事業承継の株式譲渡の方法は?メリットや手続き方法・税金の特例制度についても解説!

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事業承継における株式譲渡の方法については、多くの経営者が悩まれるところではないでしょうか。

株式の渡し方ひとつで、会社の将来やご家族の関係が変わってしまうこともあり、「判断を誤りたくない」と感じる方も少なくありません。

「どの方法が適しているのか」「税金はどの程度になるのか」と不安を抱えるお気持ちは、自然なことだと思います。

そこで本記事では、事業承継における株式譲渡の方法やメリット・デメリット、手続き方法を詳しく解説しました。

利用できる税金の特例制度についても触れていますので、これから承継の準備を進めるうえで、少しでも判断の助けとなれば幸いです。

この記事を監修した弁護士

西田 幸広 弁護士

西田 幸広 法律事務所Si-Law代表

弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。

事業承継における株式譲渡とは

事業承継における株式譲渡とは、会社の所有権である「株式」を後継者へ引き継ぐことです。

会社が続く限り、経営の主導権は株式の持ち分によって決まるため、承継では株式の整理が欠かせません。

特に中小企業では、現経営者がほぼ全株を保有している場合が多いため、「誰に・どのような形で託すのか」を明確にしておくことで、その後の事業運営が安定しやすくなるでしょう。

あとから解説しますが、株式の譲渡には3つの方法があり、それぞれ税金の扱いも手続きの流れも異なります。

会社の状況や後継者の準備度合い、他の株主やご家族との関係をふまえて選ぶようにすると安心です。

株式譲渡をおこなう目的

株式譲渡をおこなう目的は、単に所有権を動かすだけではありません。

大切なのは、経営権を確実に後継者へ引き継ぎ、会社がこれからも安定して続いていくよう土台を整えることではないでしょうか。

ですが、株式の持ち分が曖昧なままでは意思決定が滞りやすく、金融機関からの信頼にも影響してしまいます。

スムーズに融資を受けたり、取引先との関係を守ったりするうえでも、株式の整理は早めに進めておくのがおすすめです。

さらに親族が複数いると、相続の場面で株式の扱いをめぐって意見が分かれることもあるため、早めの準備がトラブル回避につながります。

きちんと株式を引き継いでおけば、後継者が経営判断に自信を持てるようになり、社員にとっても心強い環境が生まれるでしょう。

事業承継の株式譲渡の方法は?

事業承継で株式をどのように引き継ぐのかは、大きな判断のポイントになります。

次世代へ安心して経営を託すためにも、状況に合った方法を早めに考えておくとよいでしょう。

株式譲渡の方法は、次の3つに分類されます。

  • 生前贈与
  • 相続
  • 売買

どの方法が適しているかはケースによって変わりますので、ここから詳しくお伝えします。

生前贈与

生前贈与は、経営者が元気なうちに株式を後継者へ渡す方法です。

少しずつ移すことができるため、後継者の育成と並行しながら段階的に承継を進めたい場合に有効と言えるでしょう。

贈与税はかかりますが、年間110万円までは贈与税がかからない「暦年課税」の基礎控除を利用できるため、時間をかけて移していきたいと考えている方におすすめです。

また「相続時精算課税制度」を活用すれば、累計2,500万円までの贈与について贈与税が課されず、それを超えた分は一律20%の税率で贈与税が課されます(ただし、相続発生時に相続財産と合算して相続税が計算されます)。

