事業承継ガイドラインとは?中小企業が押さえるべき3つの柱と実務手順を紹介!

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西田 幸広 弁護士

監修者:弁護士 西田幸広

法律事務所Si-Law代表 / 熊本県八代市出身 / 熊本を中心に企業法務支援

そろそろ引き継ぎをと考えている中小企業の経営者や個人事業主の方は、「事業承継ガイドライン」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

金融機関や税理士から話題に出されたり、同業者の引退や廃業をきっかけに関心を持たれたりすることもあるのではないでしょうか。

とはいえ、「事業承継ガイドラインとは何なのか」「自分の会社にも関係するのか」と疑問に感じる方も少なくないのではないかと考えます。

そこで本記事では、事業承継ガイドラインとはどういうものなのか、中小企業が押さえるべき3つの柱と実務手順をわかりやすく解説します。

見落としやすい論点や公式資料の使い方もご紹介しますので、これから承継を考え始める方の参考になれば幸いです。

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目次

事業承継ガイドラインとは

事業承継ガイドライン」とは、中小企業庁が中心となって策定した、事業承継の進め方や考え方を整理した指針です。

経営者が引退する際に、会社や事業をスムーズに引き継ぐための基本的な視点や手順がまとめられています。

税務や法務の手続きに限らず、経営改善や人材育成など経営全体を見渡した内容になっている点が特徴だと言えるでしょう。

これから事業承継に向き合う経営者が、全体像をつかむために活用するのがおすすめです。

事業承継ガイドライン策定の背景は?

事業承継ガイドラインが策定された背景には、中小企業経営者の高齢化と後継者不足という構造的な課題があります。

例えば帝国データバンクの「全国「社長年齢」分析調査(2024年)」によると、2024年の社長の平均年齢は60.7歳で、50歳以上の経営者が8割を超えていることが示されました。

事業承継ガイドライン策定の背景のイメージ画像

引用:帝国データバンク|全国「社長年齢」分析調査(2024年)

一方で、後継者が決まっていない企業も依然として多く、帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)」の結果では、2024年時点で後継者が「いない」「未定」とする企業は52.1%にのぼります。

改善傾向はあるものの、半数以上の企業が承継先を確保できていない状況です。

後継者不在率の推移のイメージ画像

引用:帝国データバンク|全国「後継者不在率」動向調査(2024年)

こうした現状を踏まえ、国として事業承継の準備を早期に進める必要性を示すために、事業承継ガイドラインが整備されました。

経営者が元気なうちから準備に着手することで、承継方法の選択肢を広げ、円滑な事業承継につなげることが期待されています。

事業承継ガイドラインの対象は?

事業承継ガイドラインの対象は、主に中小企業の経営者になります。

ただし、業種や会社規模を限定するものではなく、幅広く参考にできる内容です。

また、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)など、さまざまな承継方法を想定して整理されています。

後継者がまだ決まっていない段階でも活用できるため、早めに目を通しておくとよいでしょう。

個人事業主の事業承継もガイドラインは関係する?

個人事業主の事業承継にもガイドラインは関係するのだろうかと疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

