建設業や小売業など、さまざまな業界で事業の引き継ぎが話題にのぼることが増えてきました。
日々の経営に向き合うなかで、「将来のことも少しずつ考えておいた方がよいのだろうか」と感じる場面がある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、情報を集めようとすると専門的な話が多く、自社の状況とどう結びつければよいのかわかりにくいと感じることもあるでしょう。
この記事では、後継者不足の業界15選をピックアップし、その課題や解決のポイント、さらに今後危ないと言われる業種や職業についても解説します。
まずは落ち着いて、自社の立ち位置や環境を見つめ直すきっかけとしてお読みいただければ幸いです。

目次
この記事を監修した弁護士
西田 幸広 法律事務所Si-Law代表
弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。
後継者不足の業界・15選を紹介!
事業を引き継ぐ話題になると、「自分のやり方が足りなかったのではないか」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、後継者が見つかりにくい背景は、会社だけの問題とは限りません。
業界の成り立ち・働き手の年齢構成・資格や許認可の仕組み・設備投資の負担など、長い時間をかけて形作られてきた要素が重なり合っている場合が多いものです。
そのため、同じように真摯に経営を続けていても、業界ごとに状況の違いが生まれやすくなります。
ここでは、公的機関などが公表している客観的なデータも参考にしながら、後継者不足という課題が表れやすい業界15選をピックアップしました。
まずは「自社はどのあたりに位置していそうか」「なぜ話が進みにくくなりやすいのか」を確かめながら読み進めてみてください。
1.建設業(工務店・職人・専門工事)
まず建設業は、後継者不足の話題にのぼりやすい業界のひとつです。
実際、帝国データバンクの「全国「後継者不在率」動向調査(2025年)」でも、業種別に見ると建設業の後継者不在率は高い水準にあります。

引用:帝国データバンク|全国「後継者不在率」動向調査(2025年)
特に住宅建築などの専門工事分野では、その傾向がよりはっきりと表れています。
現場では、長年の経験で身につけた技術や判断が仕事の質を左右し、協力会社との関係も含めて、人とのつながりが重要です。
そうした積み重ねが強みである一方、引き継ぐ場面では「人に紐づいた仕事」が多くなり、話を進めにくく感じることもあるでしょう。
2.自動車関連業
自動車関連業は、販売と整備に分けて考えると、状況が見えやすくなります。
帝国データバンクの同調査では、「自動車・自転車小売」が中分類のなかでも後継者不在率が高い水準として示されています。
整備や修理の分野でも、設備投資や技術の継承が必要になるため、担い手を見つけるまでに時間がかかるケースが少なくありません。
顧客との信頼関係を長い年月をかけて築いてきた会社ほど、「この関係をどう引き継げばよいのか」と悩む場面も出てきやすくなります。
まずは、仕事のなかで特に自分に依存している部分を整理してみると、次の考え方が見えやすくなるでしょう。
3.小売業(個人商店・専門店)
小売業は、地域に根ざして長く続いている会社が多く、経営者自身が店の顔として信頼を築いてきたケースも少なくありません。
帝国データバンクの同調査では、卸売業・小売業は全産業のなかでも後継者不在率が高い業種に含まれており、特に個人経営に近い形態ほど、その傾向が見られます。
仕入れ先との長年の付き合い・常連客との関係・店主ならではの商品選びなど、小売業には数字だけでは測りにくい価値が多くあります。
そうした強みがあるからこそ、「誰に・どこまで引き継ぐのか」を考える際、戸惑いを感じることもあるでしょう。
まずは、どの部分が店そのものの力で、どの部分が自分自身の経験に支えられているのかを整理してみると、次の考え方が少しずつ見えてくるはずです。
参考:帝国データバンク|全国「後継者不在率」動向調査(2025年)
4.飲食・各種サービス業
飲食業や各種サービス業は、地域の暮らしに密着した事業が多く、日々の現場運営がそのまま会社の力につながりやすい業界です。
中小企業庁の「2024年版 小規模企業白書」では、業種別の動向として「宿泊業・飲食サービス業」が他の業種と比べて事業の入れ替わりが多い分野であることが示されています。
こうした業界では、人手の確保や仕入れ価格の変動など、経営者自身の工夫だけでは調整が難しい要素も少なくありません。
その結果、経営者が現場の判断や対応を担う場面が多くなりやすい傾向があります。
