事例紹介「つなぐ物語」
-
つなぐ物語 1 :飲食店
50年以上愛された「街の焼肉屋さん」の、若き後継者との出会い。
-
つなぐ物語 2 :ゴルフ場
経営難の中、ゴルフ場の価値を信じ続けて生まれた、新オーナーとの出会い。
八代ゴルフ倶楽部
-
つなぐ物語 3 :自動車販売・整備業
「元飛行機整備士の自動車整備業が時代に沿った変化を遂げるには距離や時間を超えた新たな出会いが必要とされた」
井上自動車
-
つなぐ物語 4 :地域密着の介護事業を次世代へ託す想い
熊本地震、コロナ禍を乗り越え、地域と支え合い紡いできた「介護の絆」を次の世代へつなぐ。
介護事業インタビュー
-
つなぐ物語 5 :お洒落なダイニングキッチン、街中のダイニング&ピザ屋を承継しました。
つなぐ物語
7
【M&A事例:有料老人ホーム 】愛の名を持つ場所を、次の世代へ——八代・愛愛荘、介護の絆をつなぐ物語
有限会社コレクト(有料老人ホーム愛愛荘・訪問介護)
八代市敷川内町の静かな田園地帯に、「愛愛荘」という名を持つ有料老人ホームがある。
ひらがなで書けば「あいあいそう」
——愛に愛を重ねたその名前には、入居者一人ひとりを家族のように迎えるという、開設当初からの思いが込められている。
隣には社会福祉法人「ま心苑」の特別養護老人ホームがあり、愛愛荘はその特養に移行するまでの間、高齢者が安心して暮らせる「つなぎの場所」として、地域に欠かせない存在となってきた。
訪問介護も一体的に運営し、19名のスタッフが毎日、入居者の生活に寄り添ってきた。
平均勤続年数の長いスタッフたちが日々丁寧に積み上げてきた介護の質——それが愛愛荘の本当の「資産」だった。
しかし、有限会社コレクトを率いる山本社長にとって、一つの問いが年を追うごとに重くなっていった。
「この場所を、誰に引き継いでもらうか。」
後継者はいない。
自分たちが誠心誠意つくり上げてきた愛愛荘を、中途半端に終わらせたくない。
入居者のためにも、長年一緒に働いてきたスタッフのためにも、適切な「次の担い手」を見つけることが最後の責任だと感じていた。
その思いを胸に、TORUTE株式会社に連絡を入れたのは、令和6年(2024年)の春のことだった。
TORUTE株式会社が取り掛かったのは、愛愛荘の価値を丁寧に言語化することだった。
決算書を読み解き、月次の介護報酬収入を整理し、取引先一覧から日々の運営の実態を浮き彫りにする。
訪問介護と老人ホームが一体となって機能する仕組み、連携する医療機関の存在、19名の経験豊かなスタッフが揃っている強み——これらすべてを「企業概要書」という形に落とし込んだ。
そして、一人の人物がその資料に目を止めた。
合同会社如月、代表社員・片山渉氏。
理学療法士の資格を持つ片山氏は、八代市を中心に訪問介護や有料老人ホームの運営を手がける若き経営者だ。
高齢化が進む地域の中で、専門職としての知識と経営者としての視点を合わせ持ち、「地域の健康を支える存在になりたい」という強い信念を持っていた。
愛愛荘の情報を受け取った片山氏は、すぐに動いた。就業規則、サービス提供票、入居者の請求書——次々と資料を確認し、質問を重ねながら、自分がこの場所を引き継いだ未来を具体的に描き始めた。
令和6年7月22日、八代市敷川内町の山本社長の自宅にて、トップ面談が実現した。
従業員への配慮から施設内部での対面は避け、山本社長夫妻と片山社長が初めて顔を合わせたその場で、二人の間に静かな信頼が芽生えた。
翌日、西田弁護士に送られてきたメッセージに、片山氏の本音がにじんでいた。
「前向きに考えています。まだまだ知りたい情報はあります。先方が良ければ、話が進むと嬉しいです」——。
山本社長もまた、「片山社長がとても好印象だった」と伝えてきた。
しかし、ここから成約までの道のりは、決して平坦ではなかった。
最大の難関は、年が明けた令和7年(2025年)1月に突如として浮上した。
施設内の2人部屋について、県が「夫婦以外の使用は認めない」という方針を明確にしたのだ。
これにより、実質的な入居可能数が当初想定より少なくなる可能性が生じた。
引き渡しの2週間前に発覚した「誤算」に、三者の間に緊張が走った。
「一旦白紙に戻した方がいい」という声も上がった。
しかし、片山氏は諦めなかった。
「私としても経営状況を工夫して、事業拡大をしたいと考えています。どうにか引き継ぎをさせてもらえたら嬉しい」
——その言葉に、山本社長は動かされた。
さらに追い打ちをかけるように、施設のスプリンクラーポンプの交換が必要であることも判明した。
高額の修繕費が急浮上した局面で、山本社長が下した決断は明快だった。
「大丈夫じゃないですが、そうします。片山くんもこれくらいの痛みを背負ってるでしょうから。痛み分けで」——。
その一言が、最後の扉を開けた。
令和7年2月6日夜、西田弁護士の事務所に三者が集まった。
長い交渉のゴールを刻む署名と押印が、静かに交わされた。
令和7年(2025年)3月1日、愛愛荘の事業は合同会社如月へと引き継がれた。
スタッフたちはそのまま働き続けている。
入居者たちの日常も変わらない。
