事業承継は、多くの中小企業経営者がいつか向き合うことになる、大切なテーマです。
ただ頭ではわかっていても、いざ考え始めると「何から手をつければよいのかわからない」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
後継者のこと・お金のこと・社員や家族への影響など、次々と気になる点が浮かんでくることもあるものです。
本記事では、そうした経営者の思いに寄り添いながら、事業承継で抱えやすい悩みを13選にまとめました。
後継者が感じやすい不安や、事業承継が思うように進まない理由、今からでも無理なく始められる解決策もご紹介します。
実際の経営の現場をイメージしながらお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

目次
この記事を監修した弁護士
西田 幸広 法律事務所Si-Law代表
弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。
事業承継の悩みで抱えやすいのは?
事業承継の悩みは、「後継者がいない」という一点だけで語れるものではありません。
実際には、後継者の選び方や育成・お金や税金の問題・社員や取引先や親族との関係、さらには進め方そのものへの戸惑いなど、複数の悩みが同時に重なりやすいのが現実です。
ここでは、事業承継で多くの経営者が抱えやすい悩みを、次の4つの視点から解説します。
- 後継者に関する悩み
- お金に関する悩み
- 関係者に関する悩み
- 進め方や相談に関する悩み
ご自身の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。
後継者に関する悩み
事業承継の悩みのなかでも、特に多くの経営者が頭を悩ませやすいのが「後継者」に関する問題です。
後継者が見つからない場合はもちろん、候補がいる場合でも、気持ちや準備の面で不安が残ることは少なくありません。
また、自分の考えと周囲の意見が噛み合わず、判断に迷ってしまうケースもあるでしょう。
後継者に関する悩みは、大きく次のような点を考えることができます。
- 1.任せたいと思える人がいない
- 2.後継者候補はいるが本人の意思がはっきりしない
- 3.後継者の育成に不安が残る
- 4.周囲と承継時期の意見が合わない
それぞれについて、詳しく解説します。
1.任せたいと思える人がいない
「子どもは県外で働いていて戻るかわからない」「社員に経営まで任せてよいのか不安が残る」など、後継者として任せたい人が思い浮かばず、立ち止まってしまう経営者は少なくありません。
その背景は、長年会社を守ってきたからこその強い責任感からではないかと考えます。
簡単に割り切れないのは、むしろ自然な感情と言えるでしょう。
この段階で大切なのは、すぐに結論を出そうとしないことです。
まずは親族・役員・幹部社員、場合によっては第三者承継(M&A)も含め、後継者となりうる人を紙に書き出して整理してみるとよいでしょう。
候補がいないと決めつけず、選択肢の全体像を把握しておくことで、次に取るべき行動が見えやすくなります。
以下の記事では、事業承継の後継者不在の現状を深掘りしていますので、参考にしてください。
関連記事:事業承継の後継者不在の現状は?年代・業界別の問題や原因・解決策もまとめて解説!
