事業承継で妻が会社を継ぐことはできる?手続き方法や自社株の扱い・注意点を解説!

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西田 幸広 弁護士

監修者:弁護士 西田幸広

法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援

「そろそろ引退を考えたいが、子どもはまだ継げる状態ではない。それなら長年会社を支えてくれている妻に任せられないだろうか」と考え始める経営者の方は少なくありません。

事業承継というと親子間のイメージが強いため、妻への事業承継はできるものなのか、不安に感じるのも自然なことだと言えるでしょう。

また、いざ検討を始めると、進め方や税金の負担など、わからないことも次々と出てくるものです。

そこで本記事では、事業承継で妻が会社を継ぐことはできるのかという疑問にお答えしながら、手続き方法・自社株の扱い・注意点をわかりやすく解説していきます。

ご夫婦で会社の未来を考えていくきっかけとして、参考にしてください。

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事業承継で妻が会社を継ぐことはできる?

結論からお伝えすると、妻が会社を継ぐことは可能です。

会社法上、後継者を子どもや親族に限る決まりはなく、配偶者が経営を引き継ぐことに法律上の制限はありません。

実際、中小企業の事業承継では、親族内承継のひとつの形として、妻が経営を引き継ぐケースが選ばれています。

特に夫婦で会社を営んできた企業では、社内の事情をよく知る存在が奥さまであることも多く、決して特別な選択ではないと言えるでしょう。

大切なのは「継げるかどうか」よりも、「どのような形で継ぐか」です。

ここでは、妻への承継が向いているケースや、始める前に何を確認すべきかを解説していきます。

妻が後継者になりやすいケース

妻が後継者になりやすいのは、これまで経理・給与計算・従業員対応などを通じて、会社の内情をよく理解しているケースです。

長年一緒に会社を支えてきた奥さまであれば、従業員や取引先との信頼関係もすでに築かれていることが多く、承継後の混乱が起きにくいと言えます。

また、子どもがまだ若い、あるいは継ぐ意思が固まっていない場合に、妻がいったん経営を引き継ぎ、将来子どもへバトンをつなぐ「中継ぎ」としての承継も現実的な選択肢です。

こうした状況に当てはまる会社ほど、妻への承継はスムーズに進みやすいでしょう。

妻が会社を継ぐ前に確認したいことは?

妻が会社を継ぐ前に、まず確認したいのはご本人の意思です。

「頼めば引き受けてくれるだろう」と夫側が思っていても、妻にとっては生活が大きく変わる決断ですので、負担や不安も含めて率直に話し合うことが欠かせません。

さらに、年齢や健康面から何年くらい経営を担えそうか、経営判断まで担うのか実務中心なのかという役割の範囲も整理する必要があります。

そのうえで、お子さまや他のご家族が納得しているか、借入金や保証を引き継げる見通しがあるかも、早い段階で確認しておきたいポイントです。

妻が社長になることと自社株を持つことは別?

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実は見落とされやすいのですが、妻が社長になることと自社株を持つことは別の話です。

社長、つまり代表取締役への就任は、株主総会や取締役会の決議と登記によっておこなう「経営を任せる」手続きです。

一方、自社株は会社のオーナーとしての地位を表すものであり、株主総会での議決権を通じて会社の重要事項を決める力を持ちます。

肩書きだけ妻に代わっても、株主が夫のままでは最終的な決定権は夫に残ったままです。

車にたとえるなら、運転席に座るのが社長で、車の持ち主が株主というイメージになります。

両方をどう引き継ぐかを、セットで考えることが大切だと言えるでしょう。

妻への事業承継で引き継ぐものと手続き方法

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妻への事業承継では、肩書きだけでなく、経営・株式・お金・人間関係という4つの要素を順序立てて引き継ぐことが成功の鍵になります。

ここでは、引き継ぐものと手続き方法として、次の4つをご紹介します。

  • 経営の役割を少しずつ引き継ぐ
  • 自社株と議決権を整理する
  • 借入と経営者保証を確認する
  • 従業員・取引先への伝え方を考える

それぞれ具体的に解説しますので、イメージしながら読み進めてみてください。

経営の役割を少しずつ引き継ぐ

経営の役割は、一度にすべてを渡すのではなく、少しずつ引き継ぐのが現実的です。

まずは妻に役員として、経営会議や金融機関との面談に同席してもらい、判断の背景を共有するところから始めるのがよいでしょう。

そのうえで代表取締役への就任は、株主総会などの決議を経て、法務局で役員変更の登記をおこないます。

夫が代表を退いたあとも、一定期間は会長などの立場で残り、判断に迷う場面を支える体制にしておくと、妻も従業員も安心しやすくなります。

自社株と議決権を整理する

自社株については、誰が何株を持っているかを整理し、後継者となる妻に議決権を集中させることが基本です。

株主総会の決議を安定して通すには、普通決議なら過半数、定款変更などの特別決議なら3分の2以上の議決権を確保しておくことが目安になります。

そのため、株式が親族間で分散していると、妻が社長になっても思うように経営判断ができないおそれがあるのです。

まずは株主名簿を確認し、誰から・いつ・どの方法で株式を妻へ移すのかという計画を立てておきましょう。

借入と経営者保証を確認する

借入金がある場合は、金融機関との調整も欠かせません。

中小企業の借入では、社長個人が連帯保証人になっているケースが多く、代表交代の際に妻が新たに保証を求められるのか、夫の保証は外れるのかを確認する必要があります。

この点については、全国銀行協会と日本商工会議所がまとめた「経営者保証に関するガイドライン」において、事業承継時に前経営者と後継者の双方から二重に保証を求めないことを原則とする考え方が示されています。

