事業承継の注意点は?よくある質問と承継前に点検したい法律上の項目を弁護士が解説!
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法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援
事業承継は、会社の未来を左右する大きな節目だからこそ、「失敗したくない」「周りに迷惑をかけたくない」と慎重になるのはとても自然なことだと思います。
最近、周囲の同業者が承継や引退を決めたという話を耳にする機会が増え、「自分もそろそろ考えないといけないのかもしれない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ただ、いざ動き出そうとすると、さまざまな整理に加えて従業員や親族との関係づくりなど、考えることが一気に押し寄せてきます。
その結果、「結局どこから手を付ければよいのかわからない」と立ち止まってしまうこともあるでしょう。
そこで本記事では、事業承継の注意点や起きやすい問題をわかりやすくまとめました。
承継方法ごとのポイントや、事前にしておくとよい準備、相談すべき相手についても解説します。
まずは一歩踏み出せるように、自社に当てはめながら読み進めてみてください。

事業承継における注意点とは?
事業承継では、準備をどのような順番で進めるかという点に加え、後継者をどう決めるかといった人の問題、株式や資産、借入金といったお金の整理、税務や法務などの専門的な手続き、さらには従業員や家族との関係づくりまで、複数の注意点が重なり合います。
これらを整理しないまま進めると、承継の途中や承継後になって問題が表に出やすくなることが考えられるでしょう。
事業承継で特に注意しておきたいポイントは、次のとおりです。
- 準備開始の遅れ
- 後継者選定の曖昧さと意思確認不足
- 株式・資産・借入金の整理ができていない
- 専門領域を軽視してしまう
- 関係者への共有不足
まずはしっかりと内容を把握し、自社に当てはまりそうな項目から確認していくようにしましょう。
さらに、ワンマン社長の場合・個人事業主の場合の注意点も解説するので、参考にしてください。
準備開始の遅れ
事業承継では、「いつから準備を始めるか」が結果を左右しやすいポイントになります。
中小企業庁の「事業承継ガイドライン」では、5〜10年ほどの期間を見据えて準備を進めることが望ましいとされていますが、現実には「まだ先でよい」と考えてしまいがちです。
しかし、体調の変化や業績の浮き沈みなどにより、想定より早く判断を迫られる場面が訪れることもあります。
「余裕があるうち」に動き出すことで、選べる選択肢は大きく広がります。
まずは現状を書き出し、どのくらいの期間が必要かを考えてみるところから始めておくとよいでしょう。
後継者選定の曖昧さと意思確認不足
後継者について具体的に決めないまま時間が過ぎてしまうことも、事業承継ではよく見られる注意点です。
中小企業白書の調査では、後継者が決まっていても「後継者の経営能力」や「相続税・贈与税の問題」に不安を抱える企業が多いことが示されています。
特に親族内承継では、「継いでほしい」という想いと「本当に継ぎたいかどうか」という気持ちが一致しているかを確認することが欠かせません。
従業員承継や第三者承継の場合も、候補者の考え方や覚悟を確かめながら進める必要があります。
早い段階から少しずつ話し合いの場を持ち、気持ちや考えを共有しておくことで、あとの混乱を防ぎやすくなるでしょう。
株式・資産・借入金の整理ができていない
株式・事業用資産・代表者個人の借入金や代表者による保証債務(連帯保証)が整理されていないと、事業承継はスムーズに進みにくくなります。
まず株式が分散している場合、後継者が十分な経営権を持てず、意思決定が滞ることがあるでしょう。
また自社株の評価額が高いと、贈与税や相続税の負担が重くなり、承継後の資金繰りに影響が出ることも考えられます。
借入金や保証契約についても、どこまでを後継者が引き継ぐのかを整理しておくことが大切です。
こうした点は早めに現状を把握し、専門家の助言を受けながら、時間をかけて段階的に進めるようにしましょう。
専門領域を軽視してしまう
税務・法務・契約・許認可といった専門領域は、事業承継に欠かせないポイントです。
ただ、「あとからでも間に合うだろう」と軽視したり、「難しそうだ」と感じて後回しにしてしまう経営者も少なくありません。
相続税・贈与税・事業承継税制・遺言書・契約の整備などを十分に検討しないまま進めると、承継後に思わぬ負担や手続き漏れが生じるおそれがあります。
すべてを自分で理解しようとする必要はありません。
全体像を押さえたうえで、細かな部分はそれを得意とする専門家に任せる形にすると、無理なく進めやすくなるでしょう。
関係者への共有不足
事業承継は、社長と後継者だけで完結する話ではありません。
家族・従業員・金融機関・取引先など、多くの関係者に影響を及ぼします。
情報共有が遅れると、社内に不安が広がったり、親族間で不満が生じたりするケースもあるでしょう。
金融機関への相談が後手に回ると、条件面で不利になる可能性も考えられます。
承継の方向性が見え始めた段階で、伝える相手と順番を考えながら、少しずつ共有していくことが大切です。
ワンマン社長の場合の注意点は?