2.後継者候補はいるが本人の意思がはっきりしない
後継者の候補はいるものの、本人の意思が読み取れず、悩むケースもあります。
ここで候補者に無理に答えを迫ってしまうと、かえって心を閉ざしてしまうことも考えられるため、注意が必要です。
まず意識したいのは、結論を急がない姿勢だと言えるでしょう。
資金繰り・個人保証・社員との関係など、後継者自身も言葉にしにくい悩みを抱えていることも少なくありません。
雑談に近い雰囲気で、感じている不安の中身を少しずつ聞き出すようにすると、気持ちの輪郭が見えてくることがあります。
3.後継者の育成に不安が残る
後継者が決まったあとでも、「経営判断を任せきれるだろうか」「数字に対する理解は十分だろうか」といった不安が残ることは珍しくありません。
ただ、振り返ってみると、現経営者自身も最初からすべてを理解していたわけではないはずです。
後継者の育成では、いきなりすべてを任せようとせず、判断を経験する場を段階的につくっていくのがよいでしょう。
例えば、月次の数字を一緒に確認し、「なぜこの費用が増えたのか」「今後どの取引先に力を入れるべきか」と意見を交わします。
こうした小さな意思決定を積み重ねていくことで、後継者の経営感覚は自然と育ち、任せる側の不安も次第に和らいでいくはずです。
4.周囲と承継時期の意見が合わない
「まだ自分は現役でやれる」と感じている一方で、家族や社員からは早めの承継を勧められることもあるでしょう。
反対に、引退を考え始めているのに、後継者の準備が思うように進んでいない場合もあります。
承継時期をめぐる考え方が食い違うと、判断が難しくなりがちですが、誰にとっても正しい答えはありません。
そこで意識したいのは、時期を一度で決めようとしないことです。
例えば、当面は権限移譲の準備期間とし、そのあとに取引先への引き継ぎを進め、最終的に代表交代をおこなうなど、段階を区切って考えてみましょう。
流れが見えるようになると、周囲の理解も得やすくなり、話し合いが進めやすくなります。
お金に関する悩み
事業承継を考えるうえで、「お金」の問題は避けて通れません。
会社や自社株の評価・税金の負担・借入金や個人保証・引退後の生活資金まで、考えるべき点が多く、頭が追いつかなくなることもあるでしょう。
数字が絡む話題は難しく感じやすく、「よくわからないから後回しにしたい」と思ってしまう方も少なくありません。
事業承継の場面で特に悩みやすいのは、次の4つのポイントです。
- 5.会社や自社株の評価額を把握できていない
- 6.後継者の税負担が心配
- 7.借入金や個人保証の整理方法がわからない
- 8.引退後の生活資金の確保に不安がある
お金に関する悩みは、早く答えを出すことよりも全体像を把握することが大切ですので、それぞれを確認しながら整理してみてください。
5.会社や自社株の評価額を把握できていない
まず、会社や自社株の評価額がわからないままだと、贈与・相続・売買のどれが現実的なのか判断しづらくなります。
評価額は、いわば「会社の価値を測るものさし」です。
これを知らない状態で事業承継を考えるのは、地図を持たずに山に入るようなものだと言えるでしょう。
とはいえ、最初から正確な金額を出す必要はありません。
専門家に相談し、概算でよいので「今の評価額はどの程度か」を確認しておくのがおすすめです。
事業承継の株価対策については、以下の記事にもまとめましたので参考にしてください。
関連記事:事業承継の株価対策とは?3つの評価方式や自社株の引き下げ対策をまとめて解説!
6.後継者の税負担が心配
「相続税や贈与税が思った以上に重くなるのではないか」と不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
税金の話は見えにくく、全体像がわからないままだと「話を切り出すのが怖い」と感じてしまい、結果として準備が遅れてしまうこともあります。
ただし、税負担を抑えるための制度や考え方は、ある程度整理されています。
例えば、「法人版事業承継税制」などが、その一例です。
もちろん利用には要件があり、すべての会社で使えるわけではないため、確認が必要になります。
ですが制度を上手に活用し、税金に対する不安が少し和らぐだけで、事業承継の話は進めやすくなるでしょう。
7.借入金や個人保証の整理方法がわからない
借入金や個人保証の問題は、事業承継において大きな心理的負担になりやすい部分だと言えるでしょう。
後継者に同じ保証を背負わせてよいのか、先代として悩むのは当然ですし、後継者側も不安を口にしにくいものです。
この点については、「経営者保証に関するガイドライン」などを通じて、考え方が整理されてきています。
「必ず保証を外せる」というわけではありませんが、一定の条件を満たせば、保証解除や保証に依らない融資を目指す道筋が示されています。
まずは現在の借入内容や保証の状況を確認し、金融機関に相談するための土台を整えておくとよいでしょう。
事業承継特別保証制度についても以下の記事にまとめていますので、参考にしてください。
関連記事:事業承継特別保証制度とは?メリット・デメリットや要件・申請方法もまとめて紹介!
