事業承継の手段としてM&Aも視野に入れていきたいと考えていても、いざ調べてみると専門用語も多く、少し身構えてしまうこともあるのではないでしょうか。
ですが「難しい」と感じるのは、手続きが複雑だからというだけではないと考えます。
M&Aは、決めなければならないことが多く、先の見通しが立てにくいことも不安につながりやすいと言えます。
特に中小企業の経営者の方は、従業員や取引先のことも背負っていますから、「失敗したらどうしよう」と慎重になるのは当然です。
そこで本記事では、M&Aが難しいと言われる理由をひとつずつ紐解きながら、中小企業の失敗率やよくある事例、整理すべきポイントをわかりやすく解説していきます。
まずは焦らず、一歩ずつ全体像をつかむところから始めて見てください。

目次
この記事を監修した弁護士
西田 幸広 法律事務所Si-Law代表
弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。
M&Aが難しいと言われる理由は?
M&Aは、単に会社を売ったり譲ったりするだけの話ではありません。
買い手を探すところから始まり、価格の整理・必要な資料の準備・相手側の詳細調査への対応・契約内容の確認・引き継ぎ後の運営まで見据える必要があります。
段階が進むごとに検討すべき点も変わるため、「今、自分は何を決めればよいのか」が見えにくくなることも少なくないと言えるでしょう。
ここでは、M&Aが難しいと言われる理由として次の7つをご紹介します。
- 買い手が見つかるかわからない
- 売却価格がわからない
- 資料の準備が大変
- 詳細調査に不安がある
- 契約が複雑でわかりにくい
- 社内や取引先への説明が難しい
- 引き継ぎ後がうまくいくか不安
ひとつずつ整理することで、「漠然とした不安」から「対処できる課題」へと変わっていくはずですので、まずは当てはまりそうな部分をイメージしてみてください。
買い手が見つかるかわからない
中小企業のM&Aで、最初に大きな不安となりやすいのが「買い手が見つかるかわからない」という点です。
上場企業のように情報が広く公開されているわけではなく、地域・業種・希望条件によって、候補が限られることもあります。
さらに買い手は、「この会社はこれからも利益を出し続けられるか」「社長が退いたあとも現場は回るか」といった将来性を重視します。
だからこそ、いきなり相手探しに動くのではなく、自社の強みや課題、譲れない条件を整理しておくことが大切です。
そういった準備がしっかりとできている会社ほど、話は前に進みやすくなると言えるでしょう。
売却価格がわからない
「いくらで売れるのか」は、誰にとっても気になるところであり、実際の売却価格がわからないと不安になるのも当然だと思います。
ただし、M&Aの価格は単純な相場表だけで決まるものではありません。
買い手は、その会社を引き継いだあとに安定して利益を出せるかどうかを重視するため、将来の見通しによって評価は大きく変わるのです。
例えば、社長個人の人脈に売上が依存している会社の場合、引退後に売上が落ちる可能性があると見られ、慎重に評価されることがあります。
反対に、業務が仕組み化され主要顧客との契約や人材体制が安定している会社であれば、「引き継いだあとも回りやすい」と判断され、評価は高まりやすくなるでしょう。
ここで大切なのは、価格だけに目を向けすぎないことです。
雇用の維持・引き継ぎ期間・経営への関わり方など、条件全体を踏まえて考えることが大切になります。
資料の準備が大変
M&Aでは、「資料を準備するのが大変だ」と思われることも少なくはありません。
決算書だけでなく、主要取引先との契約・借入の状況・許認可・従業員の体制など、幅広い情報が求められるため、その資料も重要になります。
資料が十分に整っていないと、交渉が進んだあとで追加の説明を求められ、信頼を損なうことも考えられるのです。
最初から完璧に揃える必要はありませんが、まずはどこに何があるのかを、しっかりと把握しておくとよいでしょう。
不足している部分は、専門家と相談しながら補っていくのもおすすめです。