さらにもう一歩踏み込みたい場合は、「事業承継税制」を検討するとよいでしょう。

条件を満たせば、贈与税が全額猶予される可能性があります。

生前贈与の大きなメリットは、後継者が早い段階で経営権を持てることです。

意思決定の権限がはっきりするため、後継者が経営しやすくなり、金融機関からの評価も安定しやすくなるでしょう。

一方で贈与契約書の作成や株主名簿の書き換えなど、必要な手続きがあるため、早めに準備を進めておくのがおすすめです。

参考:国税庁|贈与税の計算と税率(暦年課税)
参考:国税庁|相続時精算課税の選択
参考:国税庁|事業承継税制特集

相続

相続による株式承継は、経営者がお亡くなりになった時点で株式が後継者に移る方法です。

相続税がかかることから、株価が高い会社ほど税負担が大きくなる傾向があるため、突然の相続に備えてあらかじめ株価を把握しておくようにしましょう。

相続人が複数いる場合、株式が分散してしまい、経営権が曖昧になるケースも少なくありません。

議決権が分かれることで意見がまとまりにくくなり、大事な判断が前に進まず会社の運営に影響が出ることも考えられます。

こうした事態を避けるためにも、生前のうちに家族で話し合い、遺言書を残しておくと安心です。

なお、事業承継税制の特例措置を利用すれば、相続税の大部分が猶予され、一定条件を満たせば免除される可能性があります。

売買

売買による株式譲渡は、後継者が株式を「購入する」という形で承継を進める方法です。

親族・従業員のどちらにも利用でき、事情に合わせて柔軟に選べる点が特徴です。

売買価格は適正な株価を基準に決める必要があり、相場より極端に安いと「贈与」と判断され、贈与税の対象になるため注意しましょう。

売買のメリットは、公平性を保ちやすいことです。

親族間でも「買い取った」という形にすることで、他の家族からの理解を得やすくなるでしょう。

また、従業員が後継者となる場合には、会社や金融機関からの借入を活用して取得する方法もあります。

一方で、後継者には購入資金が必要になり、契約書の作成や株価算定など準備すべきことが多くなります。

事業承継税制の対象にはならないため、税負担の面でも注意が必要です。

事業承継の主な種類と譲渡方法

事業承継には、会社の状況に応じて選べる、次の3つの種類があります。

  • 親族内承継
  • 親族外承継
  • M&A(第三者承継)

それぞれに強みや注意点があり、どの種類を選ぶかによって準備の進め方や譲渡方法も変わってくるため、まずは自社に合った承継方法を検討するようにしましょう。

親族内承継

「親族内承継」は、ご家族へ会社を託す方法です。

日本の中小企業では特に多く、経営理念や仕事への価値観を自然な形で受け継ぎやすい点が強みになります。

また、親族であれば資産の状況や生活設計も共有しやすく、将来の見通しについても話し合いやすいでしょう。

ただし、株式を誰がどれだけ持つのかによって、他の家族との調整が必要になる場合があります。

遺留分や相続人の間での不公平感が生まれると、思わぬトラブルにつながることも考えられるため、遺言書の作成や株式の集中化を早めに進めておくことが大切です。

生前贈与や事業承継税制を利用すれば、税負担を抑えながら計画的に承継を進めることもできます。

家族の関係を大切にしたい経営者にとって、親族内承継は穏やかにバトンを渡せる方法と言えるでしょう。

親族外承継

「親族外承継」は、親族以外の役員や従業員に、株式や経営権を引き継ぐ方法です。

少子化の進行や家族関係の変化から、後継者が家族内にいない企業も増えており、この方法の重要性は年々高まっています。

この承継方式のメリットは、会社の仕事や文化をよく理解した人が後継者になる傾向が高く、承継後の経営が安定しやすい点です。

後継者にとっても「自分が会社を支える」という意識が芽生え、モチベーション向上につながる場合もあるでしょう。

一方で、後継者は株式を取得するための資金が必要になります。

ですが後継者個人で負担するのは難しいため、経営陣が自社株式を買い取るMBO(マネジメント・バイアウト)や、日本政策金融公庫・商工中金の融資制度を利用するケースが一般的です。

社内の信頼関係を活かせる承継方法ですが、資金計画や役割分担を丁寧に整えておくようにしましょう。

M&A(第三者承継)

「M&A(第三者承継)」は、自社の株式を外部の企業や個人に譲渡し、会社を引き継いでもらう方法です。

後継者が見つからない企業にとっては特に有力な選択肢で、需要は大きく伸びています。

M&Aの魅力は、会社の評価額に基づいて株式を売却できるため、現経営者が老後の備えを確保しやすい点にあります。

また、買い手企業の技術力・販売網・設備などの経営資源を活かせれば、承継後の事業成長につながる可能性もあるでしょう。

ただし、買い手との相性や企業文化の違いが課題になる場合があります。

従業員の雇用条件や社風の調整が必要となる場面も多く、仲介会社や専門家のサポートが欠かせません。

後継者不足が続くなか、会社の存続を第一に考える経営者にとって、M&Aは希望をつなぐ手段のひとつと言えるでしょう。

事業承継の基本的な考え方や手順については、以下の記事でも掘り下げて解説しているので、参考にしてください。

関連記事:事業承継とは?基本的な考え方や支援制度・手順までをわかりやすく徹底解説!