代表交代を決める前に、金融機関へ早めに相談しておくと安心です。

従業員・取引先への伝え方を考える

従業員や取引先への伝え方は、承継の成否を左右する大切な要素です。

長年支えてくれた奥さまであっても、「社長が交代する」という事実は、周囲に少なからず動揺を与えます。

そのため、まずは幹部や古参の従業員に個別に説明し、そのうえで全体へ発表するなど、順序を踏むと受け入れられやすくなるでしょう。

取引先には、夫婦そろって挨拶に伺い、今後の体制と夫の関わり方をあわせて伝えると、信頼関係を保ちやすくなります。

このように事業承継では、まず全体の流れを事前に把握しておくことも大切になります。

事業承継全体でやるべきこと」は、別記事でも詳しくまとめているので、参考にしてください。

また、引き継ぐものの整理や手続きを進めていくなかでは、専門家のサポートが不可欠になる場面も少なくありません。

TORUTE株式会社では、ご夫婦それぞれの想いに寄り添った形で、現実的な承継のご提案をさせていただきますので、迷うことがある場合はぜひ一度ご相談ください。

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妻へ自社株を引き継ぐ際の扱い方は?

妻へ自社株を引き継ぐ方法は、大きく分けて次の3つです。

  • 生前贈与
  • 売買(株式譲渡)
  • 相続

まずは、それぞれの違いを表で確認してみましょう。

方法概要主にかかる税金特徴・注意点
生前贈与夫の生前に株式を無償で妻へ渡す方法妻に贈与税計画的に進めやすい一方、株価が高いと贈与税の負担が大きくなりやすい。
売買(株式譲渡)妻が夫から株式を買い取る方法夫に譲渡所得への所得税など妻自身の資金で買い取る必要がある。対価が明確に残るため、他の相続人にも説明しやすい。
相続夫の死亡後に妻が株式を相続する方法妻に相続税準備のないまま承継が始まるため、経営の空白や親族間トラブルが生じやすい。

3つの方法のうち、夫婦で計画的に進めやすいのは生前贈与だと言えます。

元気なうちに、時間をかけて少しずつ株式を渡していけるため、妻も心の準備をしながら経営者としての立場を固めていけるでしょう。

また売買(株式譲渡)は、妻自身の資金で買い取れるかどうかが分かれ目になります。

夫が買取資金を援助すると、その資金が贈与とみなされるおそれがあるため、妻名義の預貯金など、妻固有の資金を確認しておくことが欠かせません。

株式の対価がはっきりと形に残るため、子どもなど他の相続人との公平を保ちやすい方法です。

一方、相続は「何も準備をしなければ、最終的にこうなる」という方法でもあります。

ご自身に万が一のことがあったとき、奥さまは悲しみのなかで経営と相続手続きを同時に抱えることにもなりかねません。

どの方法にも一長一短がありますので、株価・家族構成・夫婦の年齢などを踏まえて、元気なうちに方向性を決めておくことが大切になるでしょう。

別記事では、「事業承継の相続対策」について解説しているので、こちらもぜひご覧ください。

妻への承継で税金を考えるときのポイント

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妻への承継で税金を考える際は、「いつ・どの方法で渡すか」で負担が大きく変わります。

生前贈与では暦年課税の基礎控除(年110万円)を活用できますが、相続時精算課税の対象は18歳以上の子や孫などに限られ、夫婦間では利用できません。

そのため株価が高い会社では、贈与税が重くなりやすい点に注意しましょう。

また、売買でも時価より著しく安く譲ると、差額が贈与とみなされるおそれがあります。

一方、相続では申告をおこなうことで、1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い金額までは相続税がかかりません

ただし、妻から子への二次相続まで含めると、かえって全体の負担が増えることもあるでしょう。

いずれの方法でも出発点は自社株の評価額ですので、まずは株価を把握し、早めに専門家へ相談しておくのがおすすめです。

事業承継では、税金を考える場合に「事業承継税制」が検討される場合も少なくありません。

別記事では、「事業承継税制で相続税が免除される要件と認められないケース」についてまとめていますので、こちらも参考にしてください。

妻が会社を継ぐときの3つの注意点

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妻への事業承継は、身近な相手だからこそ進めやすい反面、身近さゆえの落とし穴もあります。