準備は手間に感じることもあるかもしれませんが、早めに整理しておくことで、不安は小さくなります。
詳細調査に不安がある
M&Aでは、契約を結ぶ前に買い手が会社の実態を詳しく確認する「詳細調査(デューデリジェンス)」がおこなわれます。
財務の数字だけでなく、重要な契約の内容・従業員との労務関係・許認可の状況なども見られるため、「何か問題が見つかったらどうしよう」と詳細調査に対して不安を感じることもあるでしょう。
しかし、心配する気持ちから、隠したり先送りにしたりしてしまうと、あとになって大きな火種になることも出てきます。
早い段階で課題を把握し、説明できる状態をつくっておけば、調査は「粗探し」ではなく「お互いの確認作業」に変わります。
あらかじめ流れも知っておくと、必要以上に怖がらずに進められるでしょう。
契約が複雑でわかりにくい
M&Aは、口約束では進みません。
交渉の途中で「基本合意」を交わし、最終的には「譲渡契約」を締結しますが、契約が複雑でわかりにくいケースも出てきます。
書類の言い回しは専門的で、条文の意味を取り違えると、「そんなつもりではなかった」という行き違いも生まれやすくなるのです。
特に中小企業のM&Aでは、仲介会社やアドバイザーとの契約内容・手数料の仕組みなどをわかりにくいと感じる方も少なくありません。
契約に向き合うときは、次の内容をしっかりと整理しておくとよいでしょう。
- この書類は何に同意するものか
- どこが将来の争点になりやすいか
- 誰に確認すべきか
ひとつずつ意味を確かめながら進めることで、不安も小さくなるはずです。
社内や取引先への説明が難しい
M&Aでは、情報の伝え方がとても重要なため、社内や取引先への説明が難しいと感じる方も多い印象です。
早く伝えすぎると動揺が広がり、退職や取引縮小につながることもある一方で、遅すぎると「なぜ黙っていたのか」と不信感を抱かれる可能性もあります。
説明は内容だけでなく、順番とタイミングが大切なのです。
まずは「誰に最初に伝えるか」「どこまで約束できるか」を整理し、段階を踏んで説明していけば、混乱を抑えやすくなるでしょう。
引き継ぎ後がうまくいくか不安
M&Aは、成約すれば一区切りではありますが、それで終わりではありません。
経営体制が変われば、これまでの現場の進め方や意思決定の流れも少しずつ変わっていくため、その変化に戸惑いが生じることもあります。
特に、従業員の不安が強まると、中心となる人材が離れてしまう可能性も考えられるでしょう。
だからこそ、引き継ぎ期間をどうするのか・社長としてどの程度関わるのか・キーマンとなる人をどう支えるのかを交渉の段階から意識し、事前に話し合っておくことが大切です。
早めに引き継ぎ後の姿を描いておけば、「うまくいくだろうか」という不安は、現実的な準備へと変わっていきます。
中小企業のM&A失敗率はどれくらい?
M&Aを考えたとき、失敗率が気になることもあるかもしれません。
ですが実は、中小企業のM&A失敗率はどれくらいかを断言できる公的な統計はありません。
なぜなら、「何をもって失敗とするか」が、会社や人によって異なるからです。
成約に至らなかった場合を含めるのか、成約後の業績や従業員の定着まで含めるのかで、評価は大きく変わるのです。
一方で、参考になる客観的な数字はあります。
中小企業基盤整備機構の事業承継・引継ぎ支援センターの実績について記された資料によると、事業承継・引継ぎ支援センターを通じた第三者承継(M&A)の成約件数は、次のように年々増加しています。
- 令和4年(2022年)度:1,681件
- 令和5年(2023年)度:2,023件
- 令和6年(2024年)度:2,132件

参考:中小機構|令和6年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について
つまり、「適切な支援のもとで実際に成立しているM&Aは着実に増えている」という事実が確認できると言えるでしょう。
大切なのは、どこでつまずきやすいのかを知り、準備を重ねることであると考えます。
個人のM&Aは失敗が多い?