将来を考えるうえでは、日々の業務のなかで「自分が関わっている仕事」と「仕組みとして回せそうな仕事」を分けて見直しておくことが、ひとつの整理につながるでしょう。
参考:中小企業庁|2024年版 小規模企業白書「新たな担い手の創出」
5.医療業(個人経営の診療所・クリニック)
医療業、特に個人経営の診療所やクリニックでは、診療そのものに加えて経営の役割も担う必要があります。
そのため事業の引き継ぎを考える際には、院長の交代だけでなく、許認可・スタッフ体制・診療圏など、いくつもの点を同時に考えることになります。
いきなり売買や譲渡といった話を進めるよりも、まずは「院長が担っている役割にはどんなものがあるか」を整理してみるのがおすすめです。
医療業界は地域による違いも大きいため、同業の事例なども参考にしながら、少しずつ方向性を探っていくとよいでしょう。
6.士業・専門サービス業
税理士や社会保険労務士といった士業や、デザイン事務所などの専門サービス業は、仕事の評価や信頼が「個人名」と結びつきやすい業界です。
日本政策金融公庫の調査では、「専門・技術サービス業、学術研究」分野は、事業の将来像を検討する企業が多い業種のひとつとして整理されています。
この分野では、経験や判断力が仕事の質に直結しやすく、あとを継ぐ立場から見ると「同じ水準を保てるか」という不安が生まれやすくなります。
そのため、業務の進め方や判断基準を言葉や資料にして残しておくことがおすすめです。
顧客との関係づくりをどのように引き継ぐかも含め、少しずつ整理しておくとよいでしょう。
参考:日本政策金融公庫|中小企業における事業承継問題の実態と変化(2023年調査)
7.不動産業
不動産業も、事業承継の場面で課題が表れやすい業界のひとつです。
国土交通省の「宅地建物取引業法の施行状況調査(令和6年度)」によると、全国の宅地建物取引業者数は、13万2,291業者 とされています。
また、総務省統計局「経済センサス 活動調査(令和3年)」では、「不動産業・物品賃貸業」に分類される事業所の多くが、従業者数の少ない小規模事業所に該当しています。
これらの統計から、不動産業は多数の小規模事業所によって構成されている業界であることがわかるでしょう。
不動産業では、少人数で事業を運営している事業所が多く、事業承継を考える際にはその点を踏まえる必要があります。
まずは物件情報の管理や契約業務の流れなど、現在の事業運営の全体像を整理しておくと、将来について考えやすくなるでしょう。
参考:国土交通省|令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について
参考:令和3年経済センサス ‐ 活動調査
8.卸売業・物流業
卸売業や物流業は、取引先との信頼関係や長年の商慣習によって事業が成り立っている業界です。
なかでも運輸業は業種全体としては比較的安定した傾向ではありますが、実際の現場では、ドライバー不足・燃料費の変動・荷主との調整など、経営者自身が日々の判断を担っている会社も多く見られます。
こうした業務が経営者に集中している場合、事業を引き継ぐ際に「どこまで判断を任せられるか」が整理しづらくなり、後継者選びが進みにくくなることがあります。
解決していくためには、現在どの業務を経営者が担っているのかを明らかにしておくことがひとつのポイントだと言えるでしょう。
普段から関わっている調整業務を書き出してみると、引き継ぎに向けて整理すべき点が見えやすくなるはずです。
9.中小製造業(町工場)
中小製造業は、設備投資と技能継承の両方を考える必要がある業界です。
特に町工場のように、特定の工程や技術を限られた人材が担っている会社では、その技術をどのように引き継ぐかが事業承継の大きな論点になります。
後継者不足が課題として表れやすいのは、設備や技術の引き継ぎ方を整理しないまま時間が経ってしまうケースです。
設備の内容・技術の特徴・取引先との関係などを一度整理しておくことが、将来を考えるうえでの土台になるでしょう。
10.宿泊業(個人経営の旅館・ホテル)
宿泊業は、施設の維持管理や人材確保など、複数の経営課題が同時に発生しやすい業界です。
特に個人経営の旅館やホテルでは、運営判断・人の配置・地域対応など、経営者が担う役割が広くなりがちです。
そのため、経営者がどの業務を担っているのかを整理することが、事業承継を考える第一歩になります。
施設運営や人の配置について一度整理しておくだけでも、将来の選択肢を考えやすくなるでしょう。
11.生活関連サービス業
生活関連サービス業には、冠婚葬祭・家事関連サービス・各種地域サービスなど、日常生活を支える幅広い業態が含まれます。
