事業承継における11の失敗事例|原因や成功させるポイントを詳しく解説
事業承継は、会社を次の世代に引き継ぐ重要な過程です。
しかし、様々な難しい問題が伴うことも事実です。
本記事では、事業承継の失敗パターンや原因についてと、失敗を避け成功へと導くためのポイントなどをわかりやすく説明します。
事業承継の失敗とは
事業承継の失敗には、主に以下の4つのパターンがあります。
- 廃業や倒産に追い込まれる
- 業績が悪化する
- 退職者が増加する
- 資金繰りが行き詰まる
それぞれを詳しく解説していきます。
廃業に追い込まれる
事業承継の失敗により、廃業や倒産に追い込まれるケースがあります。
- 後継者がいないまま事業承継の準備を怠った
- 後継者の能力不足や意欲不足
- 事業の将来性を見誤った
などが原因としてあげられます。
後継者の選定と育成、事業の将来性の見極めは難しい課題ですが、早期から計画的に取り組むことが成功のカギとなります。
また、事業の将来性を見極めるためには、市場調査や経営分析などを行い、客観的な評価を行うことが重要です。
業績が悪化する
事業承継後に業績が悪化するケースもあります。
- 後継者の経営能力不足
- 事業承継前の準備不足
- 事業環境の変化への対応の遅れ
などが主な原因としてあげられます。
後継者の教育や事業承継前の入念な準備、変化への迅速な対応は容易ではありませんが、業績悪化を防ぐために不可欠です。
専門家の支援を受けることも一つの方法です。
後継者の経営能力を高めるためには、実践的な経験を積むことや、事業環境の変化に対応するためには、常に市場動向を把握し、柔軟に対応していくことが求められます。
退職者が増加する
事業承継をきっかけに退職者が増加するケースもあります。
- 業績悪化による将来への不安
- 事業承継の準備不足による社内の混乱
- 後継者への不信感
などが主な原因として挙げられます。
社員の不安に寄り添い、理解を得ることは難しい課題ですが、コミュニケーションを密にとることが重要です。
事業承継の方針や計画を早めに社員に伝え、理解を得ることや、後継者と社員とのコミュニケーションの機会を設けましょう。
資金繰りが行き詰まる
事業承継後に資金繰りが行き詰まるケースもあります。
- 既存事業の成長が見込めない
- 事業承継の資金準備が不十分
- 思わぬ資金需要の発生
などが、主な原因として挙げられます。
将来を見据えた綿密な資金計画と柔軟な対応が求められます。金融機関や専門家と相談しながら、準備を進めましょう。
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事業承継における11の失敗の主な要因
事業承継には様々な失敗事例があります。
以下の①~⑪までの失敗の主な要因について詳しく解説していきます。
- 後継者が見つからない
- 後継者の教育や引継ぎの不足
- 元経営者が実権を譲らない
- 経営理念が承継できない
- 議決権の確保ができない
- 経営者の体調不良
- 経営者の急死による相続争い
- 派閥争いによる資金流出
- 親族トラブルの発生
- 準備不足による社内混乱
- 周囲に相談をせずに事業承継を進める
①後継者が見つからない
後継者が見つからないまま事業承継の時期を迎えてしまい、廃業や倒産に追い込まれる場合があります。
■主な要因
- 後継者の育成を怠ったこと
- 事業の将来性を見誤ったこと
■とるべき対策
- 早めに後継者候補を選び、計画的に育てていく
- 専門家に相談し、事業の将来性を客観的に評価してもらう
後継者の育成には時間がかかるため、早めに取り組むことが重要です。
また、事業の将来性を見極めるためには、市場調査や経営分析などを行い、専門家の意見を参考にすることが望ましいでしょう。
②後継者の教育や引継ぎの不足
後継者の教育や引継ぎが不十分なまま事業承継を行うと、業績悪化や社内混乱を招く場合があります。
■主な要因
- 後継者の経営能力不足
- 事業承継前の準備不足
■とるべき対策
- 後継者への計画的な教育を行う
- 事業承継前に十分な引継ぎ期間を設ける
後継者には、経営に必要な知識やスキルを身につけさせるとともに、現経営者の考え方や経営哲学を伝えていく必要があります。
また、事業承継前には、業務内容や取引先との関係性など、引き継ぐべき事項を明確にしておくことが大切です。
③元経営者が実権を譲らない
