佐賀県で事業承継を進めたいと考えながらも、不安を抱えていらっしゃる経営者の方は少なくないと思います。
特に、長く佐賀の地で会社を守ってこられた方ほど、「自分の代で事業を終わらせたくない」というお気持ちが強く、そのぶんだけ悩みも深くなりやすいものです。
一方で、制度や支援メニューについて調べてみてもわかりにくく、「どこから手をつければよいのだろうか」と立ち止まってしまうこともあるのではないでしょうか。
そこで本記事では、佐賀県での事業承継にお悩みの方に向け、支援メニューや奨励金、相談窓口とその費用についても解説しました。
佐賀県における事業承継の現状や、なぜ事業承継が進みにくいのかという背景もわかりやすくまとめましたので、少しでも安心して準備を進められるよう、道しるべとしてお役立ていただければ幸いです。

目次
この記事を監修した弁護士
西田 幸広 法律事務所Si-Law代表
弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。
佐賀県の事業承継の状況は?
佐賀県では、事業承継が思うように進まない企業が多く、後継者不足が県全体の大きな課題となっています。
県内の中小企業や小規模事業者は、地域の技術や雇用を支える存在です。
そのため、後継者が見つからないまま廃業に向かうケースが増えると地域経済への影響が大きくなる、と県も強い危機感を示しています。
こうした背景から、佐賀県は「佐賀の事業をつなぐプロジェクト」を立ち上げ、相談支援や資金支援を組み合わせた対策を進めています。
なお、全国的にも後継者不在率は高く、中小企業庁の「2025年版 中小企業白書」では52.7%と報告されています。

佐賀県の状況は、この全国的な傾向がそのまま地域にも表れているととらえると、わかりやすいでしょう。
佐賀県における事業承継は、個々の企業だけでなく、地域全体の未来にも関わる重要なテーマと言えます。
佐賀県で事業承継が進まない理由とは
佐賀県で事業承継が進みにくい理由は、いくつかあります。
まず、親族が県外で働き続け、戻りにくい状況が増えていることです。
福岡県を含む都市部への就職が多く、親族内承継が難しくなっていると言えるでしょう。
次に、事業承継への準備が後回しになりやすいことが挙げられます。
70代になっても後継者が決まらない企業は一定数あり、タイミングを逃しやすい点が指摘されています。
さらに、相談先がわからないまま動き出せず、時間だけが過ぎてしまうことも大きな要因です。
これらが重なると、「早く決めたい気持ち」と「どう進めればよいのかわからない不安」が混在し、身動きがとりにくくなるのも当然だと考えます。
以下の記事では、佐賀県だけではなく九州地方全体の事業承継の現状や特徴についても解説しています。
関連記事:九州地方で事業承継を成功させるには?支援制度やよくある悩み・広がるM&Aの動きも解説!
佐賀県の産業構造

県が公表している「佐賀県の商工業」の資料では、県内の産業が統計に基づいて整理されており、地域を支える企業の姿がよくわかります。
特徴として挙げられるのは、製造業とサービス業がほどよく並び、多様な業種が地域を支えていることです。
有田焼に代表される伝統工芸・食品関連の製造業・自動車部品の製造など、地元に根づいたものづくり企業が数多く存在します。
さらに、建設業・卸売業・小売業・宿泊や飲食サービス業など、生活に欠かせない事業者も幅広く活躍しています。
こうした企業の積み重ねが、技術や雇用、地域のつながりを守ってきた背景にあるのです。
また、佐賀県では伝統産業の振興策や、半導体・自動車関連企業を支える取り組みも進められており、中小企業が占める役割はとても大きいと言えるでしょう。
そのため事業承継は、単に企業を引き継ぐ作業ではなく、長年育まれてきた技術・取引関係・従業員の暮らしを次の世代へつないでいく取り組みだと考えると、より具体的にイメージしやすくなるのではないでしょうか。
参考:佐賀県庁|佐賀県の商工業
業種別の後継者不在率は?
結論からお伝えすると、佐賀県内の業種別の後継者不在率を示した公的なデータは公表されていません。
ただし全国統計を見ると、製造業・建設業・卸売業・小売業・サービス業といった主要な産業で、いずれも高い後継者不在率が続いていることが明らかになっています。
先ほども触れたとおり、中小企業庁の調査では、佐賀県の中小企業全体の後継者不在率は52.7%と約半数に達しており、ほぼすべての業種で同じ傾向が見られます。
佐賀県の産業構造を踏まえると、この全国傾向は県内でも強く当てはまると言えるでしょう。
製造業や建設業では、長年技術を磨いてきた職人や技術者が多く、技能を誰が受け継ぐのかが大きな課題になります。
一方で小売業やサービス業では、地域の顧客や取引先との関係性の引き継ぎが難しく、後継者が見つからないまま事業の方向性が定まらないケースも生じやすい状況です。
つまり佐賀県では、業種によって引き継ぐ内容が異なるものの、「どの業種でも後継者不足が深刻化している」という点は共通していると理解するとよいでしょう。
こうした背景があるからこそ、県の支援メニューでは業種別の事情に応じた相談やサポートが用意されています。
全国的な後継者不在の現状については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:事業承継の後継者不在の現状は?年代・業界別の問題や原因・解決策もまとめて解説!
後継者不在を含めた事業承継のお悩みは、TORUTE株式会社でも初回無料相談ができますので、ご活用いただけますと幸いです。

