事業承継税制の延長はいつまで?特例承継計画の期限・スケジュールと使う前の注意点を弁護士が解説!

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西田 幸広 弁護士

監修者:弁護士 西田幸広

法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援

最近、「事業承継税制の延長はいつまで?」と疑問を抱く経営者の方が増えているように感じます。

制度の延長が報じられてはいるものの、実際の提出期限や手続きの流れがはっきりせず、「自社はまだ間に合うのだろうか」と不安を感じておられる方も少なくありません。

事業承継税制とは、一定の条件を満たすことで贈与税や相続税の負担を一時的に猶予し、最終的に免除される可能性のある制度です。

延長によって準備期間は広がりましたが、提出期限を過ぎてしまうと制度の適用を受けられないことがあります。

本記事では、事業承継税制の延長はいつまでかを整理しながら、特例承継計画の提出期限や緩和された要件についてもわかりやすく解説していきます。

今後の準備に向けて、ぜひ参考にしてください。

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事業承継税制の延長はいつまで?

事業承継税制の特例措置について、まずは最新の期限を整理しておきましょう。

【最新の提出・適用期限まとめ(2026年7月現在)】

特例承継計画の提出期限承継(贈与・相続)の適用期限
法人版(非上場株式等)2027年9月30日2027年12月31日
個人版(個人事業用資産)2028年9月30日2028年12月31日

2026年度の税制改正によって、法人版では、特例措置を受けるために必要な「特例承継計画」の提出期限が1年6ヵ月延長され、2027年9月30日までとなりました。

ただし注意すべきなのは、延長されたのはあくまで「特例承継計画の提出期限」です。

「贈与・相続による承継の適用期限」は別に定められており、法人版では2027年12月31日の期限までに承継を完了させなければ制度の対象外となります。

「延長されたなら、少し様子を見ても大丈夫だろう」と思われるかもしれませんが、実際には計画の提出やそのあとの実行までに多くの準備が求められます。

延長は準備期間が少し長くなったに過ぎず、制度の適用期限は以前のままである点をしっかり押さえておきましょう。

法人版(非上場株式等)の場合

法人向けの事業承継税制は、非上場株式などを贈与や相続によって引き継ぐ際の税負担を大きく軽減できる制度です。

中小企業の後継者が要件を満たしたうえで自社株を承継する場合、贈与税や相続税の100%が猶予される仕組みとなっています。

この制度を活用すれば、後継者に株式を移しながらも経営権を保ち、段階的に世代交代を進めることが可能になるため、有効な選択肢と言えるでしょう。

法人版(非上場株式等)の場合のイメージ画像

引用:中小企業庁|法人版事業承継税制(特例措置)

ただし特例措置を利用するには、前述したように、特例承継計画を2027年9月30日までに提出し、実際の承継を2027年12月31日までに完了することが条件です。

このように、特例承継計画の提出期限と承継の適用期限の差はわずか3ヵ月しかありません。

計画を提出してから実際の承継手続きを済ませるまでの準備期間は非常に短いため、できるだけ早く動き出すことが大切になります。

個人版(個人事業用資産)の場合

個人向けの事業承継税制は、店舗や工場の土地・建物・機械設備など、事業の基盤となる個人事業用資産を後継者に引き継ぐ際に活用できる制度です。

個人版(個人事業用資産)の場合のイメージ画像

2026度の税制改正では、先の表でもお伝えしたように、個人版の特例承継計画の提出期限も延長されており、2028年9月30日までとなっています。

法人向け制度との違いは、承継の対象が会社の株式ではなく、個人が所有する事業用の資産であるという点です。

事業を引き継ぐ際には、こうした資産を相続や贈与によってスムーズに移転でき、税負担を抑えながら事業を続けていくことができるでしょう。

また、後継者が成年であること・事業を継続する意思が明確であることも重要な条件となります。

法人向け制度と同様に、期限内に計画を提出しなければ制度の対象外となってしまうため、早めの準備がおすすめです。

事業承継税制が延長された理由

事業承継税制が延長された背景には、中小企業の後継者不足と経営者の高齢化があります。

帝国データバンクの2024年「全国「社長年齢」分析調査」によると、日本企業の社長のうち60歳以上が51.7%を占め、今後10年で70歳を超える経営者がさらに増えるとみられています。

事業承継税制が延長された理由のイメージ画像

引用:帝国データバンク|全国「社長年齢」分析調査(2024年)