事業承継ガイドラインは基本的には法人向けの資料ですが、個人事業主にとっても参考になる考え方が示されています。

個人事業であっても、設備・顧客・技術・ノウハウなどを次の世代に引き継ぐ必要があります。

後継者として家族や従業員を想定している場合には、事業の引き継ぎ方や準備の進め方を考える際のヒントになるでしょう。

たとえ法人化していなくても事業承継の本質は変わりませんので、ガイドラインの基本的な視点を押さえておくと安心です。

ただし、個人事業主の場合は、法人とは異なる手続きや留意点があります。

例えば、事業用資産が個人の相続財産となること・許認可の承継手続き・屋号や取引関係の引き継ぎ方法など、個人事業特有の課題です。

個人事業の承継を検討される場合は、これらの点も含めて専門家に相談するのがおすすめです。

事業承継の基本的な考え方」については、別記事でまとめています。

事業承継ガイドラインが重視する3つの柱とは

事業承継を進めるうえでのポイントとして、事業承継ガイドラインでは、重視する3つの柱が示されています。

事業承継ガイドラインの3つの柱のイメージ画像

3つの柱は次のとおりです。

  • 人(経営権)の承継
  • 資産(財産権)の承継
  • 知的資産(経営理念・ノウハウ等)の承継

これらの視点は、単なる手続きの問題にとどまらず、会社そのものを次の世代へつなぐための土台となる考え方です。

どれかひとつだけを整えても十分とは言えませんので、3つの柱をバランスよく整えていくことが大切になるでしょう。

それぞれについて、解説していきます。

人(経営権)の承継

まず最初の柱は、「誰に会社を任せるか」という、人(経営権)の承継です。

後継者への経営権の引き渡しは、事業承継の核心となる部分です。

後継者を親族から選ぶのか、従業員に任せるのか、あるいはM&Aで第三者に引き継ぐのかという選択肢によって、そのあとの準備の進め方が大きく変わります。

「この人に任せたい」という想いと「本当に大丈夫か」という不安が入り混じるのは、経営者として自然なことでしょう。

だからこそ、いきなりすべてを委ねるのではなく、段階を踏んで権限を移し、育てていく姿勢が大切です。

また、社長が交代したあとも、幹部社員や現場のベテランが会社を支えてくれる体制を整えておくことが、承継後の安定につながります。

会社は代表者ひとりで動いているわけではありませんので、後継者だけでなく「周囲の人と組織」にも目を向けておくようにしてください。

資産(財産権)の承継

二つ目の柱は、株式・設備・土地・建物・運転資金など、目に見える資産(財産権)の承継です。

株式の保有状況・借入金・経営者保証・資金繰りの状況などは、承継のしやすさに大きく影響します。

財務状況が不透明なまま承継を進めると、後継者の負担が大きくなり、承継後の経営に支障が生じる場合もあるでしょう。

実際、承継直前になって多額の借入や保証の問題が表面化し、後継者が意思決定をためらうケースも少なくありません。

事業承継ガイドラインでは、こうしたリスクを避けるために、財務の見える化や整理を早めに進めることが大切だと示されています。

すべてを一度に片付ける必要はありませんが、数字を把握し、課題を書き出しておくだけでも承継を進めやすくなり、後継者の安心感にもつながるでしょう。

知的資産(経営理念・ノウハウ等)の承継

3つ目の柱は、顧客との信頼関係・長年培ってきた技術や経験・会社のブランド・地域とのつながりなど、数字には表れない「その会社らしさ」である知的資産(経営理念・ノウハウ等)の承継です。

事業承継ガイドラインでは、こうした知的資産こそ会社の本当の強みと位置付けており、見落とされやすい柱でもあります。

例えば、創業から30年続いてきた加工技術や地域の常連客との関係は、会社の大切な財産であり、これらが途切れてしまうと、後継者がいたとしても事業はうまく続きません。

「強みが言語化されないまま引き継がれてしまうこと」こそが、事業承継でもったいないことの筆頭だと考えます。

そのため、経営理念・業務フロー・取引先との関係性・暗黙知のノウハウなどを文書化し、後継者が迷わず動けるようにしておくことが大切です。

別記事では、「事業承継の株価対策」についても解説していますので、こちらもご覧ください。

事業承継ガイドラインの改訂について

事業承継ガイドラインの改訂のイメージ画像

事業承継ガイドラインは、時代の変化や中小企業を取り巻く環境に合わせて定期的に見直しがおこなわれています。

2026年3月時点での最新の大きな改訂は、2022年3月に公表された「第3版」です。

後継者不足の深刻化や第三者承継(M&A)の増加、支援機関の役割拡大などを踏まえ、内容が更新されています。

経営者としては、最新版のポイントを押さえ、自社の承継準備に役立てておくとよいでしょう。

ガイドラインは中小企業庁の公式サイトで公開されており、誰でも閲覧・ダウンロードが可能です。

第3版(2022年改訂)で強調されたポイントとは

「第3版(2022年改訂)」でこれまで以上に強調されたポイントは、事業承継に早く着手することの重要性についてです。

事業承継には長期間を要するため、経営者が元気なうちから準備を始めることが必要だと示されました。

実際に、後継者を決めてから事業承継が完了するまでに3年以上かかる企業が半数を超えるとのデータも示されています。

そのため、事業承継に必要な期間を考慮すると、60歳前後を目安に準備を開始することが推奨されています。

また、第3版では「単に事業を引き継ぐ」のではなく、「企業価値を高めたうえで次世代に渡す」という考え方が明確に位置付けられました。

経営改善・収益力強化・人材育成などを、承継準備の一部ととらえる点が特徴だと言えるでしょう。

さらに、親族内承継だけでなく、従業員承継や第三者承継(M&A)についても記載が充実しています。

専門家や金融機関、事業承継・引継ぎ支援センターなど支援機関との連携の重要性も整理され、経営者が主体的に準備を進める姿勢が求められています。

さらに後継者探しの方法としては「事業承継のマッチング支援」というサポートもあり、別記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ただし、これらの内容で焦る必要はありません。