佐賀県の事業承継で使える主な支援メニュー
佐賀県では、「佐賀の事業をつなぐプロジェクト」を軸に、事業承継で使えるさまざまな支援メニューが用意されています。
事業内容を整理するための見える化支援や、資金繰りを支える保証制度などを組み合わせて利用できる点が特徴と言えるでしょう。
主な支援メニューは、大きく次の3つです。
- 後継者探しの支援
- 資金確保の支援
- M&Aのマッチング支援
これらの支援は、単に資金を出すことだけが目的ではありません。
事業の強みを整理し、将来の経営を見通したうえで、専門家と一緒に次の一歩を踏み出せるような仕組みです。
それぞれの具体的な支援内容について、詳しく解説します。
後継者探しの支援
後継者探しの相談先として中心的に支援してくれるのが、「佐賀県事業承継・引継ぎ支援センター」です。
このセンターは国の委託を受けて運営されており、親族内承継・従業員承継・M&A(第三者承継)まで、事業承継全般について相談を受け付けてくれます。
後継者候補の整理やM&Aを見据えた企業価値の確認など、専門スタッフが丁寧にアドバイスをしてくれるでしょう。
佐賀県内に限らず、九州全体のネットワークや金融機関、士業との連携を通じたマッチング支援もおこなわれています。
また佐賀県では、事業内容の「見える化」を支援する取り組みである「事業承継円滑化支援事業」として、専門家とともに「知的資産経営報告書」を作成する取り組みも実施しています。
知的資産経営報告書とは、会社の強み・独自技術・顧客との関係性など、貸借対照表には表れない会社の価値をまとめた書類のことです。
これらを整理することで、後継者にとって会社の姿がわかりやすくなります。
後継者探しは、誰に任せるかを決めるだけの作業ではないため、会社の価値を言葉にし、「次の世代に何を残したいのか」を整理する大切な機会ととらえるとよいでしょう。
資金確保の支援
事業承継では、株式の取得や設備更新など、まとまった資金が必要になることがあります。
佐賀県では、そうした負担を和らげるため、補助金と保証制度の両面から支援をおこなっています。
代表的なのが「佐賀県中小企業事業承継円滑化支援事業費補助金」です。
この制度では、事業承継をきっかけとした商品開発や設備投資などに対し、経費の2分の1以内、上限100万円までの補助が受けられます。
また、第三者承継に向けた企業価値算定や調査費用も対象です。
あわせて「事業承継特別保証制度」を利用すれば、承継時の借入について経営者保証なしでの利用や、既存借入金の借り換えが可能になる場合があります。
専門家の関与により保証料が軽減される仕組みもあるため、資金面の不安を抑えやすくなるでしょう。
資金の心配が減ることで、承継後の経営や成長に目を向ける余裕も生まれるため、補助金と保証制度はうまく組み合わせて活用するのがおすすめです。
「事業承継特別保証制度」については、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
関連記事:事業承継特別保証制度とは?メリット・デメリットや要件・申請方法もまとめて紹介!
M&Aのマッチング支援
佐賀県では親族や従業員への承継に加え、M&A(第三者承継)も現実的な選択肢として位置づけ、支援をおこなっています。
佐賀県事業承継・引継ぎ支援センターでは、売り手と買い手の希望を丁寧に聞き取り、公的機関として中立的な立場からマッチングをサポートしてくれます。
相談は予約制で、費用はかかりません。
秘密も守られるため、検討段階でも相談しやすい体制が整っていると言えるでしょう。
さらに県の「佐賀県事業引継ぎ奨励金」を活用すれば、センターを通じて事業承継をおこなった場合、売り手・買い手それぞれに奨励金が支給されます。
従業員への承継や、移住をともなう事業承継の場合には、通常より手厚い奨励金が受けられるケースもあるでしょう。
佐賀県の事業承継で使える補助金は?
佐賀県で事業承継を進める際、代表的な補助金として知っておきたいのが、先ほども少しご紹介した「佐賀県中小企業事業承継円滑化支援事業費補助金」です。
この制度は事業承継をきっかけに、会社の中身を整え、次の世代が経営しやすい環境をつくることを目的としています。
この補助金の特徴は、単に資金を補うための制度ではない点にある、と言えるでしょう。
承継後を見据えて商品やサービスを見直したり、業務の効率化に取り組んだりする動きを後押しする仕組みです。
M&Aに向けた準備として、専門家の力を借りる場合にも活用できます。
例えば、「後継者が決まったが、このままの形で引き継いでよいのか不安がある」「新しい代表のもとで、会社をもう一段成長させたい」といった場面で、この補助金は役立つでしょう。
事業承継は、引き継いだ時点で終わりではありません。
次の世代が安心して経営を続けられる土台を整えることが大切ですので、この補助金は、そのための準備を支える制度としてとらえておくとよいでしょう。
事業承継では他にも使える補助金や助成金があるため、以下の記事も参考にしながら、活用できそうなものを探してみてください。
関連記事:事業承継の補助金や助成金は?2025年度はいくらもらえるのか・対象経費も解説!
佐賀県の事業承継でもらえる奨励金とは?

