や資金の判断になると先代が前に出る状態が続いてしまうと、外部から見ても承継の区切りが見えにくくなります。
先代にとっては、取引先との関係や社内の落ち着きを考えると、区切りをつけるタイミングに迷うこともあるでしょう。
一方で、後継者も「次はどの仕事を任されるのか」「どこまで自分で判断してよいのか」が見えないままだと、動き方に悩みやすくなります。
そのため、「社長交代をいつにするか」だけではなく、営業・人の管理・資金のことなど、どの仕事から任せていくかを順に整理しておくことが大切です。
任せる範囲がはっきりしない
後継者に仕事を任せているつもりでも、任せる範囲がはっきりしないまま進んでいる状態も、親子が対立してしまうひとつの理由です。
例えば、営業や現場の対応は後継者が担っていても、取引条件の変更・採用・人事の判断になると先代が最終的に決めている、というようなケースです。
後継者としては、「担当しているのに最後は決められない」ともどかしく感じることがあるかもしれませんが、先代としては「まだここは見ておきたい」と思う気持ちが残るのも当然のことと言えます。
ですが、それをなんとなくでやり過ごしてしまうと、周囲も動きに迷いやすくなります。
そのため仕事を分けるだけでなく、どの内容まで後継者が判断するのかをあらかじめ言葉にしておくことで、後継者も納得して仕事に取り組みやすくなり、社内でも役割が伝わりやすくなるでしょう。
親子だからこその感情のぶつかり合い
事業承継では、仕事の話をしているつもりでも、相手が親子だと気持ちが先に動いてしまうことがあります。
これは、親子だからこその感情のぶつかり合いが起こりやすいためです。
例えば、経営について意見を交わしているなかで、後継者は「昔から自分の話を十分に聞いてもらえなかった」「まだ任せてもらえていない気がする」といった思いが重なることがあります。
反対に先代も、「会社の大変さはまだ伝わっていないのではないか」と感じることがあるかもしれません。
会社では落ち着いて話していても、自宅に戻ると感情が強くなってしまうことも少なくないのではないでしょうか。
親子は遠慮なく言える関係だからこそ、言葉が強くなりがちなことが想像できます。
そのため一度に多くを決めようとせず、その日のテーマを決めて話す時間をつくると、少し落ち着いて向き合いやすくなるかもしれません。
親子の対立を放置した場合の失敗例
親子のあいだで意見の違いがあっても、「今は忙しいから」「そのうち話せばよい」と、そのままになってしまうことがあります。
ただ、事業承継では時間が経つほど、かえって整理しにくくなることが考えられるのです。
具体的に、親子の対立を放置した場合の失敗例として、次のようなものがあります。
- 引き継ぎが進まなくなる
- 社員や取引先に不安が広がる
- 相続や株式の問題が起こりやすくなる
- 会社の将来が見えにくくなる
中小企業では仕事と家族の関係が近いため、話し合いが止まったままだと、その影響が少しずつ会社のなかにも広がりやすくなります。
小さな行き違いのうちに整理しておくことが、あとの負担を減らすことにつながるでしょう。
引き継ぎが進まなくなる
親子の対立が続くと、後継者に経験してほしい仕事ほど後回しになってしまい、引き継ぎが進まなくなることがあります。
例えば、重要な取引先との交渉や銀行とのやり取りを「もう少し様子を見てから」と先代が抱えたままにしていると、後継者は実際の判断を経験する機会を持ちにくくなるでしょう。
日々の業務は回っているように見えても、大事なことはまだ社長しかわからない状態が残りやすくなります。
そうしたまま時間が過ぎると、急な体調の変化や思わぬ出来事があったときに、社員や家族が戸惑うことにもつながるのです。
少しずつ実務に触れる機会を増やしながら、経験を積める形をつくっておくことが、結果として引き継ぎを安定させることになります。
社員や取引先に不安が広がる
親子で考え方が揃っていない様子は、思っている以上に周囲へ伝わり、社員や取引先に不安が広がることがあります。
例えば会議のたびに話す内容が変わったり、現場への指示が二重になったりすると、社員は「最終的に誰の判断に合わせればよいのだろうか」と迷いやすくなるでしょう。