TORUTE株式会社では、まずは現状や方向性を確認する段階でもご相談いただけますので、まずは一度お話いただけますと幸いです。

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中小企業が見落としやすい論点

事業承継ガイドラインでは方向性が明確になっていますが、実際に準備を進めると、「どこから手を付ければよいかわからない」「気付かないうちに重大なリスクが放置されていた」という場面に直面することもあるのではないかと考えます。

そのため、ここでは中小企業の経営者が見落としやすい4つの論点を取り上げます。

  • 経営者保証の扱い
  • 株式の分散防止と種類株式の活用
  • 遺留分・相続トラブルへの備え
  • 知的資産の引き継ぎ漏れ

それぞれについて詳しく解説しますので、イメージしながら読み進めてみてください。

経営者保証の扱い

「経営者保証」とは、経営者が会社の借入に対し、個人として保証人になっている状態を指します。

多くの中小企業ではこの状態が続いており、後継者への承継を難しくしている大きな要因のひとつです。

そのため、「保証付きで会社を継ぐのが怖い」という後継者の心理的負担は非常に大きく、承継そのものをためらわせるケースも少なくありません。

この問題に対して、国は「経営者保証ガイドライン」の3要件である、「法人と個人の分離・財務の健全性・経営情報の開示」を満たす会社に対し、保証を不要とする方向を推進しています。

また、保証料を上乗せすることで経営者保証を選択しないことができる新制度も導入されています。

事業承継の準備段階では、借入状況と保証の扱いについての整理を早めに進めておくことが、後継者の意欲を引き出すことにもつながると言えるでしょう。

株式の分散防止と種類株式の活用

会社の株式が親族や取引先に分散したまま承継を進めると、後継者が十分な議決権を持てず、重要な経営判断が止まるリスクがあります。

例えば、新しい投資の意思決定や役員の選任など、会社の節目となる場面で他の株主の同意が必要になると、経営スピードが落ちてしまうことが考えられるのです。

こうしたリスクを防止するために有効なのが、承継前に株式を集約しておくことと、「種類株式」の活用です。

種類株式とは、議決権や配当などの権利内容が通常の株式と異なる株式のことで、例えば後継者には議決権の強い株式を、他の相続人には配当優先の株式を発行するといった使い方ができます。

株式の状況は、早めに弁護士・税理士と確認しておくことをおすすめします。

遺留分・相続トラブルへの備え

後継者に株式を集中させる形で承継を進めると、他の相続人から遺留分侵害を主張され、相続トラブルになるリスクがあります。

遺留分とは、一定の相続人に法律上認められている、最低限の財産を受け取る権利のことです。

例えば、後継者である長男に自社株をすべて集約した場合、他の兄弟姉妹から「遺留分侵害額」として金銭の支払いを求められることがあります。

そうなると、対応のために会社や後継者の資金が大きく減ったり、株式が再び分散したりする事態になりかねません。

こうした事態を防ぐには、遺言書の作成・相続人間での事前の話し合い・除外合意や固定合意といった民法特例の活用など、早期に備えておくことが大切です。

相続が起きてから慌てて対処しようとすると、話がこじれて親族関係まで悪化するケースも少なくありません。

そのため、元気なうちから準備しておくことが、会社と家族を守ることにつながるでしょう。

知的資産の引き継ぎ漏れ

3つの柱の部分でも触れましたが、知的資産の引き継ぎ漏れは実務上、起こりやすい問題だと言えます。

例えば、主要取引先の担当者との関係性・長年の取引で培った交渉のコツ・業務上の判断基準など、「社長の頭のなかにしか入っていない」情報は、文書化されていなければ承継後に失われてしまうことになります。