佐賀県には、補助金とは別に「事業引継ぎ奨励金」という制度があります。
この奨励金は、後継者が決まっていない県内の中小企業や小規模事業者が、事業承継・引継ぎ支援センターに相談したうえで、実際に事業を引き継いだ場合に支給されます。
まず相談をおこない、その結果として承継が実現したときに受け取れるものです。
奨励金の対象は、事業を譲る側と引き継ぐ側の双方であり、原則としてそれぞれに50万円が支給されます。
従業員が事業を引き継ぐ場合や、県外から移住して承継するケースでは、条件に応じて奨励金額が上乗せされる仕組みも設けられています。
この制度の目的は、単に承継を終えた祝い金のようなものではなく、世代交代や技術の引き継ぎを円滑に進め、承継後も事業が安定して続くよう支えることを目的としています。
例えば、後継者が見つからず廃業を考えていた建設業の会社を、同業の若手経営者が引き継ぐ場面を想像してみてください。
奨励金があれば、引き継ぎにかかる初期費用の一部を補うことができ、従業員の雇用や取引先との関係も維持しやすくなるでしょう。
長年守ってきた事業を「閉じる」か「次につなぐ」かで迷ったときにも、この奨励金制度は、現実的な後押しになります。
事業承継を前向きに考えるきっかけとして、知っておくとよい制度であると考えます。
佐賀県で事業承継を相談できる窓口は?
佐賀県で事業承継を考え始めたとき、「どこに相談すればよいのかわからない」と感じる方は少なくありません。
事業承継は経営・税務・法務・家族関係など、いくつもの要素が絡むため、相談先もひとつに限られないのが実情です。
佐賀県内には、事業承継に関する相談を受け付けている窓口がいくつかあります。
例えば、ここまでで何度かご紹介した「佐賀県事業承継・引継ぎ支援センター」の他にも、以下のような専門家が挙げられます。
- 商工会・商工会議所
- 弁護士
- 税理士や公認会計士
- 司法書士
- M&A仲介会社
- 金融機関 など
それぞれ得意とする分野が異なるため、相談内容や検討段階に応じて使い分けることが大切です。
事業承継の初期段階では、「現状を整理したい」「選択肢を知りたい」といった相談も多く見られます。
そのような場合、公的な相談窓口で全体像を把握したうえで、必要に応じて専門家につないでもらう方法もひとつの考え方でしょう。
一方、相続・株式・契約関係などの法的な整理が関わる場面では、早い段階から専門家に直接相談しておくと安心できる場合もあります。
大切なのは、「どこが正解か」をひとりで決めようとしないことです。
まずは複数の相談先を知り、自社の状況や気持ちに合った専門家を見つけていくようにしましょう。
その過程で、相談の方向性が少しずつ見えてくることも少なくありません。
以下の記事でも、事業承継の相談先について詳しくご紹介しているので、参考にしてください。
関連記事:事業承継の相談先10選を紹介!相談費用は無料なのか・選び方のポイントも解説!
事業承継・引継ぎ支援センターでの相談は費用がかかる?
「公的な相談窓口でも費用がかかるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、佐賀県事業承継・引継ぎ支援センターでの相談は無料です。
商工会議所の会員でなくても利用でき、事業承継に詳しいスタッフが対応してくれるでしょう。
これに対し、税理士や弁護士などの専門家に直接依頼する場合は、相談内容や支援範囲に応じて費用が発生します。
とはいえ、費用がかかるからといって、必ずしもハードルが高いわけではありません。
初回相談のみであれば比較的負担を抑えられることもあり、早めに話をすることで、結果的に時間やコストの無駄を防げる場合もあります。
「後継者がまだ決まっていない」「家族にどう話せばよいか迷っている」「社員への影響が気になっている」といった段階でも、相談すること自体に問題はありません。
長年抱えてきた想いを言葉にするだけでも、考えが整理されることがあります。
事業承継は急いで結論を出すものではありませんので、複数の窓口や専門家の話を聞きながら、自分や家族、社員にとって納得できる進め方を探していきましょう。
TORUTE株式会社でも、初回の無料相談をおこなっていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ
佐賀県で事業承継を考えることは、これまで大切に守ってきた社員の雇用や取引先との信頼、地域に根づいた仕事を、次の世代へ手渡すための一歩でもあります。
佐賀県では、補助金・奨励金・相談窓口など、事業承継を支える仕組みが整えられています。
すべてを一度に決める必要はありませんが、利用できる支援を知っておくことで、気持ちの負担はぐっと軽くなるでしょう。
もし迷いがあるなら、まずは現状を整理するところから始めてみてください。
会社の未来が少し見えてくると、ご自身の次の人生も描きやすくなるはずです。
無理のない一歩を踏み出すことが、納得のいく事業承継につながっていきます。
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