取引先も、次に誰が中心となっていくのかを見ています。
もし後継者が前に出ていたとしても、その場で先代が判断を戻してしまうと、「まだ体制が固まっていないのかもしれない」と受け取られることもあります。
事業承継は社内だけの問題ではなく、外からの信頼にも関わるため、まずは伝える内容や役割を揃えておくことが大切です。
相続や株式の問題が起こりやすくなる
親子の対立を放置してしまうと、経営の話だけでなく、相続や株式の問題が起こりやすくなります。
特に自社株は、事業承継の進め方に大きく関わります。
「誰にどのくらい持たせるか」が決まらないままだと、あとになって家族のあいだで不満が出てしまうこともあるでしょう。
例えば、会社を継ぐ子どもに株式を集めたいと考えていても、他の相続人には「遺留分」という法律上認められた最低限の取り分があります。
もし準備がないまま相続になると、現金での対応が必要になり、会社の資金に影響することも考えられます。
話し合いが難しいと感じる場合でも、税理士などを交えて数字の整理だけでも進めておくと安心できるはずです。
会社の将来が見えにくくなる
親子の対立が続く状態は、大きな判断を先送りしやすく、結果として会社の将来が見えにくくなります。
例えば、新しい設備を入れるか・人を増やすか・今の仕事の進め方を見直すかといった話も、「もう少し様子を見よう」と止まりやすくなるでしょう。
慎重に考えているつもりでも、後継者から見ると「何も決まらない」と感じることがあります。
反対に、後継者が前向きに動こうとしても、十分な共有がないままでは進めにくく、会社全体として次の方向が見えにくくなります。
事業承継は役職を引き継ぐだけではなく、この先どのように会社を続けていくかを一緒に考える時間でもあるのです。
以下の記事では、事業承継のよくある失敗事例やトラブルの理由を解説していますので、こちらも参考にしてください。
関連記事:事業承継のよくある失敗事例13選!トラブル理由や落とし穴を回避するためのポイントも解説!
身内で会社経営するデメリット

身内で会社を支えることには安心感があります。
家族のことはよく知っているでしょうから、考え方や性格も理解しやすく、相談しやすいと感じる場面もあるでしょう。
一方で、身内で会社を経営するからこそ、次のようなデメリットもあります。
- 仕事と家庭の感情が混ざりやすい
- 強い言葉で言ってしまったり、逆に言えなくなったりする
- 従業員が意見を出しにくくなる
例えば、本来は仕事として整理すべきことでも、親子や家族という関係が前に出ると、必要以上に強く言ってしまうことがあります。
反対に、気を使って言うべきことを後回しにしてしまうこともあるでしょう。
また、家庭での会話や気持ちが翌日の判断に影響すると、社員からは理由が見えにくくなります。
もし「家族のなかで決まっている」と受け取られると、現場の声も上がりにくくなるかもしれません。
身内で経営するからこそ、役割や決め方をできるだけ見える形にしておくことが、会社全体の安心につながります。
親の会社を継ぐメリット・デメリットについては、以下の記事でも解説しています。
関連記事:親の会社を継ぐメリット・デメリットは?継ぐタイミングや手続き・迷ったときの判断基準も紹介!
親子での対立はもちろん、身内で経営するからこその難しさを感じていても、なかなかそれを他人に見せられないこともあるのではないでしょうか。
TORUTE株式会社では、想いに寄り添った形で承継の進め方をご提案させていただいておりますので、もし迷う場合は、ぜひ一度ご相談ください。

親子の確執をやわらげるための解決策
親子のあいだで生まれた考え方の違いや気持ちの行き違いは、すぐに解消できるものではないと考えます。
ただ、話し方や進め方を少し変えるだけで、これまで止まっていた話が動き出すことはあるのではないでしょうか。
ここでは、親子の確執をやわらげるための解決策として、次の4つをご提案させていただきます。
- 話し合いが必要なテーマを整理する
- 少しずつ任せる形をつくる
- 家族以外の意見を取り入れる
- 将来の進め方を言葉にして共有する
大切なのは「相手を変えよう」とすることではなく、落ち着いて話せる土台を整えることだと思いますので、よければ参考にしてみてください。