8.引退後の生活資金の確保に不安がある
引退後の暮らしを具体的に思い描けないままでは、事業承継に踏み切る決断が鈍ってしまうことがあります。
これまで会社のことを最優先に考え、社員や取引先のために力を尽くしてきた経営者ほど、「自分の生活のことはあとでよい」と考えてしまいがちです。
その姿勢は立派ですが、同時に心のどこかで不安を抱えてしまう原因にもなります。
ここで意識しておきたいのは、引退後の生活を考えることは、決してわがままではないという点です。
会社のお金と個人のお金を分けて考え、役員報酬・退職金・配当・賃貸収入など、今後の収入になりうるものを一度書き出してみるようにしましょう。
最初は大まかな数字で構いません。
暮らしの見通しが少し立つだけでも、気持ちが落ち着き、後継者に経営を任せる決断もしやすくなっていくはずです。
関係者に関する悩み
事業承継を進めるうえで、後継者やお金の問題と同じくらい悩ましいのが、周囲の人たちへの向き合い方です。
幹部・社員・長年付き合いのある取引先・親族など、関係者が多いほど、「誰に・いつ・どこまで話すべきか」で迷ってしまうことがあります。
経営者としては、「余計な不安を与えたくない」「関係を壊したくない」という想いが強く、結果として話題を先送りしてしまうこともあるのではないでしょうか。
関係者とのやり取りで特に悩みやすいのは、次の3つのポイントです。
- 9.幹部や社員へ話を切り出すタイミング
- 10.取引先への伝え方や順番
- 11.親族間の揉めごとへの不安
それぞれの場面で意識したい考え方も含めて、具体的に解説していきます。
9.幹部や社員へ話を切り出すタイミング
事業承継の話を社員にいつ伝えるべきかは、多くの経営者が悩むところです。
早く伝え過ぎると不安が広がり、反対に遅くなると「なぜ今まで黙っていたのか」と不信感を招くおそれもあります。
どちらを選んでも気がかりが残るため、判断が難しく感じられるのも無理はありません。
ここで意識したいのは、「全員に一度に伝えよう」としないことです。
まずは幹部や信頼できるキーパーソンに、会社の方針として「事業承継の準備を始める」という事実だけを共有してみましょう。
そこで出てきた懸念や質問を整理してから、少しずつ対象を広げていくと、落ち着いて進めやすくなります。
社員の反応を恐れるより、誤解が生まれにくい順番を考える姿勢が大切です。
10.取引先への伝え方や順番
取引先にとって重要なのは、「会社として今後も安心して取引できるかどうか」です。
そのため後継者のことや代表が変わる話題は、条件・支払い・品質への影響を連想させやすく、伝え方に慎重にならざるを得ません。
大切なのは、重要度の高い取引先から順に、早めに顔合わせの機会を設けることだと考えます。
代表交代の前から後継者が同席し、挨拶や打ち合わせに少しずつ参加してもらうとよいでしょう。
「今日から代わります」と突然伝えるよりも、「今後はこの者も一緒に対応します」と自然に移行したほうが、相手も安心しやすくなります。
これまで関係を大切にしてきたからこそ、丁寧な段取りを心がけたいところです。
11.親族間の揉めごとへの不安
親族間で揉めることを心配し、事業承継の話題そのものを避けてしまう経営者も少なくありません。
事業承継は会社の将来を決める話であると同時に、相続の話にもつながるため、どうしても感情が絡みやすくなるでしょう。
波風を立てたくないという想いが強いほど、切り出しにくくなるものです。
こうした場合に意識したいのは、論点を分けて考えることです。
「誰に経営を任せるのか」という話と、「財産をどのように分けるのか」という話を同じ場でまとめてしまうと、話がこじれやすくなります。
必要に応じて専門家など第三者を交えながら、事実と希望を整理していくとよいでしょう。
家庭の平穏を守るためにも、早めに小さな共有を重ねていくことが大切です。
進め方や相談に関する悩み
事業承継について考え始めたものの、「何から手をつければよいのかわからない」と感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。