一方で、後継者がすでに決まっている企業は依然として少なく、中小企業庁の「2024年版 中小企業白書」によると、2023年時点の後継者不在率は54.5%です。

後継者不在率の推移をイメージした画像

引用:中小企業庁|2024年版 中小企業白書 第6節 事業承継

このままでは事業の継続が難しくなり、地域の雇用や経済の縮小につながる恐れがあることから、政府は2026度の税制改正において、法人版の特例承継計画の提出期限を2027年9月30日まで延長し、あわせて要件の一部を緩和しました。

この改正は、制度を「時間切れ」で使えなくなる経営者を減らし、後継者への引き継ぎをより確実かつ計画的に進めるための環境を整えることを目的としています。

限られた経営資源を地域に残し、次の世代へとつなげていくための「最後の準備期間」として制度が延長されたと言えるでしょう。

事業承継税制の期限延長の経緯

事業承継税制の特例措置は、2018年度の税制改正で新たに創設されました。

それ以前は2009年に導入された旧制度である「一般措置」が適用されていましたが、要件が厳しく利用が進まなかったため、中小企業の実情に合わせた柔軟な仕組みとして「特例措置」が設けられたのです。

この特例制度は、2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与・相続を対象にスタートしました。

その後、コロナ禍による経営環境の悪化や後継者探しの長期化を受けて、2024年度(令和5年度)の税制改正で特例承継計画の提出期限が2026年3月31日まで延長。

さらに2026度の税制改正によって2027年9月30日まで再延長されたという経緯があります。

事業承継税制は今後も延長の可能性がある?

今回の税制改正大綱では、「適用期限到来後のあり方については、世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念に加えて、本措置の適用状況や課税の公平性等の観点も踏まえて多角的な検討を行い、令和9年度税制改正において結論を得る」とされています。

つまり、2027年12月31日の適用期限後の制度の行方は、2027年度の税制改正で正式に決定される見通しです。

国は「後継者難の解消が見えない限り、制度の継続は検討対象」としていますが、制度の方向性は社会情勢や税制全体の見直しに左右されます。

したがって「将来また延長されるかも」と期待するより、現行制度のうちに準備を完了させるほうが確実だと言えるでしょう。

まず確認すべき「特例承継計画」の準備とは

確認すべき「特例承継計画」の準備のイメージ画像

「特例承継計画」は、事業承継税制の特例措置を受けるための最初の関門にあたる書類です。

これを提出しなければ制度の対象にならないため、まず確認しておきたい大切な手続きと言えるでしょう。

計画書には、後継者の氏名や承継時期、どのように事業を引き継ぐのかという基本方針を明確に記載します。

作成にあたっては、商工会議所や金融機関などの認定支援機関の助言や指導を受けることが義務付けられているため、注意が必要です。

この計画は単なる書類作成ではなく、自社の未来像を描く「事業の設計図」のようなものなので、後継者にどのような形で託すのかをあらためて見つめ直すよい機会にもなります。

