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事例紹介「つなぐ物語」

つなぐ物語

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【M&A事例:ガソリンスタンド 】46年間、この道を走り続けた灯を——地域の命綱を次の担い手へ

植木石油株式会社

昭和52年(1977年)、熊本県内のとある国道沿いに、一軒のガソリンスタンドが産声を上げた。
ENEOSの系列に属し、24時間セルフサービスで地域を支えてきた。
通勤の車も、近くの温泉地へ向かう旅人も、長年にわたって迎え入れてきた。

代表のA社長は創業以来、家族とともにこの地を守り続けた。
傍らには、26年間勤め上げたパートの女性スタッフ、危険物取扱者の資格を持ち12年を共に歩んだ正社員——まるで家族のような職場だった。

消防法改正に対応した地下タンクの防食工事も自ら手配し、「次の人に渡せる状態で引き継ぎたい」という思いから、設備の整備を欠かさなかった。
しかし、問いかけるように過ぎていく年月の中で、一つの現実が近づいていた。

後継者がいない。

「誰かに任せたい、でも誰に?」
——その答えを探しながら、TORUTE株式会社の扉を叩いた。

TORUTE株式会社が心がけたのは、この事業の「価値」を正確に伝えることだった。

近隣のインターチェンジから距離があるという立地ゆえに競合と棲み分けができていること、地元固定客の根強いリピート需要、そして整備の行き届いた設備。
単なる売り物件ではなく、長年かけて育まれた地域のインフラとしての価値を、丁寧に可視化した。

九州内で石油販売業を営むB社の代表が、その資料を手に取った。
同じ石油業を営む者だからこそ分かる、この事業の底力があった。
場所は違えど、地域に根を張る経営の姿勢は共鳴するものがあった。

令和5年(2023年)夏
——46年の歴史を刻んだ株式は、新たな担い手の手へと渡った。

譲渡後、A社長は会社の平取締役として残り、新体制が軌道に乗るまで伴走することを約束した。
競業避止義務として3年間、ガソリンスタンド事業からは身を引くことになるが、その表情は穏やかだった。

「良い人に渡せた」
——それが、すべてだった。
国道を走る車は今日も変わらず、あの灯りのもとへ吸い込まれていく。