長年会社をワンマンで引っ張ってこられたオーナー経営者の場合、事業承継では特に気をつけたい点があります。
まず、日々の判断や取引先との付き合いが社長一人に集中していると、後継者に引き継ぐ際の負担が大きくなりがちです。
社長は「任せたつもり」でも、周囲が不安になり、つい社長に確認してしまうこともあるでしょう。
その結果、後継者の判断が通りにくくなるケースも少なくありません。
また、社長の経験や感覚が言葉になっていないと、後継者は何を基準に動けばよいのか迷ってしまうことも考えられます。
少しずつ判断の考え方を伝え、役割を分けながら、会社全体で動ける形に整えていくことが大切です。
個人事業主の場合の注意点は?
個人事業主の事業承継では、会社とは違う注意点があります。
多くの場合、土地・建物・機械・取引先との契約などを、事業主個人の名義で持っているでしょう。
そのため、誰に何を引き継ぐのかをひとつずつ確認しなければなりません。
名義変更が必要なものや、手続きをしないと使えなくなるものもあります。
また、事業のお金と生活のお金が一緒になっていると、後継者が実態を把握しづらくなります。
まずは事業に関わるものを整理し、わかる形にしておくと安心です。
法人化してから承継する方法も含め、無理のない進め方を専門家と相談しながら考えていきましょう。
承継方法ごとの注意点は?

事業承継の注意すべき共通のポイントを解説してきましたが、実際に承継を進める場面では「どの方法で引き継ぐか」によって、特に気をつけたい点が変わってきます。
ここからは、事業承継の注意点を次の3つの承継方法に分けて解説します。
- 親族内承継
- 従業員承継
- 第三者承継(M&A)
「つまずきやすい点」や「事前に意識しておきたいポイント」を順に見ていきましょう。
親族内承継の注意点
親族内承継は、日本の中小企業で多く選ばれてきた方法です。
経営理念や会社の雰囲気を引き継ぎやすく、従業員や取引先からも受け入れられやすい点が特徴と言えるでしょう。
一方で、親族内だからこその注意点もあります。
例えば子どもが複数いる場合には、「誰に事業を継がせ・誰にどのように財産を分けるのか」という問題が生じやすくなります。
不公平感が生まれないよう、必要に応じて遺言書の作成や専門家への相談も検討しておくのがよいでしょう。
また「継いでほしい」という親の想いと、「継ぎたい」という子どもの気持ちが一致していないまま進めてしまうと、あとになって迷いや不安が生じることがあります。
将来について率直に話し合い、役員登用や現場経験を通じて、少しずつ経営者としての自覚を育てていくのがおすすめです。
従業員承継の注意点
従業員承継は、信頼できる幹部社員や役員に会社を引き継ぐ方法です。
会社の内情をよく理解している人材が後継者となるため、現場が混乱しにくい点がメリットだと言えるでしょう。
ただし、大きな課題となりやすいのが資金面です。
経営権を持つためには一定の株式を取得する必要があり、そのための資金をどう用意するかを考えなければなりません。
金融機関からの融資や会社からの支援など、方法はいくつかありますが、後継者に過度な負担がかからないよう現実的な計画を立てることが大切です。
また、従業員から経営者へ立場が変わることで、人間関係にも変化が生じます。
前社長との役割分担や、他の幹部との関係をあらかじめ整理しておかないと、後継者が板挟みになってしまうこともあるでしょう
権限や責任の範囲を明確にし、段階的に経営を任せていくのがおすすめです。
第三者承継(M&A)の注意点
第三者承継(M&A)は、親族や社内に後継者がいない場合でも、事業を次の世代につなげられる方法として注目されています。
第三者承継では、株式譲渡契約書の作成・デューデリジェンスと呼ばれる企業調査・表明保証条項の設定など、専門的な法的手続きが必要になります。
また、注意したいのは、相手先の選び方です。
売却価格だけで判断してしまうと、従業員の雇用や会社の方向性が大きく変わってしまうことがあります。
自社の事業や地域への関わりを理解し、長く事業を続けてくれる相手かどうかを見極めることが大切と言えるでしょう。
さらに、条件交渉や契約内容の確認には専門的な知識が欠かせません。
役員や従業員の処遇・引き継ぎ期間の進め方など、細かな点まで事前に話し合っておく必要があります。
成約後の体制づくりについても、あらかじめイメージを共有しておくと、承継後の混乱を抑えやすくなるでしょう。
事業承継後のトラブルで起こりやすい事例については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:事業承継後のトラブルで起こりやすい事例は?原因や対応策・成功例までまとめて紹介!