「個人のM&Aは失敗が多いのか?」と、疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでいう「個人のM&A」とは、仲介会社や専門家を入れずに、当事者同士で直接進めるケースを指します。
そういった場合、費用を抑えられそうに見える一方で、注意すべき点も少なくありません。
当事者だけで話を進める場合、条件の整理やリスクの確認を誰が担うのかが曖昧になりがちです。
お互いに悪意がなくても、「そこまで想定していなかった」という行き違いは起こります。
例えば、引き継ぎ期間の考え方や責任の範囲を十分に詰めないまま契約してしまった場合、あとから誤解が生じる可能性も大きくなるでしょう。
個人で進めること自体が必ずしも悪いわけではありませんが、条件の確認や書面の意味を丁寧に整理しながら進める必要があります。
必要に応じて第三者の意見を聞くことも、M&Aでの失敗を防ぎ、安心して承継を進めるためのひとつの方法です。
M&Aでよくある失敗事例
M&Aはうまく進むケースも多い一方で、実際にはうまくいかないケースもあります。
とはいえ、その多くは特別な判断ミスが原因ではなく、忙しさのなかで準備が後回しになったり考える順番を誤ったりすることから生じていると考えます。
中小企業の経営者は、日々の業務に加えて従業員や取引先への責任も背負っているため、そのなかで承継の準備まで完璧に進めるのは簡単ではないでしょう。
だからこそ、つまずきやすい場面を先に知っておくことが大切です。
ここでは、M&Aでよくある失敗事例として次の3つをご紹介します。
- 準備不足のまま進めてしまう
- 価格だけにこだわって話が決裂する
- 引き継ぎ条件を後回しにしてしまう
どれも「少しの見落としから始まる」と言えますので、具体的に見ていきましょう。
準備不足のまま進めてしまう
まずひとつ目は、準備不足のまま話を進めてしまうことです。
忙しいなかで「まずは話だけでも」と動き出すことは大切ですが、資料や数字が整理されていないと、途中で説明ができなくなってしまうことが考えられます。
そうなると、買い手は「判断材料が足りない」と不安になり、条件が厳しくなったり話が止まったりすることもあるでしょう。
例えば、交渉が進んでから借入の内容や契約書の整理ができていないとわかると、「本当に大丈夫だろうか」と思われかねません。
最初から完璧を目指す必要はありませんが、決算書や借入、主要な取引先など、大切な情報から順に整えていくことが、遠回りを防ぐ近道になります。
価格だけにこだわって話が決裂する
次に、価格だけに意識が向いてしまうことです。
もちろん金額は重要ですが、買い手はそれだけで判断しているわけではありません。
引き継ぎの期間・従業員の雇用・取引先との関係なども、大切に考えています。
価格だけにこだわり、「この金額でなければ売らない」と一点張りになってしまうと、買い手は不安を解消できず、話が決裂することもあるでしょう。
大切なのは、条件を全体で考えることです。
例えば、引き継ぎに協力する期間を決める代わりに価格を調整するなど、いくつかの選択肢を持って交渉すると合意に近付けることもできます。
その結果として、会社や従業員を守る形にもつながりやすくなるでしょう。
引き継ぎ条件を後回しにしてしまう
そして、引き継ぎ条件を後回しにしてしまうことです。
交渉が進むと、「まずは契約をまとめたい」という気持ちが強くなりやすいと言えます。
しかし、引き継ぎの内容が曖昧なままだと、成立後に現場が混乱する可能性があります。
例えば、社長がいつ退くのか・引退後はどこまで関わるのか・従業員や取引先へ誰がどう説明するのかが決まっていないと、誤解や不安が広がることが考えられるでしょう。
M&Aは契約が完了すれば終わりなのではなく、そこからが本番です。
ですから、引き継ぎ後の話を「あとで考えること」にせず、最低限の役割や期間を事前に決めておくことが、安心して次の世代に託すための土台になります。
以下の記事では、事業承継のよくある失敗事例をよりたくさんご紹介していますので、こちらも参考にしてください。
関連記事:事業承継のよくある失敗事例13選!トラブル理由や落とし穴を回避するためのポイントも解説!
M&Aの「難しい」を解消する3つのポイント

ここまで見てきたように、M&Aが難しいと感じる理由は、「先が見えないこと」と「決めることが多いこと」が中心になっていると考えます。
ですが、難しさの正体がわかれば対処することは可能ですので、ここではM&Aの「難しい」を解消するためのポイントとして、次の3つをご紹介します。
- M&Aの流れを把握する
- 早い段階から準備を進める
- 伴走してくれる相談相手を見つける
それぞれについて、具体的な行動に落とし込みながら解説していきます。
M&Aの流れを把握する
まず大切なのは、M&Aの全体の流れを把握することです。
先が見えないまま進むと不安ばかりが大きくなりますが、例えば登山でも、地図があれば「今どこにいるか」「次はどこへ向かうか」がわかります。
同じように、M&Aも「目的を決める→相手を探す→条件を詰める→契約→引き継ぎ」といった大まかな順番を知るだけで、不安も和らぐのではないでしょうか。
細かい専門用語まですべて理解する必要はありませんので、まずは「どんな段階があるのか」を把握するだけでも、踏み出しやすくなるはずです。
以下の記事でも、M&Aについてなるべく簡単にわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:M&Aについて簡単にわかりやすく解説!目的・手順・費用など丸わかり完全ガイド!
