事業承継のマッチング支援とは?利用するメリット・デメリットなど

事業承継やM&Aによる後継者探しに悩む経営者の方々に、新たな選択肢として注目されているのが「事業承継マッチング支援」です。

日本政策金融公庫などの公的機関や民間企業が提供するマッチングサイトを通じて、後継者候補と出会える可能性が広がっています。
本記事では、マッチングのしくみやメリット・デメリット、具体的な利用方法など、事業承継マッチング支援の全体像をわかりやすく解説します。

事業承継のマッチング支援とは?

事業承継_マッチング_支援

事業承継のマッチング支援とは、後継者不在に悩む中小企業経営者と、事業承継を希望する個人や企業をつなぐサービスです。
このサービスは、事業の継続と雇用の維持を図りながら、新たな経営者による事業の発展を促進することを目的としています。

公的機関では、日本政策金融公庫の「事業承継マッチング支援」や、各都道府県に設置された事業承継・引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」などが代表的な例です。
これらのサービスは、信頼できる専門家によるサポートも受けられるため、安心して利用できます。

また、民間企業でも「事業承継マッチングサイト」を提供するところが増えており、ウェブ上で情報を広く公開し、より多くの候補者とのマッチングをサポートしています。
(費用については、各サイトによって異なります。)

事業承継における後継者不足の課題

日本経済において、中小企業の後継者問題は深刻な課題となっています。
多くの中小企業の経営者が高齢化する中、後継者が見つからず、事業を続けられない企業が増えています。
この状況が続くと、企業が廃業し、地域の経済が衰退し、働く場所が失われる可能性が高くなります。

さらに、家族や従業員に事業を引き継ぐことが難しい場合、外部から後継者を見つける必要がありますが、適した人を探すのは簡単ではありません。
この後継者不足の問題が続くと、日本全体の産業の土台が弱まり、経済全体の元気が失われる恐れがあります。

日本政策金融公庫の「事業承継マッチング支援」

この問題に対応するため、日本政策金融公庫では「事業承継マッチング支援」というサービスを提供しています。

・目的:

後継者がいない中小企業と、事業を引き継ぎたいと考えている個人や企業を結びつけることです。

・仕組み:

事業を譲りたい企業が自社の情報を日本政策金融公庫のウェブサイトに掲載し、それを見た後継者希望者が申し込みます。

・特徴:

– 全国的なネットワークを活用し、幅広い情報を提供します。
– 専門の支援員が丁寧にサポートしてくれます。
– 無料で利用できるため、小規模な企業でも安心して利用できます。
– 公的機関が運営するため、信頼性が高いです。
– 事業承継に関する様々な情報やアドバイスも得られます。

このマッチング支援により、多くの中小企業が後継者を見つける機会を得られるようになりました。

事業承継マッチング支援を利用するメリット

事業承継マッチング支援を利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 小さな会社でも簡単に利用できます。
  • 日本中のネットワークを使って、広い範囲で後継者を見つけられます。
  • 新しく事業を始めたい人が、今ある事業を引き継ぐチャンスにもなります。
  • 事業承継のプロが丁寧に説明してくれるので、分からないことや心配なことを安心して聞けます。
  • 無料なので、お金の心配をせずに事業承継の準備ができます。

これらのメリットのおかげで、多くの経営者の方々が安心して事業承継を進められるようになりました。

事業承継マッチング支援を利用するデメリット

事業承継マッチング支援を利用する主なデメリットは以下の通りです。

  • 日本政策金融公庫は情報を提供するだけで、実際の仲介はしてくれません。
  • 情報を出しても、事業を引き継ぎたい人が見つからない可能性があります。
  • 情報が公開されることで、売る側が不利になる場合もあるので考慮が必要です。
  • 相手が見つかった後の交渉や手続きは、自分たちで進めなければなりません。
  • 事業の売却を公にしたくない場合、このサービスは向いていません。

これらのデメリットを理解した上で、自分の状況に合っているか良く考えることが大切です。

事業承継マッチング支援の利用手順

事業承継マッチング支援の利用手順は、主に3つの手順で進みます。

  • 相談・申込
    近くの支店に電話をかけて相談します。担当の人と会って、会社のことや希望を詳しく話します。
    そして、正式に申し込んで、会社の情報をインターネットに載せてもらいます。
  • 相手の選定・交渉
    載せた情報を見た人から連絡があると、お互いの希望を確認しながら、会う約束をします。
    話がうまくいけば、具体的な相談を始めます。
  • 契約書の締結
    話がまとまったら、お互いに合意した内容で正式な契約を結びます。
    この時は、弁護士さんや税理士さんなど、詳しい人に相談するのがいいでしょう。

この手順を踏むことで、安心して事業承継を進めることができます。
ただし、各段階で時間がかかることもあるので、焦らず慎重に進めることが大切です。

事業承継・引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」

後継者人材バンク(後継者バンク)は、事業承継・引継ぎ支援センターが運営する、後継者がいない中小企業と新しく事業を始めたい人をつなげるサービスです。

・目的:

後継者がいなくて店じまいを考えている中小企業が事業を続けられるよう手伝い、地域の経済を元気にすることです。

・仕組み:

後継者を探している会社と新しく事業を始めたい人の情報をパソコンに登録して、お互いの希望が合う人を見つけます。

・特徴:

