事業承継は、企業価値をどう捉えるかで準備の質が大きく変わります。
事業承継における企業価値は、買い手や後継者が納得できる根拠ある数字で示すことが大切です。
ただ算出方法や見方が複数あるため、どれを基準にすべきか迷う場面もあるでしょう。
そこで本記事では、企業価値の算出の考え方と主要手法、さらに高値がつきやすい条件や注意点を整理しました。
初めての方でも全体像をつかみやすい内容になっているので、自社の現状と打つべき手が具体的に見えてくるはずです。
理解を深め、できるところから着手するための参考にしていただければ幸いです。

目次
事業承継の企業価値とは
事業承継における企業価値とは、会社というビジネスの本体が持つ総合的な価値、だと考えます。
将来の収益力だけでなく、手元の資金や借入・使っていない資産・見えにくい負担・ブランド・人材・お客様との関係といった「見えにくい強み」まで含めて捉えることが大切です。
相続税の評価額や株価とイコールではなく、将来どれくらい伸びるか・どんなリスクがあるかなど、置く前提で数値は変動します。
したがってひとつの数値に固執せず、複数の手法で幅を出し、その結果を交渉や条件設計の出発点として活用するとよいでしょう。
あわせて、中小企業庁のガイドラインが示すとおり、早期に現状を見える化しておくことが重要です。
事業承継で企業価値を算出する目的
事業承継で企業価値を算出する目的は、主に3つあります。
1.全員が同じ物差しで話せるようにするため
「なんとなく」ではなく根拠のある数字で示すことで、後継者・家族・役員・
金融機関といった関係者全員が同じ土台で議論できる「共通言語」となります。
2.条件を決めるときの拠り所にするため
売買金額や株の引き継ぎ割合、のれん・アーンアウト(将来の成果に応じた追加支払い)の設計は、数字があるからこそ理由を説明できるため、交渉の軸となります。
3.改善ポイントを見つけるため
評価を分解して眺めると、「利益率より在庫の積み上がりが問題」「売上が特定の得意先に偏っている」といった真の課題が浮かび上がり、どこを直せば価値が上がるかが見えてきます。
評価は、ゴールではなく出発点です。
承継までの期間に、在庫の適正化や取引先の分散、収益の安定化など伸ばせる部分を計画的に改善していきましょう。
こうした取り組みを積み重ねるほど、最終的な評価は上振れしやすくなります。
企業価値と株式価値の違いは?
企業価値(EV)は、会社という事業全体の値段を指します。
株式価値(Equity Value)は、そのうち株主の取り分に当たる部分と考えましょう。
この2つの間には、次の調整が入ります。
- ネットデット(借入金などの有利子負債 - 手元の現金・預金 など)
- 非事業資産(本業に使わない余剰不動産や投資 など)
- 非支配持分(子会社のうち他社が保有する持分 など)
整理すると、次の関係になります。
| 企業価値(全体) − ネットデット ± その他の調整 = 株式価値(株主の取り分) |
最後に発行株式数で割ると、1株あたりの目安が求められます。
参考:国税庁|類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について
実務では、次の順に進めると混乱しにくいでしょう。
- 1.企業価値を計算する
- 2.借入や現金などで調整する
- 3.株式価値を算出する
なお、相続税・贈与税の株式評価(財産評価基本通達に基づく原則的評価方式)と、M&Aなどの取引価格は、目的も前提も異なります。
数字が違っても不自然ではないため、混同しないように意識しておくとよいでしょう。
企業価値と事業価値の違いは?