焦らず、専門家と一緒に内容を確認しながら進めるのがおすすめです。

提出期限までの具体的なスケジュール

特例承継計画の提出期限までは、一見するとまだ時間があるかのように感じられますが、実際には準備から提出までに多くの手順があります。

早めに全体の流れを把握しておくことで、余裕をもって進めることができるでしょう。

【特例承継計画の主なスケジュールの流れ】

1.現状の整理

まずは、自社の株式評価・資産状況・後継者候補の確認など基本的な情報を整理します。

現状を明確にすることが、次のステップをスムーズに進める土台になるでしょう。

2.計画書の作成

認定支援機関のサポートを受けて相談を重ねながら、事業の引き継ぎ方法・時期・後継者の役割などを具体的にまとめていきます。

3.提出・認定

完成した計画書を都道府県に提出し、審査・認定を受けます。

書類の確認や修正に時間がかかる場合もあるため、期限ぎりぎりではなく余裕をもって動くのがおすすめです。

書類の作成や確認には想像以上の時間が必要になるため、できることから早めに進めておくことが大切です。

そうすることで内容の精度も高まり、専門家の意見を反映させる時間も確保できるため、安心して承継の本番を迎えられるでしょう。

特例承継計画の準備における注意点

特例承継計画の準備では、以下の3つの点に注意が必要です。

  • 「今すぐ」の準備が必要
  • 混雑や審査期間を考慮する必要がある
  • 認定支援機関の指導・助言が義務付けられている

この3つはどれも「期限内に計画を提出できるかどうか」を左右する重要なポイントと言えるでしょう。

それぞれを詳しく解説します。

「今すぐ」の準備が必要

特例承継計画は、早めに動くほど完成度を高めやすくなる書類、と考えます。

というのも、作成には現状の整理・株式評価・後継者との面談・専門家との擦り合わせなど、複数の工程が関わるからです。

実際に手をつけてみると、必要な情報や資料が不足していることに気付く場合も多く、一度で仕上げるのは難しいと言えるでしょう。

そのため、早めに動き出すことで内容を見直す余裕や、修正の時間を確保できる点が大きなメリットになります。

また、法人版の場合、特例承継計画の提出期限(2027年9月30日)と実際の承継の適用期限(2027年12月31日)のあいだはわずか3ヵ月です。

計画提出から承継完了まで時間的余裕がほとんどないため、今すぐ動き始めることが不可欠となります。

認定支援機関の指導・助言が義務付けられている

先にも少し触れましたが、特例承継計画を提出する際は、商工会議所・金融機関・税理士などといった認定支援機関の指導や助言を受けることが義務付けられています。

この支援を受けずに独自で作成した場合、形式上の不備として受理されないため、注意が必要です。

認定支援機関は、事業承継税制に関する最新情報や提出時の実務を熟知しているため、単なる書類作成のサポートだけでなく、後継者教育や資産承継の段取りなど、経営の引き継ぎ全体を見据えたアドバイスが受けられるのが特徴です。

また、経営者が見落としやすいリスクや、金融機関・税務署との連携上の注意点も指摘してもらえるでしょう。

混雑や審査期間を考慮する必要がある

提出先である都道府県の審査機関は、時期によって大変混み合う傾向があります。

特に、全国的に提出が増える年度末や制度期限の前後は、審査・認定までの期間が通常より長くなることが考えられるでしょう。

また、提出後には「形式審査・内容確認・修正依頼」といった工程が続き、書類の不備や追加資料の要請があれば、1〜2ヵ月ほど時間を要するケースも少なくありません。

こうした事態を見越し、早めに支援機関との打ち合わせを始めておくことで、精神的にも大きな安心につながるはずです。

事業承継全体の進め方については、中小企業庁が策定した「事業承継ガイドライン」が参考になり、別記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

さらにTORUTE株式会社では、さまざまな専門家と連携して、事業承継税制を含めた承継のサポートをワンストップで進めることができます。

初回の相談は無料となりますので、まずは一度、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

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承継実行に向けて今やるべきこと3ステップ

事業承継税制の特例措置における特例承継計画の提出期限は延長されましたが、やるべきことは変わりません。

むしろ「期限まで時間がある」と思っているうちに、承継実行まで時間が足りなくなるケースも考えられるのです。

そこでここでは、承継実行に向けて今やるべきことを3つのステップで整理します。

承継実行に向けてやるべきこと3ステッのイメージ画像
  1. 後継者と自社株の状況を確認する
  2. 認定支援機関への相談と特例承継計画の準備
  3. 都道府県への提出と承継実行の段取り調整