後継者のこと・お金のこと・関係者への説明・相談先の選び方など、対応すべきことが一度に頭に浮かぶと、考えが整理できず立ち止まってしまいがちです。
ここでは、以下の2つの悩みについて取り上げます。
- 12.何から手をつければよいのか全体像が見えない
- 13.誰に相談すべきかわからない
この段階で大切なのは、すぐに答えを出そうとしないことです。
まずは状況を整理し、どう動けばいいかを確認するだけでも、十分な前進と言えます。
12.何から手をつければよいのか全体像が見えない
事業承継は考えるべきことが多いため、全体像が見えないまま思考が止まってしまい、どこから手をつけるべきかわからなくなるのも無理はありません。
ここで意識したいのは、順番を決める前に整理をすることです。
紙に「後継者」「お金」「関係者」「進め方」などと書き出し、それぞれに今気になっていることを一言ずつ添えてみてください。
そうすると漠然とした不安も、「問題がわかる状態」に変わってきます。
一つひとつの課題が見えるようになると、どこから手をつけるべきかや、誰に相談すればよいかも考えやすくなるでしょう。
以下の記事では、事業承継でやるべきことをリストにまとめましたので、こちらもご活用ください。
関連記事:事業承継でやるべきことリストを紹介!必要な知識や書類・課題についても解説!
13.誰に相談すべきかわからない
事業承継の相談先には、税理士・弁護士・金融機関・M&A仲介会社・公的機関など、さまざまな選択肢があります。
ですが、「結局どこに相談すればよいのか」と迷ってしまい、動けなくなる方も少なくありません。
ここで大切なのは、最初から「正解の相談先」を探そうとしないことです。
まずは、話を聞きながら状況を整理してくれる相手が一人いれば十分だと考えてみましょう。
例えば、税理士に自社株や税金の大まかな見通しを聞き、借入金や保証については金融機関に現状を確認するだけでも構いません。
気軽に話せる相手が一人できるだけで、頭の中が整理され、不安も和らいできます。
そうしたやり取りを重ねるうちに、「次は誰に相談すべきか」も自然と見えてくるはずです。
TORUTE株式会社では、さまざまな専門家と連携しているため、ご相談いただければワンストップで事業承継を進めることが可能です。
初回のご相談は無料でできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

後継者が抱えやすい悩みや不安は?

事業承継は、引き継ぐ側だけが悩むものではありません。
後継者の立場に立ってみると、表には出にくい不安や戸惑いを多く抱えているケースも少なくないでしょう。
現経営者がこうした気持ちを理解できれば、対話がしやすくなり、承継も前に進みやすくなります。
後継者が抱えやすい代表的な不安を、次の5つにまとめました。
- 経営を引き受ける責任とプレッシャー
- 判断や役割の線引きが曖昧なことへの戸惑い
- 社内外との関係づくり
- 将来像が共有されていないことへの不安
- 相談相手が限られる
後継者が感じやすい悩みは、能力の問題というよりも、立場や環境から生まれるものがほとんどではないかと考えます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
経営を引き受ける責任とプレッシャー
後継者は、会社を引き継ぐ立場になった瞬間から、社員の生活や取引先との関係を背負う重みを強く意識するようになります。
周囲からは前向きに見えても、内心では「失敗できない」「判断を誤ったらどうしよう」と思い詰めているケースも考えられるでしょう。
このプレッシャーを和らげるには、現経営者の関わり方が大きな意味を持ちます。
「最初から完璧でなくていい」「一緒に整えていけばいい」と言葉にして伝えるだけでも、後継者の気持ちは軽くなるはずです。
挑戦を許容する姿勢を示すことが、後継者の一歩を後押しするでしょう。
判断や役割の線引きが曖昧なことへの戸惑い
