事業承継はどこに相談すべき?相談先別の特徴や選び方などを解説

事業承継は、企業の未来を左右する重要な決断であり、多くの経営者が直面する大きな課題です。
しかし、事業承継の準備を進めるにあたり、「どこに相談すればよいのか?」と悩む方も多いのが現実です。

専門家に相談することで、適切なアドバイスを得られるだけでなく、事業承継の課題解決につながります。
本記事では、事業承継に関する相談先の選び方や、それぞれの特徴を分かりやすく解説します。

事業承継についての相談先10選

事業承継の相談先は、公的機関、士業、民間企業など様々です。
以下の表では、代表的な相談先10か所のメリットとデメリットをまとめています。

自社の状況や相談内容に合わせて、最適な相談先を選ぶことが重要です。

相談先 メリット デメリット
①事業承継・引継ぎ支援センター 国が運営する公的機関で、専門的な知識を無料で提供してくれる 後継者探しのサービスもあるが、無料なので限りがある
②金融機関 取引のある身近な相談先であり、融資や資産管理の相談もできる 事業承継に特化した知識やノウハウが不足していることがある
③商工会・商工会議所 地域の事業者に精通しているため、身近な成功事例などを教えてもらえる 専門性の高い相談には対応しきれない場合がある
④公認会計士・税理士 財務・税務のプロとして、事業承継の資金面でのアドバイスに強み 株主間の深刻な対立など複雑な事案は、専門分野を超えている場合がある
⑤弁護士 法律のプロとして、譲渡の契約書作成やリスクへの対応など全体的に見ることができる 弁護士の報酬は、明確に提示しているが、他の士業専門家と比べると高めである
⑥司法書士 不動産の名義変更や会社の登記手続きに強み 扱える業務範囲が法律で制限されている
⑦行政書士 認可申請や許認可手続きに強み 事業承継の戦略策定は、専門分野を超えている場合がある
⑧親族・友人・知人 気軽に相談でき、アドバイスがもらえる 客観的な視点や、専門知識が不足していることがある
⑨経営コンサルティング会社 企業経営の改善や課題解決を支援することに特化している 費用対効果を見極める必要がある
⑩仲介会社 業界に精通した仲介会社なら、最適な売却先が見つけてくれる 仲介会社の特徴はバラバラなので、慎重に選ぶ必要がある
相談先 メリット デメリット
①事業承継・引継ぎ支援センター 国が運営する公的機関で、専門的な知識を無料で提供してくれる 後継者探しのサービスもあるが、無料なので限りがある
②金融機関 取引のある身近な相談先であり、融資や資産管理の相談もできる 事業承継に特化した知識やノウハウが不足していることがある
③商工会・商工会議所 地域の事業者に精通しているため、身近な成功事例などを教えてもらえる 専門性の高い相談には対応しきれない場合がある
④公認会計士・税理士 財務・税務のプロとして、事業承継の資金面でのアドバイスに強み 株主間の深刻な対立など複雑な事案は、専門分野を超えている場合がある
⑤弁護士 法律のプロとして、譲渡の契約書作成やリスクへの対応など全体的に見ることができる 弁護士の報酬は、明確に提示しているが、他の士業専門家と比べると高めである
⑥司法書士 不動産の名義変更や会社の登記手続きに強み 扱える業務範囲が法律で制限されている
⑦行政書士 認可申請や許認可手続きに強み 事業承継の戦略策定は、専門分野を超えている場合がある
⑧親族・友人・知人 気軽に相談でき、アドバイスがもらえる 客観的な視点や、専門知識が不足していることがある
⑨経営コンサルティング会社 企業経営の改善や課題解決を支援することに特化している 費用対効果を見極める必要がある
⑩仲介会社 業界に精通した仲介会社なら、最適な売却先が見つけてくれる 仲介会社の特徴はバラバラなので、慎重に選ぶ必要がある
相談先 ①事業承継・引継ぎ支援センター
メリット 国が運営する公的機関で、専門的な知識を無料で提供してくれる
デメリット 後継者探しのサービスもあるが、無料なので限りがある
相談先 ②金融機関
メリット 取引のある身近な相談先であり、融資や資産管理の相談もできる
デメリット 事業承継に特化した知識やノウハウが不足していることがある
相談先 ③商工会・商工会議所
メリット 地域の事業者に精通しているため、身近な成功事例などを教えてもらえる
デメリット 専門性の高い相談には対応しきれない場合がある
相談先 ④公認会計士・税理士
メリット 財務・税務のプロとして、事業承継の資金面でのアドバイスに強み
デメリット 株主間の深刻な対立など複雑な事案は、専門分野を超えている場合がある
相談先 ⑤弁護士
メリット 法律のプロとして、譲渡の契約書作成やリスクへの対応など全体的に見ることができる
デメリット 弁護士の報酬は、明確に提示しているが、他の士業専門家と比べると高めである
相談先 ⑥司法書士
メリット 不動産の名義変更や会社の登記手続きに強み
デメリット 扱える業務範囲が法律で制限されている
相談先 ⑦行政書士
メリット 認可申請や許認可手続きに強み
デメリット 事業承継の戦略策定は、専門分野を超えている場合がある
相談先 ⑧親族・友人・知人
メリット 気軽に相談でき、アドバイスがもらえる
デメリット 客観的な視点や、専門知識が不足していることがある
相談先 ⑨経営コンサルティング会社
メリット 企業経営の改善や課題解決を支援することに特化している
デメリット 費用対効果を見極める必要がある
相談先 ⑩仲介会社
メリット 業界に精通した仲介会社なら、最適な売却先が見つけてくれる
デメリット 仲介会社の特徴はバラバラなので、慎重に選ぶ必要がある