元経営者が実権を譲らず、後継者の経営を妨げる場合があります。
■主な要因
- 元経営者の心理的な抵抗感
- 後継者への不信感
■とるべき対策
- 元経営者と後継者でよく話し合い、信頼関係を築く
- 元経営者には、適切なタイミングで経営を任せる覚悟を持ってもらう
元経営者と後継者の間で率直な対話を重ね、互いの考えや想いを共有することが求められます。
また、元経営者には、自身の経験やノウハウを後継者に伝えつつ、適切なタイミングで経営の第一線から退く心構えを持ってもらいながら引き継ぎをすすめるべきです。
④経営理念が承継できない
経営理念が後継者に承継されず、会社の方向性が変わってしまう場合があります。
■主な要因
- 後継者への経営理念の教育不足
- 後継者自身の価値観の違い
■とるべき対策
- 後継者に対して十分な経営理念教育を行うこと
- 後継者の価値観を尊重しつつ、経営理念を共有できる関係性を築くこと
経営理念は会社の根幹をなすものであり、後継者にその意義や大切さを十分に理解してもらう必要があります。
後継者の新しい発想や価値観を取り入れつつ、経営理念の本質を守っていくことが求められます。
⑤議決権の確保ができない
後継者が議決権を確保できず、経営の意思決定ができない場合があります。
■主な要因
- 親族株主に、後継者への株式集中の必要性を説明し、理解を得る
- 株式の集中方法は、専門家と相談して適切な方法を選ぶ
■とるべき対策
- 事業承継前に株主である親族に対して、後継者への株式集中の必要性を丁寧に説明し、理解を得ること
- 株式の集中方法について、税務面や法務面から検討し、適切な方法を選択すること
株主である親族には、事業承継の意義や後継者への株式集中の必要性を丁寧に説明し、協力を得ることが不可欠です。
また、株式の集中方法としては、株式譲渡や株式交換、株式移転など、様々な手法があるため、専門家と相談しながら最適な方法を選択することが望ましいでしょう。
⑥経営者の体調不良
経営者の体調不良により、スムーズな事業承継ができない場合があります。
■主な要因
- 事業承継の準備を怠ったこと
- 後継者の育成が不十分なこと
■とるべき対策
- 経営者の体調に関わらず、早めに事業承継の準備を始める
- 後継者の選定や育成、資金計画などを計画的に進める
経営者の体調悪化に備え、早めに事業承継の準備を始めることが重要です。
具体的には、後継者の選定や育成、株式の集中、資金計画の策定など、体調に左右されずに着実に進めていく必要があります。
⑦経営者の急死による相続争い
経営者が急死し、相続争いが発生する場合があります。
■主な要因
- 事前の相続対策を怠ったこと
- 遺言書の作成を怠ったこと
■とるべき対策
- 経営者は自身の死亡に備えて、早めに相続対策を始める
- 遺言書の作成や、生前贈与などの活用を検討する
経営者は自身の死亡に備えて、早めに相続対策を始めることが重要です。
遺言書の作成や、生前贈与、家族信託などの活用により、スムーズな事業承継を図ることができます。
また、後継者への株式集中を図り、相続人間の争いを防ぐことも大切です。
⑧派閥争いによる資金流出
会社内の派閥争いにより、資金が流出する場合があります。
■主な要因
- 後継者の決定プロセスが不透明なこと
- 派閥間の対立を放置したこと
■とるべき対策
- 後継者の決定の過程を明確にし、社内の理解を得る
- 派閥間の対立が起きたら、すぐに解決に向けて動く
派閥争いを防ぐには、後継者の決定プロセスを透明化することと、日頃から社内コミュニケーションを活性化し、派閥間の対立を未然に防ぐ取り組みが求められます。
派閥間の対立が発生した場合には、早期に解決に向けて動くことが肝要です。
⑨親族トラブルの発生
親族間でトラブルが発生し、事業承継が困難になる場合があります。
■主な要因
- 親族間の意思疎通の不足
- 事業に関与しない親族への配慮不足
■とるべき対策
- 普段から親族間の話し合いを大切にする
- 事業に関与しない親族にもしっかりと説明する
親族間のトラブルを防ぐには、普段から親族間のコミュニケーションと、事業に直接関与しない親族に対しての、丁寧な説明と配慮が必要です。
株式の保有は最小限にし、経営への関与を限定的にすることも有効でしょう。
⑩準備不足による社内混乱
事業承継の準備不足により、社内が混乱する場合があります。
■主な要因
- 事業承継の計画を立てていなかったこと