事業価値は、「会社の本業がこれから生み出すお金に注目した値」です。
遊休不動産や余剰現金など本業に使わない資産はいったん除いて考えます。
一方の企業価値(EV)は、「事業価値に非事業資産を足した会社全体の値」として理解すると整理しやすくなります。
事業承継で本業だけを譲るなら、事業価値を重視しましょう。
もし会社を丸ごと(株式譲渡)なら、まずEVを算出し、借入と現金の差(ネットデット)などを調整して株式価値へつなげます。
まとめると、以下のようになります。
| 事業価値 + 非事業資産 = 企業価値(EV)EV − ネットデット等の調整 = 株式価値 |
最初に何を引き継ぐかを決め、非事業資産の扱いと調整表を用意しておくと迷いにくくなるはずです。
企業価値の算出方法
企業価値はひとつの計算式でピタリと決まるものではありません。
複数の方法で試算し、結果を見比べて「この範囲が妥当だ」といえる幅を作るのが実務的な進め方です。
評価を始める前に、まず数字の前提を整える作業をおこないましょう。
例えば、決算のズレをならす・私的な費用の整理・親族会社との取引の見直しといった決算の平準化が必要です。
あわせて、簿外債務の洗い出し・非事業資産の棚卸し・運転資金が適正かの確認も進めておくとよいでしょう。
その上で、成長率・投資計画・資本コストなどの前提条件を明示し、使った計算シートと根拠資料を保存します。
後から見直しても同じ手順で同じ結果が再現できる状態にしておくことが大切です。
企業価値の算出方法として現場で広く用いられるのは、以下の方法です。
- 修正純資産法
- DCF法
- 類似会社比準法
ここでは、それぞれの要点を解説します。
修正純資産法
修正純資産法とは、会社の資産と負債を「現在の値段(時価)」に近づけて数え直し、その差(=純資産)をもとに価値を算定する方法です。
例えば、使っていない不動産の含み益・老朽化した設備の含み損・退職金や保証など将来発生が見込まれる負担(潜在債務)まで織り込み、姿を実態に近づけます。
この手法は、設備投資が多い業種や赤字でも資産に厚みがある会社で効果を発揮しやすく、清算時にどの程度残るかという「下限の目安」としても活用できます。
一方で、将来の収益力は反映されにくい点に注意が必要です。
成長性や改善計画を重視する場面では、他の評価方法と組み合わせてバランスを取るようにしましょう。
DCF法
DCF法は、会社がこれから生み出すフリーキャッシュフローを見積もり、それを資本コスト(投資家が求めるリターンの水準)で現在価値に割り引いて合計することで企業価値を求める方法です。
稼ぐ力とリスクをもっとも素直に表せる一方で、成長率・投資計画・運転資金・割引率の置き方で結果が大きく変わります。
前提を明確にし、根拠をそろえておきましょう。
中小企業では、精度を高めるために次の正規化をおこなうとよいでしょう。
- オーナー報酬の見直し(相場水準への調整)
- 親族・関連会社との特殊取引の整理
- 季節要因による資金の波の平準化
さらに、前提を少し動かした場合の試算パターンをいくつか用意し、幅で結果を示すようにしましょう。
関係者の納得感が高まり、交渉や意思決定も進めやすくなります。
類似会社比準法
類似会社比準法は、似た会社の取引事例や上場企業の指標(売上倍率・EBITDA倍率・PER など)を手がかりに、自社の数値へ掛け合わせて概算の価値を推定する方法です。
市場の相場感を反映しやすく、関係者へ説明しやすい利点があります。
一方で、規模・商圏・事業構成・ガバナンス水準の違いをどう補正するかが肝心になります。
補正の前提を丁寧に示しておきましょう。
地方やニッチ分野では比較対象が限られます。
どの会社を参照するのか(母集団)と補正の考え方を明確にし、選定理由を記録しておくとよいでしょう。
実務ではこの手法だけに依存せず、他の算定方法の結果と突き合わせて整合性を確認します。
数値の幅を意識し、結論を急がない姿勢が大切です。
また、目的(相続・承継・M&A など)や取引の形態に応じて、用いる指標を調整するようにしましょう。
実際の評価では、業種・規模・ディールの目的によって適切な手法が変わります。
最終的には、複数の手法を組み合わせ、専門家の助言を受けながら進めることをおすすめします。

企業価値評価の3つのアプローチ

企業価値の考え方は、大きく次の3つに分けられます。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
簡単に説明すると、コストは「積み上げた資産を数える方法」、インカムは「これからの稼ぐ力を見る方法」、マーケットは「市場の相場で測る方法」と理解しておくとよいでしょう。
業種によっては相性もあります。
例えば、設備や不動産が厚い製造業はコストが合いやすく、成長余地の大きいITサービスはインカムが向いています。
取引事例が多い小売は、マーケットを使うと説明がしやすいでしょう。