「実際に自社ではどのようなことに注意すればいいのか」と迷う場合は、TORUTE株式会社で初回無料相談もおこなっておりますので、ご活用いただけますと幸いです。

事業承継で起きやすい問題の身近な例は?
事業承継の注意点をより深く理解するためには、「実際にどのような問題が起きやすいのか」を身近な例で知ってくとイメージしやすくなります。
事業承継の現場では、承継そのものが原因というよりも、準備や話し合いが十分でなかったことでもさまざまな問題が起こります。
なかでも、次のような点は多くの企業で共通して見られる身近な例だと言えるでしょう。
- 経営権・後継者問題
- お金・税金問題
どの会社でも起こりうる問題だからこそ、あらかじめ内容を理解し、「自社ではどう防ぐか」を考えておくことが大切です。
それぞれの問題について、具体的なケースを交えながら解説します。
経営権・後継者問題
経営権・後継者問題は、事業承継で起こりやすいテーマのひとつだと言えるでしょう。
例えば、株式が親族など複数の人に分散したまま承継を迎え、後継者が十分な議決権を持たない状態で社長に就任するケースがあります。
この場合、重要な判断をおこなうたびに周囲との調整が必要になり、意思決定が遅れてしまうことが考えられます。
また、後継者をはっきり決めないまま時間が経つと、社内で「自分が次の社長になるのではないか」と考える人が現れ、不安や緊張感が広がることもあるでしょう。
最終的に別の人が就任した場合、納得できなかった人材が会社を離れてしまうことも珍しくありません。
こうした問題を防ぐためには、早めに後継者の方向性を定め、株式や役職の引き継ぎ方を整理しておくことが重要です。
段階的に権限を移しながら、関係者と情報を共有していくと、混乱を抑えやすくなります。
以下の記事では、事業承継の後継者不在の現状について解説しているので、こちらも参考にしてください。
関連記事:事業承継の後継者不在の現状は?年代・業界別の問題や原因・解決策もまとめて解説!
お金・税金問題
お金・税金問題も、事業承継では多くの経営者が直面する課題です。
相続税や贈与税の負担が想定より重くなり、株式や不動産を手放さざるを得なくなるケースや、借入金や保証契約の整理が不十分なまま後継者に引き継がれるケースがあります。
また資金繰りが厳しい時期に事業承継が重なると、税金や返済の負担が経営を圧迫し、設備投資や人材育成に十分な余裕が持てなくなることも考えられます。
さらに、金融機関との話し合いが不足していると、借換えや条件変更といった選択肢を検討しないまま進んでしまうおそれもあるでしょう。
こうした事態を避けるためには、早い段階から財務状況や自社株の評価を把握し、税理士や金融機関と相談しながら、無理のない承継計画を立てておくことが大切です。
使える制度や支援策を確認しておくと、安心につながるでしょう。
事業承継の失敗事例を以下の記事でまとめたので、こちらもお役立てください。
関連記事:事業承継のよくある失敗事例13選!トラブル理由や落とし穴を回避するためのポイントも解説!