①事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁が全国47都道府県に設置した公的な相談機関です。
事業承継に関する様々な悩みを抱える経営者に向けて、無料で相談に乗ってくれるため、事業承継の第一歩を踏み出すのに最適な相談先です。

国が運営する公的機関ならではの信頼性の高さが強みです。
全国の幅広いM&A情報を提供してもらえるため、第三者への事業引継ぎを検討する際にも役立ちます。

ただし、あくまで相談機関なので、アドバイスをもらった後は、経営者自らの決断と行動が必要です。マッチング支援は無料なので、民間のM&A仲介会社ほど、濃密な支援は期待できない可能性もあります。

とはいえ、事業承継の入り口としては最高の相談先だと言えます。

②金融機関

金融機関は、日頃から取引のある身近な相談先です。
事業承継に関する悩みも、親身になって聞いてもらえるでしょう。
企業の状況をよく理解しているため、的確なアドバイスが期待できます。

また、事業承継を機に資金調達や資産管理の相談をするなら、メインバンクが頼りになります。
ただし、金融機関の強みはあくまで資金面のサポートです。
事業承継計画の策定や実行にあたっては、金融機関と士業専門家の両方に相談し、それぞれの強みを活かした連携が大切だと言えます。

事業承継は長期的な取り組みになるため、早い段階から資金計画を立てておくことが重要です。

事業承継のための融資

③商工会・商工会議所

地域の中小企業や小規模事業者にとって、商工会・商工会議所は心強い味方です。

商工会・商工会議所の強みは、地域の事業者に精通していること。同じような悩みを抱えた経営者の事例を数多く知っているため、具体的で実践的なアドバイスがもらえます。
セミナーの開催や専門家の紹介など、事業承継に関する様々な支援が用意されています。

ただし、商工会・商工会議所の経営指導員は、必ずしも事業承継の専門家ではありません。
税務や法務など、専門性の高い分野は、必要に応じて専門家と連携しながら、準備を進めていきましょう。