事業承継で株式譲渡を選ぶメリット

事業承継で株式譲渡を選ぶメリットをイメージした画像

事業承継で株式譲渡を選ぶ大きなメリットは、会社の法人格をそのまま維持しながら経営権を引き継ぐことができる、という点だと考えます。

設備・許認可・従業員との雇用契約・取引先との関係もそのまま継続できるため、日々の業務に混乱が生じにくく、承継時の負担を最小限に抑えられるでしょう。

さらに譲渡の方法によっては、節税につながることもあります。

生前贈与や相続で事業承継税制を活用すれば、贈与税や相続税の負担を大きく軽減できるため、会社とご家族の将来を考えるうえでも心強い制度と言えるでしょう。

ここからは、売り手と買い手の立場ごとにも、具体的なメリットを見ていきます。

売り手(譲渡者)

売り手(譲渡者)にとって株式譲渡の魅力は、経営のバトンを落ち着いて渡せる点にあります。

生前贈与であれば、後継者をそばで育てながら株式を移せるため、承継後の行き違いを減らしやすくなるはずです。

売買で引き継ぐ場合は、株式の対価を受け取れるため、老後の資金計画を立てやすくなるでしょう。

親族内承継でも売買という形をとれば「公平に引き継いだ」と説明しやすく、家族間の不満を抑えやすい点もメリットです。

M&Aであれば、会社の価値が客観的に評価されるため、創業者としての成果をしっかり確保できる可能性があります。

また、株式を渡すことで経営責任が後継者に移ります。

これまで抱えてきた心理的な重荷が和らぎ、「任せても大丈夫だ」という安心感を得られることも、売り手にとっての大きなメリットと言えるでしょう。

買い手(譲受者)

買い手(譲受者)にとってのメリットは、会社の仕組みをそのまま引き継ぐことができ、事業を始めるまでの準備が少なくて済む点です。

許認可や取引先との契約も継続されるため、新規創業よりもリスクが小さく、早い段階で経営に集中できる環境が整います。

また、株式を取得すれば議決権が得られ、経営の舵取りを明確に担えるようになります。

従業員承継や親族外承継では、これまで築いてきた経験や人間関係をそのまま活かしながら会社を発展させられる点が大きな強みです。

さらに後継者が親族の場合には、事業承継税制の活用によって税負担を抑えられるため、承継後の資金計画にも余裕を持たせやすくなります。

買い手にとっても、安心してスタートできる環境が整うメリットがあると言えるでしょう。

事業承継で株式譲渡を選ぶデメリット

事業承継における株式譲渡では、スムーズな承継ができる一方で、事前に把握しておきたいデメリットもあります。

まず、株式の評価額によっては、税金や資金面で大きな負担が生じる可能性があります。

また、家族内外を問わず株式の扱いが人間関係に影響を与えることもあるため、早めに方針を共有しておくのがよいでしょう。

さらに、株式を引き継いだあとは、後継者の責任範囲が一気に広がります。

承継の過程で金融機関や取引先との調整が必要になる場面もあるので、丁寧な準備が欠かせません。

これらの点を押さえたうえで、さらに売り手と買い手の立場で生じやすいデメリットを、それぞれ解説します。

売り手(譲渡者)

売り手側にとっては、株式の評価額が高いと贈与税の負担が非常に大きくなる点が、一番のデメリットになると考えます。

事業承継税制を使わない場合、数千万円規模の税額になることも珍しくないため、承継のタイミングを見誤らないよう、早めに税負担を確認しておきましょう。

また後継者が適任でない場合、無理に親族へ承継させると、本人の意欲不足がのちの経営不安につながる場合があります。

親族だからといって必ずしも良い結果になるとは限らないため、適性の見極めが欠かせません。

さらに、株式を譲るということは、長年守ってきた経営の現場から一歩下がることを意味します。

そのため、どこかで「自分の役目はこれで一区切りだ」と受け止める時間も必要になるかもしれません。

すぐに気持ちを切り替えるのは簡単ではありませんが、少しずつ心の準備を進めておくと、後継者へ安心してバトンを託しやすくなるでしょう。

買い手(譲受者)

買い手側の負担として大きいのは、資金面のハードルです。

株式の購入代金はもちろん、株価算定費用や契約書の作成費用など想定外のコストが積み重なるケースがあるため、事前に見通しを立てながら進めることが大切だと言えるでしょう。