早い段階から準備を進める
次に、早い段階からできる準備を進めていくことです。
資料集めだけではなく、「何を守りたいのか」「いつ引退したいのか」「どこまで譲れるのか」といった社長ご自身の考えを整理することも大切です。
例えば、雇用を守ることを最優先と決めていれば、価格だけに振り回されにくくなります。
準備が整っている会社ほど、話は落ち着いて進みやすくなりますし、選べる道も増えるでしょう。
伴走してくれる相談相手を見つける
最後に、ひとりで抱え込まず、信頼できる相手に相談をすることです。
M&Aは決めることも多いため、日々の業務をこなしながら社長だけで進めるのは簡単ではありません。
そのため、伴走してくれる相談相手を見つけておくと、冷静な判断ができ、承継もスムーズに進めやすくなります。
相談相手を見つける際に大切なのは、実績だけでなく「説明がわかりやすいか」「費用が明確か」を確認することです。
TORUTE株式会社では、初回無料でご相談いただくことができます。
「これから承継を考えていく」という段階でも、経営者さまの想いに寄り添った形で、現状の整理からお手伝いさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

M&Aを進める具体的な流れ
M&Aは、具体的に次の流れで進みます。
- 1.目的を決める
- 2.会社の情報を整理する
- 3.買い手を探し初期交渉をおこなう
- 4.条件交渉や基本合意をおこなう
- 5.買い手に詳細調査をしてもらう
- 6.契約を結ぶ
- 7.引き継ぎをおこなう
案件によって多少の前後はありますが、大きな流れは共通していると言えるでしょう。
それぞれの段階について、具体的に解説していきます。
1.目的を決める
最初のステップは、「なぜM&Aをするのか」という目的を決めることです。
ここが曖昧なままだと、交渉の途中で気持ちが揺れやすくなります。
例えば、「従業員の雇用を守りたい」「取引先との関係を続けたい」「2〜3年以内に引退したい」など、守りたいものや希望の時期を言葉にしてみましょう。
価格の話が出たときも、目的が明確であれば、何を優先するかを冷静に判断できます。
目的については、焦らずに考える価値がありますので、まずはご自身の考えを書き出してみることから始めてみてください。
2.会社の情報を整理する
次に、会社の情報をわかりやすく整理することです。
買い手は会社の中身を正しく知ったうえで判断するため、きちんと整理されていることが信頼につながり、交渉を落ち着いて進める土台になります。
決算書や借入の状況・主要な取引先・従業員の体制・許認可の有無など、会社の基本情報をまとめていきます。
最初から完璧を目指す必要はありませんので、まずは「今の状態が説明できる最低限」を整え、足りない部分はあとから補う形がおすすめです。
特に、社長の頭のなかにある情報を文章にしておくことで、説明する際にも判断がぶれにくくなるでしょう。
3.買い手を探し初期交渉をおこなう
会社の情報が整ったら、買い手を探し、初期交渉をおこなう段階に進みます。
買い手探しは条件を並べることよりも、「この会社をどう受け止めてくれるか」を見極める場でもあります。
初期交渉では、いきなり細かな条件を詰めるのではなく、まずは相手の考え方や会社運営の方針を確認するのがおすすめです。
例えば「従業員をどう扱う予定か」「既存の取引先をどう見るか」といった部分は、とても重要になるでしょう。
数字や条件だけで判断すると、あとからズレが生じることがありますので、最初の段階では、金額以上に「相性」を見ることが大切になります。
4.条件交渉や基本合意をおこなう
次は、条件交渉や基本合意をおこなう段階です。
まず、価格だけでなく引き継ぎの期間や役割分担なども話し合い、すり合わせていきます。
そのうえで、「この内容で先に進みましょう」という確認として、基本合意という書面を交わすことがあります。
基本合意は最終契約ではなく方向性の確認となりますが、一定期間は他の相手と交渉できない「独占交渉権」や秘密保持の義務など、法的な拘束力を持つ条項が含まれるのが一般的です。
何が決まっていて、何がまだ決まっていないのかを明確にし、内容をよく確認したうえで署名することが大切です。
曖昧なまま進むと、あとからの話が食い違いやすくなりますので、重要な点は書面で確認しながら、落ち着いて整理していくようにしてください。
5.買い手に詳細調査をしてもらう
基本合意のあと、買い手に会社の中身を詳しく確認する詳細調査(デューデリジェンス)をしてもらいます。
この段階で大切なのは、会社の状況についてきちんと説明できる状態をつくっておくことです。