実務では、ひとつの物差しに頼らないことが肝心です。
複数のアプローチで結果を見比べ、目線をそろえるようにしましょう。
あわせて、手数料や業務範囲を分かりやすく示すなど、ガイドラインに沿った透明性の確保も忘れないようにするのもポイントです。
コストアプローチ
コストアプローチは、会社の資産と負債をひとつずつ確かめ、実際の値段に直して合計し、価値を捉える方法です。
具体的には、資産や負債を現在の相場に引き直す・帳簿に載っていない負担を洗い出す・引当金の妥当性を確認するといった作業を丁寧におこないましょう。
この手順を踏んでおくと、慎重で再現性の高い評価につながります。
設備投資が大きい業種や、清算時の下限値を把握したい場面で特に有効です。
一方で、将来の成長期待やブランド・人材など無形の強みは数値に反映されにくい傾向があるので、必要に応じて他の手法も併用するようにしましょう。
インカムアプローチ
インカムアプローチは、会社がこれから稼ぐお金を基準に価値を考える方法です。
まず、部門別・主要顧客別にどれだけ利益が出ているかを見える化し、追加投資の内容と回収の見通しを整理しておきましょう。
この考え方は、事業承継後の改善計画(PMI)やアーンアウト(将来の成果に応じた追加支払い)とも相性が良好です。
あわせて前提を変えた複数のシナリオを用意し、「結果がどれほど動くか(感応度)」も確認しておくとよいでしょう。
こうした手順を踏むことで、リスクを数字で把握でき、納得感のある条件設計につながります。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、類似企業の上場指標やM&A事例を参照し、「市場がどの程度の値を付けているか(相場)」から価値を見ていく方法です。
ただし、地方やニッチ分野では事例が限られるため、規模や商圏の違いを補正する工夫を加えるようにしましょう。
安易に当てはめず、前提を明記しておくとよいでしょう。
一方で、相場感を関係者と共有しやすいというメリットがあります。
買い手・金融機関・社内(役員)との初期合意を得やすくなるため、早い段階の目線合わせに活用していきましょう。

企業価値に相場はある?
企業価値に、厳密な意味での相場は存在しません。
価値は評価計算で導く内側の数字であり、価格は交渉で決まる外側の数字と捉えると理解しやすくなります。
もっとも、業種ごとの倍率目安はあるので、市場の参考材料として活用してかまいません。
ただし、規模・地域・成長見込み・特定顧客への依存・キーパーソンの有無・契約の安定性といった違いで、目安から外れることは容易に起こり得るため注意しておきましょう。
重要なのは、相場に数字を合わせにいくことではないという姿勢です。
自社の強みとリスクを説明できる形で整理し、根拠をそろえておくようにしましょう。
その準備を整えた会社ほど、結果として良い条件(より高い価格)に近づきやすくなります。
企業価値に高値がつくケースは?
企業価値に高値がつくケースとして、代表的な4つのパターンをご紹介します。
- 将来の収益性が高いと見込まれるケース
- 財務基盤が健全なケース
- 無形資産が評価されるケース
- シナジー効果が見込めるケース
ポイントは、それぞれについて「数字」と「根拠資料」を揃えることです。
具体的なデータで裏づけておくほど説得力が増します。
買収後の統合作業(PMI)に伴う不確実性も小さくなるため、事前に整理して提示できる状態にしておきましょう。
将来の収益性が高いと見込まれるケース
まずは、将来の収益性が高いと見込まれるケースです。
例えば、定期的な売上が続く仕組み(再来店・サブスク・保守契約など)が強い・解約が少ない・お客様一人あたりの売上(ARPU)が伸びている会社は、評価で期待が高まりやすくなります。
あわせて、受注残の金額や長期契約の割合、解約・失注の実績など、将来のキャッシュインを裏づける数字を提示しておきましょう。
こうした根拠が揃うほど、DCF(割引キャッシュフロー)やマルチプル(倍率)での評価は上振れしやすくなります。
財務基盤が健全なケース
次は、財務基盤が健全なケースです。
- 短期借入が過大でないこと
- 思わぬ支払い(偶発債務)がないこと
- 運転資金が適切であること
- 在庫回転や売掛金の回収が標準水準にあること
こうした会社は、借金と現金の差(ネットデット)調整のマイナスが膨らみにくく、結果として評価が下がりにくくなります。
あわせて、決算の整備(平準化)・親族会社などとの特別取引の整理・役員報酬の相場水準への見直しといった正規化も進めておきましょう。
これらに取り組むほど、評価レンジの下支え(底上げ)につながりやすくなります。
以下の記事では、事業承継を支援してくれる補助金についてもご紹介しています。
関連記事:事業承継に使える補助金は?2025年度のスケジュールや申請方法・対象経費なども解説!