また、株式を引き継いだ瞬間から経営責任を一手に担うことになり、会社全体を見渡す力が求められます。

従業員や取引先からの期待も高まるため、負担感を覚える後継者も少なくありません。

さらに、承継後は金融機関の融資条件や取引先の対応が変わることもあります。

こうした変化をスムーズに乗り越えるためにも、金融機関との丁寧なコミュニケーションを維持しておくようにしましょう。

株式譲渡の手続きの流れ

株式譲渡の手続きは、「承認→契約→決済→名義変更」というような流れで進みますが、実際には株価の算定・書類作成・金融機関との調整など細かな確認が多く、戸惑う場面も少なくありません。

ですが、事業承継にともなう株式譲渡は会社の未来を左右する大切な工程ですので、落ち着いて段階ごとに進めていきましょう。

ここでは、次の6つのステップに沿って、流れをわかりやすく解説します。

  1. 1.譲渡承認の請求
  2. 2.会社の承認決議
  3. 3.承認結果の通知を受ける
  4. 4.最終契約(SPA)の締結
  5. 5.代金決済と株券の引渡し
  6. 6.名義変更と最終完了

一つひとつの手順を理解しておくと、承継の見通しが立ち、後継者とも話を進めやすくなるでしょう。

1.譲渡承認の請求

株式を譲るときは、まず自社(株式を発行している会社)に対して「この人へ株式を移したい」という申請を出します。

中小企業の多くは、定款で「譲渡制限」を設けているため、株式を移すには会社の承認が欠かせません。

株主からの譲渡承認請求については会社法第136条に、会社による承認決議については第139条に規定があります。

これは、株式が意図しない相手に渡ってしまうことを防ぐための仕組みで、請求書には譲渡する株数・譲渡先・理由などを記載します。

事業承継で後継者に株式を移す場合は承認が拒否されることは少ないものの、相続人が複数いるケースや、取締役会で意見が割れる場面では慎重に判断されることもあるでしょう。

また、事前に概算の株価を把握しておくと、承認決議の場がスムーズに進みます。

専門家が用いる「類似業種比準方式」「純資産価額方式」などの評価方法により、税務上の株式評価額を算定することが可能です。

この承認請求が受理されることで、株式譲渡へ向けた準備が本格的に動き始めます。

2.会社の承認決議

会社が承認請求を受け取ると、定款で定めた組織(多くは取締役会)が集まり、譲渡を認めるかどうかを決めます。

会社法第139条2項・第145条1号により、会社は請求の日から2週間以内に承認・不承認の決定を通知しなければならず、この期間内に通知がなければ承認したものとみなされます。

そのため、比較的短い期間で判断することになるでしょう。

もし承認しない場合には、会社または会社が指定した第三者が株式を買い取らなければなりません。

これは、株主が不利な立場に置かれないよう配慮した制度です。

事業承継では、たとえ親族へ承継する場合でも、後継者が本当に経営を担う意思や覚悟を持っているかを確かめる機会が必要になることがあるでしょう。

従業員への承継では、社内の理解を得るため、説明の時間を設ける企業も見られます。

承認が無事に得られた段階で、次のステップである契約書の作成へと進みます。

3.承認結果の通知を受ける

承認決議後、会社から株主へ「承認通知」または「非承認通知」が届きます。

承認が得られれば手続きはそのまま進みますが、もし承認されなかった場合は、会社法第140条の規定により、会社または会社が指定する買取人が株式を買い取る必要があります(売買価格の決定については第144条に規定)。