– 日本全国の47都道府県にある支援センターが、それぞれの地域に合わせてきめ細かく手伝ってくれます。
– 詳しい専門家に無料で相談できます。
– その土地の事情に合った細やかな支援ができるようになっています。

後継者人材バンクを利用するメリット

後継者人材バンクを利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 個人や中小企業にとって使いやすいです。
  • 自分が理想とする後継者を探すことができます。
  • 地域の実情に合わせた細やかな支援が受けられます。
  • 専門家に無料で相談できるので、安心して利用できます。
  • 非公開での情報交換も可能なので、慎重に進められます。

これらのメリットにより、地域に根ざした事業承継を進めやすくなります。

後継者人材バンクを利用するデメリット

後継者人材バンクを利用する主なデメリットは以下の通りです。

  • 比較的新しいサービスなので、他のサービスと比べて知名度が低く、実績が少ないです。
  • 地域によっては案件が不足しがちです。
  • マッチング後のサポート内容が限られています。
  • 都道府県によってサービスの質に差があることがあります。

これらのデメリットを理解した上で、自分の状況に合っているか検討することが大切です。

後継者人材バンクの利用手順

後継者人材バンクの利用手順は、主に4つの手順で進みます。

  • 事業承継・引継ぎ支援センターに相談
    近くのセンターに連絡し、初回相談を行います。事業の概要や希望条件などを詳しく伝えます。
  • 後継者人材バンクに登録
    相談後、後継者人材バンクに登録します。企業情報や希望条件をデータベースに入れてもらいます。
  • マッチング・条件交渉
    登録情報を基に、センターがマッチング候補を紹介します。候補者と会って話し合いをします。
  • 契約書の締結
    話がまとまったら、正式な契約を結びます。必要に応じて専門家のアドバイスを受けられます。
    「事業承継マッチング支援」との大きな違いは、より地域に密着したサポートが受けられる点です。

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民間企業の「事業承継マッチングサイト」

民間企業が運営する事業承継マッチングサイトは多数存在し、それぞれに特徴があります。

  • 多様な選択肢:
    大手企業運営のものから専門特化型まで、様々なサイトがあります。
  • 独自の特徴:
    各サイトで手数料体系、サポート内容、得意分野が異なります。
  • 業界特化型:
    特定の業種に特化したサイトもあり、専門的なマッチングが可能です。
  • 利用者数の差:
    サイトによって登録企業数や成約実績に違いがあります。
  • 便利な機能:
    データを分析したり、AIを使ったりする新しい機能があるサイトもあります。

自社のニーズに合ったサイトを選ぶことが大切です。

事業承継マッチングサイトを利用するメリット

事業承継マッチングサイトを利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 自社の業種や規模に適したサイトを選択できます。
  • 全国規模で幅広く後継者候補を探索できます。
  • 成功事例や統計データなどの情報が豊富で参考になります。
  • 匿名での情報公開が可能なサイトもあり、初期段階での情報管理がしやすいです。
  • オンラインでの初期マッチングにより、効率的に候補者を絞り込めます。
  • 業界や地域を超えた幅広いマッチングの可能性があります。

これらのメリットにより、戦略的に事業承継を進められる可能性が高まります。

事業承継マッチングサイトを利用するデメリット

事業承継マッチングサイトを利用する主なデメリットは以下の通りです。

  • 最適なサイトの選定に時間と労力を要します。
  • 登録しても適切な後継者候補が見つからない可能性があります。
  • 公開情報により、売り手側が不利な立場になる可能性があります。
  • 企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。
  • 有料サービスが多く、コストがかかる場合があります。
  • サイトによってはサポート体制が不十分な場合があります。
  • 直接人と人とのやりとりになるため、トラブルが発生する可能性があります。
  • 突然連絡が取れなくなるなど、交渉が中断するリスクがあります。
  • オンライン上のやりとりが中心となり、相手の本当の意図を掴みにくい場合があります。

これらのデメリットを考慮し、慎重にサイトを選択し、利用することが重要です。

事業承継マッチングサイトの利用手順

事業承継マッチングサイトの利用手順は、主に以下の手順で進みます。

  • マッチングサイトの選定
    自社のニーズに合ったサイトを比較検討し選びます。
  • マッチングサイトへの登録
    選んだサイトに必要な企業情報や希望条件を登録します。
  • 候補者探し
    登録情報を基に、システムが候補者を提案したり、自分で検索したりします。
  • 候補者との交渉
    マッチした候補者と連絡を取り、詳しい話し合いを進めます。
  • 契約書の締結
    条件が整えば、正式な契約を結びます。

民間企業の特徴としては、有料の詳細なサポートサービスがあることや、成約時に手数料がかかる点などがあります。
また、AIを活用した高度なマッチングシステムや、オンライン上での初期交渉の場を提供するなど、より効率的な承継を実現しているサイトもあります。

事業承継のマッチングについては「この街の事業承継」にご相談ください

事業承継でお悩みの方は、「この街の事業承継」にぜひご相談ください。
まずは安心してご相談いただくことが大切です。お話しいただいた内容は、守秘義務を徹底し、慎重に取り扱わせていただきます。

また、候補者との交渉や引継ぎ条件の設定など、難しい場面でも適切なアドバイスを提供いたします。
負債が多い場合や債務整理が必要な案件についても、弁護士としてしっかり対応させていただきます。

お気軽にお問い合わせください。

西田 幸広 弁護士

この記事を監修した弁護士

西田 幸広 法律事務所Si-Law代表

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