事業承継をスムーズに進めるための事前準備と

事業承継をスムーズに進めるためには、「誰に・いつ・何を引き継ぐのか」を整理したうえで、計画的に準備をしていくことが大切です。
事業承継の準備は、次の4つの柱に分けて考えると進めやすくなります。
- 後継者選定
- 株式・資産・借入金
- 専門領域
- 関係者への情報共有
もちろん、すべてを一度に完璧に整える必要はありません。
まずはできるところからひとつずつ進めていくことが、結果として近道になります。
それぞれの準備について、具体的なイメージをしながら詳しく見ていきましょう。
後継者選定に関する準備
後継者選定に関する準備では、「候補者を考えること」と「本人の意思や適性を確認すること」が大きなポイントになります。
最初から承継方法を親族内か従業員かと決めつけず、第三者承継も含めて、いくつかの可能性を並行して考えておくと選択肢が広がります。
候補者が見えてきた段階では、将来について率直に話し合う場を設けるようにしましょう。
例えば、「いつ頃から経営に関わりたいと考えているか」「どのような会社にしていきたいと思っているか」といった点を確認することで、気持ちや考え方を共有しやすくなります。
また、現場経験や役員としての経験を段階的に積ませることで、周囲から自然に「次の社長」と受け止められる土台が整っていきます。
時間を味方につけながら、少しずつ役割を移していく意識を持つとよいでしょう。
株式・資産・借入金に関する準備
株式・資産・借入金に関する準備では、まず現状を正しく把握することが欠かせません。
自社株式の保有状況・土地や建物などの名義・借入金の残高・保証人の有無などを一覧にして整理すると、課題が見えやすくなります。
そのうえで、株式をどのような割合で後継者に引き継ぐのか、他の親族にはどのような配慮が必要かを検討します。
自社株の評価が高い場合には、事業承継税制の活用や、将来を見据えた贈与・相続対策も選択肢に入れておくのがよいでしょう。
借入金や保証契約については、金融機関と早めに話し合い、保証人の交代時期や承継後の返済計画を整理しておくことがおすすめです。
後継者に負担が集中しすぎないよう、会社としての返済力を高める取り組みも並行して進めておきましょう。
専門領域に関する準備
専門領域に関する準備では、税務や法務を「難しいもの」として避けるのではなく、「どこに何があるか」を整理するところから始めると取り組みやすくなります。
以下のような資料をまとめておくと、把握しやすくなるでしょう。

そのうえで「相続税や贈与税の負担がどの程度になるのか」、「事業承継税制が使えるのか」といった点を、税理士と相談しながら確認しておくのがおすすめです。
遺言書や株主間契約の取り決めについては、弁護士の意見を取り入れることで、後々のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
許認可や重要な契約が社長個人名義になっている場合には、承継前に名義の整理を検討しておくことも大切です。
関係者への情報共有に関する準備
関係者への情報共有に関する準備では、「誰に・いつ・どの範囲まで伝えるか」を意識することが重要と言えるでしょう。
最初は家族や後継者候補など限られた人に共有し、準備の進み具合に応じて、幹部社員・金融機関・他の親族へと広げていく流れが一般的です。
社内への共有が早すぎると、不安だけが先行してしまうことがある一方で、遅すぎると不信感につながるおそれもあります。
後継者の準備状況や計画の具体性を踏まえ、伝えるタイミングを見極めるようにしましょう。
金融機関や主要な取引先には、承継の方向性が固まり次第、早めに後継者を紹介しておくと安心です。
少しずつ関係を築いておくことで、承継後の経営もスムーズに進みやすくなります。
以下の記事では、事業承継でやるべきことをリストにしてまとめました。
関連記事:事業承継でやるべきことリストを紹介!必要な知識や書類・課題についても解説!
TORUTE株式会社でも、承継方法にあわせて必要な準備をお手伝いさせていただいておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

事業承継でもっとも大切なことは?