話し合いが必要なテーマを整理する
事業承継の話は、「会社のことをまとめて話そう」とするほど、かえって話が広がってまとまりにくくなります。
経営のこと・家族のこと・将来のことが切り離せないテーマですので、どこから話せばよいかわからなくなることもあるでしょう。
そのため、話し合いが必要なテーマを整理しながら、ひとつずつ区切って考えることが大切です。
例えば、「社長交代の時期」「どの仕事を任せるか」「株式をどうするか」といったように、テーマを分けるだけでも話しやすくなります。
一度に結論を出そうとせず、「今日は資金のこと」「次は従業員のこと」というように進めるだけで、落ち着いて向き合いやすくなるはずです。
少しずつ任せる形をつくる
事業承継は、ある日を境にすべてを切り替えるものではなく、少しずつ任せる形をつくることで、お互いに無理なく進めやすくなります。
例えば、取引先への訪問は後継者が中心におこない、大きな判断だけ先代が一緒に確認するという方法も考えられるでしょう。
こうした形を重ねると、先代は後継者の進め方を見ながら安心しやすくなり、後継者も少しずつ責任を持つ感覚が育っていきます。
最初から大きく変えようとせず、小さな場面から任せることが、結果として承継を安定させることにつながると言えます。
家族以外の意見を取り入れる
親子だけで承継の話をしていると、どうしてもこれまでの長い親子関係が前に出てしまいがちになるのも当然のことではないでしょうか。
そのため、家族以外の意見を取り入れるだけでも、話が整理されていくことがあります。
例えば、税理士・取引銀行・事業承継コンサルタントなど、普段から会社を見ている第三者が入ることで、感情ではなく現状に沿って話を進めやすくなります。
また、事業承継に詳しい専門家に相談するのも、ひとつの方法でしょう。
第三者はどちらか一方の立場ではなく、会社全体を見ながら整理してくれるため、「何から決めるべきか」が見えやすくなることがあります。
将来の進め方を言葉にして共有する
どれだけ承継を考えていても、「会社をそのうち任せる」という言い方だけでは、受け取り方に差が出てしまうことが考えられます。
ですが、将来の進め方をしっかりと言葉にして共有することで、お互いに見通しを持ちやすくなるはずです。
例えば、「2年後までに取引先対応は中心になってもらう」「来年から採用は任せる」といった形で具体的にしておくと、日々の動きも揃いやすくなるでしょう。
紙に書き出しておくだけでも、話が途中でぶれにくくなるのでおすすめです。
すべてを細かく決めなくても、大まかな方向を共有しておくことが、お互いにとって安心につながります。
親子間で起こりやすい実務トラブルは?

親子で事業承継を進めるときは、親子間で起こりやすい実務トラブルにも目を向けておくことが大切です。
表立った問題がなくても、日々の業務のなかで細かな引き継ぎが十分でないままになっていることがあります。
なかでも次のようなことは、起こりやすい内容だと言えるでしょう。
- 取引先との契約内容を先代だけが把握している
- 請求の締め日や値引きの判断が慣習のまま続いている
- 借入の経緯や返済の流れを先代しか説明できない
- 自社株・代表印・契約書類の保管場所が共有されていない
例えば、長年の支払い条件が口頭だけで続いていると、後継者は同じように対応できず戸惑うことがあります。
また銀行とのやり取りでは、金融機関から過去の借入内容について確認されたときに、後継者がすぐには説明できず、その場で確認に時間がかかることも考えられるでしょう。
さらに建設業や運送業では、許可更新に必要な書類がすぐに出せないだけでも、手続きに影響することがあるかもしれません。
こうした実務は普段問題なく見えていても、いざというときにトラブルにつながりやすい部分です。
日常の業務のなかで少しずつ内容を整理し、必要な情報を共有しておくと安心につながるでしょう。
以下の記事では、親子で事業承継を進める際の相続対策についても解説しています。
関連記事:事業承継の相続対策とは?具体的な方法や気をつけたい落とし穴・活用できる税制も解説!
親子間での事業承継でも相談先は必要?