後継者は、判断の権限や役割がはっきりしないと戸惑ってしまいます。
代表ではないのに責任だけが増えたり、任されたと思った判断があとから覆されたりすると、自信を失ってしまうこともあるでしょう。
こうした戸惑いを防ぐには、役割分担を言葉にして共有しておくことが大切です。
「ここまでは任せる」「ここからは一緒に考える」といった線引きを明確にすると、後継者は安心して動けるようになります。
そして少しずつ判断を任せる場面を増やしていくと、後継者は自分の役割を実感できるようになるでしょう。
社内外との関係づくり
社員との距離感や、取引先からどう見られているかも、後継者にとって大きな悩みになりやすい部分です。
特に、現経営者の存在感が大きいほど、自分が受け入れられるのか不安を感じやすくなります。
ここで現経営者にできるのは、「紹介役」として場を整えることです。
会議や打ち合わせの場で後継者の考えを補足したり、取引先に自然な形で紹介したりすると、後継者は動きやすくなるでしょう。
孤立を防ぐ環境づくりが、承継の土台になります。
将来像が共有されていないことへの不安
後継者が動けなくなる理由は、能力不足だけではなく、「会社がどこに向かうのかわからない」ことにある場合も多いです。
判断の基準が見えないと、一歩を踏み出す勇気が持てません。
現経営者が、これまで大切にしてきた価値観・守りたい顧客・譲れない品質などを言葉にして伝えると、後継者は判断しやすくなるでしょう。
壮大なビジョンを描く必要はありませんので、まずは「ここだけは守りたい」という軸を共有しておくことが大切です。
相談相手が限られる
後継者は立場上、弱音を吐きにくいものです。
社内では強く見せたい一方で、家族にも仕事の悩みを打ち明けにくく、気付かないうちに抱え込んでしまうことがあります。
現経営者が、困ったら相談していいのだということを明言し、話を聞く姿勢を示すだけでも安心感は違うでしょう。
必要に応じて第三者の相談先を紹介しておくと、後継者は孤立しにくくなります。
事業承継がうまく進まない原因とは
事業承継について悩みや課題が見えてきても、「うまく前に進まない」と感じることがあります。
それは、気持ちの問題だけではなく、いくつか共通する原因が重なっているケースが多いのではないかと考えます。
事業承継が進みにくくなる主な原因は、次の4つです。

それぞれ解説しますので、「自分の場合はどこが引っかかっているのか」を確認していきましょう。
情報不足
事業承継では、制度・税金・株価・保証など、普段はあまり触れない話題が多く出てきます。
知らないことが多いままだと、不安も膨らんでしまうでしょう。
情報不足の状態は、「まだ決められないから、もう少し様子を見よう」と、先送りにつながりやすくなります。
最初から細かい制度を理解しようとする必要はありませんので、まずは全体の流れや要点をつかみ、気になる部分を専門家に確認していくようにしましょう。
時間不足
会社の経営が回っているほど、事業承継の準備に時間を割くのは難しくなりがちです。
「忙しくて手が回らない」というのは、多くの経営者に共通する悩みだと言えるでしょう。
ただし、事業承継は短期間で一気に終わる話ではなく、少しずつ進めることが前提になります。
例えば、月に一度でも「事業承継について考える時間」を予定に入れておくと、状況は変わってきます。
時間は、空いたら使うものではなく、先に確保しておくほうが現実的です。
感情・人間関係の問題
事業承継で、人の気持ちが絡む部分も本当に難しいと言えるかもしれません。
「言い出しにくい」「揉めたくない」「今はまだその時期ではない気がする」といった感情が、準備を止めてしまうこともあります。
このような場合、正しいかどうかよりも、順番と配慮が大切になると言えるでしょう。
いきなり全員に話そうとせず、まずは信頼できる相手と短い対話を重ねるのがおすすめです。
小さな話し合いを積み重ねることで、気持ちの整理が進み、次の一歩を踏み出しやすくなります。
専門家不足
事業承継では、税金・自社株の評価・契約や法的な手続き・借入金や保証の整理など、性質の異なる問題が同時に出てきます。