事業承継においてもっとも大切なのは、「会社の未来をどうしたいのか」という経営者自身の想いを整理し、その方向性を周囲と共有することだと考えます。
準備を進めていくと制度や手続きの話に目が向きがちですが、その前に「何を守り・どこへ向かいたいのか」をはっきりさせておかなければ、判断の軸がぶれやすくなってしまいます。
中小企業庁の「中小企業白書」でも、事業承継にあたっては、経営者が早い段階から承継を意識し、後継者候補の選定や育成を含めて計画的に準備を進めることの重要性が指摘されています。
これは、単に早く引き継ぐべきだという意味ではありません。
将来の姿を共有しながら進めることで、関係者の理解を得やすくなり、結果としてトラブルを防ぎやすくなるという考え方です。
「会社・従業員・家族のために、どのような形でバトンを渡すのがよいのか」という問いにじっくり向き合い、言葉にしながら準備を重ねていくことが、事業承継を成功へ導く大切な土台になるでしょう。
事業承継をスムーズに進めるために相談すべき相手とは
事業承継の際に相談すべき相手は、ひとりに限られるものではありません。
事業承継では、後継者の選定や資産の引き継ぎに加え、税金・契約・登記・資金繰り・第三者との交渉など、複数の専門分野が同時に関わります。
そのため、役割の異なる相談先を状況に応じて使い分けることが、現実的で無理のない進め方だと言えるでしょう。
具体的に、事業承継の場面で相談先として挙げられるのは以下のとおりです。
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 事業承継全体の整理や、方向性を考える際の相談先 |
| 税理士や公認会計士 | 相続税・贈与税、自社株評価、事業承継税制など、税務・財務面の支援 |
| 弁護士 | 遺言書や株主間契約、M&A契約など、法的整理やトラブル防止の助言 |
| 司法書士 | 株式や不動産の登記、役員変更など、実務手続きの支援 |
| M&A仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー) | 第三者承継を検討する際の相手先探索や条件調整の支援 |
これらの相談先は、いずれかひとつに決めればよいというものではありません。
自社の状況や承継の進み具合に応じて、必要な専門性を補ってくれる相手を選び、組み合わせていくことが大切です。
事業承継の相談先については、以下の記事にも具体的な役割をまとめているので参考にしてください。
関連記事:事業承継の相談先10選を紹介!相談費用は無料なのか・選び方のポイントも解説!
事業承継・引継ぎ支援センターは誰でも使える?
事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置している公的な相談窓口のひとつです。
全国の都道府県に設けられており、事業承継に関する幅広い相談を受け付けてくれます。
中小企業や小規模事業者であれば、業種や規模を問わず利用できる点が特徴です。
多くの場合、初回相談は無料で、「考えがまとまっていない」「何から整理すればよいかわからない」といった段階でも相談しやすい仕組みになっています。
承継の方向性を整理したり、必要に応じて外部の専門家や金融機関を紹介してもらったりすることもあります。
事業承継に関する情報収集や考えの整理をおこなう場として、状況に応じて活用を検討するとよいでしょう。
事業承継の専門家の役割は?
事業承継では専門家が一度に全員関わるのではなく、承継の進み具合に応じて、必要な場面で役割を果たしていくのが一般的です。
そのため「どのタイミングで、どの支援が入るのか」という流れを知っておくことも大切になります。
例えば承継の準備段階では、税務や財務の整理が必要になるため、税理士が自社株評価や税負担の見通しを確認します。
承継の形が見えてくると、遺言書や株主間契約の整備が必要になり、弁護士が法的な観点から関与することになるでしょう。
実際に承継を進める段階では、株式・不動産の名義変更や役員変更登記などが発生し、司法書士が実務手続きを支える場面も出てきます。
また第三者承継を選択する場合には、相手先探しや条件調整といった工程が加わり、M&A仲介会社やFAが関与することになります。
このように、専門家は「それぞれの得意分野で、必要な局面を支える存在」として関わっていくのが特徴です。
事業承継を現実的に進めるためには、すべてをひとりで抱え込まず、工程ごとに専門的な力を借りながら進めていくことが、結果として負担を軽くすることにつながるでしょう。
以下の記事でも、事業承継で専門家が必要な理由について深掘りしています。
関連記事:事業承継で専門家が必要な理由は?選び方やタイミング・補助金は使えるのかも解説!