④公認会計士・税理士

事業承継で欠かせないのが、公認会計士・税理士です。
日頃から企業の経営状況を把握しているため、具体的で実践的な支援が期待できます。

株式の評価や資産の移転、株式承継と事業用資産承継のメリット・デメリット比較、株式評価方法の検討、税務メリットを活かした財産移転プランの提案など、専門的な視点からの的確な支援が受けられます。

ただし、公認会計士・税理士はあくまで財務・税務の専門家であり、経営判断が求められる場面では、経営者自身の決断が重要になります。
また、株式譲渡契約書の作成など法務面のサポートは、弁護士との連携が欠かせません。

事業承継は、税務・財務・法務など、様々な専門分野が絡み合うため、専門家が連携し、それぞれの強みを活かしたサポート体制を整えることが、円滑な事業承継の鍵になります。

⑤弁護士

事業承継には法的な手続きが数多く発生します。
トラブルを未然に防ぎ、スムーズに事業承継を進めるためには、弁護士の力が欠かせません。

弁護士の強みは、法律の専門家として、リーガルチェックを行いつつ、具体的な解決策を提示できることです。
株式譲渡契約書や事業譲渡契約書の作成、M&Aにおける法的デューデリジェンス、株主間契約や顧問契約の見直しなど、事業承継の法務面を幅広く支援します。

ただし、弁護士選びは慎重に行うことが大切です。事業承継の経験が豊富で、経営者の立場に立って考えてくれる弁護士を選ぶことが、成功の秘訣です。
弁護士報酬は、他の専門家と比べると割高な印象があるかもしれませんが、事前の予防法務に力を入れることで、紛争のリスクをあらかじめ摘んでおくことが、賢明な選択だと言えるでしょう。

⑥司法書士

不動産の名義変更や会社の登記手続きなど、事業承継に必要な手続きの多くは、司法書士の仕事です。

司法書士報酬は、他の士業専門家と比べると報酬の面でも比較的、気軽に相談できるのが魅力です。
不動産の名義変更、商号や本店所在地の変更登記、合併や会社分割の登記など、司法書士の専門分野は多岐にわたります。

ただし、司法書士が扱える業務範囲は、司法書士法で定められています。
事業承継の方針策定など、経営判断に関わる部分は、司法書士の専門外です。税務や財務、法務など、他の専門分野は、税理士や公認会計士、弁護士などとの連携が必要になります。

⑦行政書士

事業を譲渡する際、飲食店の営業許可や建設業の許可など、事業に必要な許認可を承継先に引き継ぐ必要があります。
行政書士は、官公庁に提出する書類の作成や、許認可の申請手続きを専門的に扱う士業です。
事業承継に必要な各種手続きを一式依頼できるので、経営者の手間を大幅に省けます。

ただし、行政書士が扱える業務範囲は、行政書士法で定められています。
事業承継の方針策定など、経営判断が求められる場面は、行政書士の専門外です。

他の専門家との連携を図りながら、事業承継を進めていくことが賢明だと言えるでしょう。

⑧親族・友人・知人

事業承継の悩みを打ち明けられる身近な存在といえば、親族・友人・知人でしょう。
気軽に相談できるのは、何よりの安心です。

ただし、親族・友人・知人のアドバイスには、感情的な意見や自分の経験則に基づく思い込みが入りがちなため、慎重になる必要があります。
事業承継の方針を固める前に、専門家の視点からチェックしてもらうことが大切だと言えるでしょう。

特に、親族内の事業承継は、感情的な対立に発展するリスクが高く、経営者の心労も大きくなりがちです。
専門家を交えた話し合いの場を早期に設け、「公平な承継」に向けたルール作りを進めることが、トラブル回避の秘訣だと言えます。

⑨経営コンサルティング会社

事業承継の羅針盤となるのが、経営コンサルティング会社の存在です。
経営コンサルティング会社の強みは、事業承継を、トータルで支援してくれることです。
自社の状況を多角的に分析し、最適な承継手法を選択。スケジュールに沿って、着実に承継を進めるための伴走支援が期待できます。