中小企業庁の「2024年版 小規模企業白書」では、業種別の廃業率を比較した結果として、
「生活関連サービス業・娯楽業」が高い水準にあることが示されています。
さらに、生活関連サービス業の多くが小規模事業者で構成されている点も示されており、事業運営の中心を経営者自身が担っている事業所が多い業界構造が確認できます。
事業を継続するために必要な業務や役割をどこまで整理できているかが、事業承継を考える際の重要な論点になるでしょう。
参考:中小企業庁|2024年版 小規模企業白書「新たな担い手の創出」
12.理美容業
理美容業は、日本標準産業分類上では、「生活関連サービス業」に分類される業種です。
店舗規模が小さい事業所が多く、経営と施術・店舗運営を同一人物が担っているケースが多くなっています。
経営と現場業務をどのように引き継ぐかが、事業承継時に整理すべきポイントになるでしょう。
13.クリーニング業
クリーニング業も、日本標準産業分類上、「生活関連サービス業」に含まれる業種になります。
クリーニング業は、店舗運営に加えて、設備を用いた作業工程や集配業務など、複数の業務工程を含む事業形態であることが特徴です。
設備・業務工程・取引形態といった引き継ぐ対象が多い点が、事業承継を検討する際の整理事項になります。
14.農業・林業
農業・林業は、後継者不足が社会的な課題として明確に示されている分野です。
農林水産省の「令和6年度 食料・農業・農村白書」によると、令和6年(2024年)の基幹的農業従事者の平均年齢は69.2歳、65歳以上の割合は71.7%とされています。
担い手の高齢化が進むなかで、次の担い手をどう確保するかは、事業承継を考えるうえで避けて通れない論点です。
後継者不足の業種として、引き継ぐ対象や条件を整理しておくことが重要になるでしょう。
農業における後継者不足の対策については、以下の記事もご覧ください。
関連記事:後継者不足の農業家ができる対策は?担い手減少の現状や原因・解決の手順を徹底解説!
15.漁業
漁業も、担い手の減少と高齢化が進んでいる分野です。
水産庁が公表している統計資料では、漁業就業者数が長期的に減少傾向にあることに加え、65歳以上の就業者が全体の約4割を占めている状況が示されています。
また、農林水産省の政策資料では、漁業就業者の平均年齢が56.9歳、65歳以上の割合が38.3%とされています。

漁業では、操業に必要な許認可や漁業権、地域ごとの取り決めなどが事業運営に深く関わります。
そのため、事業を引き継ぐために必要な条件や手続きを整理しておくことが、事業承継を考える際の重要なポイントになるでしょう。
参考:農林水産庁|漁業労働力に関する統計
参考:水産庁|漁業生産を支える人材確保
ここまで、後継者不足の業界についてご紹介しました。
「自社は実際にどんなことから取り組めばいいんだろうか」と悩む場合は、ぜひ一度TORUTE株式会社にご相談ください。

これらの業界で後継者不足は何が原因?
後継者不足が起きやすい原因には、ここまで見てきた業界でも大きな共通点があります。
まず1つ目は、個人経営や家族経営が中心で、事業が人に紐づきやすいことです。
社長の判断・現場の段取り・取引先との関係がひとりに集まるほど、あとから入る人には全体が見えにくくなり、引き継ぐ側がためらってしまうのも自然な流れだと言えるでしょう。
2つ目は、資格・技能・許認可が必要で、引き継ぎに時間がかかりやすいことです。
例えば、医療・建設・一次産業などでは、資格があっても実務や信用を身につけるまでに一定の期間が必要になります。
そのため、「後継者がいない」というより、「育てる時間が足りない」という状況になることもあります。
3つ目は、設備や初期投資の負担が重く、承継の判断が難しくなりやすいことです。
特に宿泊業や製造業などでは、設備更新のタイミングが大きな壁になります。
ただし、更新計画が見えているだけでも、次の一歩を考えやすくなるでしょう。
伝統工芸や伝統文化も後継者不足?

伝統工芸や伝統文化の分野では、法人化していないケースも多く、売上よりも「続けていくこと」そのものに価値が置かれることがあります。
それでも、技術や活動を「誰に・どのように引き継いでいくか」という課題から完全に離れているわけではありません。
むしろ、担い手の高齢化や生活面の不安などが重なり、「次をどう考えるか」に悩む場面は少なくないでしょう。
伝統分野の承継は、一般的な事業承継とは少し性質が異なりますが、「続けていくために何を整えておくか」を考えるという点では共通しています。
伝統分野で後継者が見つかりにくい理由は?