事業承継の専門家を選ぶポイント
事業承継の専門家を選ぶ際には、専門知識や実績だけで判断するのではなく、経営者の考えや事情を丁寧にくみ取ってくれるかどうかを重視するとよいでしょう。
事業承継は、数字や制度の問題だけでなく、家族や従業員、取引先との関係も含めて判断する場面が多くあります。
具体的には、これまでにどのような企業の事業承継を支援してきたのか、自社と近い業種や規模の経験があるかを確認すると安心です。
また初回相談の際には、説明のわかりやすさにも目を向けてみてください。
専門用語を多用せず、状況に応じてかみ砕いて説明してくれるかどうかは、大切な判断材料になります。
メリットだけでなく、注意点やリスクについても率直に伝えてくれる相手であれば、長期的な関係を築きやすくなるでしょう。
「この人なら落ち着いて相談できそうだ」と感じられる専門家を選ぶことが、事業承継を前向きに進める支えとなるはずです。
事業承継の注意点でよくある質問(Q&A)
事業承継の準備を始めた経営者の方から、よくお聞きする疑問をまとめました。会社の状況によって答えは変わりますが、考え方の目安として参考にしてください。
Q. 事業承継はいつから準備を始めるべきですか?
一般的には、承継の5年から10年前から準備を始めるのが望ましいと言われています。後継者の育成、自社株の整理、金融機関との話し合いなど、時間のかかる作業が多いためです。
経営者がまだ元気で、業績も安定している時期のほうが、選択肢が多く、冷静に判断できます。体調を崩してから慌てて始めると、選べる方法が限られてしまうおそれがあります。
Q. 家族に反対されたらどうすればよいですか?
反対の理由が、会社の将来への不安なのか、相続での不公平感なのかによって、対応は変わります。まずは家族それぞれの考えを聞き、事実と数字を共有しながら話し合うことが大切です。
話し合いが感情的になりやすい場合は、弁護士など第三者を交えて整理する方法もあります。合意した内容は、遺言書や契約書といった書面に残しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
Q. 従業員や取引先にはいつ伝えるべきですか?
後継者や承継方法がある程度固まってから、段階を踏んで伝えるのが一般的です。早すぎると不安が広がり、遅すぎると「聞いていない」という不信につながるため、タイミングの見極めが必要です。
とくに主要な取引先や金融機関には、後継者の紹介を兼ねて、経営者本人から直接伝えると安心してもらいやすくなります。
別記事では「事業承継計画とは?必要性や計画書の具体的な作り方・いつから始めるべきかも解説」についても解説していますので、あわせてご覧ください。
承継前に法律面で点検しておきたい項目
後継者が決まっても、法律面の確認が不十分だと、承継の直前や直後に問題が表面化することがあります。次の項目は、早めに点検しておきたい代表例です。
| 点検項目 | 確認する内容 | 放置した場合の影響 |
|---|---|---|
| 自社株の名義 | 名義株や行方不明の株主がいないか | 株主総会の決議が成立せず、承継が止まるおそれがある |
| 許認可 | 後継者が要件を満たしているか、届出が必要か | 代表者の交代により許可を維持できない場合がある |
| 契約書 | 経営者や株主の変更で解除できる条項がないか | 主要な取引先との契約が打ち切られる可能性がある |
| 個人保証・担保 | 経営者保証や会社資産への個人担保の有無 | 後継者が引き受けを拒み、承継そのものが難航する |
| 労務関係 | 未払い残業代や就業規則の整備状況 | 承継後に従業員から請求を受けるおそれがある |
株主名簿と名義株の整理
創業時に名義を借りた株主や、相続を経て所在が分からなくなった株主がいると、実態と株主名簿が一致しないことがあります。後継者に株式を集める際に、誰の株なのかを確定する作業が必要になります。
名義の問題は時間が経つほど関係者が増えて複雑になるため、早めの確認が肝心です。
許認可と契約書の引き継ぎ可否
建設業や介護、運送など許認可が必要な事業では、代表者や役員の交代に届出が必要な場合があります。要件を満たす人材がいないと、承継の方法そのものを見直さなければならないこともあります。
取引先との契約書には、支配権の変更を理由に解除できる条項が入っている例もあります。承継の方法を決める前に、主要な契約だけでも確認しておくと安心です。
経営者保証と個人資産の切り分け