ただし、経営コンサルティング会社の報酬は、他の専門家に比べて高額になりがちです。
費用対効果を見極めつつ、信頼できる会社を選ぶことが肝要です。

⑩仲介会社

M&A仲介会社は、事業承継を検討している会社と後継者をつなぐ重要な役割を担い、最適な買い手を見つけるためのサポートを提供します。
さらに、買い手候補との交渉、条件の調整、契約書の作成に至るまで、M&Aの各フェーズにおいて手厚いサポートが受けられる点は大変心強いです。

しかし、M&A仲介会社への依頼は慎重に行う必要があります。
なぜなら、会社の重要な情報を共有することになり、信頼性の低い仲介会社に依頼することはリスクがあるためです。

特に、M&A仲介会社に特定の資格は必要ないため、実績や手数料体系、サポート内容などをしっかりと確認することが重要です。
近年では、詐欺に関連する被害も報告されており、信頼できるパートナーを見極めることが最も大切です。

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事業承継の相談先の選び方のポイント

事業承継の相談先選びで重要なのは、専門分野や実績、料金体系、コミュニケーションのしやすさなどを調べることです。

自社に合った相談先を見つけることが、スムーズな事業承継の第一歩になります。

事業承継やM&Aの実績がある

事業承継を成功させるためには、経験豊富な相談先を選ぶことが重要です。
例えば、国が運営する「事業承継・引継ぎ支援センター」では、事業承継やM&Aの専門家が揃っており、信頼できるサポートを受けられます。また、自社の業界や規模に詳しい相談先を選ぶことで、より具体的で適切な提案が得られます。

さらに、弁護士や税理士など、事業承継に強い専門家を選ぶことで、M&A契約書の作成や税務対策といった専門分野での支援も安心です。

報酬額が明確である

事業承継には費用がかかりますが、報酬体系が不明瞭な相談先に依頼すると、後から高額な請求が発生する可能性があります。
実際、報酬や費用に関するトラブルが国へ多く報告されています。

報酬額や料金体系が明確な相談先を選ぶことで、事前に費用感を把握し、予想外のトラブルを防ぐことができます。
支援内容と費用に納得した上で、信頼できる相談先を選びましょう。

専門家・各種機関との連携がとれている

事業承継には、会計、税務、法律など多様な専門知識が必要不可欠です。
すべてを一つの相談先でカバーするのは難しい場合もあるため、他の専門家や関連機関と連携している相談先を選ぶことが大切です。特に、法的な面ではトラブルを避けるためにも、信頼できる専門家との連携が欠かせません。

ワンストップでの課題解決ができ、自分で専門家を探す手間も省けるため、効率的に事業承継を進めることができます。

コミュニケーションが取りやすい

事業承継の相談中に疑問が生じることも多くあります。

相談先とのコミュニケーションが円滑に取れることが重要です。
相談しやすく、信頼できる相談先を選び、経営者との間で信頼関係を築くことが大切です。

事業承継についてのお悩みは「この街の事業承継」へご相談ください

私、西田幸広は、弁護士、司法書士、社会保険労務士として、これまで熊本県を中心に多くの法務に携わってまいりました。

事業承継に関する問題は、ひとりで抱え込まずぜひご相談ください。
私自身、引継ぎ支援センターの登録支援機関であり、後継者不在の中小企業を支援する仕業のネットワークにも所属していますので、負債超過や赤字経営、相続問題など、幅広く対応可能です。

これまでの経験を活かし、事業承継に関するお悩みを解決へと導くお手伝いができれば幸いです。
【この街の事業承継】までどうぞお気軽にお問い合わせください。

西田 幸広 弁護士

この記事を監修した弁護士

西田 幸広 法律事務所Si-Law代表

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