そのため、知的資産の引き継ぎを進めるには、まず「自社が大切にしてきた強みとは何か」を棚卸しすることから始めるのがよいでしょう。

業務マニュアルの整備・顧客台帳の整理・経営理念の文書化などが、具体的な取り組みとして挙げられます。

後継者に渡す「形のない財産」こそ、丁寧に引き継いでおくことが会社の継続につながります。

別記事では、「事業承継における中小企業の課題」について深掘りしていますので、こちらもぜひお役立てください。

事業承継ガイドラインに沿った5つの手順とは

事業承継ガイドラインでは、事業を次の世代へ引き継ぐための進め方が段階的に示されています。

難しそうに見えますが、流れ自体は「考える→整理する→磨き上げる→決める→引き継ぐ」というシンプルなものです。

事業承継ガイドラインに沿った5つの手順は次のとおりです。

事業承継ガイドラインの5つの手順のイメージ画像
  1. 準備の必要性を認識する
  2. 経営状況・課題の把握
  3. 経営改善
  4. 計画策定やM&A工程の実施
  5. 実行

これらは短期間で一気に進めるものではなく、数年単位で少しずつ進めることが前提になっています。

経営者の立場や会社の状況によって進め方のペースは異なりますので、無理せず取り組むとよいでしょう。

「完璧な計画を立ててから動く」よりも、「考え始めること自体が第一歩」だと考えますので、まずは大まかな流れを把握してみてください。

ステップ1:準備の必要性を認識する

最初のステップは、事業承継の準備の必要性を、自分ごととして認識することです。

「まだ元気だから大丈夫」「後継者が決まってから考えればよい」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、承継は思った以上に時間がかかるテーマです。