会社の借入金に対する経営者保証や、会社の借入れのために差し入れた個人の不動産担保は、承継の大きな障壁になりやすい問題です。後継者が保証を引き継ぐ前提なのか、解除を目指すのかを、金融機関と早めに話し合う必要があります。
保証を外せるかどうかは、会社の財務状況や金融機関の方針によって異なります。
別記事では「事業承継で連帯保証人はどうなる?経営者保証の解除要件や手続き・後継者への影響も解説」、「建設業での事業承継の注意点は?必要な申請手続きと書類・気を付けたい失敗例も紹介」についても解説していますので、あわせてご覧ください。
熊本・八代の相談現場で多い注意点と、相談前の準備
熊本市や八代市の中小企業では、社長一人に取引先や金融機関との関係が集中している会社が多く、承継によってその関係が途切れてしまう点が共通した悩みとして挙がります。
社長個人に集中した人脈と判断をどう引き継ぐか
地域の中小企業では、「社長の顔で仕事が来ている」という会社も珍しくありません。後継者が決まっても、取引先との関係を引き継ぐ期間を設けないと、承継後に取引が減るおそれがあります。
引き継ぎ期間中は、後継者を主要な取引先に同行させるなど、具体的なスケジュールを立てて進めることが大切です。
相談の前に整理しておくと話が早い資料
専門家に相談する前に、直近の決算書、株主名簿、定款、主要な契約書、借入金の一覧などをそろえておくと、現状の把握がスムーズになります。すべてそろっていなくても、相談は可能です。
「誰に引き継ぎたいか」「いつまでに引退したいか」といった希望も、メモにまとめておくと、方針を一緒に考えやすくなります。
最初の相談先は一つに絞らなくてよい
税金は税理士、株式や契約の問題は弁護士、補助金は商工会議所や支援機関など、論点によって得意な専門家は異なります。一つの窓口で全部が解決しない場合もあるため、状況に応じて使い分ける考え方が現実的です。
どこに何を相談すべきか迷う場合は、まず全体の整理から相談してみるのも一つの方法です。
別記事では「事業承継の相談先10選を紹介!相談費用は無料なのか・選び方のポイントも解説」についても解説していますので、あわせてご覧ください。
スムーズな事業承継は「TORUTE株式会社」へ

事業承継は、経営者にとっても会社の未来にとっても大きな節目のひとつです。
「身近に気軽に相談できる専門家がいない」「顧問税理士はいるものの、事業承継全体について踏み込んだ相談まではしづらい」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
TORUTE株式会社では、中小企業の事業承継やM&A支援を手がけてきた経験をもとに、経営者さまの想いに耳を傾けながら、承継の計画づくりから実行までをサポートさせていただいています。
後継者選定の整理・株式や借入金の扱い・専門家や金融機関との連携・社内外への情報共有のタイミングなど、個別の事情に応じた進め方を一緒に考えていきます。
「数年以内に承継の方向性を固めたい」「将来に向けて、今のうちから準備を進めておきたい」と考えている方にとって、伴走してくれる存在がいることは、気持ちの面でも大きな支えになると考えます。
まずは、現状で感じている不安や疑問を言葉にするところからでも、ぜひご相談ください。
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まとめ
事業承継では、準備を始める時期が遅れてしまったり後継者選びが曖昧なまま進んでしまったりすることで、思わぬつまずきが生じやすくなります。
加えて株式・資産・借入金の整理が不十分だったり、税務や法務といった専門分野を後回しにしてしまったりすると、承継の途中で問題が表面化することもあるでしょう。
さらに、関係者への共有が足りない場合には、不安や誤解が広がるおそれもあります。
ですがこうした注意点は、早い段階で気付き、少しずつ対策を進めていけば、多くの場合は未然に防ぐことが可能です。
公的な相談窓口や専門家の力を借りながら進めることで、より安心感を得られるでしょう。
大切なのは、「会社・従業員・家族のために、自分はどのような形で事業を引き継ぎたいのか」という想いに向き合うことではないかと考えます。
注意点を念頭に置きながら、まずは現状を整理してみたり、家族や身近な人と話をしてみたりするところから始めるとよいでしょう。
そうした一つひとつの積み重ねが、将来「これで良かった」と心から思える事業承継につながっていくはずです。
まずはお気軽にご連絡ください
受付時間/AM8:30~PM5:30(土日・祝休)
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