- 社員への説明が不十分だったこと
■とるべき対策
- 早い段階から事業承継の問題点を洗い出し、対策を立てる
- 事業承継の方針を決めたら、すぐに社員に説明する
円滑な事業承継のためには、早い段階から事業承継の問題点を洗い出し、対策を立てることが重要です。
事業承継の方針が決まったら、速やかに社員に説明し、理解と協力を得ることが求められます。
社員とのコミュニケーションを密にし、不安や疑問に真摯に向き合う姿勢が欠かせません。
⑪周囲に相談をせずに事業承継を進める
周囲に相談をせずに事業承継を進め、失敗する場合があります。
■主な要因
- 経営者の独断専行
- 専門家の助言を聞かなかったこと
■とるべき対策
- 事業承継の計画や進め方について、周囲の意見を聞く
- 専門家のアドバイスを積極的に取り入れる
事業承継を成功させるには、経営者の独断専行を避け、周囲の意見を聞くことが重要です。
弁護士、税理士、中小企業診断士などの専門家へ不安なことは積極的に相談しましょう。
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事業承継を成功させるためのポイント
事業承継の成功のためには、以下の5つのポイントに注目しましょう。
- 後継者の意思を確認する
- 早めに引退予告をする
- しっかりとした事業承継計画を作成する
- 後継者に経営の経験をさせる
- 節税対策をしておく
これらを順に詳しく解説していきます。
後継者の意思を確認する
事業承継の第一歩は、後継者の真意を確認することです。単なる義務感ではなく、経営に対する情熱や覚悟があるかを見極めることが重要です。
後継者の希望や考えを聞くことで、今後の事業方針を一緒に検討できます。
意思確認を怠ると、後々のトラブルや事業継続の危機につながる可能性があります。
早めに引退予告をする
早めの引退予告は、後継者に十分な準備期間を与え、従業員や取引先への丁寧な説明を可能にします。
一般的に事業承継には3〜5年かかるとされていますが、この期間を有効活用することで、計画的で円滑な承継が実現します。
これにより、スムーズな権限移譲と知識・経験の伝達が促進され、事業の継続性が高まります。
同時に、企業価値の維持・向上にもつながり、予期せぬ事態への対応力も向上します。
しっかりとした事業承継計画を作成する
事業承継計画は、いつ、どうやって引き継ぐのか、何を準備すればいいのかをはっきりさせましょう。
後継者と一緒に計画を作れば、お互いの考えもよくわかり、実行しやすい計画になります。
詳しい作り方は
しっかりした計画があれば、引き継ぎがスムーズに進み、思わぬトラブルも防げます。
これが会社の長期的な成長を支える土台になるのです。
後継者に経営の経験をさせる
早めに後継者に経営を体験させることが大切です。
■体験のメリット
- 経営感覚の習得
- 意思決定力の向上
- 従業員や取引先との関係構築
少しずつ責任ある仕事を任せていくことで、後継者の自信も育ちます。これは会社の未来への大切な投資です。
節税対策をしておく
事業承継時、適切な対策を怠ると、高額の相続税や贈与税が発生し、事業継続に支障をきたす可能性があります。
専門家の助言を得ながら、自社の状況に最適な節税策を選択することが重要です。
■具体的な方法
- 相続時精算課税制度の活用
- 自社株式の評価額の適正化
早期の対策実施により、将来の税負担を軽減し、円滑な事業承継の実現につながります。
事業承継を失敗しないためにも「この街の事業承継」にご相談ください
会社を次の世代に引き継ぐのは、簡単ではありません。
計画を立て、周りの人たちと話し合うのも、後継者を育てたり、従業員さんや取引先との絆を守ったり、お金の準備をしたり…考えることが山のようにあります。
でも、ご安心ください。
「この街の事業承継」があなたの強い味方になります。
経験と専門知識を活かして、思わぬ落とし穴を見つけたり、効果的な対策を考えたり、効果的な対策を立てられるよう支援します。
次の世代に安心して託せるように。ぜひ「この街の事業承継」にご相談ください。
この記事を監修した弁護士
西田 幸広 法律事務所Si-Law代表
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事務所概要
熊本
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