例えば、後継者の育成・財務の整理・関係者との合意形成など、どれも数年単位で進める必要のある作業になります。

経営者の年齢や市場環境の変化を踏まえると、準備を先送りするほど選べる選択肢が減ってしまう点には注意が必要でしょう。

まずは、「自社にとって事業承継とは何か」を考え、経営課題のひとつとして意識しておくことが大切です。

ステップ2:経営状況・課題の把握

次に取り組みたいのが、会社の経営状況や課題の現状を客観的に把握する作業です。

まず、財務の状況・利益の出方・組織の体制・取引先の構成などを一度書き出してみると、全体像が見え、やるべきことが明らかになってくるでしょう。

「感覚ではわかっているつもりだったが、数字で見ると意外な課題があった」というケースも少なくありません。

ここで現状を見える形にしておくことで、後継者候補や専門家との話し合いも具体的になります。

このステップは、承継準備の土台づくり、と考えるとわかりやすいでしょう。

ステップ3:経営改善

現状や課題が見えてきたら、次は経営改善に取り組みます。

収益力を高める・業務を効率化する・新しい事業を検討するなど、企業価値を高める取り組みが、これに該当します。

「引き継ぐ前にできるだけ強い会社にしておきたい」と考える経営者の方は多いのではないでしょうか。

承継準備と並行して経営改善に取り組むことで、後継者にとって引き継ぎやすい会社になります。

小さな改善でも積み重ねることが重要ですので、少しずつ取り組んでいくのがおすすめです。

ステップ4:計画策定やM&A工程の実施

次の段階では、どのように事業を引き継ぐかを具体的に決め、計画策定を進めていきます。

親族に引き継ぐのか・従業員に託すのか・第三者に譲渡するのか(M&A)など、選択肢を比較検討し、自社に適した方法を選ばなければなりません。

第三者承継を選ぶ場合には、仲介会社の選定・企業価値の算定・買い手候補の探索など、いわゆる「M&A工程」に入ることになります。

あわせて、株式の移転方法や事業譲渡の準備など、法務・税務の具体的な手続きも検討します。

計画を文書にまとめておくと、関係者との認識合わせもスムーズになるでしょう。

事業承継計画の必要性や作り方」について、別記事でよりわかりやすく解説していますので、こちらも参考にしてください。

ステップ5:実行

最後のステップは、計画に基づいて実際に承継を実行する段階です。

株式や事業の移転・経営権の引き渡し・後継者への権限委譲などを進めていきます。

承継直後は会社全体が不安定になりやすいため、しばらくは現経営者がサポート役に回る体制を整えておくと安心です。

事業承継は、ゴールではなく、新しい経営体制のスタートです。

バトンを渡したあとも会社が成長していく姿を見届けることが、経営者にとっての大きなやりがいにもなるでしょう。

ここまでで、事業承継ガイドラインに沿った5つの手順をご紹介しました。

別記事では、「事業承継でやるべきこと」として実務手順をまとめていますので、こちらもぜひご覧ください。

ですが手順どおりに進めても、実際は迷うことがあったり、専門家の力が必要な場面も出てくるでしょう。

TORUTE株式会社では、他の専門家と連携しながら、経営者さまの想いに寄り添った形で承継をサポートさせていただいています。

まずは計画段階からでも、ぜひ一度お話をお聞かせいただけますと幸いです。

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事業承継ガイドラインを実務に落とし込む方法

事業承継ガイドラインを読んで内容は把握したつもりでも、「自社では何から手を付けたらいいのか」と感じる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、事業承継ガイドラインの内容を実務に落とし込み、実際の承継準備に活かすための方法をご紹介します。

  • 手順を「自社のタスク」に置き換える
  • 役割分担を決める
  • 数値・期限・担当者を管理する
  • 支援機関や専門家の活用タイミングを決める

具体的にひとつずつ確認していきましょう。

手順を「自社のタスク」に置き換える

事業承継ガイドラインの5ステップは、どの会社にも共通する大枠の流れですが、それをそのまま当てはめようとすると、「うちの状況とは違う」と感じてしまうこともあります。

そこで大切なのは、それぞれの手順を「自社では何をすべきか」というタスクに置き換えることです。

例えば「経営状況・課題の把握」というステップであれば、次のような具体的な作業に落とし込むとイメージしやすくなるでしょう。

  • 直近3年分の決算書を整理する
  • 主要取引先の売上依存度を確認する
  • 株主名簿を最新の状態にする など

まずは紙に、「今の状況」と「やるべきこと」を箇条書きで書き出すところから始めてみるのがおすすめです。

役割分担を決める

承継準備は、経営者ひとりで抱え込まない体制をつくることが重要になります。

例えば、財務まわりは税理士・法的手続きは弁護士・資金調達は金融機関など、テーマごとに役割分担を決めておくと、作業が滞りにくくなるでしょう。

また、社内では後継者候補や幹部社員にも役割を与え、「承継準備に参加している」という意識を早めに持ってもらうことが、スムーズな引き継ぎにつながります。

数値・期限・担当者を管理する

承継準備の最大の落とし穴は、「なんとなく進んでいる」状態だと言えます。

そこで、大切な取り組みほど、数値・期限・担当者を明確にして管理することが欠かせません。

例えば、「◯年◯月までに株主名簿を整理する(担当:◯◯)」「△年△月までに経営者保証の解除に向けた銀行との協議を開始する(担当:△△)」のように、具体的な形にしておくと進捗を確認しやすくなります。

さらに、事業承継計画書として文書化しておくと、関係者全員が同じ方向を向いて動きやすくなるでしょう。

支援機関や専門家の活用タイミングを決める

事業承継では、「何かあれば相談しよう」という姿勢では、結果的に動き出しが遅くなりがちなため、あらかじめ支援機関や専門家の活用タイミングを決めておくことが大切です。

例えば、次のような目安が参考になります。

活用のタイミング相談先の例
承継の方向性を整理したい段階事業承継・引継ぎ支援センター
税金・株式の対策を検討する段階税理士・税理士法人
遺言・遺留分・株式整理の段階弁護士
M&Aの打診・交渉の段階M&A仲介会社・弁護士
融資・経営者保証の整理の段階金融機関・信用保証協会

「誰に聞いたらよいかわからない」という場合は、まずは事業承継・引継ぎ支援センターに相談してみるのもよいでしょう。

無料で利用でき、地域の専門家とのマッチングも支援してもらえます。

事業承継の相談先」については、別記事でもご紹介していますので、こちらもお役立てください。

事業承継の公式資料は他にもある?