それぞれ着手すべき内容を具体的に解説しますので、イメージしながら読み進めてみてください。

1.後継者と自社株の状況を確認する

承継の出発点となるのが、「誰に引き継ぐのか」と「何を引き継ぐのか」の確認です。

まず、後継者の候補が決まっているかどうかを確認しましょう。

候補者がいる場合でも、本人の意志・準備状況・役員就任の有無などをあらためて確認する必要があります。

次に、自社株(非上場株式)の評価額と保有状況を把握しておくことが重要です。

株式評価は専門的な計算が必要であり、評価額によって将来の税負担の見通しが大きく変わります。

「まだ決めていない」「よくわからない」という段階でも、専門家への相談を先延ばしにせず、この機会に現状を整理することが、スムーズな承継への第一歩になるでしょう。

2.認定支援機関への相談と特例承継計画の準備

現状が整理できたら、次は税理士・商工会議所・金融機関といった認定支援機関に相談し、特例承継計画の準備を進めます。

特例承継計画には、後継者の氏名・承継予定時期・経営方針の引き継ぎ方法などを具体的に記載します。

認定支援機関のサポートなしに提出することはできないため、早めに相談先を確定させておくことが大切です。

計画の内容をつくり込む過程で、あらためて「何を・誰に・どう渡すか」を見直す機会にもなります。

書類だけを整えるのではなく、承継の設計図として真剣に向き合うことで、あとの実行がよりスムーズになるでしょう。

3.都道府県への提出と承継実行の段取り調整

特例承継計画が完成したら、都道府県に提出し、認定を受けます。

そのうえで、実際の贈与・相続による承継を実行し、2027年12月31日までに完了させる段取りを整える流れです。

提出後には審査・認定のプロセスがあり、修正や追加書類が求められることもあります。

提出から認定まで1〜2ヵ月かかる場合もあるため、期限ぎりぎりでは間に合わないリスクも考えられるでしょう。

また、承継実行後も5年間の継続報告や、雇用状況の確認など一定の管理が必要です。

「計画を提出して終わり」ではなく、その先の実行と管理まで見据えて準備を進めていく必要があります。

「事業承継でまずやるべきこと」については、別記事でも詳しくまとめていますので、こちらもぜひお役立てください。

事業承継税制の要件は?

事業承継税制の要件のイメージ画像

事業承継税制を利用するには、いくつかの要件を満たす必要があります。

難しい制度に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえればそれほど複雑ではありません。

主な要件は、次のとおりです。

【主な適用要件】

・対象となる資産

承継の対象は、中小企業の非上場株式や、個人事業の場合は事業用の土地・建物・機械設備などの資産です。

上場企業や投資目的の資産は対象外となります。

・後継者の条件

承継を受けるのは、先代経営者の親族または従業員である必要があります。

親子間の承継だけでなく、信頼できる社員が引き継ぐケースも対象です。

・事業を継続していく見込み

承継後も5年間、事業を続ける見込みがあることが条件です。

一時的な引き継ぎではなく、「会社を未来へ残す」という意思が求められます。

・雇用の維持

従業員数の8割程度を維持することを基本とする「雇用確保要件」も設けられています。

「これは人を守ることが、事業を守ることにつながる」という考えに基づいています。

これらの要件を満たしたうえで承継をおこなえば、贈与税や相続税の支払いが猶予され、最終的には免除される可能性もあります。

制度を正しく理解し、早めに専門家へ相談しておくのがおすすめです。

「事業承継税制の要件やメリット・デメリット」については、別記事でもわかりやすく解説しています。

事業承継税制の要件は緩和されている?

事業承継税制の要件は、以前「従業員の8割を維持できなければ制度の対象外になる」という厳しい条件がありました。

しかし、2021年度の税制改正でこの雇用確保要件が大きく緩和されています。

2026年7月現在では、経営環境の変化や不測の事情などやむを得ない理由がある場合には、8割を下回ってもただちに承継計画が取り消されることはありません。

状況に応じて柔軟に判断されるようになり、より現実的に制度を利用できるようになったと言えるでしょう。

また、後継者が複数いる場合や、先代経営者の退任時期についても柔軟な扱いが認められています。

この制度は、事業を守り、次の世代へつなぐための支援策です。

完璧を目指すよりもできる範囲で前に進めていく姿勢で、うまく活用していきましょう。

「事業承継の税制優遇」についてより理解を深めたい場合は、別記事もご覧ください。

特例措置の適用期限後はどうなる?

もし、適用期限である2027年12月31日までに承継が完了しなかった場合、特例措置は利用できなくなります。

その際は、従来の制度である「一般措置」の対象となり、税の猶予割合が減るなど条件が厳しくなる点に注意が必要です。

今回の期限延長は永続的なものではなく、「今の経営者世代に最後のチャンスを与える期間」として設けられた猶予、であると考えておくとよいでしょう。

なお、親子間承継をお考えの方には、税制だけでなく補助金の活用も有効な選択肢のひとつです。

「親子間で使える事業承継補助金」については、別記事も参考にしてください。

特例措置が受けられない場合の税負担は?

特例措置を受けられない状態で贈与や相続をおこなうと、税負担が大きくなる可能性があります。

例えば自社株の評価額が1億円の場合、他の相続財産・基礎控除額・法定相続人の数などの条件によっては、数千万円単位の相続税が発生するケースもあるでしょう。

一方、特例措置を活用すれば、要件を満たすことで税額の全額が猶予され、最終的に免除されることもあります。

制度を使うかどうかで、資金繰りや会社の将来に大きな違いが生まれるため、早めに信頼できる専門家に相談するのがよいでしょう。

期限後に起こりうる影響は?