ただ、この場所に新しい力が加わった。
「結果として買収とか譲渡とかいう形には書類上なるかと思いますが、私としては、今まで事業をされてきた方の想いやご縁を後世に紡ぐことをしていきたいと考えています」——片山氏がかつてTORUTEへ送った言葉だ。
愛に愛を重ねた名を持つ場所が、地域の未来をつなぐ手へと渡った。
そのことに気づいている人は、まだ少ない。
しかし、毎朝この施設を訪れるヘルパーたちと、ここで暮らすお年寄りたちの間では、何も変わらない温かさが続いている。
ひらがなで書けば「あいあいそう」
——愛に愛を重ねたその名前には、入居者一人ひとりを家族のように迎えるという、開設当初からの思いが込められている。
隣には社会福祉法人「ま心苑」の特別養護老人ホームがあり、愛愛荘はその特養に移行するまでの間、高齢者が安心して暮らせる「つなぎの場所」として、地域に欠かせない存在となってきた。
訪問介護も一体的に運営し、19名のスタッフが毎日、入居者の生活に寄り添ってきた。
平均勤続年数の長いスタッフたちが日々丁寧に積み上げてきた介護の質——それが愛愛荘の本当の「資産」だった。
しかし、有限会社コレクトを率いる山本社長にとって、一つの問いが年を追うごとに重くなっていった。
「この場所を、誰に引き継いでもらうか。」
後継者はいない。
自分たちが誠心誠意つくり上げてきた愛愛荘を、中途半端に終わらせたくない。
入居者のためにも、長年一緒に働いてきたスタッフのためにも、適切な「次の担い手」を見つけることが最後の責任だと感じていた。
その思いを胸に、TORUTE株式会社に連絡を入れたのは、令和6年(2024年)の春のことだった。
TORUTE株式会社が取り掛かったのは、愛愛荘の価値を丁寧に言語化することだった。
決算書を読み解き、月次の介護報酬収入を整理し、取引先一覧から日々の運営の実態を浮き彫りにする。
訪問介護と老人ホームが一体となって機能する仕組み、連携する医療機関の存在、19名の経験豊かなスタッフが揃っている強み——これらすべてを「企業概要書」という形に落とし込んだ。
そして、一人の人物がその資料に目を止めた。
合同会社如月、代表社員・片山渉氏。
理学療法士の資格を持つ片山氏は、八代市を中心に訪問介護や有料老人ホームの運営を手がける若き経営者だ。
高齢化が進む地域の中で、専門職としての知識と経営者としての視点を合わせ持ち、「地域の健康を支える存在になりたい」という強い信念を持っていた。
愛愛荘の情報を受け取った片山氏は、すぐに動いた。就業規則、サービス提供票、入居者の請求書——次々と資料を確認し、質問を重ねながら、自分がこの場所を引き継いだ未来を具体的に描き始めた。
令和6年7月22日、八代市敷川内町の山本社長の自宅にて、トップ面談が実現した。
従業員への配慮から施設内部での対面は避け、山本社長夫妻と片山社長が初めて顔を合わせたその場で、二人の間に静かな信頼が芽生えた。
翌日、西田弁護士に送られてきたメッセージに、片山氏の本音がにじんでいた。
「前向きに考えています。まだまだ知りたい情報はあります。先方が良ければ、話が進むと嬉しいです」——。
山本社長もまた、「片山社長がとても好印象だった」と伝えてきた。
しかし、ここから成約までの道のりは、決して平坦ではなかった。
最大の難関は、年が明けた令和7年(2025年)1月に突如として浮上した。
施設内の2人部屋について、県が「夫婦以外の使用は認めない」という方針を明確にしたのだ。
これにより、実質的な入居可能数が当初想定より少なくなる可能性が生じた。
引き渡しの2週間前に発覚した「誤算」に、三者の間に緊張が走った。
「一旦白紙に戻した方がいい」という声も上がった。
しかし、片山氏は諦めなかった。
「私としても経営状況を工夫して、事業拡大をしたいと考えています。どうにか引き継ぎをさせてもらえたら嬉しい」
——その言葉に、山本社長は動かされた。
さらに追い打ちをかけるように、施設のスプリンクラーポンプの交換が必要であることも判明した。
高額の修繕費が急浮上した局面で、山本社長が下した決断は明快だった。
「大丈夫じゃないですが、そうします。片山くんもこれくらいの痛みを背負ってるでしょうから。痛み分けで」——。
その一言が、最後の扉を開けた。
令和7年2月6日夜、西田弁護士の事務所に三者が集まった。
長い交渉のゴールを刻む署名と押印が、静かに交わされた。
令和7年(2025年)3月1日、愛愛荘の事業は合同会社如月へと引き継がれた。
スタッフたちはそのまま働き続けている。
入居者たちの日常も変わらない。
ただ、この場所に新しい力が加わった。
「結果として買収とか譲渡とかいう形には書類上なるかと思いますが、私としては、今まで事業をされてきた方の想いやご縁を後世に紡ぐことをしていきたいと考えています」——片山氏がかつてTORUTEへ送った言葉だ。
愛に愛を重ねた名を持つ場所が、地域の未来をつなぐ手へと渡った。
そのことに気づいている人は、まだ少ない。
しかし、毎朝この施設を訪れるヘルパーたちと、ここで暮らすお年寄りたちの間では、何も変わらない温かさが続いている。