事業承継の公式資料は他にもあるかのイメージ画像

事業承継に関する公式資料は、事業承継ガイドラインの他にもいくつか公開されています。

代表的な資料には、次のものがあります。

  • 事業承継マニュアル
  • 中小M&Aハンドブック
  • 事業承継・引継ぎ白書

これらの資料は、想定している読者や使い方がそれぞれ異なりますので、目的に応じて資料を使い分けることが大切です。

それぞれの資料の特徴や活用方法について、順に解説します。

事業承継マニュアル

事業承継マニュアル」は、承継準備を実際に進める際の手順やポイントをまとめた実務向けの資料です。

現状分析の進め方や事業承継計画書の作成方法など、具体的な作業に直結する内容が掲載されています。

事業承継を本格的に進める段階で参考にすると、実務の道筋が見えやすくなるでしょう。

中小M&Aハンドブック

中小M&Aハンドブック」は、第三者承継(M&A)を検討する中小企業向けに、M&Aの基本的な流れや注意点をわかりやすくまとめた資料です。

「M&Aという選択肢を検討しているが、何から知ればよいかわからない」という経営者の方が、最初に目を通すのに適した内容となっています。

買い手・売り手それぞれの立場からのポイントや、支援機関の使い方なども解説されており、M&Aへの理解を深める入門資料として活用するのがおすすめです。

事業承継・引継ぎ白書

事業承継・引継ぎ白書」は、中小企業庁が事業承継の現状や課題を統計データとともにまとめた報告書です。

現在は「中小企業白書」の事業承継関連章として公開されており、最新版は「2025年版 中小企業白書(第9節 事業承継)」が該当します。

後継者不在率の推移・承継後の経営パフォーマンス・M&Aの成立件数の変化など、実際の数字に基づいたデータが掲載されており、「いま日本の事業承継はどういう状況か」を把握するのに適していると言えるでしょう。

自社の状況を客観視したいとき、あるいは金融機関や専門家との話し合いの前に背景知識を整理したいときに役立つ資料です。

それぞれの資料の使い分け方法は?

それぞれの資料の使い分け方法は、以下の流れが基本となります。

  1. 事業承継ガイドラインで承継の全体的な考え方や進め方を確認する
  2. 事業承継マニュアルで具体的な準備作業を進める
  3. M&Aを検討する場合は中小M&Aハンドブックで基本を押さえる
  4. 現状データを把握したい場合は事業承継・引継ぎ白書を参照する

資料ごとの役割を意識して使い分けることで、効率よく承継準備を進められるでしょう。

ですが実際の承継では、自社の状況に合わせて進めていかなければならないため、専門家のサポートが必要になることもあるかと考えます。

別記事では、「事業承継で専門家が必要な理由」についてまとめていますので、こちらもご覧ください。

事業承継のご相談は「TORUTE株式会社」へ

TORUTE株式会社への相談をイメージした画像

事業承継ガイドラインでは、「人(経営権)の承継」「資産(財産権)の承継」「知的資産(経営理念・ノウハウ等)の承継」という3つの柱を意識し、ステップに沿って準備を進めることが示されています。

ただ、これらには難しい内容も含まれるため、すぐに自社の状況に当てはめて考えるのは、決して簡単なことではありません。

TORUTE株式会社では、初心者の方にも読みやすい「事業承継に役立つ無料マニュアル【完全版】」をプレゼントさせていただいております。

事業承継には、税務・法務・経営戦略・人材育成など検討すべきテーマが幅広く、経営者おひとりで整理しようとすると負担も大きくなりがちです。

そこで、事業承継の全体像をわかりやすくまとめた「事業承継に役立つ無料マニュアル【完全版】」を活用していただくことによって、ガイドラインの考え方を自社にどう落とし込むべきかが見えやすくなると考えます。

もちろん、現状整理や課題の把握、承継計画の策定や必要に応じた専門家のご紹介など、経営者の状況に合わせたサポートも可能です。

「何から手を付ければよいかわからない」という段階からでも構いません。

初回無料相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

\事業承継、何から始めるか迷ったら/

まとめ

事業承継ガイドラインは、中小企業庁が策定した、事業承継の考え方や進め方を体系的に示した指針です。

3つの柱を踏まえ、5つのステップに沿って準備を進める流れが示されています。

事業承継は、単に経営者を交代させるだけの手続きではありません。

会社の強みや人材、取引先との関係を次世代につなぎ、事業を続けていくための経営上の重要なテーマです。

また、経営者保証・株式の分散・遺留分・知的資産の引き継ぎ漏れといった、見落としやすい論点にも早めに目を向けておくことが大切です。

早い段階で全体像を理解し、現状の整理や課題の洗い出しをおこなっておくことで、承継に向けた選択肢を広げられます。

まずは自社の状況を振り返り、できるところから準備をはじめてみましょう。

まずはお気軽にご連絡ください

0120-055-737

受付時間/AM8:30~PM5:30(土日・祝休)

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