特例措置を使えないまま承継の時期を迎えた場合、税負担以外にもさまざまな影響が考えられます。

1. 後継者の資金繰りへの影響

特例措置がなければ、後継者は多額の贈与税・相続税を自力で準備しなければなりません。

もし資金の準備が間に合わない場合、会社の資産を売却したり、金融機関から借り入れを余儀なくされたりするケースもあります。

承継直後の経営に大きな負担がかかることは、経営の安定にとって大きなリスクです。

2. 一般措置への移行による条件の厳格化

特例措置から一般措置に移行した場合、猶予される税額の割合が減少し、雇用維持要件も厳しくなります。

特例措置では猶予割合が100%ですが、一般措置では贈与税が100%・相続税は80%にとどまります。

3. 事業継続そのものへのリスク

税負担が重くなることで、後継者が承継を断念するケースや、やむなく廃業を選ぶケースも起こりえます。

経営者が築いてきた事業・雇用・取引先との関係が失われる可能性を、制度の期限という観点からも真剣に考えておきたいところです。

事業承継税制のスケジュール|計画提出から申告・報告までの時系列

「延長はいつまで」と並んでよく調べられているのが、「実際にいつ何をすればよいのか」というスケジュールです。特例承継計画の提出は入口にすぎず、そのあとに認定申請・申告・継続的な報告が続きます。ここでは贈与で承継する場合を例に、おおまかな流れを整理します。具体的な日付や必要書類は年度や個別の事情により異なるため、必ず最新の案内をご確認ください。

順番手続き目安の時期提出先
1特例承継計画の策定・提出承継実行前(提出期限内)都道府県
2株式の贈与(または相続の開始)計画提出後から承継の適用期限まで–
3経営承継円滑化法の認定申請贈与の場合は翌年の10月15日〜1月15日、相続の場合は相続開始から8か月以内が原則都道府県
4贈与税・相続税の申告と納税猶予の届出贈与は翌年2月1日〜3月15日、相続は相続開始から10か月以内が原則税務署
5年次報告・継続届出承継後の5年間は毎年、その後は原則3年に1回都道府県・税務署

贈与の場合は「年をまたぐ」点に注意

贈与による承継では、贈与を受けた年の翌年に認定申請と贈与税の申告を行うことになります。つまり、適用期限の最終年に贈与する場合でも、申告や認定の作業は翌年に及びます。

期限直前に慌てて贈与すると、株式の評価や書類の準備が間に合わない可能性があります。贈与の時期を決める前に、申告までの工程を逆算して確認しておきましょう。

相続の場合は申告期限が短い

相続の場合、経営者の急な逝去が引き金になります。このとき、特例承継計画を事前に提出していなければ、特例措置を使えない場合があります。

また、相続開始後の認定申請や相続税の申告は期限が限られているため、平時から後継者や株式の状況を整理しておくことが重要です。

承継後の報告を忘れると猶予が打ち切られることがある

納税猶予を受けたあとも、年次報告や継続届出書の提出が必要です。提出を怠ると、猶予が取り消され、猶予されていた税額と利子税の納付が必要になることがあります。

担当者が変わっても報告が続くよう、提出時期をカレンダーや社内の管理表に残しておくとよいでしょう。

別記事では「事業承継の5年間とは?事業承継税制の手続きや注意点・5年経過後の対応」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

事業承継税制を使う前に確認したい法律上の落とし穴

事業承継税制は、税金の負担を猶予する制度です。しかし、親族間の権利関係や会社の状況によっては、使ってもうまくいかないことがあります。弁護士として相談を受ける中で、特に確認をおすすめする点をご紹介します。

猶予されるのは税金だけ?遺留分の問題は残る

納税猶予を受けても、他の相続人の遺留分が消えるわけではありません。生前に後継者へ自社株を集中させたあと、相続が発生して遺留分侵害額請求を受けると、後継者が金銭の支払いを求められることがあります。

この対策として、経営承継円滑化法には、遺留分に関する民法の特例(除外合意・固定合意)が用意されています。他の相続人の合意が必要になるため、後継者と他の相続人の関係を見ながら、早めに話し合うことが大切です。