無形資産が評価されるケース
無形資産が評価される場合も、企業価値は上振れしやすくなります。
例えば、ブランド力・特許やノウハウ・独自の工程やレシピ・優良顧客リスト・熟練チームの連携といった置き換えにくい強みは、そのまま価値の源泉になります。
ただし、これらの強みは決算書に表れにくいものですので、KPI(数値指標)や実績事例・顧客の声・品質データなどで見える化しておきましょう。
アナログでも構わないので、資産台帳を整えて提示しておくと、評価の納得感を高められます。
シナジー効果が見込めるケース
そして、シナジー効果(相乗効果)が見込めるケースです。
買い手の販路・調達・生産体制と噛み合えば、単独のままより高い価値が生まれやすくなります。
ポイントは、数字で示すことです。
重複コストの削減(コストシナジー)だけでなく、クロスセルの拡大や新製品投入の加速(レベニューシナジー)を定量化して提示しておきましょう。
これが上乗せ価格(プレミアム)の根拠になります。
あわせて、PMI(買収後の統合)を成功させる準備を事前に整えておくと、評価額へのプラス効果が期待できるはずです。
企業価値は高められる?

企業価値の「値付け」はコントロールできませんが、その土台となる「価値の中身」は磨くことができます。
具体的に行動したいのは、以下の内容です。
1.売上の質を高める
解約を減らして定期収入の割合を増やし、利益が残りやすい商品・サービスの比率を上げる
2.原価・販管費を見える化
部門ごとに損益を出し、どこから黒字か(損益分岐)をはっきり示す
3.運転資金を健全に保つ
在庫を持ち過ぎないよう調整し、売掛金の回収や与信管理を徹底する
4.依存リスクを下げる
特定のキーパーソンや大口顧客に頼り過ぎない体制を作る
5.基礎となるルール整備
契約・許認可・知的財産・安全衛生を整え、デューデリジェンスでの指摘を事前に減らす
これらを2〜3年かけて計画的に磨けば、評価の幅は上向けることができるはずです。
企業価値評価で事業承継を円滑に進めるための注意点
企業価値の評価は、「正しい数字を競う」ことよりも「関係者が納得して合意できるか」が大切です。
どの手法を選ぶかは、誰と何を決めたいのか(目的)に合わせましょう。
さらに前提条件を分かりやすく開示し、同じ手順なら同じ結果に至る再現性を確保しておくとよいでしょう。
ここでは、企業価値評価で事業承継を円滑に進めるための注意点として、以下の内容をご紹介します。
- 評価手法の特性を理解する
- 中小企業の場合は落とし穴に気をつける
- 企業価値と譲渡価額の違いを理解する
- 客観的な企業価値評価をベースとする
専門家の役割・手数料・利益相反の管理・情報の取り扱いは、中小M&Aガイドラインの要点に沿って進めてください。
また、税制や各種支援制度は変わり得るため、最新情報へ随時アップデートしておくようにしましょう。
評価手法の特性を理解する
まず重要なのは、評価手法の特性を理解することです。
先にも解説したように、コストは下限の目安・インカムは将来の稼ぐ力という本質・マーケットは市場相場という現実を映します。
この物差しの違いをしっかり押さえ、目的に合わせて使い分けるようにしましょう。
あわせて、どこがブレやすいかを事前に共有しておくと、後の議論がスムーズになります。
例えばDCFは前提(成長率・割引率)に敏感・比準は規模や地域の違いの補正次第で数値が動く・修正純資産は「時価に直す」見積もりで差が生じやすいといった点です。
こうした留意点をあらかじめ確認しておくことで、結果として後工程での争点を減らせます。
中小企業の場合は落とし穴に気をつける
中小企業でいう落とし穴とは、評価を歪める「中小企業特有のクセ」や「見落とし」と考えます。
例えば代表的なのは、以下のようなものです。
- 相場から外れたオーナー報酬や地代
- 親族会社との特殊取引
- 社宅・社用車・無償役務の扱い
- 過大な現金保有や在庫評価