ここでは、妻が会社を継ぐときの注意点として、次の3つをご紹介します。

  • 名義だけを妻に変えない
  • 自社株を家族間で安易に分けない
  • 妻の生活と子どもへの再承継も考える

事前に把握しておくことで、承継をスムーズに進められるだけではなく、会社の将来にもつながりますので、詳しく見ていきましょう。

なお、実際につまずきやすい「事業承継の失敗事例」は、別記事でもご紹介しています。

名義だけを妻に変えない

まず注意したいのが、実態をともなわないまま、名義だけを妻に変えてしまうことです。

節税や対外的な事情から形式的に代表を交代しても、実際の経営判断を夫が握ったままでは、金融機関や取引先からの信頼を損ないかねません。

また、代表取締役には法律上の責任がともなうため、経営に関与していない妻が責任だけを負わされる形にもなりえます。

妻が実際に経営へ関わる体制を整えてから、名義を変えるようにしましょう。

自社株を家族間で安易に分けない

事業承継では、「公平に」という想いから、自社株を妻と子どもたちへ均等に分けたくなるかもしれません。

しかし株式を家族間で安易に分散すると、経営方針をめぐって意見が割れたとき、会社の意思決定が止まってしまうおそれがあります。

自社株は財産であると同時に経営権そのものですので、経営を担う妻へ集中させることが基本です。

他の相続人には株式以外の財産で配慮するなど、一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分である「遺留分」にも目配りしながら分け方を考えていきましょう。

妻の生活と子どもへの再承継も考える

妻への承継を考えるときは、妻自身の生活と、その先の再承継まで視野に入れておきたいところです。

妻が経営を担う期間はどのくらいか、その間の報酬や夫婦の老後資金は足りるか、そして将来子どもへ引き継ぐ場合にどのタイミングで株式を渡すのかを、あらかじめ描いておきましょう。

妻への承継を「一時しのぎ」で終わらせず、次の世代へつなぐ通過点として設計しておくことで、家族も従業員も安心して歩みを進められるはずです。

承継の時期の考え方やタイミング」については、別記事でも詳しく解説しています。

妻への事業承継は誰に相談するべき?

妻への事業承継では、テーマごとに相談先が分かれます。

具体的な専門家と相談内容は、次のとおりです。

相談先相談内容
事業承継・引継ぎ支援センター承継の進め方全般の相談・承継計画づくりの支援・必要に応じた専門家の紹介
税理士自社株の評価・贈与税や相続税の試算・納税資金の検討
金融機関借入金の引き継ぎ・経営者保証の見直しに関する協議
司法書士代表取締役の変更登記など法務局への手続き
弁護士株式の引き継ぎ方の設計・遺言や遺留分への備え・家族間の調整といった法的な整理

「事業承継・引継ぎ支援センター」は、国が各都道府県に設置する公的窓口です。

初回相談は原則無料ですが、専門家に依頼する段階では費用がかかる場合があります。

そして、妻への承継で特に意識しておきたいのが弁護士の存在です。

妻への承継では、他の相続人との関係など家族間の法律問題が絡みやすく、個別の手続きだけでなく、全体を見渡して将来の争いを防ぐ形に整える視点が欠かせないためです。

弁護士は「揉めてから頼る存在」と思われがちですが、実際には揉めないための設計図を一緒に描く段階でこそ力を発揮します。

誰にどの順番で相談するか迷ったら、まず全体を整理できる相談先を選ぶとよいでしょう。

弁護士を中心としたTORUTE株式会社がサポートさせていただいた成功事例を、別ページにまとめていますので、こちらも参考にしてください。

妻への事業承継を考える場合は「TORUTE株式会社」へ

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ここまで見てきたように、妻への事業承継では、税金・登記・借入・家族間の調整と考えることが多く、「結局、どこから相談すればよいのか」と迷われるのも無理はありません。

TORUTE株式会社では、弁護士が窓口となって経営者さまのお話を丁寧に伺い、まず全体の整理からサポートさせていただいております。

そのうえで、他の専門家とも連携しながら、株式・税金・借入・ご家族への配慮まで含めて、ワンストップで承継を進めていくことが可能です。

ご夫婦の想いに寄り添いながら、無理のない承継の道筋を一緒に考えていくことを大切にしております。

初回のご相談は無料となりますので、「まだ方向性が決まっていない」という段階でも、お気軽にお問い合わせください。

「事業承継に役立つ無料マニュアル【完全版】」もプレゼントさせていただいています。

\事業承継、何から始めるか迷ったら/

まとめ

事業承継で、妻が会社を継ぐことは十分可能です。

長年会社を支えてきた奥さまだからこそ、従業員や取引先に安心感を与えられる承継の形になりうると考えます。

大切なのは、社長という肩書きと自社株という経営権をセットで考え、どの方法で株式を渡すのかを、税金・借入・経営者保証まで含めて整理しておくことです。

ただし、これらすべてをご夫婦だけで判断する必要はありません。

妻の生活や子どもへの再承継まで見据えて、信頼できる相談先とともに準備を進めれば、妻への承継は一時しのぎではなく、会社を次の世代へつなぐ確かな一歩になります。

夫婦で歩んできた会社のこれからを、まずはお二人で話し合うところから始めてみてはいかがでしょうか。

まずはお気軽にご連絡ください

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受付時間/AM8:30~PM5:30(土日・祝休)

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