取消事由に当たると猶予税額と利子税が一度に必要になる

猶予された税額は、一定の事由に当たると、利子税とあわせて納付が必要になります。たとえば、後継者が代表者を退任した場合や、猶予を受けた株式を譲渡した場合、会社が資産管理型の会社に当たってしまう場合などが挙げられます。

「将来売却するかもしれない」「後継者の意思が変わるかもしれない」といった事情がある場合には、制度を使うことが適切かどうか、慎重な検討が必要です。

会社の資産内容と事業実態も見られる

特例の対象となる会社には、資産保有型会社や資産運用型会社に当たらないことなどの要件があります。不動産や有価証券を多く保有している会社では、要件を満たすかどうかの判断が難しくなることがあります。

要件を満たすかは決算書の内容に左右されるため、顧問税理士・認定支援機関とあわせて早めに確認しましょう。

別記事では「事業承継に遺言書は必要?自社株・遺留分の注意点や作成ステップ」、「事業承継税制のメリット・デメリットは?特例措置の要件や期限・手続き」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

期限に間に合わない・使えないときの選択肢

「期限までに準備できそうにない」「要件を満たせない」という場合でも、承継の方法がなくなるわけではありません。熊本・八代でご相談を受ける中小企業でも、制度に頼らず別の方法で承継を進める例は少なくありません。

一般措置・暦年贈与・相続時精算課税との比較

特例措置が使えない場合には、一般措置のほか、暦年贈与や相続時精算課税を使って、計画的に株式を移す方法があります。それぞれ、税額の計算や相続開始時の取り扱いが異なります。

どの方法が有利かは、株価や贈与の時期、相続人の人数によって変わります。税理士による試算をもとに、複数の案を比べるのが現実的です。

株式譲渡やM&Aで第三者に引き継ぐ方法

親族や社内に後継者がいない場合は、事業承継税制の対象となる「親族や従業員への承継」が難しくなります。その場合は、株式譲渡や事業譲渡といった第三者への承継を検討します。

第三者承継は、譲渡価格の決め方や、従業員・取引先への説明、経営者保証の扱いなど、法律面の整理が欠かせません。早めに専門家に相談することで、選択肢を広く持てます。

制度の延長に頼らない準備の進め方

制度が再び延長されるかどうかは、今後の税制改正に委ねられます。確実なのは、現行制度の期限内に準備を終えるか、制度に頼らない承継の道筋も同時に用意しておくことです。

まずは、後継者候補・株式の保有状況・経営者保証の有無を整理し、「特例を使う場合」「使わない場合」の2つのパターンを用意しておくと安心です。

別記事では「事業承継の税金対策は?相続税や贈与税の抑え方と注意点」についても解説していますので、あわせてご覧ください。

事業承継税制のサポートは「TORUTE株式会社」へ

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事業承継は税金だけでなく、人・資産・信頼関係といった多くの要素が関わる、非常に繊細な取り組みであると考えます。

「誰に・どのように引き継ぐか」の判断を誤ると、思いがけない税負担や社内トラブルを招く可能性もあるでしょう。

「自社は特例承継計画の対象になるのか」「今から間に合うのか」といった点が気になる方は、まず一度ご相談ください。

TORUTE株式会社では、こうした不安を少しでも和らげるために、中小企業向けの事業承継支援や特例承継計画書の作成サポートなどもおこなっています。

他の分野の専門家とも連携し、法務・税務・経営の視点から最適な承継スケジュールを一緒に組み立てていくことが可能です。

法人版の承継適用期限である2027年12月31日まで、今から動き出しても決して余裕があるわけではありません。

この機会をどう活用するかで、会社の未来が大きく変わると考えます。

早めの一歩を踏み出すためにも、まずは無料相談からでも、お気軽にお問い合わせください。

あなたの会社の状況に寄り添い、最適な承継の形を一緒に考えてまいります。

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まとめ

事業承継税制の特例措置については、2026年度の税制改正によって、最新の期限が定められています。

法人版の特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、承継の適用期限は2027年12月31日です。

そしてこの2つの期限の差はわずか3ヵ月しかないため、計画提出から承継完了まで時間的余裕はほとんどありません。

延長は無期限ではなく、今の経営者世代に与えられた限られた機会と考えて、信頼できる専門家と相談しながら計画を固め、一つひとつの工程を早めに進めておくと安心です。

「今ならまだ間に合う」というこの期間を、次の世代へ確実にバトンを渡すための準備期間として活用していきましょう。

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