伝統分野で後継者探しが進みにくい背景には、いくつかの共通点があります。
まず1つ目は、技術や判断が特定の人に集まりやすいことです。
「見て覚える」「一緒にやって身につける」といった形が中心になるほど、教え方が感覚的になり、引き継ぎのハードルが高くなりやすくなるでしょう。
2つ目は、収益が安定するまでに時間がかかり、次の担い手が生活のイメージを描きにくいという点です。
技術を身につけるまでの期間と、収入が見合うまでの距離が離れているほど、踏み出しにくさが生まれます。
そして3つ目は、地域の行事・人間関係・業界特有の慣習が深く関わることです。
技術以外にも引き継ぐべきことが多く、新しい担い手を受け入れる準備に時間がかかる場合があります。
裏を返せば、工程を少しずつ整理して伝えやすくし、活動を続けるための収益の形を見直し、受け入れの段取りを整えていくことで、承継の可能性は広がっていきます。
急ぐ必要はありませんが、時間を味方につけて準備しておくことが、伝統を次につなぐための大切な一歩になるでしょう。
将来人手不足が深刻化しやすい業種・職業は?
「後継者不足」と「人手不足」は、別々の問題のように見えるかもしれませんが、実際の経営では強く結びついています。
後継者が決まっても現場を支える人がいなければ事業は回りませんし、現場の人がいても経営を担う人がいなければ先を描きにくくなります。
この2つは、会社を動かすための両輪と考えるとわかりやすいでしょう。
将来、人手不足が深刻になりやすい業種や職業には、一定の傾向があります。
それは「人気がない仕事」というよりも、仕事の性質や環境によって人が集まりにくくなる構造を持っている点です。
まずは、その共通点を整理してみましょう。
人手不足が懸念されやすい職業の共通点
人手不足が起きやすい仕事には、いくつかのわかりやすい特徴があります。
例えば、体力的な負担が大きい仕事や、技術を身につけるまでに時間がかかる仕事です。
また、経験や判断が品質に直結しやすく、簡単に代替がきかない仕事も含まれます。
さらに、勤務地が地域に限定されやすい仕事は、若い世代が集まりにくい傾向があります。
建設業や整備業・物流業・一次産業・地域密着型のサービス業などは、こうした条件が重なりやすい分野だと言えるでしょう。
「今後危ない」と言われるのはどんな業種?
「今後危ない業界」と聞くと不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの場合、需要が急になくなるという意味ではありません。
採用が難しい一方で人件費を価格に反映しにくい、設備更新が必要でも投資回収の見通しが立てにくいなど、経営構造の調整が求められているという意味合いが強いと考えます。
また、社長が現場の中心に立ち続けることを前提に成り立っている事業は、引き継ぎの場面で壁が生じやすくなります。
人手不足と後継者不足が同時に表れやすいのは、こうした構造を持つ業界だと言えるでしょう。
大切なのは、必要以上に不安を大きくしないことです。
まずは、人の確保や引き継ぎの面で「どの部分に負担が集まりやすいか」を整理することで、今後どこから考え始めればよいのかが見えやすくなるはずです。

後継者不足解決のためにできることとは
後継者不足の話になると、「誰かよい人を探さなければならない」と考えてしまいがちです。
ただ多くの会社でつまずきやすいのは、人探しそのものよりも、引き継ぎを前提とした準備が整っていないことです。
準備が不十分なまま話を進めると、候補者が現れても判断材料が足りず、話が途中で止まってしまうことがあります。
反対に、会社の状況や考え方がある程度整理されていれば、承継の方法に関わらず検討は進めやすくなるでしょう。
また準備を進めるなかで、「自分の代で一区切りつけることも含めて考えたほうがよいかもしれない」と感じる場面が出てくることもあるかもしれませんが、それは決して後ろ向きな判断ではないと考えます。
会社や社員、取引先を守るために、現実を冷静に見つめた結果と受け止めてよいのではないでしょうか。
どの道を選ぶにしても、情報や考えが整理されていれば、慌てずに判断しやすくなるはずです。
そのうえで、後継者不足の解決策を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:後継者不足の解決策・12選を紹介!業種別の問題や成功するためのポイントも解説!