これらをひとりで理解し、判断しようとすると、かえって混乱してしまうこともあるでしょう。
ここで大切なのは、すべてを自分でわかろうとしないことです。
税金や評価については税理士、契約や法的な手続きは弁護士、借入や保証については金融機関といったように、分野ごとに専門家の力を借りることで整理しやすくなります。
また専門家が連携することで、判断の負担が軽くなり、事業承継を安心して進めやすくなります。
専門家に相談するというと身構えてしまいがちですが、「今の状況はどうなっているのか」を確認することからはじめてもよいでしょう。
TORUTE株式会社でも、事業承継を考えはじめた初期の段階からご相談しやすい環境を整えております。
誰に相談すればよいかわからない、という場合は、ぜひ一度お問い合わせください。

事業承継の問題を解決する3つのポイント

ここまでで、「やるべきことはわかったけれど、やはり大変そうだ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
事業承継は、人生や会社の節目に関わる話ですから、簡単に割り切れなくて当然です。
ここからは、事業承継を一気に進める方法ではなく、無理なく前に進むための考え方をお伝えします。
今日から意識できる、問題を解決するためのポイントは次のとおりです。
- 悩みと課題を見える化する
- 後継者・関係者と方向性を共有する機会をつくる
- 早い段階で第三者に相談して方向性を確認する
大切なのは、完璧を目指さないことです。
小さな区切りをつけながら進めていくだけでも、見える景色は少しずつ変わっていくでしょう。
悩みと課題を見える化する
事業承継を前に進めるためには、悩みを解決しようとする前に、悩みと課題を見える化し、分けて考えるのがおすすめです。
後継者の話・お金の話・人との関係・進め方の話を一度に考えようとすると、どうしても話が混ざってしまいます。
ここで意識したいのは、「今すぐ決めること」と「まだ決めなくてよいこと」を切り分けることです。
例えば、「後継者が誰になるか」はすぐに答えが出なくても、「候補はいるか」「話はできているか」といった状況整理はできるのではないでしょうか。
すべてを決めようとしなくても、今立っている場所とできることを感じられるだけでも、事業承継は確実に前に進んでいると言えます。
後継者・関係者と方向性を共有する機会をつくる
事業承継が進みにくくなる原因のひとつに、「それぞれが違う前提で考えている」という状態があります。
例えば経営者は会社全体を見ており、後継者は自分の責任を気にし、社員や幹部は雇用や将来を心配しているというように、立場が違えば見えている景色も自然と異なります。
ここで大切なのは、意見をまとめることではなく、「今は準備段階である」という前提を揃えることです。
承継の時期や条件を決める前に、「これから考えていく段階に入った」という共通認識を持つだけでも、周囲の受け止め方は変わるでしょう。
前提が共有されると、余計な誤解や先走った不安が生まれにくくなります。
方向性を共有するとは、結論を出すことではなく同じ地図を広げることだと考えると、取り組みやすくなるはずです。
早い段階で第三者に相談して方向性を確認する
事業承継では、「自分が決めなければならない」という思いが強くなりがちです。
その責任感が、かえって判断を重くし、動けなくしてしまうこともあるでしょう。
第三者に相談することの意味は、答えをもらうことではなく、「判断の責任を一人で抱え込まない状態」をつくることにあると言えます。
専門家の意見を聞くことで、考え方に幅が生まれるうえ、専門家同士が連携すれば経営者の負担も軽くなります。
さらに「自分一人で決めなくてよい」という環境が整うと、心理的にも余裕が生まれ、事業承継を現実的に考えられるようになるでしょう。
事業承継に関わるさまざまな相談先を以下の記事にもまとめていますので、参考にしてください。
関連記事:事業承継の相談先10選を紹介!相談費用は無料なのか・選び方のポイントも解説!