- 口約束や慣行ベースの契約
これらは相場ベースに正規化し、帳簿と実態をそろえておくとよいでしょう。
中小企業はオーナー色が出やすく、内部統制や文書化が十分でないことが珍しくありません。
その結果、買い手から見ると将来キャッシュフローやネットデットの見立てがぶれやすいため、ディスカウントの理由になりがちです。
加えて、キーパーソン依存や大口顧客依存が強いと、承継後の業績変動リスクが高く見積もられるため、注意しておいてください。
対処方法として、以下の3つがポイントになります。
- 正規化の徹底(報酬・関連取引・資産評価の是正)
- 引継計画の明示(キーパーソンの代替・育成、主要顧客の継続意向の確認)
- PMIで詰まりやすい箇所の見える化(契約・許認可・知財・安全衛生の整備)
これらを事前に整理しておくと、評価のブレが小さくなり、後工程のトラブルも抑えやすくなるはずです。
企業価値と譲渡価額の違いを理解する
企業価値は理論上の目安であり、譲渡価額は交渉で決まる実際の値段です。
まずはこの違いを理解しておきましょう。
同じ企業価値でも、支払い方法(現金・株式・分割)・支払条件(アーンアウト・表明保証や補償)・引き継ぎ支援の有無・入札の有無によって、最終価格は変動します。
前提と条件を並べて比較できるよう、整理しておくとよいでしょう。
実務では、評価を価格の根拠として位置づけつつ、条件設計とセットで意思決定するのが定石です。
誰に何を求める取引なのかを明確にし、条件案を複数用意して検討を進めるようにしましょう。
客観的な企業価値評価をベースとする
評価で最も重要なのは、客観性を確保することです。
自社評価は高めに見積もりがちですので、会計士や外部FA(ファイナンシャル・アドバイザー)のレポートを土台にするようにしましょう。
前提条件と手順を明記し、資料の保管や共有ルールを徹底、関係者が同じ資料・同じ計算式で議論できる状態を整えておくことがポイントです。
この準備ができていれば、税務・相続・金融機関とのやり取りで根拠資料を求められても慌てずに対応できます。
事業承継の相談先については、以下の記事でも解説しています。
関連記事:事業承継の相談先10選を紹介!相談費用は無料なのか・選び方のポイントも解説!
TORUTE株式会社では、全体の見取り図をご一緒に作りながら優先順位と役割分担を明確化し、各分野の専門家と連携して継続的に伴走する体制をご用意しています。
状況に合わせた進め方をご提案しますので、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ
事業承継で大切なのは「正解の数字」ではなく、「全員が納得できる評価の幅」と「その理由を説明できる状態」です。
そのために、企業価値(EV)と株式価値の違いを理解し、評価手法の使い分けと中小企業ならではの正規化の要点を押さえておきましょう。
あわせて、価値の中身を磨く取り組みを続けると、評価は自然に上振れしやすくなります。
仕上げに必要なのは、価値(評価)と価格(取引)を結ぶ条件設計と、関係者の合意形成です。
専門家と連携し、前提・手順・資料を整備することで、安心して次の世代へバトンを渡せます。
こうした道筋こそが、経営者としての歩みを価値として残す最も実務的な進め方と言えるでしょう。
この記事を監修した弁護士
西田 幸広 法律事務所Si-Law代表
弁護士・法律事務所Si-Law/(株)TORUTE代表・西田幸広 熊本県を中心に企業顧問70社、月間取扱160件以上(2025年8月時点)。登録3,600社・20超業種を支援し、M&A・事業承継を強みとする。弁護士・司法書士・社労士・土地家屋調査士の資格保有。YouTubeやメルマガで実務解説・監修/寄稿多数。LINE登録特典で「事業承継まるわかりマニュアル」提供。
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