親子で事業承継を進めていると、「家のことだから自分たちで解決していくべきだ」と感じるかもしれません。
けれども、会社のことが関わる以上、家族だけでは整理しにくい内容も出てきます。
例えば話し合いをしていても、途中で昔の出来事に話が広がったり、相手の受け取り方を気にして本題まで進まなかったりする場合もあるでしょう。
そんなときに、第三者が入ることで論点が整理され、次に何を決めるべきかが見えやすくなります。
ここでは、親子間での事業承継で相談先が必要なケースを、以下の3つに分けてご紹介します。

- 事業承継コンサルタントが必要なケース
- 税理士が必要なケース
- 弁護士が必要なケース
どこへ相談するかは、現在どのようなことに悩んでいるかによって変わります。
大きな問題になってからではなく、「少し整理したい」と感じた段階で早めに相談しておくと、余裕が生まれるので、参考にしてください。
事業承継コンサルタントが必要なケース
親子で話し合っていても、何から決めるべきかが見えなくなることがあります。
そうしたときは、全体の流れを見ながら整理してくれる事業承継コンサルタントへの相談がおすすめです。
例えば次のような場面では、目の前の話題ごとに意見がぶつかりやすく、全体の順番が見えにくくなりがちです。
- 何から話し始めればよいかわからない
- 後継者にどこまで任せるか決めきれない
- 会社を今後どうしていきたいか言葉にしにくい
また、民間の事業承継コンサルタントだけでなく、「事業承継・引継ぎ支援センター」のような公的な相談窓口を利用する方法もあります。
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継について無料で相談できる公的機関で、「何から整理すると進めやすいか」を一緒に確認してもらえるのが特徴です。
そのうえで個別の事情に合わせて具体的に進めたい場合は、必要に応じて事業承継コンサルタントへ相談すると、方向が見えやすくなるでしょう。
税理士が必要なケース
親子間で事業承継を進めるなかで、自社株や税金の整理が関わる場面では、税理士が必要なケースがあります。
例えば次のような内容は、相談しておくことで整理しやすくなるでしょう。
- 今の株価がどのくらいか
- 相続や贈与でどの程度の負担が見込まれるか
- 事業承継税制を使える可能性があるか
特に、自社株の評価やどのように移すかについては、早めに確認しておきたいところです。
会社の業績によっては株価が想像以上に高くなり、贈与や相続の方法によって負担が大きく変わることがあります。
数字が見えるようになると、親子でも感覚だけで話すより、落ち着いて判断しやすくなるでしょう。
弁護士が必要なケース
親子間で話し合いを進めていても、相続や他の家族との調整が必要になる場面では、弁護士が必要なケースがあります。
例えば、会社を継ぐ子どもに株式を集めたいと思っていても、他の相続人とのバランスを考えなければならないことが出てきます。
特に、次のような場面では、早めに弁護士へ相談しておくと安心です。
- 自社株を後継者一人に集めたい
- 遺言書をまだ作っていない
- 他の兄弟姉妹との関係が気になる
準備をしないまま相続になると、あとから他の相続人とのあいだで「取り分」の調整が必要になり、それが会社の資金に影響することも考えられます。
弁護士に相談することで、遺言書の整え方や遺留分への備えを含め、将来の行き違いを減らしやすくなるでしょう。
親子の対立が会社法上の問題に発展する場面と確認したい点
親子の意見の食い違いは、感情の問題として語られがちですが、会社の経営では法律上の問題に直結することがあります。熊本市・八代市でご相談を受けていても、親子の対立の背景に、株式や役職をめぐる法律上のずれが隠れているケースは少なくありません。
よく見られる場面を、表で整理します。
| 対立の場面 | 法律上の問題 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 子が社長になったが、親が株式の多くを持っている | 株主総会での議決権を親が握っており、子の意向どおりに経営判断できないことがある | 株式の保有割合と、移転の時期の取り決め |
| 親が代表を退かない | 子は役職上の肩書きがあっても、代表権がなければ契約などを自由におこなえない | 代表取締役の変更時期と、登記の手続き |
| 役員報酬・退職金の額で揉める | 金額は会社の決議と、会社の財務の状況によって制約を受ける | 支払える金額の目安と、決議の手続き |
| 会社と個人の資金が混ざっている | 親が会社の資金を私的に使っていると、責任の問題が生じるおそれがある | 経理の区分と、貸付や仮払の整理 |
株式を持つ親と、社長になった子の力関係
代表取締役を子に譲っても、親が株式の多数を持ち続けていると、株主総会で取締役の選任や解任を決める立場は親にあります。子としては、社長になっても、実質的には親の意向に左右される状況が続くことになりかねません。