事業承継の場面では承認拒否は多くありませんが、親族間の不一致や取締役会での意見対立があると、非承認が選択されることも考えられるでしょう。

事前に会社としての承継方針を明確にしておくと、ここでの混乱を避けやすくなります。

通知を受け取った段階で、売り手・買い手は契約書の準備を本格的に進めます。

法律文書の作成や、買収対象会社の財務・法務・事業内容等の詳細調査であるデューデリジェンスが関わるため、専門家にサポートしてもらうことがおすすめです。

参考:会社法|株式の譲渡に係る承認手続

4.最終契約(SPA)の締結

承認が得られたら、株式譲渡契約書(SPA:Stock Purchase Agreement)の締結です。

この契約書は、承継後のトラブルを避けるために非常に重要で、株式数・価格・支払条件・表明保証・補償条項などを細かく定めます。

特に事業承継の契約では、次の点が重視されるでしょう。

・株式数と価格の確定

適正な株価でなければ、税務上の問題が生じる恐れがあります。

・表明保証

「隠れた負債がない」「紛争を抱えていない」など、会社の実情を正確に伝えるための条項です。

・競業避止義務

譲渡後に経営者が同業を立ち上げないようにする取り決めになります。

・従業員・取引先対応

雇用条件や取引継続など、現場の安定に直結する内容を定めます。

これらを曖昧にしたまま進めると、「聞いていない」「知らされていなかった」という深刻なトラブルが起こりかねません。

専門である弁護士に確認してもらいながら進めると安心です。

TORUTE株式会社でも株式譲渡の手続きをサポートさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

5.代金決済と株券の引渡し

契約が整ったら、代金の振込と株式の引渡しです。

株券を発行している会社であれば、株券そのものを受け渡します。

しかし、多くの中小企業は株券不発行会社であるため、「株主名簿の書換」が実質的な引渡しとして扱われます。

また、決済に進む段階では、後継者が株式の購入資金をどのように準備するかが大きな課題になるでしょう。

特に親族や従業員など「個人」が買い手となる場合は、まとまった資金を用意する必要があるため、資金調達の方法を押さえておくことが大切です。

個人による承継でよく利用される資金調達の方法は、次の3つです。

  • 政策公庫・商工中金など金融機関からの融資
  • 会社からの役員貸付
  • MBO(Management Buyout)

MBOとは、会社が借入をおこない、その資金で後継者が株式を取得する方法です。

決済当日は、売り手・買い手・専門家が立ち会い、支払いの確認と株式の移転を同時に進めます。

この瞬間が、後継者へ経営権が実質的に引き継がれる重要なタイミングです。

6.名義変更と最終完了

株式譲渡の最終工程は「株主名簿の名義書換」です。

これが済まないと、議決権・配当受領など株主としての権利が発生しないため、必ず完了させる必要があります。

名義書換は会社がおこない、書換が完了した日から効力が発生して、後継者が正式な株主として認められます。

名義変更が終わったタイミングで、金融機関・主要取引先・従業員へ承継を案内する企業が多く、信頼関係を維持するためにも大切な一歩と言えるでしょう。

この工程を経て、株式譲渡は正式に完了し、事業承継における「経営権の移転」が無事に終わったことになります。

事業承継の株式譲渡は税金がかかる?

事業承継の株式譲渡は税金がかかるかをイメージした画像

結論からお伝えすると、事業承継での株式譲渡は、どの方法を選んでも何らかの税金が発生します。

負担する税金は、「生前贈与」「相続」「売買」のどれを使うかで大きく変わります。

生前贈与では贈与税、相続では相続税、売買では譲渡所得として所得税・住民税がかかることになるでしょう。

さらに、法人が買い手になる場合は法人税、会社が自社株を買い取る場合には「みなし配当課税」が発生するなど、税務上の論点は幅広くなります。

特に中小企業の株式は評価額が高くなりやすく、想定以上の税負担となることが珍しくありません。

税額は「株価」を基準に計算されるため、まずは適正な株価を把握しておくことが大切と言えるでしょう。

高く評価されれば税額は増え、逆に安すぎる取引をおこなうと「贈与」とみなされ、課税される可能性が考えられます。

こうしたリスクを避けるためにも、承継の準備段階から専門家や認定支援機関と連携し、税制の仕組みを踏まえた計画づくりを進めておくと安心です。

税金への対策も含め、事業承継では補助金も使えるため、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:事業承継に使える補助金は?2025年度のスケジュールや申請方法・対象経費なども解説!

個人から個人の無償の株式譲渡の場合は?

個人から個人へ株式を無償で譲渡する場合は、原則として贈与税がかかります。

前半の生前贈与の解説部分でも触れたとおり、親族間であっても例外ではなく、「個人から個人の無償の株式譲渡」は贈与として扱われるのです。

事業承継の株式は評価額が高くなりやすいため、110万円の基礎控除では足りず、多くのケースで課税が生じるでしょう。

税負担を抑える方法としては、以下の方法が代表的です。

  • 相続時精算課税制度(2,500万円まで非課税)
  • 事業承継税制(贈与税の猶予・免除)

事業承継税制についてはこのあと詳しく解説しますが、いずれも要件や提出期限が細かく定められているため、制度を使う場合は早めに専門家へ相談しておきましょう。

TORUTE株式会社でも、さまざまな専門家と連携してサポートさせていただいております。

事業承継の株式譲渡では特例事業承継税制を利用できる?