問題がある場合、理由や現在の対応を整理して伝えることで理解してもらえることがありますが、反対に事実を隠そうとすると信頼を失い、交渉が止まる原因になりかねません。
そしてもうひとつ知っておきたいのは、この調査の結果が契約内容に影響することがある点です。
例えば、契約では「会社に重大な問題がないこと」を約束する条項(表明保証)が置かれることがあり、もしあとから事実と違うことがわかると、補償を求められる場合もあります。
そのため、調査の段階で事実を整理し、わからない点は専門家と確認しておくことが大切です。
事前にしっかりと情報を整えておけば、落ち着いて対応しやすくなります。
6.契約を結ぶ
詳細調査を終え、条件が固まったら最終契約を結びます。
ここで気をつけたいのは、「契約がゴールではない」ということです。
契約後には実際の引き継ぎが始まり、その過程で新たな課題が出ることもあります。
そのため、契約書のなかで引き継ぎの期間や役割分担をきちんと決めておくことが大切です。
もしわからない条文があれば、そのままにせずしっかりと確認し、納得して署名することが、トラブルを防ぐ一番の方法になります。
7.引き継ぎをおこなう
契約が終わると、いよいよ引き継ぎをおこないます。
ここからが本当のスタートだと言えるでしょう。
従業員は「自分たちはどうなるのか」と不安を抱えますし、取引先も今後の体制を気にしているので、説明の順番や内容を誤ると信頼が揺らぐことも考えられます。
そのため、引き継ぎ期間・社長の関わり方・中心となる従業員の役割などを、事前に計画しておくことが重要です。
買い手と丁寧にすり合わせながら進めれば、混乱を抑えやすくなります。
ここまでが、M&Aを進める具体的な流れです。
ビジネスにおけるM&Aについて、売り手と買い手の目的やその背景まで理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:ビジネスにおけるM&Aとは?売り手と買い手の目的やその背景・注意点や相談先も詳しく解説!
M&Aに必要な事前準備とは?

M&Aを進めるうえで、事前準備はとても大切な土台になります。
準備がしっかりと整っているほど、会社の状況を相手に正しく伝えることができ、交渉もスムーズに進みやすくなるからです。
反対に、準備が不十分なままだと途中で確認や説明が増え、思わぬ時間がかかることもあるでしょう。
M&Aに必要な事前準備は、大きく分けると次のような内容があります。
- 会社の状況を整理する
- M&Aの目的や条件を整理する
- 必要な書類を準備する
- 相談先や進め方を検討する
これまでに解説した内容と重なる部分もありますので、一つひとつ、できることから整理を始めてみてください。
M&Aで必要な書類
M&Aで買い手は、書類を見ながら会社の状態を確認し、取引を進めるかどうかを判断するため、会社の状況がわかる書類を用意しておくことが大切になります。
M&Aで必要な書類は、次のようなものです。
- 決算書(直近数期分)
- 借入の一覧
- 主要な取引先の概要
- 重要な契約書
- 許認可の資料
- 従業員の体制がわかる資料
すべてを一度に完璧に揃える必要はありませんので、まずは買い手が確認しやすいものから準備していくことがおすすめです。
例えば、決算書などの数字の資料から始めると、全体像を説明しやすくなるでしょう。
M&Aに向けて整理しておくポイント
M&Aでは、書類を準備することと同じくらい、社長の考えを整理しておくことも大切になります。
M&Aに向けて整理しておくポイントとして、特に次のような点は早めに考えておくのがおすすめです。
- いつ頃までに会社を引き継ぎたいか
- 従業員の雇用をどこまで守りたいか
- 社名や拠点など残したいものはあるか
- 引退後にどのくらい会社に関わるのか
- 希望する条件やどうしても譲れない点は何か
これらをあらかじめ整理しておくと、買い手に会社の考えを説明しやすくなります。
結果として、相手探しや交渉も進めやすくなり、M&A全体の流れが見えやすくなっていくはずです。
以下の記事では、M&Aでの価格の決め方について解説しています。
こちらも考えておくべき条件として重要になりますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:M&Aの価格の決め方は?算定方法と価格決定の流れ・相場目安や評価ポイントも解説!
M&Aを考えるにあたり、準備はとても大切になりますが、不安を抱える方も少なくないと考えます。
TORUTE株式会社では、書類準備はもちろん、M&Aに向けた考え方の整理からサポートさせていただきますので、まずは現状をお聞かせいただけますと幸いです。

M&Aの相談先は?