反対に、株式を子に渡したあとで親子の関係が悪くなると、親が経営に関与できなくなり、親が不満を抱くこともあります。承継の際には、役職の交代と株式の移転をいつ、どのように進めるのかを、あらかじめ合意しておくことが大切です。
親が退任するときの役員報酬と退職金
親が代表を退く際の退職金や、退任後の顧問報酬について、金額や期間が決まっていないと、後から対立の原因になります。役員の退職慰労金は、会社の決議を経て支払うのが一般的で、会社の資金繰りへの影響も考える必要があります。
税務上の扱いも関わるため、金額を決める前に税理士にも確認しておくと安心です。口頭の約束ではなく、書面に残しておくと、お互いの認識のずれを防ぎやすくなります。
会社と個人の財産を区別しておく
家族経営の会社では、会社の口座から生活費を出していたり、個人の資産を会社の事業に使っていたりと、会社と個人の区別があいまいになりがちです。承継のときに、後継者が「どこまでが会社の財産なのか」を把握できず、親子の間で不信感が生まれることがあります。
貸付金や仮払金などの形で処理されている場合は、その内容を整理し、承継までに明確にしておくことが望ましいでしょう。
別記事では「事業承継での弁護士の役割は?依頼するメリットや費用・他の専門家との違い」についても解説していますので、あわせてご覧ください。
話し合いがこじれたときの進め方と、書面で残しておきたいこと
親子で話し合っても結論が出ず、感情的な衝突が続くと、事業の継続そのものが危うくなります。そのようなときに、冷静に進めるための考え方をご紹介します。
承継の時期・役割・株式移転の予定を覚書にする
承継に関する合意は、口頭だけで終わらせず、覚書などの書面にまとめておくことが有効です。いつまでに代表を交代するのか、株式をどのような順序で移すのか、親は退任後どのような関わり方をするのかといった内容です。
書面にすることで、「言った、言わない」の争いを防ぎ、お互いの認識が揃っているかどうかを確認する機会にもなります。内容は会社や家族の事情によって異なるため、専門家に確認しながら作成するとよいでしょう。
第三者を窓口にして感情と論点を切り分ける
親子だけで話し合うと、昔の出来事や感情が混ざり、本来の論点が見えなくなることがあります。弁護士などの第三者が間に入ることで、感情的な部分と法律・財務の論点を分けて整理しやすくなります。
第三者に入ってもらうことは、親子の関係を断つことを意味するわけではありません。むしろ、関係を守りながら承継を進めるための手段として、早めに活用する方が増えています。
調停や訴訟になる前に、できることを検討する
対立が深刻化すると、相続や株式をめぐって裁判所の手続きが必要になる場合があります。ただし、いったん法的な手続きに進むと、解決まで時間がかかり、会社の経営にも影響が出るおそれがあります。
そのような事態を避けるためにも、対立が小さいうちに、書面での整理と第三者の関与を検討することが望ましいといえます。個別の事情によって適した方法は異なりますので、早めにご相談ください。
別記事では「事業承継の相続対策とは?具体的な方法や気をつけたい落とし穴・活用できる税制」についても解説していますので、あわせてご覧ください。
親子での事業承継は「TORUTE株式会社」へ

親子での事業承継は、話を進めようとしても考え方の違いから話がかみ合わず、思うように前へ進まないことがあります。
お互いが会社のことを大切に考えているからこそ、それぞれの立場で気になる点が増え、何を先に決めればよいのか見えにくくなることもあるでしょう。
TORUTE株式会社では、親子間で整理しにくい論点をひとつずつ確認し、現実的な承継の進め方を一緒に考えさせていただいています。
弁護士を中心に、他の専門家と連携して進めることができるため、承継全体のサポートとしても安心していただけるのではないかと思います。
初回は無料で相談できるため、「まだ大きな問題ではないが、このままでよいのか気になる」と感じる段階でも、お気軽にご相談ください。
大切なのは、親子どちらかの考えを押し通すことではなく、これまで守ってきた会社をどう次へつないでいくかを落ち着いて整理することです。
経営者さまがこれまで会社を守ってきた想いを大切にしながら、無理のない形をともに模索できますと幸いです。
\事業承継、何から始めるか迷ったら/
まとめ
事業承継で親子の考えがぶつかることは、決して珍しいことではありません。
むしろ、会社をどう守り・どう次へつないでいくかを真剣に考えているからこそ、見えている課題や大切にしたいことに違いが出るとも言えます。
ただ、そのまま話しにくい状態が続くと、引き継ぎの準備や実務の整理が後回しになり、会社全体に影響が広がることもあるでしょう。
大切なのは、すぐに結論を出そうとするのではなく、何について考え方がずれているのかを少しずつ整理していくことです。
親子だけでは進めにくいと感じるときは、必要に応じて専門家の力を借りながら、会社にとって無理のない形を探していくのがおすすめです。
焦らずにひとつずつ整えていくことが、次の世代へ安心してつないでいく土台になります。
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