特例事業承継税制は、後継者が株式を贈与・相続で引き継ぐ際の税負担を大きく減らせる、非常に有効な制度です。

一定の条件を満たせば贈与税や相続税のほぼすべてが猶予され、状況によっては最終的に免除される場合もあるため、中小企業の承継では欠かせない仕組みと言えるでしょう。

この特例措置を使うためには、まず「特例承継計画」を2026年3月31日の期限までに、都道府県へ提出する必要があります。

また実際の贈与・相続は、2027年12月31日までにおこなう必要があり、どちらか一方でも期限を過ぎると特例は利用できません。

制度利用の流れを簡単にまとめると、以下のとおりです。

  1. 1.認定支援機関と特例承継計画を作成する
  2. 2.計画を都道府県へ提出し、確認を受ける
  3. 3.贈与・相続後に国の認定を受ける
  4. 4.その後、年次報告書などを提出しながら事業を継続する

ただし、対象会社・後継者・株式保有割合・雇用の維持など細かな要件が多く、条件を満たせなくなると猶予税額の納付が必要になる場合があります。

参考:中小企業庁|法人版事業承継税制(特例措置)

以下の記事で、事業承継税制の要件について詳しく解説しているので、参考にしてください。

関連記事:事業承継税制の要件とは?特例措置と一般措置の違いやメリット・デメリットも解説

事業承継で株式譲渡しない場合の方法は?

株式譲渡は一般的な承継方法ですが、会社の状況によっては最適でない場合もあります。

事業承継で株式譲渡しない場合は、次のような方法が考えられます。

1.会社分割

会社の事業を分け、別会社へ承継させる方法です。

主要事業だけを後継者へ託したいときに向いており、柔軟な承継ができます。

2.事業譲渡

資産・契約・従業員などを個別に引き継ぐ方法です。

不必要な事業や資産を切り離せる一方、手続きは多くなる傾向があります。

3.自社株買い

会社が経営者から株式を買い取り、その後継者が経営を担う形です。

株式を分散させずに承継したい場合に適しています。

4.持株会社方式

ホールディングス会社を設立して株式を一度まとめる方法です。

グループ全体で管理できるため、相続対策としても活用できます。

これらの選択肢は、税務・法務の取り扱いがそれぞれ異なります。

会社の規模・財務の状態・後継者の育成状況などを踏まえ、専門家と相談しながら最適な方法を選ぶのがよいでしょう。

承継会社や分割会社がどういうものなのかについては、以下の記事をご覧ください。

関連記事:承継会社とは?分割会社との違いや手続き方法・メリットとデメリットもわかりやすく解説!

事業承継での株式譲渡は「TORUTE株式会社」へご相談を

TORUTE株式会社への相談をイメージした画像

事業承継における株式譲渡は、単に株主を入れ替える手続きではなく、会社の未来や社員の生活に大きく関わる重要な取り組みです。

譲渡方法の選択・株価の算定・税務の判断・契約書の作成・金融機関との調整など、経営者おひとりでは負担が大きい場面も少なくないと言えるでしょう。

TORUTE株式会社では、事業承継を専門とするチームが、現状の整理・承継計画づくり・特例事業承継税制の活用支援・株価算定・各種手続きの伴走まで、一つひとつ丁寧にサポートしております。

他の専門家とも連携しているため、「何から手をつけるべきか」という段階からでも安心してお話しいただけます。

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まとめ

事業承継における株式譲渡は、会社の未来をどのようにつないでいくかを決める、大切な節目になります。

生前贈与・相続・売買の選び方によって、税負担・家族関係・後継者の役割が変わるため、できるだけ早く検討を始めておくのがおすすめです。

また事業承継税制の特例措置を使えば、贈与税や相続税の負担を大きく抑えられますが、期限や要件が細かいため、計画段階から専門家に相談して進めるのがよいでしょう。

早めに準備を整えることで、後継者の育成に十分な時間をかけられ、金融機関や社員からの信頼も積み重なるはずです。

「会社を次の世代に守りながら渡したい」という想いがある方ほど、一歩早い行動が大きな安心につながるでしょう。

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まずはお気軽にご連絡ください

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