相談先の選び方とうまく使うコツは?
事業承継の相談先を選ぼうとしたとき、「どこに行けば正しい答えがもらえるのだろうか」と悩んでしまいがちです。
ただ、事業承継では相談先によって役割が異なるため、目的に応じて使い分けることが大切になります。
ここでは、相談先を次の2つに分けて考えてみましょう。
- 公的機関
- 専門家
それぞれの特徴を知っておくと、「今はどこに相談するのが合っているか」が判断しやすくなるはずです。
公的機関
公的機関は、事業承継を考えはじめたばかりの段階で相談しやすい場所だと言えるでしょう。
特定の立場に偏らず、中立的な視点で話を聞いてくれるため、「何が問題なのかわからない」「全体像をつかみたい」というときにおすすめです。
費用面の心配が少なく、気軽に相談しやすいため、最初の入口としても使いやすくなっています。
一方で、公的機関は具体的な契約や手続きを代行する場ではないことが多く、実行段階では別の支援が必要になります。
そのため、公的機関は「考えを整理する場所」「方向性を確認する場所」として利用すると、無理なく次のステップにつなげやすくなるでしょう。
専門家
事業承継を実際に進めていく段階では必要になるのが、専門家の力です。
ですが専門家に相談するときに迷いやすいのは、「誰にどこまで頼めばよいのか」がわかりにくい点だと言えます。
例えば、専門家には次のような役割があります。
【税理士の役割】
- 自社株の評価額の算定
- 相続税・贈与税の試算
- 事業承継税制の適用可否の判断
- 税務申告のサポート
【弁護士の役割】
- 株式譲渡契約書などの法的書類の作成
- 定款変更などの法的手続き
- 相続対策(遺言書作成・遺産分割協議等)
- 親族間の調整や紛争予防
【金融機関の役割】
- 借入金の条件変更の相談
- 個人保証の見直し
- 資金計画の相談
- 事業承継ローンなどの金融支援
このように、専門家の役割を把握し、「先生」として見るよりも「協力者」として使い分けるのがよいでしょう。
また、専門家選びでは、相性を見極めることも大切です。
難しい説明を一方的にするのではなく、こちらの理解に合わせて話をしてくれるかどうかを意識して確認してみましょう。
「まずは状況を聞いてもらう」くらいの距離感で相談しても構いません。
事業承継で専門家が必要な理由については、以下の記事でも深掘りしています。
関連記事:事業承継で専門家が必要な理由は?選び方やタイミング・補助金は使えるのかも解説!
TORUTE株式会社では、専門家同士の連携もおこなっているため、承継の一部分ではなく、全体像をイメージしながらのご相談が可能です。
初回は無料で相談でき、「事業承継に役立つ無料マニュアル【完全版】」もプレゼントしておりますので、ぜひお気軽にご活用ください。

まとめ
事業承継の悩みは、後継者のこと・お金のこと・社員や取引先との関係・進め方そのものなど、いくつもの要素が重なって生まれます。
どれかひとつだけを解決すればいいという話ではないため、「自分だけがこんなに悩んでいるのではないか」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、悩みが複雑に見えるのは、それだけ会社と人を大切にしてきた証でもあります。
まずは状況を整理し、関係者と少しずつ考えを共有しながら、必要に応じて第三者の視点を取り入れていくことが大切です。
完璧な答えを急ぐ必要はありません。
できるところから一歩踏み出すことで、事業承継は「漠然とした不安」から「現実的に進められる課題」へと変わっていきます。
将来を見据え、後悔のない選択をするためにも、早めに向き合っていくようにしましょう。
まずはお気軽にご連絡ください
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