後継者探しの前に整理しておきたい5つのポイント

ここからは、業界を問わず多くの会社で必要になる「整理しておきたいポイント」を、5つに分けてご紹介します。
- 引き継ぐ範囲を整理する
- 許認可・契約・基準を棚卸しする
- 数字や判断基準を第三者にもわかる形にする
- 「社長がいなくても回る状態」をどこまでつくれるか考える
- 小さく引き継ぐことを試していく
どれも、今すぐ完璧に進める必要はありません。
これから誰かに相談したり、社内で考えを整理したりする際に、「何から手をつければよいのか」を落ち着いて確認するための目安として参考にしてください。
引き継ぐ範囲を整理する
事業承継というと、「社長の仕事をすべて渡さなければならない」と思い込みがちです。
ですが、実際にはすべてを引き継がなくても会社は回るのではないでしょうか。
社長の仕事のなかには、後継者に渡すべきものと、渡さなくても問題のないものが混ざっている可能性がありますので、まずはその切り分けから始めてみましょう。
看板商品・主な顧客・重要な取引先・現場の要となる工程など、「これがないと成り立たない部分」が見えてくると、承継の話は進めやすくなります。
逆に、核がはっきりしないままだと、あとを継ぐ側も判断に迷ってしまうかもしれません。
許認可・契約・基準を棚卸しする
承継の話が途中で止まってしまう原因として多いのが、あとから引き継げない条件が見つかることです。
例えば、次のような内容は見落とされやすい項目です。
- 許認可の名義
- 賃貸借契約
- 取引基本契約
- 加盟店契約
- 保険や保証
- 資格者要件 など
まずは「何があるのか」を紙に書き出してみるだけでもいいので、早めに棚卸しをしておきましょう。
数字や判断基準を第三者にもわかる形にする
どこで利益が出ていて、どこに負担がかかっているのかなど、日々の業務のなかで、社長が「感覚でわかる」状態は大きな強みです。
ですが承継の場面では、それが壁になってしまうことがあります。
売上や利益だけでなく、粗利の高い商品・固定費の内訳・季節ごとの変動・借入返済の見通しなどを、簡単な表にまとめておくとよいでしょう。
数字が見える形になると、話し合いも感情的になりにくくなり、冷静に検討しやすくなります。
「社長がいなくても回る状態」をどこまでつくれるか考える
社長が頑張ることで成り立っている会社ほど、社長が抜けた途端に回らなくなることが考えられます。
責任感が強いぶん、知らず知らずのうちに多くの判断を抱え込んでしまいがちです。
朝礼の段取り・発注の判断・クレーム対応・採用や教育・資金繰りなど、社長が担っている仕事を一度洗い出してみましょう。
一度にすべてを任せる必要はありませんので、半分でも人に任せられる形に変えられれば、承継の難しさは大きく下がります。
小さく引き継ぐことを試していく
社長交代を一度きりの大きな決断にすると、本人も周囲も身構えてしまいます。
そこで有効なのが、小さく引き継ぐ試みです。
例えば、特定の取引先対応を任せてみる・月次の数字報告を担当してもらう・現場の改善を主導してもらうなど、小さな範囲から始めてみましょう。
こうした経験を積み重ねることで、社内外の信頼が少しずつ育ちます。
その結果、次に進むべき方向も見えやすくなっていくはずです。
いざ承継の段階になると、さらにやるべきことは増えていくため、できることからはじめてみてください。
以下の記事では、「事業承継でやるべきことリスト」として、必要な知識や書類もまとめていますのでお役立ていただけますと幸いです。
関連記事:事業承継でやるべきことリストを紹介!必要な知識や書類・課題についても解説!
もちろん、いくら頭では理解していても、「何からはじめればいいのか」と迷われることもあるかと思います。
TORUTE株式会社では、まず状況を整理するところからでもお力になれるはずですので、まずは無料相談からお気軽にご活用ください。

まとめ
後継者不足は、誰かひとりの努力が足りないから起きる問題ではなく、業界の構造・働き方の変化・社会全体の流れが重なって生じるものです。
まずは「自社の業界がどのような状況にあるのか」「なぜ承継が難しくなりやすいのか」を知るだけでも、漠然とした不安は和らいでいくでしょう。
そのうえで、できる整理や見直しをおこない、小さな引き継ぎを試しながら準備を進めておくことが大切になります。
数年先を見据えながら、今日できる小さな一歩から始めてみましょう。
焦る必要はありませんが、先送りしすぎない姿勢が、結果として会社と関係者を守ることにつながっていくはずです。
まずはお気軽にご連絡ください
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