M&Aの代表的な相談先としては、次のようなものがあります。

相談先によって「どこまで支援してもらえるか」や「進め方」が変わることがあるため、誰に相談するかは大切なポイントになります。
また、「いきなり民間の仲介会社に相談するのは不安」と感じる方もいれば、できるだけ早く買い手探しを始めたい方など事情はさまざまですので、自社の状況や目的に合った相談先を選ぶことが必要です。
それぞれの相談先の特徴について、詳しく解説していきます。
公的窓口
まず公的窓口として、国が全国に設置している「事業承継・引継ぎ支援センター」があります。
ここは、「まだ売却を決めていない」「まず状況を整理したい」という段階の経営者に向いている相談先です。
会社の状況や悩みを整理しながら、今どのような選択肢があるのかを一緒に考えてもらうことができるでしょう。
また、必要に応じて民間のM&A支援機関や専門家を紹介してもらえることもあります。
公的機関のため、強く契約を勧められる心配が比較的少ない点も安心材料です。
まずは全体像を知りたい場合の入口として利用しやすい相談先だと言えるでしょう。
M&A仲介会社・ファイナンシャルアドバイザー
実際に買い手を探したり交渉を進めたりする段階では、M&A仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)が支援してくれます。
これらの専門機関は、相手探し・条件交渉・手続きの調整などをサポートする役割を担います。
ここで知っておきたいのが、仲介会社とファイナンシャルアドバイザーでは立場が少し違う、という点です。
| M&A仲介会社 | 売り手と買い手の間に立ち、双方の合意をまとめる役割 |
| ファイナンシャルアドバイザー | 売り手か買い手のどちらか一方の立場で助言する役割 |
どちらにもメリットがありますが、支援の考え方は異なりますので、依頼する前に契約内容・手数料・支援範囲などを確認しておくことが大切になります。
例えば、次のような点を確認しておくと安心できるでしょう。
- 契約内容をわかりやすく説明してくれるか
- 手数料の仕組みが明確か
- 担当者に実務経験があるか
説明が丁寧で納得できる相手を選ぶことで、M&Aへの不安を大きく減らすことができるはずです。
専門家
M&Aでは、税金・契約・経営の判断が同時に関わってくるので、必要に応じて専門家の力を借りることも大切です。
例えば、次のような専門家がM&Aに関わることがあります。
| 税理士 | 株式や事業の譲渡に関する税金の整理 |
| 弁護士 | 契約書の内容確認や法的リスクのチェック |
| 中小企業診断士など | 事業の引き継ぎや経営面の整理 |
これらを社長おひとりで考えるのは、なかなか簡単ではありませんので、専門家と一緒に整理していくことで、M&Aを進めるなかでも判断がしやすくなります。
M&Aのご相談は「TORUTE株式会社」へ

「M&Aは難しそうだ」と感じる経営者の方は少なくありません。
実際、手続きや判断が多く、ひとりで進めようとすると不安が大きくなりやすいものです。
だからこそ、状況を整理しながら一緒に考えてくれる相談相手がいると、安心して取り組むことができます。
TORUTE株式会社では、M&Aを単なる売却としてではなく、事業承継の選択肢のひとつとして考えています。
従業員の雇用や取引先との関係など、経営者さまが守りたいものを整理しながら、無理のない進め方を一緒に考え、サポートさせていただきます。
「まだ売却を決めていない」「何から考えればよいかわからない」という段階でも問題ありません。
初回は無料でご相談いただけますので、まずは現状や不安を整理するところから始めましょう。
必要に応じて他の専門家と連携しながら、現実的な進め方を検討していきますので、ぜひ一度お話を伺えますと幸いです。
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まとめ
M&Aに対し、難しいと感じてしまうのは、決して珍しいことではありません。
買い手探し・価格の判断・資料の準備・契約や引き継ぎなど、考えることが多く続くため、不安を感じるのは自然なことです。
ですが全体の流れを把握し、できるところから準備を進めていくことで、負担に感じていることも少しずつ軽くなっていきます。
また、信頼できる相談相手と一緒に整理していくことで、判断もしやすくなるでしょう。
大切なのは、すべてを一度に決めようとせず、「なぜ承継したいのか」「何を守りたいのか」「どんな条件なら納得できるのか」をひとつずつ整理していくことだと考えます。
そうした行動が、現実的な承継へとつながりますので、まずは一歩踏み出してみてください。
まずはお気軽にご連絡ください
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